ツツジ

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ツツジ(躑躅)とはツツジ科植物であり、学術的にはツツジ属ツツジ属参照)の植物の総称である。ただしドウダンツツジのようにツツジ属に属さないツツジ科の植物にもツツジと呼ばれるものがあるので注意が必要である。

主にアジアに広く分布し、ネパールでは国花となっている。日本ではツツジ属の中に含まれるツツジやサツキシャクナゲを分けて呼ぶ慣習があるが、学術的な分類とは異なる。最も樹齢の古い古木は、800年を超え1,000年に及ぶと推定される。

特徴

ツツジ属の植物は低木から高木で、常緑または落葉性互生、果実は蒴果である。4月から5月の春先にかけて漏斗型の特徴的な形の花(先端が五裂している)を数個、枝先につける。また花を上手に採ると花片の下から蜜を吸うことができ第二次世界大戦中は当時の子供たちの数少ない甘みとなっていたが、多くの種に致死性になりうる毒成分のグラヤノトキシンが含まれ、特に多く含むレンゲツツジは庭木として利用されることもあるので事故を避けるために注意しなければならない。また合弁花類である。

ツツジ属(Rhododendron)

ファイル:Tsutsuji.jpg
ピンクのツツジ

ツツジ属Rhododendron)は大きくヒカゲツツジ亜属(有鱗片シャクナゲ亜属)とツツジ亜属、無鱗片シャクナゲ亜属、セイシカ亜属、エゾツツジ亜属に分類されるが、便宜上常緑性のものの一部がシャクナゲと呼ばれている。すなわち、日本で「シャクナゲ」と呼ばれるものはホンシャクナゲの仲間(無鱗片シャクナゲ節)に限られ、常緑であってもそれ以外の殆どは「シャクナゲ」とは呼ばない。

ツツジは日本では古くから園芸品種として交配され美しい品種がたくさん生まれた。中でもサタツツジヤマツツジミヤマキリシマなどをかけ合わせて生まれたクルメツツジはその代表で種類も多く色とりどりの花が咲き、満開の時期はまさに圧巻である。ヒラドツツジも日本全国でよく見られる大型のツツジで、花も大きく街路樹としてもたくさん植栽されていて、ケラマツツジモチツツジキシツツジなどを親としている。 サツキマルバサツキおよびその交配種は特にサツキと呼ばれているが、クルメツツジなどと同じく常緑ツツジの仲間である。

西洋ではアジアからヨーロッパに常緑のツツジが持ち込まれて園芸化され、ベルジアン・アザレアと呼ばれ現在鉢花として大量に生産されている。トウヤマツツジを主に、ケラマツツジサツキの品種などもその育種に用いられている。また日本のレンゲツツジや北アメリカの落葉性の原種が園芸化されてエクスバリー・アザレアあるいは匂いツツジなどと呼ばれている。

以下にツツジ属の日本産の種を挙げる。種名の横に併記した斜体文字は学名を示す。属名「Rhododendron」とは、rhodon(バラ)+dendron(樹木)の意味である。複数の種が環境省都道府県によりレッドリストの指定を受けている[1]

セイシカ亜属

オバーツム節

セイシカ節

ヒカゲツツジ亜属(有鱗片シャクナゲ亜属)

有鱗片シャクナゲ節

イソツツジ節(元は別属イソツツジ属Ledumとされていた)

ビレア節

  • 東南アジアやニューギニアなどの熱帯地方に産するもので、マレーシア・シャクナゲとも言われる。日本産のものは知られていない。

無鱗片シャクナゲ亜属

無鱗片シャクナゲ節

レンゲツツジ節

ツツジ亜属

ツツジ節

コメツツジ列
モチツツジ列
サツキ列
ウンゼンツツジ列
ヤマツツジ列

ハコネコメツツジ節

サクラツツジ節

オオバツツジ節

バイカツツジ節

ミツバツツジ節

ミツバツツジ列
タカクマミツバツツジ列
サイゴクミツバツツジ列
コバノミツバツツジ列
オンツツジ列

シロヤシオ節

交雑種

エゾツツジ亜属

独立したエゾツツジ属に分類される場合が多い。

分子系統学的には、ヨウラクツツジ属もツツジ属のツツジ亜属に含まれる。

自治体指定の木と花

日本では市町村で自治体の木や花の指定を受けている。以下にその一覧を示す。

市(市の木)

市町村(花)

関連文化

ファイル:Azalea Korin.JPG
尾形光琳『躑躅図』、18世紀。

日本で言うところのツツジやサツキは、公園道路分離帯などの植え込みにしばしば見られる。日本では長い栽培の歴史を持ち、早くから育種も進んだ。例えば林昌寺泉南市)や塩船観音寺青梅市)の庭園は、美しいツツジで有名である。ツツジ類の材はとても緻密であり、細工物などにも利用される。

「ツツジ色」(アザレア)という色もある。これはツツジの花ような鮮やかな赤紫色(「躑躅燃ゆ」と形容される)をさす。赤紫は次に挙げるような色である。

名前 漢字・英語 同色・混同色
#CD4187 アザレア azalea 躑躅色
#FF3399 アザレアピンク azalea pink 躑躅色

俳句・短歌(和歌)

「ツツジ」は俳句における春の季語でもある。また「躑躅花」(つつじばな)は、短歌(和歌)における枕詞としても使用される。この場合は「花のように美しい君」という意味から「にほふ」や「にほえをとめ」にかかる。

  • 躑躅いけて 其陰に干鱈(ひだら) さく女 - 松尾芭蕉[4]
  • …つつじ花 にほえ娘子(をとめご) 桜花 栄え娘子… - 柿本人麻呂[5]

書物

元禄5年(1692年)に伊藤伊兵衛により刊行された『錦繍枕』は世界最古のツツジ、サツキ専門書である。

音楽

  • 『躑躅(つつじ)』 地歌箏曲) - 佐山検校作曲(元禄の頃、世界で初めてツツジの専門書『錦繍枕』を刊行(元禄5年(1692年))した伊藤伊兵衛と同時代に江戸で活躍した音楽家・佐山検校(元禄7年(1694年)没)による長歌もの地歌曲で、歌詞中にツツジが22品種詠み込まれている)

出典・脚注

  1. 日本のレッドデータ検索システム「Rhododendron」”. (エンビジョン環境保全事務局). . 2013閲覧.
  2. 福岡県のシンボル”. 福岡県 (1966年9月5日). . 2013閲覧.
  3. 静岡県の花「ツツジ」制定経緯”. 静岡県 (1965年9月21日). . 2013閲覧.
  4. 泊船集』より
  5. 万葉集』より

関連項目

外部リンク