津市
津市(つし)
三重県中部,伊勢湾に臨む市。東部を伊勢平野,西部を布引山地が占め,雲出川が東流する。県庁所在地。 1889年市制施行,以降近隣の町村を編入,市域を拡大。 1952年雲出村,1954年一身田町,白塚町,栗真村,片田村,1973年豊里村を編入。 2006年久居市,河芸町,芸濃町,美里村,安濃町,香良洲町,一志町,白山町,美杉村の1市6町2村と合体。市名は中世以来の名を継承。中心市街地の津は,かつて安濃津 (あのつ) と呼ばれ,古代から難波津,薩摩大野津とともに日本三津の一つであったと伝えられるが,港は明応地震 (1498) で壊滅した。永禄年間 (1558~70) に細野藤敦が築城,その後城主が次々に代わり,慶長 13 (1608) 年藤堂高虎が移封されてから城の大改修や本格的な城下町づくりが行なわれ,以後,明治維新まで安濃津藩の城下町として栄えた。明治4 (1871) 年安濃津県庁,1873年三重県庁が置かれて県都となった。市街地は岩田川と安濃川との間の三角州に築かれた津城を中心に発達。第2次世界大戦後,背後の丘陵地に住宅を主とする新市街地が形成された。行政・文教都市であるとともに商業も盛んで,各種卸売業が集まる。工業は戦前からの繊維に加え,戦後は電機などの工場も立地。
1967年にはタンカーを建造する造船所も進出。久居は明治中期以降は瓦とタオルの地場産業で知られたが,その後,電機や食品などの工場が進出。芸濃は丘陵性の火山灰土 (黒ボク) 地帯で,かつての桑園は花卉,苗木,茶園に取って代わり,ゴルフ場,工場,住宅団地などが建設された。河芸ではチャ (茶) ,久居,一志,白山では一志米と呼ばれる酒米が生産される。津城跡は公園となっており,本丸跡に藤堂高虎をまつる高山神社がある。中部の青山高原のふもとには榊原温泉がある。典型的な寺内町だった一身田にある専修寺が所蔵する親鸞の書『三帖和讃』と『西方指南抄』は国宝,専修寺御影堂と如来堂,国津神社十三重塔は国の重要文化財。八町には江戸時代の国学者谷川士清の旧宅があり,墓とともに国の史跡。長野氏城跡,明合古墳,霧山城跡も国の史跡。北畠氏館跡庭園は国の名勝・史跡。三多気のサクラは国の名勝で,椋本の大ムクは国の天然記念物。南部は室生赤目青山国定公園,赤目一志峡県立自然公園,海岸部は伊勢の海県立自然公園に属する。 JR紀勢本線と名松線,近畿日本鉄道名古屋線,伊勢鉄道,国道 23号線と 163号線,伊勢自動車道が通る。
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