波佐見町
波佐見町(はさみちょう)は、長崎県のほぼ中央、東彼杵郡北部の内陸部に位置し、長崎県内で海に面していない唯一の町である。江戸時代前期からの陶磁器生産地で、波佐見焼が知られる。
Contents
地理
長崎県本土の中央部にあり、佐世保市中心部からは東に約20km、長崎市から北へ約65kmの距離に位置する。東西10.5km、南北7.0km、周囲33.0kmを町域とし、総面積は56.0km2である。佐世保市に隣接し、町域の東部と北部では佐賀県と県境を成している。周囲を山に囲まれた盆地であるため比較的夏は暑く、冬は寒い。
2005年4月1日以降、長崎県内で唯一、海に面していない自治体である[1]。その為、長崎県のお盆の行事である精霊流しの風習がない。
- 山:幕の頭(原明岳)、一の宮、田別当、陣の辻(神六山)、二ツ岳、鴻ノ巣山、大平岳
- 河川:川棚川、村木川、野々川川、皿山川
- 溜池:根比池、猪狩池、大堤
隣接市町村
- 長崎県
- 佐賀県
地域
人口
波佐見町(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
地名
郷を行政区域とする。大字は設置していない。正式な住所表記として用いられる20郷のほかに、自治会単位として用いられる22郷がある。一部を除き両者は一致するが、住所表記上の長野郷・中山郷で相違がある。
- 井石郷(いせきごう)
- 鬼木郷(おにぎごう)
- 折敷瀬郷(おりしきせごう)
- 金屋郷(かなやごう)
- 小樽郷(こだるごう)
- 宿郷(しゅくごう)
- 中尾郷(なかおごう)
- 永尾郷(ながおごう)
- 野々川郷(ののがわごう)
- 三股郷(みつまたごう)
- 村木郷(むらぎごう)
- 湯無田郷(ゆむたごう)
- 川内郷(かわちごう)
- 皿山郷(さらやまごう)
- 志折郷(しおりごう)
- 岳辺田郷(たけべたごう)
- 田ノ頭郷(たのかしらごう)
- 長野郷(ながのごう)
- 行政区名称は甲長野郷(こうながのごう)、乙長野郷(おつながのごう)、
- 協和郷(きょうわごう)[2]に分かれる。
- 中山郷(なかやまごう)
- 行政区名称は平野郷(ひらのごう)。
- 稗木場郷(ひえこばごう)
歴史
近現代
昭和
平成
- 1999年(平成11年)7月15日 - 大阪府枚方市と市民交流都市提携。
- 2001年(平成13年)4月 - 佐世保市より波佐見町に合併協議の呼びかけが行われた[4]。
- 2002年(平成14年)
- 3月 - 東彼杵郡任意合併協議会が設置される。
- 8月~9月
- 大村市と東彼杵町との合併案を大村市が可決し、東彼杵町が否決した。
- 東彼杵郡3町での合併案が、該当3町(東彼杵町と川棚町、波佐見町)で可決。
- 2004年(平成16年)
- 3月 - 川棚町が合併協議会の離脱を表明。合併協議会は休止状態になる。
- 7月 - 川棚町が合併協議会に復帰。合併協議会を再開。
- 2005年(平成17年)3月 - 3町での合併を断念。協議会を解散。
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)
- 3月
- 東彼杵郡合併協議会が住民発議により再び設置。
- 1972年(昭和47年)より加盟していた佐世保地域広域市町村圏組合が解散。
- 6月 - 川棚町、波佐見町が協議会解散を提案、合併が白紙に。
- 8月 - 協議会解散が川棚町、波佐見町で可決。東彼杵町で否決。このように3町で合意にいたらず、協議会は休止状態となったが、実質的な解散となった。
- 3月
- 2010年(平成22年)10月20日 - 大韓民国全羅南道康津郡と友好・交流都市を締結。
行政区域の変遷
- 1871年(明治4年)
- 1878年(明治11年)10月28日 - 郡区町村編制法の長崎県での施行により、現在の町域を含む彼杵郡1町20村の区域に行政区画としての東彼杵郡が発足。
- 1889年(明治22年)
- 1934年(昭和9年)11月3日 - 上波佐見村が町制施行、上波佐見町となる。
- 1956年(昭和31年)6月1日 - 上波佐見町・下波佐見村が対等合併し、波佐見町が発足。
- 1960年(昭和35年)- 中山郷の一部を川棚町へ編入。
- 1962年(昭和37年)- 中山郷のうち平野地区の一部を川棚町へ編入。
行政
町政
町長
- 現職 - 一瀬政太(いちのせ まさた)(1998年(平成10年)9月~4期目)
町議会
- 波佐見町議会 定数14(2012年(平成24年)10月の町議会議員一般選挙から)
組織
庁舎
- 波佐見町役場(本庁)
- 所在地 - 宿郷660 地図
- 1階 - 税務課、住民福祉課、健康推進課(地域包括支援センター)、農林課、建設課、水道課、会計課、農業委員会
- 2階 - 町長室、副町長室、総務課、企画財政課、商工振興課、議会事務局、議場、選挙管理委員会、監査室
- 所在地 - 宿郷660 地図
- 波佐見町総合文化会館(ウェイブホール)
- 所在地 - 折敷瀬郷2064 地図
- 1階 - 教育委員会事務局
- 所在地 - 折敷瀬郷2064 地図
消防
- 佐世保市消防局(佐世保市に委託)
- 東消防署(佐世保市広田1-16-19)
- 波佐見出張所(波佐見町宿郷338-3)
- 東消防署(佐世保市広田1-16-19)
ごみ処理
- 東彼地区保健福祉組合(東彼杵町・川棚町・波佐見町)
- 事務局(東彼杵町蔵本郷95-1)
- 東彼地区清掃工場(ごみ処理場、川棚町白石郷282)
- 東彼地区環境センター(し尿処理場、東彼杵町蔵本郷95-1)
姉妹都市・提携都市
- 国内
- 国外
- マウア[3]市(ブラジル連邦共和国 サンパウロ州)
- 1988年(昭和63年)4月2日 姉妹都市提携
- 康津郡(かんじんぐん)(大韓民国 全羅南道)
- 2010年(平成18年)10月20日 友好交流提携
県政
県議会
- 長崎県議会 東彼杵郡(川棚町・波佐見町と合わせて)選挙区 定数1
県の出先機関
- 県北振興局(佐世保市)
- 管理部、税務部、商工水産部
- 建設部
- 県北ダム管理事務所
- 野々川治水ダム管理事務所(湯無田郷643-3)
- 県北ダム管理事務所
- ただし農林部・保健部に関しては別。下記参照。
- 県央振興局(諫早市)
- 農林部
- 保健部(県央保健所)
- 長崎県窯業技術センター(稗木場郷605-2)
警察
医療
- 公立の医療施設はない。
国政
衆議院選挙区
国の出先機関
- 町内にはない。
産業
波佐見焼の産地として知られる。隣接する有田町も磁器(有田焼)の産地として有名であるが、この波佐見焼は有田焼とは別のものである。有田、波佐見などの肥前磁器は、近世には伊万里港から積み出されたため、「伊万里焼」と呼ばれていた。現在、全国の一般家庭で使われている日用食器の約13%は波佐見町で生産されている。町内には陶磁器に関する約400の事業所があり、町内の約2,000人が窯業関係の仕事にたずさわっている。
また、農業の近代化にも力をいれ、県営圃場整備、農村総合整備モデル事業などの土地改良事業を実施。水田面積650haのうち約83%の区画整理が完了。大型農機による作業とライスセンターを結んだ米麦一貫作業体制が確立されている。これによって生じる農家の余剰労働力は、地場産業である陶磁器関連産業への就労と結びつき、農工一体となって発展を続けている。
主な企業
金融
- 銀行
- 郵便局(ゆうちょ銀行)
- 農業協同組合(JAバンク)
- 長崎県央農業協同組合(JAながさき県央)
- 波佐見東支店、波佐見南支店
- 他にも育苗センターや、ライスセンター、農機具整備工場、給油所、自動車センター等を運営している。
- 波佐見東支店、波佐見南支店
- 長崎県央農業協同組合(JAながさき県央)
教育
学校
- 長崎県立波佐見高等学校
- 波佐見町立波佐見中学校
- 波佐見町立中央小学校
- 波佐見町立南小学校
- 波佐見町立東小学校
- 波佐見町立東小学校永尾分校
幼稚園
- 私立(運営者は学校法人)
- 波佐見東幼稚園
- アナンダ幼稚園
保育所
- 私立(運営者は社会福祉法人)
- 鴻ノ巣保育園(こうのす、長野郷)
- 松葉保育園(まつば、湯無田郷)
- とどろき保育園(金屋郷)
- 蓮池保育園(はすいけ、宿郷)
- 白毫保育園 (びゃくごう、折敷瀬郷)
交通
航空
最寄り空港は長崎空港または佐賀空港であるが、いずれも波佐見町から直通する公共交通機関はない。なお福岡空港に関しては、町内の波佐見有田バスストップに停車する高速バス「させぼ号」の福岡空港経由便を利用することで行くことが可能。
鉄道
町内を経由する鉄道路線はない。町役場からの最寄り駅は九州旅客鉄道(JR九州)佐世保線・松浦鉄道西九州線の有田駅で、他に佐世保線三河内駅、JR九州の大村線川棚駅が町内各地からの最寄り駅となる。町役場・内海から三河内駅・川棚駅へそれぞれ路線バス(西肥バス)が通っている。有田駅には特急「みどり」が、川棚駅には快速「シーサイドライナー」が停車する。
道路
自動車専用道路
- 西九州自動車道(国道497号)
県道
- 主要地方道
バス路線
一般路線バス
高速バス
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
波佐見町出身の有名人・著名人
- 石橋尚登(プロ野球選手)
- 今里広記(実業家)(1908~1985)
- 原マルティノ(キリシタン)(1569頃~1629)
- 福田清人(児童文学)(1904~1995)
- 宮川浩(俳優)
- 岩永洋昭(俳優)
- 神近市子(政治家・作家・婦人運動家)
脚注
- ↑ 2005年3月31日までは3町(当町のほか北松浦郡世知原町および吉井町)が該当したが、世知原町と吉井町は佐世保市に編入され、自治体として消滅した。
※参考:市町村変遷パラパラ地図 完全版 長崎県 2001年4月1日 - ↑ かつては丙長野郷と称した
- ↑ 3.0 3.1 ポルトガル語表記 Maua
- ↑ 他に西彼町、西海町、大島町、崎戸町、吉井町、世知原町、宇久町、小値賀町、佐々町、小佐々町、東彼杵町、川棚町の12町に同様の合併協議が呼びかけられた
- ↑ 原則、他の窓口では手続きができない。詳しくは旅券(パスポート)申請・交付について(波佐見町ウェブサイト)、長崎県パスポートインフォメーション(長崎県ウェブサイト)を参考にされたい。
- ↑ 波佐見町役場組織図(2012年(平成24年)4月1日現在(PDF) - 波佐見町ウェブサイト
参考文献
- 角川日本地名大辞典 42 長崎県
関連項目
外部リンク
- やきものの町波佐見町へようこそ!(公式ホームページ)
- オープンストリートマップには、波佐見町に関連する地理データがあります。