猪名川町
猪名川町(いながわちょう)は、兵庫県南東部に位置する町。川辺郡に唯一現存する自治体。阪神北県民局管轄区域。
Contents
概要
関西・西日本のターミナル駅である大阪駅、梅田駅から直線距離で25kmと比較的近距離にありながら、古くからの集落に近い里山(杤原めぐみの森・内馬場の森)の森林や田園風景を中心とする豊かな環境を有する。町南部は兵庫県川西市から続く兵庫県内有数の盆地のひとつである多田盆地の一部を形成している。
名所旧跡では、南部にある多田銅銀山が有名。豊臣秀吉の財宝が埋まっていると言う説があるが、定かではない。この財宝の埋蔵量は全国一であるほど莫大とされ、テレビ番組「特命リサーチ200X」でもとりあげられたほどで、全国三大埋蔵金のひとつ。そのため、町ではこの「銀山」地区を観光地として整備していく方針で、歴史街道として整備が進められている。このように、町内には、歴史街道が随時整備され、大都市圏近郊の身近なレジャースポットとなっている。
北部は自然が多く残り、ホタルやオオサンショウウオ、モリアオガエルが生息している。また、町内でもっとも標高の高い大野山(おおやさん)の大野アルプスランドには猪名川天文台アストロピアがあり、気軽に天体観測を楽しむことができる。さらに、北部には、関西地区でも有名な猪名川霊園や、レーシングカートやミニバイクのサーキット場である猪名川サーキットなどがあり、休日ともなると多くの人が訪れている。
マスコットキャラクターは猪の子どもをモチーフにした「いなぼう」である。
住宅団地
猪名川町南部地区には大規模ニュータウンである阪急日生ニュータウン(伏見台・松尾台)、猪名川パークタウン、つつじが丘の3つがある。この3つのニュータウン地区には2017年(平成29年)8月末で23,833人が住んでおり、猪名川町民全体(31,508人)の75.64%を占める町民が生活を営んでいる中心的市街地となっている[1]。この他にも町内には「猪名川台」、「猪名川荘園」、「旭が丘」などの中規模の住宅団地が点在している。さらに将来的には「日生ニュータウン(二次開発)」や、産業団地や福祉施設などを含む「肝川コミュニティータウン」が町の総合計画には盛り込まれている(「日生ニュータウン(二次開発)」については、町と開発業者との間で協議が持たれているがかなり厳しい見通しとのことである)。
北阪神・北摂地区の住宅地としてさらに発展が見込まれているベッドタウンであるといえる。事実、ここ数年、人口増加率は年2%台を維持し、兵庫県内の首位を独走中である(なお、2005年 - 2006年4月の人口増加率は5.7%を達成)。また、全国的に過疎化が進行中の郡部としての人口増加率も猪名川町は全国トップクラスに位置しており、猪名川町の姿を特徴づけている。ただし、2015年の国勢調査では、前回調査に比べて人口減に転じている。大阪市への通勤率は18.1%、川西市への通勤率は13.9%(いずれも平成22年国勢調査)。
地理
隣接している自治体
歴史
- 鎌倉時代から多田銀山があった。(奈良時代からの説も有り)
- 1955年(昭和30年)4月10日 中谷村・六瀬村が合併し、猪名川町が誕生[2]。
- 1957年(昭和32年)4月 猪名川渓谷が県立自然公園に指定される。
- 1962年(昭和37年)4月10日 町章を制定する[3]。
- 1964年(昭和39年)4月 県立伊丹高校猪名川分校(現猪名川高等学校)が開校。
- 1972年(昭和47年)2月25日 町内の電話収容局がすべて自動化され、市外局番を0727へ統一(現在は072が市外局番である)。
- 1973年(昭和48年)6月 日本鉱業が多田銀山を休山する。
- 1975年(昭和50年)4月 県立伊丹高校猪名川分校が兵庫県立猪名川高等学校として独立する。
- 1978年(昭和53年)12月 能勢電鉄日生線が開通。
- 2000年(平成12年)4月 ふれあいバス、イナくるっと号運行開始。
兵庫県内の宝塚市、川西市、伊丹市との三市一町の合併を検討する合併協議会があったが、解散した。ただし、消防署員の交流などの連携は、解散後も継続している。これは、人口増加傾向にある猪名川町が独立採算で町の運営をやっていけることを暗に示しており、全国的にも郡部としては特異なことである。
行政
- 町長(9代・10代):上神光雄(昭和60年11月から)
- 町長(11代):宮東一三(平成5年11月から)
- 町長(12代 - 14代):真田保男(平成9年11月から)
- 町長(15代 - 16代):福田長治(平成21年11月から)
経済
産業
以前は、日本鉱業の銀山があった。鉱山跡は整備され「多田銀銅山悠久の館」として観光地となっている。
- イオンモール猪名川(核店舗 イオン(旧・ジャスコ)猪名川店)- 猪名川町南部にあるパークタウンの中心にある大型商業施設。 猪名川町・川西市・能勢町・豊能町の住民が主に利用している。改装工事のため休業中であったが、2007年7月14日、1階と2階の全フロア、8月10日に3階一部が、9月22日に新館部分がリニューアルオープンした。売上高がジャスコ全店舗中第3位を記録したこともある程の大型店舗である。イオンラウンジもある。また、専門店も入れ替わり、数も20店ほど増えた。駐車台数は2000台。イオンの電子マネーWAON(ワオン)が使える。NTTドコモのiD、JR西日本のICOCA(相互利用できる他社カードも利用可能)も使用できる。
- 日生中央サピエ(核店舗 阪急オアシス) - 阪急・日生グループの新星和不動産が開発した日生ニュータウンの核店舗街を形成するショッピングゾーン。阪急オアシスをキーテナントに大小さまざまな、衣類・雑貨・日用品・飲食店が軒をつらねる。イオン猪名川に次ぐ町内のショッピングセンターの中核ともいえる存在である。NTTドコモのiDが使用できる。
金融
特産品
姉妹都市・提携都市
海外
- 姉妹都市
地域
人口
平成22年国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、5.75%増の31,748人であり、増減率は県下41市町中首位、49行政区域中2位。
猪名川町(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
健康
2000年(平成12年)のデータでは県内で女性も男性も平均寿命が1位。女性の平均寿命が沖縄県豊見城村(現、豊見城市)(89.2歳)、2位の北中城村(88.5歳)に次ぐ全国第3位を記録。
さらに2008年(平成20年)4月24日発表の結果によると女性の平均寿命全国2位。男女とも兵庫県では1位。
教育
県下でもっとも早く、全ての校舎で耐震化が完了している(全国平均50%程度)。
高等学校
中学校
小学校
- 猪名川町立つつじが丘小学校
- 猪名川町立阿古谷小学校(2013年(平成25年)3月31日に廃校。松尾台小学校に統合)
- 猪名川町立松尾台小学校
- 猪名川町立大島小学校
- 猪名川町立猪名川小学校
- 猪名川町立白金小学校
- 猪名川町立楊津小学校
幼稚園
- 猪名川町立猪名川幼稚園
- 猪名川町立松尾台幼稚園
- 猪名川町立六瀬幼稚園
- 猪名川町立つつじが丘幼稚園
交通
鉄道
日生中央駅は町内で唯一の駅であり、日生線の終着駅でもある。1975年(昭和50年)に阪急日生ニュータウンの入居が開始されてから3年後の1978年(昭和53年)に開通した。
開通当初は、日生中央から山下駅までの往復の運行ダイヤであり、車両も2両編成であった。能勢電鉄妙見線には山下駅で乗換えが必要であり、梅田などの都心方面へは、乗り換えを最低2回要していた。
1997年(平成9年)11月17日からは、阪急宝塚本線梅田駅に直通する日生エクスプレスが運行されるようになった。名称は日生中央駅および阪急日生ニュータウンにちなんだものであり、2014年(平成26年)1月現在は平日朝夕のラッシュ時に7往復運行されている[4]。梅田駅からの所要時間は最速列車で40分であり、梅田駅に直通する唯一の種別でもある。
バス
パークタウン・つつじが丘の住民は主にバスで川西能勢口まで行く。(所要時間:20分 - 30分、運賃280円 - 330円)
町内を阪急バスが運行している。阪急バス猪名川営業所が存在する。また、同じく阪急バスが運行する町内バス(ふれあいバス)もある。
日生中央駅から川西バスターミナルを阪急バスが結んでいる路線が主である。パークタウンにおいては朝ラッシュ時には急行・快速・準急便などが走っており、若葉地区(7系統)と白金地区(8系統)はそれぞれ独立した便が走っている。夕ラッシュ時は若葉→白金と同じ6系統である。
このほか、大阪梅田新阪急ホテルから、平日の深夜1時に阪急バスのパークタウン・日生中央行き深夜バスが運行。深夜の都心から猪名川町内への足となっている。
また、阪急川西能勢口駅の川西バスターミナルからは、深夜0時台に2本の深夜バスが猪名川町内のつつじが丘 - パークタウン - 日生中央方面に運行されており、深夜の帰宅を対応している。
道路
高速自動車国道
- 新名神高速道路(事業中):2016年度(平成28年度)開通予定。町内を通過するのみで、インターチェンジ等の設置はない。
一般国道
- 国道173号:2006年(平成18年)に、平行して走る能勢電鉄平野駅から畦野にかけての片道2車線への拡幅が完了している。さらに、畦野駅から山下駅にかけての2車線拡幅化工事が2006年(平成18年)末に完了した。これが完成したおかげで、渋滞頻発地帯であった、畦野 - 山下間の交通の便がかなり改善され、スムーズな自動車交通を実現している。これによって、川西市山下町 - 一庫(ひとくら)方面から猪名川町へのアクセスは格段に良くなっている。
主要地方道
- 兵庫県道12号川西篠山線:4車線の新道と片側一車線の旧道があり、新道がバイパスとなっている。バイパスの町内のルートは、猪名川町差組 - つつじが丘 - 広根 - パークタウン中央(白金・若葉) - 紫合(ゆうだ)北ノ町。
- 兵庫県道68号川西三田線:紫合(ゆうだ)北ノ町 - 万善間は兵庫県道12号川西篠山線と重複路線となっている。
一般県道
- 兵庫県道・大阪府道601号杉生能勢線
- 兵庫県道・大阪府道602号島能勢線
- 大阪府道・兵庫県道603号能勢猪名川線
- 兵庫県道507号島川原線:途中で道は途切れているため全線走行はできない。
- 兵庫県道319号下佐曽利笹尾線
- 兵庫県道324号切畑猪名川線
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
名所・旧跡
国の重要文化財・文化財建造物
- 肝川戸隠神社(建造物) - 本殿は大永4年(室町時代)に造営された町内最古の建築物[5]
- 静思館(旧冨田邸)(建造物) - 美術商・冨田熊作が故郷の猪名川町上野に昭和7年から3年の歳月をかけ、江戸時代の豪農の屋敷を模して建てた和風建築物[6]
- 仁部家住宅(建造物)
県の重要文化財
- 天乳寺木喰仏(彫刻)(東光寺に安置されている)
- 杤原八幡神社本殿(建造物)
- 杉生八坂神社本殿(建造物)
- 石造灯篭(建造物)
- ネズ(ムロ)の大木(天然記念物)
- モッコクの大木(天然記念物)
その他
- 多田銀銅山悠久の館(多田銅銀山鉱山跡。周囲も整備されており、間歩や当時の施設跡などが公開されている)
- 観音堂の大モミ(郷土記念物)
- 大国宮神社 - 肝川龍神を祀る。1914年に肝川の農夫・車末吉の妻小房が突然神憑りとなって神のお告げを叫び出し、これが評判となり、赤池濃、上杉憲章、出口王仁三郎(大本教)、矢野佑太郎(神政竜神会)ら多くの人が神の啓示を求めて小房を訪ね、とくに大本教は肝川を聖地「控えの地」とした[7]。現神社は大本教肝川支部から独立したもの。
スポーツ施設
- 猪名川町B&G海洋センター(屋内温水プール)
- 25m×7コース・ジャグジー
- 町営北プール
- 25m×8コース・幼児用プール
- 猪名川町文化体育館(イナホール)
- 猪名川町スポーツセンター
- テニスコート(人工芝)5面・グランド(右翼106m、左翼92.5m)・体育館
- うぐいす公園テニスコート
- テニスコート(人工芝)1面
- 登り尾公園テニスコート
- テニスコート(人工芝)2面
- 猪名川サーキット
文化施設
- 天体観測施設「猪名川天文台(Astropia)」
- 道の駅いながわ
- 猪名川町立ふるさと館
- 里山林 県立「杤原めぐみの森」
- 千軒キャンプ場
- 尼崎市立青少年いこいの家
- 猪名川町生涯学習センター
- 町立図書館
- 中央公民館
- 総合福祉センター「ゆうあいセンター」
- ふるさと館
- カリヨンタワー
自然・観光スポット
- ふれあい公園(総合公園)(東京ドーム2.2個分もある大きな公園)
- 伏見池公園
- さくら池自然公園(白金3丁目、桜の名所)
- 大島であい公園
- 猪名川渓谷
- 屏風岩
- 山陽自然歩道
- 彫刻の道
- 伏見台方面の夜景
- 大野山
- 高岳
- 原広根線・原川沿い(いながわ桜まつり)
温泉
- 籠坊温泉 奥猪名健康の郷
出身有名人
- 秋山賢太:お笑い芸人(アキナ)
- 池田達哉:サッカー選手(佐川印刷SC)
- 中岡麻衣子:サッカー選手(アルビレックス新潟レディース)
- 長島恭子:モデル、司会、リポーター
- 西田明美:サッカー選手(浦和レッズレディース)
- 廣瀬栄理子:女子バドミントン選手
- 筆坂秀世:元日本共産党書記局長代行
- 森信行:元くるりドラマー
- 山本歩:元プロ野球選手(元埼玉西武ライオンズ)
- 高瀬無量 ‐ 陸上選手(日清食品グループ陸上競技部キャプテン)
脚注
- ↑ “平成29年8月末人口集計表 (PDF)”. 猪名川町. . 2017年10月4日閲覧.
- ↑ 松本大輔(2015年4月10日). “猪名川町が“還暦” 町ぐるみでお祝い”. 神戸新聞 (神戸新聞社)
- ↑ 図典 日本の市町村章 p159
- ↑ 日生ニュータウン 電車でのアクセス
- ↑ 第1話 国の重要文化財「戸隠神社」猪名川町教育委員会教育振興課社会教育室、2014年5月1日
- ↑ 猪名川町立静思館(せいしかん)猪名川町教育委員会教育振興課社会教育室
- ↑ 『下中弥三郎事典』平凡社、1965年、「耕大陣之大神」の項
外部リンク