温暖湿潤気候(おんだんしつじゅんきこう、Humid subtropical climate)とはケッペンの気候区分における気候区のひとつで温帯に属する。温帯湿潤気候と呼ぶこともある。記号はCfaでCは温帯、fは湿潤(feucht)、aは(温帯の中で)夏の気温が高いことを示す。
特徴
条件
- 最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満。
- 最暖月平均気温が22℃以上。
- 年平均降水量が乾燥限界以上かつ下記の条件を満たす。
- 最多雨月が夏にある場合は、最多雨月降水量≦10×最少雨月降水量。
- 最多雨月が冬にある場合は、最多雨月降水量≦3×最少雨月降水量 または 最少雨月降水量が30mm以上[2]。
分布
分布地域
中緯度の大陸東岸に主に分布。
日本での分布地域
温暖湿潤気候に属する観測地点が存在するのは以下の市町村である。(かっこ書きは気象庁・アメダスの設置点):
北海道:
- 江差町(江差)
- 松前町(松前)
- 奥尻島(奥尻)
- 八雲町(熊石)
- 函館市(函館)平年値の最暖月の平均気温は22℃、最寒月の平均気温-2.6℃と温暖湿潤気候に属す。気候区分の境界線上に位置し、平年値では亜寒帯湿潤気候(1961-90平均)→西岸海洋性気候(1971-2000平均)→温暖湿潤気候(1981-2010平均)と変化している。
- 大部分は亜寒帯湿潤気候(道東のごく一部は亜寒帯冬季少雨気候)、温暖湿潤気候との境界など一部は西岸海洋性気候に属する。
典型的な都市
また以下の都市も温暖湿潤気候に分類されるが、年較差が小さく四季の変化は上記の都市ほど明瞭ではない。ケッペンの気候区分にはないが、亜熱帯気候とすることがある。
雨温図
ダーバン
|
雨温図(説明) |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
気温(°C) |
総降水量(mm) | 出典:[2] |
|
インペリアル換算 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
気温(°F) |
総降水量(in) |
|
ミラノ
|
雨温図(説明) |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
気温(°C) |
総降水量(mm) | 出典:[16] |
|
インペリアル換算 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
気温(°F) |
総降水量(in) |
|
気候の特徴
モンスーン(季節風)の影響により四季の変化が大きい。特にアジアで顕著である。
夏は低緯度地帯の海洋側から高緯度地帯の大陸側に向かって暖かく湿ったモンスーンが吹くため通過する地域である大陸東岸は暑く、湿った気候となる。
冬は夏とは逆に大陸側から海洋側に向かって冷たく乾いたモンスーンがその地域を吹き抜けるため冷たく乾燥した気候となる。日本の日本海側地域が冬に湿潤となるのは、日本が大陸東岸の沖合に位置することによる(日本海側気候)。大陸からの乾燥した季節風が日本海を通過することで多量の水蒸気を含むためで、典型的な
温暖湿潤気候とはやや異なった傾向になることとなる。
また、夏 - 秋にしばしば台風など熱帯低気圧の影響を受けることも夏の降水量が多い原因のひとつである。
土壌と植生
産業・産物
年平均降水量は1,000mmを超えることが多いため稲の生育に適する。この事からアジアではこの気候を利用して集約的米作が行われる。アジア以外では、混合農業や放牧が多い。また、多くの地域で小麦の栽培(北アメリカでは企業的農業が中心)も行われている。ある程度の降水量と適度な気温のおかげで、栽培可能な農作物の種類は他の気候区と比べても多い。
また日本犬(柴犬・紀州犬・甲斐犬・四国犬など)はこの気候に強く、古くから猟犬として使われた。
脚注