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北陸地方のデータ | |
---|---|
4県の合計 | |
国 | 日本 |
面積 | 25,205.60km2 |
国勢調査人口 |
5,444,797人 (2010年10月1日) |
推計人口 |
5,219,555人 (直近の統計[† 1]) |
人口密度 |
207.1人/km2 (直近の統計[† 1]) |
3県の合計 | |
国 | 日本 |
面積 | 12,622.14km2 |
国勢調査人口 |
3,069,875人 (2010年10月1日) |
推計人口 |
2,968,299人 (直近の統計[† 1]) |
人口密度 |
235.2人/km2 (直近の統計[† 1]) |
北陸地方(ほくりくちほう)は、本州中央部に位置する中部地方のうち日本海に面する地域である。新潟県、富山県、石川県、福井県の4県[1]、あるいは富山県、石川県、福井県の3県を指す[1]。区別のため前者を「北陸4県」「新潟県を含む北陸地方[2]」、後者を「北陸3県」などと表現することがある。北陸3県の繋がりについては「北陸3県について」の節を参照。
名称は、畿内から見て北方にある五畿七道の北陸道に由来し、中世以前では、この地域を北国(ほっこく)と称していた。
Contents
範囲
北陸地方の範囲は、新潟県から福井県まで東西におよそ400kmあり、細く長い。歴史的に古代の「越国」と呼ばれた地方を多く含み、若狭国から越後国までの範囲におよぶ。明治時代頃までは「ほくろく」と読まれていた。この北陸地方の道路を指して「越路」「北陸道」と呼ぶ事もある。
中央省庁各省の出先機関の管轄範囲は北陸地方を一律に管轄区域としているものばかりではない。[† 2]。新潟県は関東の一部あるいは関東甲信越、信越、東北とする例がある。福井県は近畿とする例がある。
スポーツ大会や国政選挙では人口が比較的少ないため長野県を含めた北信越地方(北陸信越)として組み合わせることが多い。
自然地理
雪国として有名な地方である。シベリア寒気団が山脈にぶつかる事で冬の大雪と春からの雪解け水をもたらす日本海側気候を呈している。特に新潟県南魚沼市や上越市の周辺は、日本で五指に入る豪雪地帯となっており、スキー場が多く立地している。越後湯沢や妙高高原など、大規模なスキー場も集中する。沿岸部と内陸部では積雪量に大きな差がある。代表的な山麓として、日本三名山に数えられる、立山連峰(富山県)と白山(石川県・福井県)が挙げられる。
- 山脈:越後山脈、三国山脈、飛騨山脈(親不知)、両白山地
- 山:弥彦山、苗場山、妙高山、立山、剱岳、薬師岳、黒部五郎岳、白馬岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、呉羽山、白山、能郷白山
- 川:阿賀野川、信濃川、姫川、黒部川、片貝川、早月川、常願寺川、神通川、庄川、小矢部川、手取川、犀川、九頭竜川、北川
- 平野:越後平野、高田平野、富山平野、射水平野、砺波平野、邑知潟平野、金沢平野、福井平野
- 盆地:十日町盆地、六日町盆地、大野盆地
- 湾:富山湾、七尾湾、九十九湾、若狭湾(敦賀湾、世久見湾、矢代湾、小浜湾、高浜湾、内浦湾)
自然災害
北陸地方が被害を受けた自然災害。()内は主な被災県。
- 地震
- 1586年1月18日 天正地震(M8.1 死者多数)(北陸全域)
- 1640年11月23日 大聖寺地震(M6 死者多数)(福井・石川)
- 1662年6月16日 近江若狭地震(M7.6 死者800人)(福井)
- 1666年2月1日 越後高田地震(M6.4 死者1,500人)(新潟)
- 1714年4月28日 糸魚川地震(M6.4 死者100人)(富山・新潟)
- 1751年5月21日 越後・越中地震(M7.0 - 7.4 死者1,541人)(新潟)
- 1828年12月18日 越後三条地震(M6.9 死者1,681人)(新潟)
- 1858年2月26日 飛越地震(M7.1 死者209人)(福井・石川・富山)
- 1891年10月28日 濃尾地震(M8.0 死者約7,300人)(福井)
- 1948年6月28日 福井地震(M7.1 死者3,769人)(福井)
- 1952年3月7日 大聖寺沖地震(M6.5 死者7人)(福井・石川)
- 1961年8月19日 北美濃地震(M7 死者8人)(福井・石川)
- 1963年3月27日 越前岬沖地震(M6.9 死者なし)(福井)
- 1964年6月16日 新潟地震(M7.5 死者26人)(新潟)
- 1993年2月7日 能登半島沖地震(M6.6 死者なし)(石川)
- 2004年10月23日 新潟県中越地震(M6.8 死者67人)(新潟)
- 2007年3月25日 能登半島地震(M6.9 死者1人)(石川・富山)
- 2007年7月16日 新潟県中越沖地震(M6.8 死者15人)(新潟)
- 気象災害
- 1961年9月15日 - 17日 第2室戸台風(北陸全域)
- 1962年12月 - 翌2月 昭和38年1月豪雪(北陸全域)
- 1963年7月17日 - 20日 昭和39年7月山陰北陸豪雨(石川・富山)
- 1965年9月13日 - 15日 昭和40年9月豪雨(奥越豪雨)(福井)
- 1967年8月26日 - 29日 羽越豪雨(新潟)
- 1980年12月 - 翌3月 五六豪雪(北陸全域)
- 1983年12月 - 翌3月 昭和59年豪雪(北陸全域)
- 2004年7月12日 - 13日 平成16年7月新潟・福島豪雨(新潟)
- 2004年7月17日 - 18日 平成16年7月福井豪雨(福井)
- 2005年12月 - 翌2月 平成18年豪雪(福井・新潟)
- 2006年7月15日 - 24日 平成18年7月豪雨(福井・石川)
歴史
北陸地方は、「日本海沿岸の地方勢力」として、他の地方からは半ば独立した歴史を歩んで来た。
古代
古代の北陸地方は越国(こしのくに)や陸道(くぬがのみち)と呼ばれており地方勢力の一つであった。「越国」とあるが中央勢力の影響圏外であり資料が少なく、統一された国家であったかは不明である。伝説の大蛇「八岐大蛇」が越国から現れたと伝えられ、出雲王権の特徴である四隅突出型墳丘墓が富山県や福井県などに見られることや、出雲崎(新潟県中部)などの地名の名残から、出雲文化の影響が強く見られる。
ヤマト王権の大彦命が越国を鎮めると、次第に中央集権の枠組みに取り込まれていく。ヤマト王権が中央集権型統一国家を成立させると、中央である畿内を防衛するため周辺に関所が設置された。当時の東方を守る三関は、「東海道の鈴鹿関(鈴鹿峠)」「東山道の不破関(関ヶ原)」「北陸道の愛発関(愛発山)」を指していたので、律令時代には、若狭国(嶺南)から東の日本海沿岸が越国と見なされていた。
越国は、ヤマト王権の勢力に組み込まれると詳細に3つの領域に区分された。令制国の国府所在地を見ると、越前国は武生、越中国は伏木(高岡市北部)、越後国は直江津(上越市北部)に当たる。この国府所在地の位置により、当時のヤマト王権の支配領域は、東は概ね新潟県の上越地方までで、それ以北は領土外であった。しかし、後に支配領域を伸ばすと、天険たる鼠ヶ関と越後山脈が北陸道の北限となり、越国から分離される形で出羽国が設置された。越前国から分離した能登国成立の時期に開山し室町時代末期まで巨大な宗教都市として勢力を誇った平泉寺はこの時代の独立した集団として捉えられる。
中世
親鸞が直江津に流刑されて以来、北陸地方は浄土真宗の地盤となり、仏教勢力が力を揮う事になった。その頂点が加賀の一向一揆であり、この他にも永平寺などの有名寺院が立地するようになった。
戦国時代の北陸地方は、越後国は長尾氏、越中国は神保氏と椎名氏、能登国は畠山氏、加賀国は一向一揆、越前国は朝倉氏が支配していた。本能寺の変以後は、上杉景勝(春日山、上越市)、佐々成政(富山)、前田利家(金沢)、柴田勝家(福井)などの本拠地となった。
江戸時代
江戸時代になると、幕藩体制が敷かれ富山(越中)は能登とともに加賀藩の直接的、間接的支配下にあり、政治的な影響下にあった。「加賀百万石」と呼ばれた前田氏の加賀藩を初めとして、前田氏の分家に当たる富山藩、越前松平氏の福井藩、牧野氏の長岡藩などが有名である。廃藩置県の際に富山と石川は同じ県になる案があったが、両地域で分県運動がおこり、別々の県として独立した。浄土真宗への帰依が深い北陸では堕胎・間引きを忌んだ事などから、人口増加率が高く全国に移住者を出し続けた[3]。
収穫された米を近畿へ運ぶための海上交通として多くの北前船が就航した。江戸時代の北陸道は「北国街道」と呼ばれ、善光寺参拝の道でもあった。
幕末になり、開国を迎えると、新潟が開港五港の一つとなって盛え始める。長岡藩など奥羽越列藩同盟に加わる藩が現れ、戊辰戦争では薩長軍と敵対したが、敗北した。
明治維新から太平洋戦争まで
江戸幕府が崩壊し、明治政府が中央集権国家を成立させると、廃藩置県で多くの県が成立した。
現在の新潟県には、新潟県(下越地方)、相川県(佐渡島)、柏崎県(中越地方と上越地方)が分立したが、1873年6月10日には新潟県に編入された。現在の北陸3県には、新川県(現富山県)や石川県や足羽県(嶺北)が分立したが、1876年8月21日には全て石川県に編入された。しかし、各地の分県運動の結果、1881年2月7日には石川県から嶺北が福井県として分離され、1883年には石川県から旧新川県が富山県として分離された。嶺南は、1876年8月21日以後は滋賀県に編入されたが、1881年2月7日には滋賀県から分離されて福井県に編入された。
北海道開拓では、比較的人口が多く、さらに雪国の環境として適性のあった北陸出身者が多数移住し、実に全体の数の3割以上を占めた[4]。
明治に入ると鉄道が建設され、東京を中心にした陸上交通網が整備された為、江戸時代まで交通網の主演だった北前船は衰えた。この為、明治以後は陸上交通が中心の経済体制が築かれて行った。
太平洋戦争後
北陸地方は、国内でも有数の人口を持つ地方だったが、高度経済成長期に国土軸から漏れた結果、過疎化が顕在化した。しかし、田中角栄政権下で「太平洋ベルト地帯との格差の是正」が謳われ、北陸自動車道が建設され、北陸工業地域も形成された。これ以後は、それまでの「農業地域」から、「農工折衷型の地域」に変わり、日本海側最大規模の工業地域を持つようになった。
方言
人口
都道府県名 | 順位 | 人口 | 割合 |
---|---|---|---|
新潟県 | 14 | 2,374,922 | 1.85% |
富山県 | 37 | 1,093,365 | 0.85% |
石川県 | 34 | 1,170,040 | 0.91% |
福井県 | 43 | 806,470 | 0.63% |
合計 | 5,444,797 | 4.25% |
主要都市
北陸地方の主要都市を掲載する。
- 新潟市(801,298人)
- その他、人口10万人以上の都市
都市圏
順位 | 都市雇用圏 | 人口 |
---|---|---|
16 | 新潟都市圏 | 107万1152 |
22 | 金沢都市圏 | 74万3647 |
30 | 福井都市圏 | 66万0910 |
31 | 富山都市圏 | 64万6574 |
55 | 長岡都市圏 | 36万8043 |
65 | 高岡都市圏 | 30万9264 |
80 | 上越都市圏 | 23万9356 |
86 | 小松都市圏 | 22万9000 |
87 | 三条都市圏 | 22万2512 |
- | 柏崎都市圏 | 9万0909 |
順位 | 都市雇用圏 | 人口 |
---|---|---|
- | 敦賀都市圏 | 7万5621 |
- | 七尾都市圏 | 7万2138 |
- | 村上都市圏 | 6万7490 |
- | 十日町都市圏 | 6万3955 |
- | 小浜都市圏 | 5万2796 |
- | 糸魚川都市圏 | 4万3686 |
産業
2007年度の北陸地方4県の県内総生産の合計は21兆6509億円である[5]。これはアラブ首長国連邦のGDPにほぼ匹敵しており、世界で35位前後の「国」に相当する経済規模を有している[6]。
農業
豊富な雪解け水を利用したかんがい用水を整備し、海岸のラグーン(潟)を干拓した広大な土地は、日本の代表的な穀倉地帯となっていて、コシヒカリなどの稲作がさかんである。それに伴い日本酒の醸造元も多く存在する。地域を象徴する「越(こし)」を冠する銘柄が目立つ。水産資源としてブリやカニが水揚げされ、富山湾では定置網漁が盛な漁場として知られている。
工業
石油の輸入が本格化する以前は、水を利用した水力発電を開発した北陸地方が多くの電力を必要とする重工業に有利だった。水資源自体の価値と賃金の安さも相まって北陸工業地域として富山湾沿岸や上越市周辺を中心に発達した。現在でも北陸電力は全国で最も安く電力を供給している[7]。また豊富な水資源自体も工業、特に半導体産業等に有利となっている。金沢の金箔、鯖江の眼鏡に代表されるような軽工業や冬の副業として発達した漆器、織物、そして和紙などの伝統工芸も多い。
商業
マスコミ
- 地上波テレビ局
北陸地方にはテレビ東京系列のローカル局がない。新潟県、石川県はそれ以外の日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビの通称「4大キー局」の各民放系列局がある。さらに富山県はテレビ朝日系列の局がなく、福井県はテレビ朝日系列とTBS系列の局がない。北陸地方でこれら系列の放送を視聴するにはケーブルテレビ、衛星放送などと契約する必要がある。一部の地域では他県の越境電波を利用でき、新潟県では関東地方の放送局を、富山県では石川県や新潟県の放送局を、福井県では石川県や近畿地方の放送局を受信できる場合がある。
交通
交通史については北陸道の記事を参照。
鉄道・道路
主な路線を記載
港
- 新潟港(新潟県、特定重要港湾、中核国際港湾)
- 直江津港(新潟県、重要港湾)
- 両津港(新潟県、重要港湾)
- 小木港(新潟県、重要港湾)
- 伏木富山港(富山県、特定重要港湾)
- 七尾港(石川県、重要港湾)
- 金沢港(石川県、重要港湾)
- 敦賀港(福井県、重要港湾)
空港
空港 | 旅客合計 | 国内線 | 国際線 | ||
旅客数 | 定期便 | 旅客数 | 定期便 | ||
小松 | 255万6845人 | 246万8256人 | 新千歳・仙台・東京・ 成田・福岡・那覇 |
8万8589人 | ソウル・上海・台北 |
富山 | 128万9144人 | 115万7549人 | 新千歳・東京 | 13万1595人 | ウラジオストク・ ソウル・北京・大連・上海 |
新潟 | 125万8003人 | 101万9290人 | 新千歳・佐渡・成田・ 中部・名古屋・大阪・ 福岡・那覇 |
23万8713人 | ハバロフスク・ウラジオストク・ ソウル・上海・ハルビン・ 台北・グアム |
能登 | 17万2186人 | 16万4360人 | 東京 | 7,826人 | - |
佐渡 | 1万0758人 | 1万0758人 | 新潟 | 0人 | - |
福井 | 49人 | 49人 | - | 0人 | - |
- 出典は国土交通省航空局・空港管理状況調書(2008年度)
- チャーター便の旅客数を含む。
- 三大都市圏への便は太字。
- 全国の空港の乗降客数は日本の空港#乗降客数を参照。
都道府県間流動
- 居住地:福井県
順 | 旅行先 | 万人/年 |
1 | 石川県 | 358.2 |
2 | 京都府 | 257.6 |
3 | 滋賀県 | 160.6 |
4 | 大阪府 | 55.7 |
5 | 東京都 | 54.2 |
6 | 愛知県 | 50.6 |
7 | 富山県 | 49.7 |
8 | 兵庫県 | 29.4 |
9 | 岐阜県 | 24.5 |
10 | 三重県 | 8.5 |
- 居住地:石川県
順 | 旅行先 | 万人/年 |
1 | 富山県 | 573.4 |
2 | 福井県 | 383.6 |
3 | 岐阜県 | 93.4 |
4 | 東京都 | 75.8 |
5 | 大阪府 | 58.6 |
6 | 京都府 | 51.7 |
7 | 愛知県 | 51.0 |
8 | 滋賀県 | 33.4 |
9 | 長野県 | 25.9 |
10 | 新潟県 | 20.6 |
- 居住地:富山県
順 | 旅行先 | 万人/年 |
1 | 石川県 | 701.0 |
2 | 長野県 | 190.5 |
3 | 岐阜県 | 166.1 |
4 | 新潟県 | 98.3 |
5 | 東京都 | 87.5 |
6 | 大阪府 | 56.4 |
7 | 愛知県 | 49.9 |
8 | 京都府 | 47.3 |
9 | 福井県 | 42.7 |
10 | 神奈川県 | 15.5 |
- 居住地:新潟県
順 | 旅行先 | 万人/年 |
1 | 東京都 | 319.0 |
2 | 長野県 | 251.9 |
3 | 福島県 | 146.7 |
4 | 群馬県 | 119.0 |
5 | 富山県 | 79.5 |
6 | 埼玉県 | 78.3 |
7 | 千葉県 | 62.2 |
8 | 神奈川県 | 47.7 |
9 | 石川県 | 30.2 |
10 | 山形県 | 26.5 |
- 都道府県間流動表 居住地-旅行先(全交通機関、年間データ利用)
- 旅行先上位10都府県のみ記載(2010年)
- 北陸4県は「■」、関東地方は「■」、甲信地方・東海地方は「■」、三重県を除く近畿地方は「■」、それ以外は白地。
行政機関等の管轄
ここでは北陸地方を管轄する主な官公庁の出先機関を取り上げる。
- 地方運輸局(国土交通省)
- 経済産業局(経済産業省)
- 関東経済産業局:新潟県
- 中部経済産業局:富山県・石川県、福井県の一部(電気事業のみ、北陸電力の営業区域に準ずる)
- 近畿経済産業局:福井県(電気事業を除く)
- 北陸農政局:新潟県・富山県・石川県・福井県
- 第九管区海上保安本部:新潟県・富山県・石川県
- 第八管区海上保安本部:福井県
- 東京高等裁判所・東京高等検察庁:新潟県
- 名古屋高等裁判所金沢支部・名古屋高等検察庁金沢支部:富山県・石川県・福井県
北陸3県について
北陸地方の各県の経済動向や人的動向をみると、東部の新潟県が関東地方や長野県方面との結びつきが大きいのに対し、西部の3県(富山県・石川県・福井県)はこの3県での結びつきや近畿地方とのつながりが大きく(ただし北陸新幹線の金沢延伸以降は富山県・石川県においても関東方面との交流が活発になってきている)、4県の一体性は必ずしも高くはない。そのためこの西部3県においては、富山県・石川県・福井県の3県を一括りにするための表現として北陸の地域名称を用いることがある。例として「北陸初」、「北陸最大級」といった表現がこの3県内のみを対象として使用されることが挙げられる[† 3][† 4][† 5]。
以下では、この北陸3県(富山県・石川県・福井県)のつながりについて特筆する。
概要
北陸3県では、県庁所在地である富山市・金沢市・福井市が、それぞれの県での中心都市となっている。富山は重工業を中心として経済力が発達しており、金沢は観光と商業が発達、福井は軽工業が発達している。
全国から企業が進出し、北陸3県内で物販・サービスなどの業務を集約する場合は金沢市に拠点を置く場合が多い。ただし業種によっては他に拠点を置くこともあり、一例として、富山市には日立製作所・東芝・みずほ銀行などが、福井市には旭化成・東レ・飛島建設などが拠点を置いている。また、北陸3県の主要企業である北陸電力・北陸銀行は富山市に本社を置いている。
北陸3県を統括する行政機関(各省庁)の地方支分部局(北陸農政局・北陸総合通信局・名古屋高等検察庁金沢支部など)は金沢市に集中し、日本銀行の支店も金沢市にある(福井市と富山市には金沢支店が管轄する事務所を設置)。
電話番号の市外局番は富山・石川が076台で、福井が077台。
また北陸3県振興の試みとして、富山県・石川県・福井県と、各県での最有力紙である北日本新聞・北國新聞・福井新聞が共同で「ネクスト北陸キャンペーン実行委員会」を組織し、毎年3県全てでパネル討論会などを行っている。同様に北陸3県と北陸経済連合会、北陸電力が北陸イメージアップ推進会議を設立し、対外的な北陸のイメージアップの調査・実践を試みている。
メディア
富山県・石川県・福井県でそれぞれテレビ、新聞、雑誌などのメディアが分かれていて、北陸3県全体を対象にする媒体はあまり多くないものの、様々な形態で番組の共同制作や企画ネットが行われている。
- 新聞
全国紙は地理的な関係で多くは大阪本社製作のものが配送されているが、読売新聞のみ東京本社(実際の発行所は北陸支社=高岡市 福井県は大阪本社管轄)の分が使われている。また朝日新聞も1989年9月から2011年3月までは富山県に限り東京本社(実際の印刷は名古屋本社が担当)の管轄だったが、2011年4月より大阪本社管轄に変更となった。
- 地上波テレビ局
北陸3県を対象とする番組および番組内の企画として以下のようなものがある。
- 北陸ネット3県ポン - 北陸放送・北日本放送・福井放送
- 北陸3県イイトコどり〜 - テレビ金沢(となりのテレ金ちゃん)・北日本放送(いっちゃん★KNB)・福井放送(おじゃまっテレ ワイド&ニュース)の共同企画
- 金とく 北陸スペシャル - NHK金沢放送局・NHK富山放送局・NHK福井放送局[† 6]
この他、フジネットワーク(FNS)加盟の北陸3県の3局(石川テレビ・富山テレビ・福井テレビ)が共同制作する番組も不定期に放送されている。
- 情報誌
北陸3県をエリアとする雑誌として『自然人』(橋本確文堂)が2017年12月まで年4回発行されていた。No.55で休刊。
金融機関
北陸3県全地域共通の銀行サービスは、長い間北陸銀行のみであったが、2005年9月26日に、富山第一銀行、北國銀行、福井銀行が、3行間でのATM・CD利用手数料無料提携及び3行とのビジネスマッチング、ビジネスセミナー[8]などを行う業務提携、FITネットを開始した[9]。2007年10月には、FITネットが時間外、休日を含め完全無料化することに対抗し、2007年5月22日に福邦銀行と北陸銀行は、同10月を目処にATMの相互無料開放をすると発表した[10][11]。
北陸銀行は2003年5月30日、北陸3県に本社を置くまたは進出する企業の株式に投資をする金融商品、北陸3県応援ファンドを開始した[12]。これに対し福井銀行、北國銀行、富山第一銀行は、FITネット・三県応援ファンドの募集を2005年11月15日から開始した[13]。FITネット・三県応援ファンドは、80%がソブリン債など、20%が北陸3県に本社を置くまたは、進出などで雇用を創出している企業に投資される[14]。
電力
北陸3県の電力はおおむね北陸電力(本店:富山県富山市)が送電し、敦賀市を除く福井県嶺南地域のみ関西電力が送電する。どちらの家庭用電源周波数も60Hzである。
北陸3県は発電所の建設に適した立地に恵まれ発電所が多く存在している。その内、関西電力は黒部川・庄川を中心に北陸地方では25か所の水力発電所(富山県24・福井県1[† 7])と、福井県の若狭地方にある美浜・高浜・大飯の各原子力発電所を運営している。
若狭地方は、上記の関西電力の3つの原子力発電所の他、敦賀市に日本原子力発電の敦賀発電所や、日本原子力研究開発機構の有する高速増殖炉もんじゅ・新型転換炉ふげん(現在は運転終了・廃炉作業中)などがあるため、別名「原発銀座」とも言われている。また、北陸電力も石川県に志賀原子力発電所を運営している。
この他、日本で唯一市営の発電事業を行う金沢市企業局が犀川水系で、電源開発が手取川・九頭竜川水系で水力発電を行っている。
北陸電力の電気料金は日本で最も安く[7]、アルミ産業をはじめとする製造業が北陸に拠点を置く理由となっている。一般家庭の電気消費量も高く、富山が全国1位となっている。さらに余剰電力を隣接する関西電力と中部電力に売却している。
雇用
有効求人倍率・女性就業率が高く、通勤時間が短い傾向にある[15][16][17]。
経済団体
- 北陸経済連合会(北陸3県の経済団体等で構成)
- 北陸環境共生会議(北陸3県と北陸経済連合会で構成)
- 北陸国際投資交流促進会議(北陸3県・北陸電力・北陸経済連合会・中小企業基盤整備機構)
- 北陸環日本海経済交流促進協議会(北陸3県・中部経済産業局・近畿経済産業局・福井大学・金沢大学・富山大学)
年齢構成
年齢5歳階級別人口
2004年10月1日現在推計人口
総計 [単位 千人]
年齢 | 人口 |
---|---|
0〜4歳 | 144 |
5〜9 | 149 |
10〜14 | 149 |
15〜19 | 168 |
20〜24 | 169 |
25〜29 | 208 |
30〜34 | 221 |
35〜39 | 189 |
40〜44 | 185 |
45〜49 | 192 |
50〜54 | ファイル:G100.png 247 |
55〜59 | ファイル:G100.png 234 |
60〜64 | 200 |
65〜69 | 181 |
70〜74 | 174 |
75〜79 | 142 |
80歳以上 | 172 |
年齢5歳階級別人口
2003年10月1日現在推計人口
男女別 [単位 千人]
男 | 年齢 | 女 |
---|---|---|
74 | 0〜4歳 | 70 |
76 | 5〜9 | 73 |
77 | 10〜14 | 72 |
86 | 15〜19 | 82 |
89 | 20〜24 | 80 |
107 | 25〜29 | 101 |
112 | 30〜34 | 109 |
94 | 35〜39 | 95 |
92 | 40〜44 | 93 |
95 | 45〜49 | 97 |
122 | 50〜54 | ファイル:R50.png 125 |
116 | 55〜59 | ファイル:R50.png 118 |
97 | 60〜64 | 103 |
83 | 65〜69 | 98 |
78 | 70〜74 | 96 |
59 | 75〜79 | 83 |
54 | 80歳以上 | ファイル:R50.png 118 |
- データ出典:第十表/都道府県, 年齢(5歳階級), 男女別人口-総人口(総務省統計局)
脚注
注釈
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 統計日は、新潟県が2018年4月1日、富山県が2018年4月1日、石川県が2018年4月1日、福井県が2018年4月1日。
- ↑ 実際の管轄範囲は、地方支分部局#地方支分部局の一覧に記載されている各地方支分部局のリンク先を参照。
- ↑ 新潟県には日本三大花火大会の長岡まつりがあるが、石川県川北町の川北まつりでは打ち上げ花火10,000発程度の時代(2004年まで 川北まつり資料参照)からすでに「北陸最大級」の表現を使用している。
- ↑ 新潟県のアルビレックス新潟がJリーグに参加しているにもかかわらず、北陸3県で初めてのJリーグクラブとなったカターレ富山は、Jリーグ公式サイトや地元紙の北日本新聞で「北陸初」と言及されている(新規入会クラブ紹介:2009シーズン Jリーグ公式サイト 2009年作成 2009年7月18日閲覧)(Jに挑む カターレ富山の戦士(特集:富山) 北日本新聞社 2008年作成 2009年7月18日閲覧 2008年6月10日時点のアーカイブ)。
- ↑ 同様に北陸3県で初めてのプロスポーツチームとなった富山グラウジーズは、bjリーグ公式サイトなどで「北陸初」と言及されている。
- ↑ 北陸地方にあるNHKの各放送局では、各地域のローカルニュースを融通し合っており、朝や夕方の時間帯の番組で近県のニュースを伝えている。
- ↑ 九頭竜川水系の市荒川発電所(福井県吉田郡永平寺町)
出典
- ↑ 1.0 1.1 『日本地名大百科』、小学館、1996年、p.1041 ISBN 4-09-523101-7
- ↑ 北陸で 夏本番 川辺に笑顔! /新潟(毎日新聞、2016年7月23日)
- ↑ 中川正「関東における北陸人集落の繁栄」『とやま経済月報』平成14年3月号
- ↑ 明治25年至同29年府県別北海道移住者人員この4年間で35% 道庁殖民部拓殖課『明治29年来住戸口表』
- ↑ 平成19年度県民経済計算
- ↑ World Economic Outlook Database
- ↑ 7.0 7.1 電気料金(一般電気事業者間比較) (PDF) 電気事業便覧
- ↑ 「FITネットビジネスセミナー」の三行共同開催について 福井銀行 2007年2月20日(2007年9月28日時点のアーカイブ)
- ↑ 富山第一銀行・北國銀行・福井銀行の「FITネット」業務提携の締結について 北國銀行 2005年9月26日(2005年11月27日時点のアーカイブ)
- ↑ 福邦銀行発表 2007年5月22日。閲覧:2007年8月9日(2007年8月20日時点のアーカイブ)
- ↑ 福邦銀行(福井)とATM提携 北銀・10月めど相互無料化 北日本新聞 2007年5月23日付(2007年7月5日時点のアーカイブ)
- ↑ 「「北陸3県応援ファンド」の窓口販売開始について」北陸銀行 2003年5月16日
- ↑ “福井銀行の現況 2010.3 (pdf)”. 福井銀行. p. 4. . 2014閲覧.
- ↑ “投資家の皆様へ FITネット・三県応援ファンド(毎月分配型) (pdf)”. 大和投資信託. . 2014閲覧.
- ↑ 「厚生労働省:都道府県別有効求人倍率の推移[季調値](含パート)」、厚生労働省、2005年
- ↑ 「平成16年版 働く女性の実情」、厚生労働省、2005年
- ↑ 「平成15年住宅・土地統計調査」、総務省統計局、2004年
関連項目