大連周水子国際空港
大連周水子国際空港(だいれんしゅうすいしこくさいくうこう)
中華人民共和国遼寧省大連市甘井子区にある国際空港。日本語では一般的に「大連空港」と呼ばれる。
歴史
1905年に日露戦争が終結すると日本の租借地となり、終戦を迎えた1945年まで日本が大連を統治していた。1927年の航空法の施行と共に逓信省は定期航空輸送の構想を打出し、東京(羽田)・大阪(船町)・福岡(名島水上飛行場)に飛行場の新設・整備を始めて、国際航空郵便も東京~大連(周水子飛行場と大連関東州逓信局)、大阪~上海を開設した。 [1] 民間航空の発展と相まって周水子飛行場には満州航空会社定期便が一日に2、3便就航している程度であったが、1937年の日中戦争の開始と共に軍用機が多く進出し、海軍の軍用臨時便の間隙を縫って民間のダグラス DC-3が細々と運航されているという状態で、飛行場の大きさも長さ約800m、幅約400mの平坦な土地であったといわれている。 [2][3]
中国語の説明では、おしなべて飛行場の再開された1972年を周水子飛行場の開始時期としている。 [4]
今日
当空港は、大連で唯一の国際空港である。
開港時から現在の正式名称にも含まれている「周水子」という名前は、ここが周水子という地名であったことが由来で、近くに周水子駅もある。市街地の北西に位置し、旅順北路に面していて、街の中心地から車で約20分の場所にある。また、大連空港は軍民共用空港であるため、中国人民解放軍の軍用機も駐機・離着陸することがある。
近年は中国国内における経済成長に伴い、国内線・国際線ともに便数が増加している[5]。その結果、大連空港の設備的な問題や周辺航路の混雑により、当局から出発許可がなかなか下りないことが多々見受けられ、30分~1時間前後の遅延も珍しくない。また、搭乗券の裏面には早めの搭乗を促す記述が時折見られる。さらに立地上、自然の影響(濃霧、強風、降雪、黄砂等)による出発・到着時刻の変更、周辺空港(北京・青島・煙台・瀋陽など)へのダイバート、や欠航、返航が少なくない。2017年8月4日には、前日からの豪雨で空港全体が冠水し、空港周辺のホテル街は床下浸水の被害が相次いだため、空港の消防隊が救助活動を行った[6]。
2008年の年間実績では、利用客数820万人(前年比+12.6%)、発着回数7万2700回(前年比+15.4%)、貨物取扱量13万トン(前年比+7.0%)と中国東北地区で最大を誇り、2009年1月現在、中国国内57都市へ98路線、国外15ヶ国39都市へ46路線の定期航空便が就航しているが、現在の大連空港の設備では手狭となりつつある。そこで、大連空港に代わる新たな空港を金州区金州湾・三十里堡に建設するとした。2015年頃に開業する方向で計画が進められているが2011年3月現在、着工されていない。新空港建設には4~5年の期間を要するため、2009年3月から2010年末まで約2年間「周水子空港第3期工事」として大連空港の拡張工事を行い、同工事完成後は年間1600万~1800万人の利用を可能にさせる。また、周水子空港第3期工事と並行し、貨物輸送区・郵便速達区・保税区の3つの機能を備えた「空港物流園区工事」も2009年3月から始まっている。
大連空港拡張事業は、国際線路線拡大のチャンスと位置付けており、かつ大連と日本は古くから様々な面において交流が活発であることから、国際線の東京発着路線は現行の成田空港だけではなく、東京都心から近くて便利な羽田空港との間に直行便を開設し、片道2時間30分で結ぶ「日中日帰りビジネス」を構築する計画がある。なお、羽田空港も再拡張事業を行い、2010年10月21日から新しい国際線ターミナルと4本目の滑走路の運用が開始され、その10日後(2010年10月31日)には32年ぶりに国際線定期便が復活している[7]。
利用客の急増に伴い、海を埋め立てた人工島に大連金州湾国際空港の建設が進められている[8]。
国内線
北京や上海(虹橋・浦東)を始め、国内主要都市に多数就航している。
ただし、便数に対しボーディング・ブリッジの数が足りないため、大部分の国内線は1階に降りてから一旦バスに乗り、タラップから飛行機に搭乗するパターンが多い。正面入口から見るとターミナル中央及び右側部分の全てが国内線ターミナルである。大都市以外の就航便はスケジュール及び就航会社が変更される事が多い。
- 北京、上海(虹橋・浦東)、広州、深圳、青島、済南、天津、瀋陽、桂林、延吉、温州、連雲港、蘭州、西寧、石家荘、銀川、ウルムチ、掲陽、鄭州、寧波、南昌、南京、武漢、廈門、徐州、長春、福州、太原、西安、煙台、海口、杭州、無錫、合肥、昆明、重慶、成都、綿陽、ハルビン、貴陽、南寧、牡丹江、ハイラル、威海、長沙、フフホト、オルドス、包頭、東営、邯鄲、臨沂、錦州
国際線
航空会社により運航日は異なるが、東京/成田線、大阪/関西線、ソウル/仁川線等は直行便を毎日運航。また、日本の地方空港へは、富山と広島に定期便が運航中。
一覧
航空会社 | 就航地 |
---|---|
中国国際航空 | 東京/成田、大阪/関西、名古屋/中部、広島、福岡、香港 |
中国南方航空 | 東京/成田、大阪/関西、富山、ソウル/仁川、台北/桃園、済州(季節便) |
海南航空 | 台北/桃園 |
春秋航空 | バンコク/スワンナプーム(洛陽経由) |
厦門航空 | マカオ(杭州経由)、シンガポール(厦門経由)、クアラルンプール(厦門経由)、バンコク/スワンナプーム(福州経由) |
日本航空 | 東京/成田 |
全日本空輸 | 東京/成田、大阪/関西 |
全日本空輸 運行はエアージャパン |
東京/成田 |
大韓航空 | ソウル/仁川 |
アシアナ航空 | ソウル/仁川 |
チャイナエアライン | 台北/桃園 |
ユニー航空 | 台北/桃園 |
スクート | シンガポール(青島経由) |
ノックスクート | バンコク/ドンムアン |
アエロフロート・ロシア航空 運行はオーロラ |
ウラジオストク |
詳細
大連市内・開発区へのアクセス
- 出口は数箇所あるが、タクシー乗り場は国内線ターミナルの出口を出たところにある。国際線ターミナル出口から約200m先に正式なタクシー乗り場がある。大連中心部までは距離にして約12kmで、25~30元の運賃が目安となる。
- 虹港路に路線バスの「機場」バス停がある。空港ターミナルをでて南へ徒歩10分程度。バス停から701路などで市内まで行ける。なお、大連市内のバス料金は1回の利用につき1元(日本円で約13円)である。
- 開発区までは距離にして約30kmであり、タクシーで60~80元の運賃が目安となる。
- 2015年5月22日に大連地下鉄2号線が開通した。
脚注
- ↑ 日本の空港整備はどのように始まったのか?
- ↑ 大連周水子飛行場
- ↑ 大連周水子飛行場
- ↑ 大連周水子国際空港 (百度百科、中国語)
- ↑ 特に大連は中国東北地方の中で突出した経済発展を遂げている
- ↑ 田辺義明「最新・中国航空・軍事トピック 大連空港が冠水」 『航空ファン』2017年11月号(通巻779号) 文林堂 P.128
- ↑ ただし、厳密に言うと台湾行の国際線については2003年まで羽田発着だったので7年ぶりの国際線定期便復活である。また、同日以前に運航されていた羽田発着の国際線は定期便ではなく、あくまでも“定期チャーター便”である。
- ↑ 中国大連市、43億ドルで新空港建設へ=地元メディア ロイター 2014年9月16日
- ↑ 日本航空はワンワールド所属、中国南方航空、中国東方航空はスカイチーム所属である