第22回衆議院議員総選挙
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第22回衆議院議員総選挙(だい22かいしゅうぎいんぎいんそうせんきょ)は、1946年(昭和21年)4月10日に行われた日本の帝国議会(衆議院)議員の選挙である。
概要
この総選挙は大日本帝国憲法下(帝国議会)での最後の総選挙であり、また、第二次世界大戦敗戦後、及び男女普通選挙制度を採用しての初の選挙となった。特筆すべきは有権者一人につき二人又は三人に投票ができる制度(制限連記制)であったが、次回には、有権者一人につき投票できる候補者への一票に変更された。理由は多々ある。
1945年法律第42号による「衆議院議員選挙法」の改定の附則に「戸籍法ノ適用ヲ受ケザル者ノ選挙権及被選挙権ハ当分ノ内之ヲ停止ス」とあり、前回の総選挙まで選挙権・被選挙権を有していた朝鮮戸籍・台湾戸籍を対象者としており、日本に在住する朝鮮人・台湾人の参政権が停止された。
ソ連占領下の北方領土及び米国占領下の小笠原諸島と奄美群島と沖縄県については衆議院議員選挙が実施されなかった。
東京都第2区と福井県全県区で定数のうち最下位の各1名分が法定得票数に達せず、再選挙が実施された。
選挙データ
内閣
解散日
解散名
- GHQ解散
- 終戦解散
投票日
- 1946年(昭和21年)4月10日
改選数
- 466(実際は468だが定数2の沖縄全県区はアメリカ軍政下にありこの選挙は行われなかった)
選挙制度
- 秘密投票
- 20歳以上の男女
- 有権者:3687万8420(男性:1632万0752、女性:2055万7668)
その他
- 立候補者:2770(うち諸派・無所属候補:1343)
- 候補を擁立した政党数:258
いずれも総選挙史上最多。前議員の多数が公職追放に該当して出馬を断念したほか、この選挙で当選した議員の中にもその後に公職追放に該当するとの通知を受けて議員辞職した者がいた。
選挙結果
投票率
- 72.08% (前回比-11.08%)
- 男性:78.52% (前回比-4.64%)
- 女性:66.97%
- 白票や無効票を除いた実質投票率:63.38%
党派別獲得議席
政党名 | 得票数 | 得票率 | 議席数 | 議席内訳 |
---|---|---|---|---|
日本自由党 | 1350万5746 | 24.36 | 141(4) | ファイル:R100.png |
日本進歩党 | 1035万0530 | 18.67 | 94(6) | ファイル:R50.png |
日本社会党 | 992万4930 | 17.90 | 93(8) | ファイル:R50.png |
日本協同党 | 179万9764 | 3.25 | 14(0) | |
日本共産党 | 213万5757 | 3.85 | 5(1) | テンプレート:Bar00 |
諸派 | 648万8032 | 11.70 | 38(11) | |
無所属 | 1124万4120 | 20.28 | 81(9) | ファイル:Y50.pngファイル:Y30.pngファイル:Y01.png |
合計 | 5544万8879 | 100.00 | 466(39) | ファイル:R100.pngファイル:R100.pngファイル:R100.pngファイル:R50.pngファイル:Y50.pngファイル:Y30.pngファイル:Y01.png |
※()内の数字は女性
政党
- 日本自由党 - 141議席
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- 日本進歩党 - 94議席
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- 日本社会党 - 93議席
|
- 日本協同党 - 14議席
|
- 日本共産党 - 5議席
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- 諸派 - 38議席
- 4議席(1団体)
- 3議席(2団体)
- 2議席(3団体)
- 1議席(22団体)
- 教育民主党 - 丸山修一郎(秋田全県区)
- 東北日本国民党 - 鈴木弥五郎(秋田全県区)
- 中道会 - 米山文子(山形全県区)
- 日本民党 - 戸叶里子(栃木全県区)
- 埼玉県政振興会 - 磯田正則(埼玉全県区)
- 新日本青年党 - 竹内歌子(千葉全県区)
- 日本正論党 - 石田一松(東京都1区)
- 餓死防衛同盟 - 松谷天光光(東京都2区)
- 新日本婦人党 - 吉田セイ(神奈川全県区)
- 日本平和党 - 安藤はつ(長野全県区)
- 日本興誠党 - 廿日出厖(静岡全県区)
- 新生公民党 - 越原はる(愛知県1区)
- 三州農民党 - 中野四郎(愛知県2区)
- 新日本建設同盟 - 田中久雄(三重全県区)
- 民本党 - 三木キヨ子(大阪府1区)
- 日本婦人党 - 本多花子(大阪府2区)
- 全日本職域同志会 - 小西寅松(大阪府2区)
- 青年民主主義同盟 - 疋田敏男(山口全県区)
- 日本民主党 - 布利秋(愛媛全県区)
- 大分県農本党 - 平野八郎(大分全県区)
- 農民党 - 原尻束(大分全県区)
- 民権同志会 - 石原登(鹿児島全県区)
議員
この選挙で当選
自由党 社会党 進歩党 日本協同党 共産党 諸派 無所属
補欠当選等
- 東京都第1区 鳩山一郎(1946.5.7公職追放)→島村一郎(1946.5.15繰上補充)
- 福井県全県 最下位が法定得票に達せず再選挙→堂森芳夫(1946.6.6再選挙当選)
- 東京都第2区 最下位が法定得票に達せず再選挙→広川弘禅(1946.7.1再選挙当選)
- 福井県全県 薩摩雄次(1946.6.22辞職)→青木清左衛門(1946.7.1再選挙当選)
- 広島県全県 田中貢(1946.6.22辞職)→林興一郎(1946.7.1繰上補充)
- 広島県全県 渡辺忠雄(1946.6.22辞職)→藤井正男(1946.7.4繰上補充)
- 福岡県第1区 稲富稜人(1946.6.22辞職)→古賀太郎(1946.7.8繰上補充)
- 神奈川県全県 河野一郎(1946.6.22辞職)→中西伊之助(1946.7.8繰上補充)
- 香川県全県 三木武吉(1946.6.22辞職)→福田繁芳(1946.7.12繰上補充)
- 群馬県全県 須永好(1946.9.11死去)→生方大吉(1946.9.19繰上補充)
- 鹿児島県全県 山本実彦(1947.2.14辞職)→中村嘉寿(1947.3.1繰上補充)
- 三重県全県 長井源(1947.3.8辞職)→水谷昇(1947.3.19繰上補充)
- 滋賀県全県 堤隆(1947.2.22死去)→長野重右ヱ門(1947.3.27繰上補充)
この選挙で初当選
※婦人議員は下記の「その他」参照
日本自由党
日本進歩党
日本社会党
日本協同党
日本共産党
諸派
無所属
この選挙で返り咲き
日本自由党
日本進歩党
日本社会党
日本協同党
諸派
無所属
この選挙で落選
日本進歩党
その他
当選挙は、日本で初めて女性に参政権が認められた選挙となった。日本初の女性代議士となったのは、以下の39名である。2005年の第44回総選挙で43名が当選するまで、女性代議士の当選最多記録となっていた。
(五十音順)
氏名 | 選挙区 | 政党 | 年齢 | 職業 |
---|---|---|---|---|
安藤はつ | 長野 | 日本平和党 | 34 | 主婦 |
今井はつ | 福井 | 日本自由党 | 44 | 無職 |
大石ヨシエ | 京都 | 無所属 | 49 | 無職 |
大橋喜美 | 宮崎 | 日向民主党 | 41 | 無職 |
加藤シヅエ | 東京2 | 日本社会党 | 49 | 著述業 |
柄沢とし子 | 北海道1 | 日本共産党 | 35 | 無職 |
木村チヨ | 京都 | 無所属 | 55 | 無職 |
紅露みつ | 徳島 | 無所属 | 52 | 無職 |
越原はる | 愛知1 | 新生公民党 | 60 | 名古屋高等女学校校長 |
近藤鶴代 | 岡山 | 無所属 | 44 | 岡山高等女学校教諭 |
斎藤てい | 和歌山 | 日本進歩党 | 40 | 無職 |
榊原千代 | 福島 | 日本社会党党友 | 47 | 無職 |
沢田ひさ | 三重 | 日本社会党 | 47 | 無職 |
菅原エン | 岩手 | 日本進歩党 | 49 | 農業 |
杉田馨子 | 茨城 | 日本自由党 | 38 | 無職 |
竹内歌子 | 千葉 | 新日本青年党 | 31 | 会社役員 |
竹内茂代 | 東京1 | 日本自由党 | 65 | 医師 |
武田キヨ | 広島 | 日本自由党 | 49 | 学校法人理事 |
田中たつ | 鳥取 | 無所属 | 53 | 助産婦 |
戸叶里子 | 栃木 | 日本民党 | 37 | 無職 |
冨田ふさ | 京都 | 京都女子自由党 | 52 | 医師 |
中山タマ | 兵庫1 | 無所属 | 55 | 医師 |
新妻イト | 北海道1 | 日本社会党 | 56 | 日用品活用協会嘱託 |
野村ミス | 新潟2 | 無所属 | 49 | 無職 |
本多花子 | 大阪2 | 日本婦人党 | 37 | 無職 |
松尾トシ子 | 神奈川 | 日本社会党 | 48 | 日本女性英学院校長 |
松谷天光光 | 東京2 | 餓死防衛同盟 | 27 | 無職 |
三木キヨ子 | 大阪1 | 民本党 | 26 | 会社経営 |
村島喜代 | 新潟1 | 日本進歩党 | 54 | 無職 |
最上英子 | 群馬 | 日本進歩党 | 43 | 無職 |
森山ヨネ | 福岡1 | 日本進歩党 | 55 | 女学校講師 |
山口シヅエ | 東京1 | 日本社会党 | 29 | 山口自転車炊事部長 |
山崎道子 | 静岡 | 日本社会党 | 45 | 無職 |
山下春江 | 福島 | 日本進歩党 | 45 | 会社役員 |
山下ツ子 | 熊本 | 無所属 | 47 | 会社社長 |
吉田セイ | 神奈川 | 新日本婦人党 | 36 | 無職 |
米山久 | 石川 | 日本社会党 | 49 | 無職 |
米山文子 | 山形 | 中道会 | 44 | 無職 |
和崎ハル | 秋田 | 無所属 | 61 | 無職 |
選挙後
1946年(昭和21年)
- 4月16日 - 幣原が進歩党総裁に就任、政権居座りを模索
- 4月22日 - 幣原内閣総辞職
- 5月2日 - 自由党総裁の鳩山一郎に大命降下
- 5月4日 - 鳩山が公職追放通知をうけて大命拝辞
- 5月16日 - 外務大臣の吉田茂に大命降下
- 5月22日 - 第1次吉田内閣発足
その後諸派のほとんどは共産党を除く既成政党の自由党・進歩党・社会党・日本協同党に吸収されるか、選挙後に結成された国民党に参加した。
補注
関連項目
関連文献
- 岩尾光代著『新しき明日の来るを信ず-はじめての女性代議士たち』(日本放送出版協会、1999年)ISBN 4140804394
- 衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。