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大栄翔 勇人(だいえいしょう はやと、1993年11月10日 - )は、埼玉県朝霞市出身で、追手風部屋所属の現役大相撲力士。本名は高西 勇人(たかにし はやと)。身長182cm、体重155kg、血液型はB型。最高位は東前頭3枚目(2017年5月場所、2018年5月場所)。好物は唐揚げ[1]、リンゴ[2]、ナシ[2]。リンゴはカット派であり、リンゴよりもさらにナシの方が好き[2]。
来歴
小学1年生から相撲を始め、中学時代は相撲道場に通うかたわら、園芸部に所属した。「キュウリやナス、ゴーヤーにアジサイも育てた。特にヒマワリが大好きでした」と本人は後に振り返る[3]埼玉栄高校時代は3年時にインターハイ団体2位、個人3位、国体でも団体2位などの実績を残し、高校卒業直前の2012年1月に追手風部屋で初土俵を踏む。十両昇進時には自身の高校時代より相撲部監督を務めていた山田道紀が「母子家庭ということもあり、親に楽をさせたいという思いを持っている。芯がしっかりしている」と入門の背景にあった事情を打ち明けている。[4]
2012年3月場所で「大翔栄」の四股名に改めて、初めて番付に名前が載り、いきなり序ノ口優勝を果たし、初土俵から所要1年で初の幕下に昇進。その途中で四股名を現在の大栄翔に改めたが、「栄」の字が四股名の最後に来ると怪我をすると言われ、事実怪我をしてしまったことが改名理由である。[5]その後幕下での負け越しや三段目陥落など、壁に当たることもあったが、2013年3月に同部屋の幕下付出力士・遠藤が入門して史上最速で幕内まで駆け上がったのを間近で見て大いに刺激を受けて発奮し[6]、同年5月場所で三段目優勝。2013年11月場所以降は関取昇進目前の番付が続き、東幕下2枚目とした2014年5月場所は6勝1敗の大勝ち。場所後の番付編成会議で新十両昇進が決定した。記者会見では、入門からわずか2年半での関取昇進については早かったと語っている[7]。なお、追手風部屋から、大学を経ずに入門した力士が十両へ昇進するのは初めてのことである。7月場所は関取70人のうちただ1人の埼玉出身者として土俵に上がり[6]、8勝7敗の勝ち越し。2015年5月場所は直前の春巡業で精力的に稽古をこなしたためか好調であり、場所を10勝5敗の好成績で終えた。[8]2015年9月場所新入幕。そこから2場所連続負け越しで2016年1月場所に十両に戻るも、3月場所に再入幕して10勝5敗の2けた白星で幕内において初の勝ち越しを得た。なお、3月場所の14日目には安美錦が膝の不調により一門の横綱日馬富士の土俵入りの従者を務められなくなったため、代役として露払いを務めた。[9]自己最高位を西前頭9枚目まで更新した5月場所は6勝9敗と負け越し、続く7月場所とその次の9月場所も不調であり連続で5勝10敗の2ケタ黒星。11月場所は1月場所以来となる十両での土俵となった。十両4枚目の地位で千秋楽に勝ち越しを決め、8勝7敗の成績だったが、幕内復帰はならなかった。
2017年、西十両2枚目だった1月場所は、初日にいきなり2連敗するが、そこから8連勝。10日目終了時点で徳勝龍と並び2敗で優勝争いのトップに立つが、11日目にその徳勝龍に敗れ、3敗に後退。しかし12日目に徳翔龍が敗れ、大栄翔が勝ったため、この時点で3敗で大栄翔、宇良、徳勝龍が優勝争いで並んだ。14日目には優勝争いトップ組の中で徳勝龍のみ敗れ、千秋楽では大栄翔の取り組みの前に徳勝龍が勝ち、宇良が負けたため、勝てば単独優勝、負ければ三つ巴での優勝決定戦となる場面だったが、誉富士に勝利し、12勝3敗の成績で十両優勝を果たし、3月場所で幕内に復帰した。2017年3月場所前に行われた座談会では甲山(元幕内・大碇)から「大栄翔は体重を意識的にかなり落としたらしい。今までは体が重すぎて自分の動きが出来なかったみたい。体重を落としたことで動きが戻って、逆に馬力もついてきたというか」と1月場所の好調について解説された[10]。その3月場所では中日からの8連勝もあって11勝4敗の好成績だった。4月21日の春巡業水戸場所では横綱・鶴竜と13番に渡って三番稽古を行った[11]。しかしデイリースポーツには「稽古をしていないよね。突っ張って自分の相撲を取ればいいのに。自分を試す場所と思うのに。気を使っているのか…。若手の全員じゃないけど、パッと力を抜いたりとか。パパっとやられておけばいいと思っているのかな」と鶴竜がぼやく様子が伝えられている[12]。5月場所は初の上位総当たり戦であったが、十分な稽古を積んでいなかったためか、中日負け越しを喫したばかりか三役以上からは白星を得ることができず、4勝11敗と上位の壁に跳ね返された。西の7枚目で迎えた7月場所も9日目から6連敗を喫するなどで5勝10敗に終わり、二場所連続での二桁の黒星となった。東の11枚目で迎えた9月場所は7日目を終えた時点で6勝1敗と好調だったが、中日以降星を落とし、8勝7敗と1つの勝ち越しに留まった。7日目の取組を終えて大栄翔は「優勝争いの意識は無いです。早く番付を戻して上位でやりたいです」と意欲を見せていた[13]。10月15日の秋巡業京都場所では三番稽古で阿武咲を圧倒し、4連勝する場面もあって(最終的な番数は不明)、充実した稽古をしていた[14]。24日に行われた岡山場所の朝稽古では鶴竜の指名を受けて三番稽古。必死に得意の押し相撲で挑んだが計10番で1度も勝てなかった。のど輪から押し出されたり、前まわしを引かれたりして、ほとんど勝機はなく「横綱は離れても組んでも強いです」と脱帽した。それでも、22日の同巡業大阪場所でも照ノ富士に指名されて15番取って3勝をもぎとるなど、上位陣から一目置かれる存在になりつつある[15]。2018年1月場所は自己最速の10日目での給金相撲を達成した。一時は報道陣が殺到し、埼玉栄高の後輩でこの場所新小結の貴景勝から「たくさんの記者に囲まれるのはいつ以来?」とツッコミを入れられた際には「(十両優勝した)去年の初場所以来だ! 目立って悪いか」と威勢よく返した。しかしそれ以降は白星に見放され、最終的な成績は9勝6敗に終わった[16]。3月場所は5枚上昇の西前頭8枚目とやや番付運に恵まれた。9月場所は場所中に「場所前の稽古に手応えを感じた」と趣旨の談話を行うなど本人としては好調のつもりであった[17]が、10日目までは4勝6敗と黒星先行。しかし残りの相撲は14日目以外すべて、8勝7敗と勝ち越しにありつく。
取り口
元々は四つに組んで半身になることが多かったが、遠藤がスピード入幕を果たした頃に師匠から助言を受けて取り口を押し相撲に変えた。[18]以来突き押しを武器としている一方、立合いや下半身に改善の余地がある。[19]2016年3月場所前の座談会では、浦風(元幕内・敷島)から「力強さが出てきた」と評され、振分(元小結・高見盛)も「地味ですけど、突っ張りもいいものを持っていますよ」と話した[20]。突き押し力士としての純度はあまり高い方ではなく、2016年9月場所前の座談会では35代木村庄之助からは「大栄翔もよく分からないな。いいときは突っ張りがあって、いい相撲を取るんだが」と残念がられているが、一方でもともと四つ相撲主体であったためか「立ち合いはきれいだね。遠藤にしろ、大翔丸にしろ、この部屋の力士はきちんと両手をつくし、いい立ち合いをするよ」と高評価を受けている[21]。2017年の山根千佳のコメントによると、メンタル面は角界でも上位であるという[22]。
稽古では仲の良い阿武咲、貴景勝の胸を借り、互いに競い合っている[23]。
エピソード
- 目立たない性格であり、本人はこれについて「よく声が小さいと言われて、店員に何回も聞き返される。自分では普通に話しているつもりなのに…」と話している。同い年で大卒の豊山、朝乃山らに話題は先行されていた[3]。
- 2018年7月場所にはニシキゴイの描かれた浴衣で場所入りした[24]。
2017年9月場所7日目
- この場所6度目の勝ち名乗りを受けたが、またしても懸賞はなかった。大栄翔は結構気にしており、出番前には御嶽海に指摘されて「本当にやめて。言わないで」と懇願した[3]。
- 佐田の海をはたきこみ、多くの報道陣に囲まれた支度部屋。今度は埼玉栄高の3年後輩の貴景勝が寄ってきた。「今日はどこが良かったか」「好調の要因は」と報道陣に交じって、矢継ぎ早に問いただされた。「いいから!」と遮るも、人の良い大栄翔は結局答えてしまう。「良い相撲だったよ。会心の相撲だよ!」「巡業中の貴景勝関との稽古が良かったからです!」と記者からは称えられた。そんな愛すべき後輩が去った後は「一緒に上でやりたいですね」と、小さな声で望んでいた[3]。
主な成績
2018年9月場所終了時点
- 通算成績:259勝229敗(41場所)
- 幕内成績:109勝131敗(16場所)
- 十両成績:84勝66敗(9場所)
各段優勝
場所別成績
一月場所 初場所(東京) |
三月場所 春場所(大阪) |
五月場所 夏場所(東京) |
七月場所 名古屋場所(愛知) |
九月場所 秋場所(東京) |
十一月場所 九州場所(福岡) |
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2012年 (平成24年) |
(前相撲) | 西序ノ口13枚目 優勝 7–0 |
東序二段12枚目 6–1 |
東三段目49枚目 4–3 |
東三段目34枚目 4–3 |
東三段目8枚目 6–1 |
2013年 (平成25年) |
東幕下33枚目 3–4 |
東幕下49枚目 3–4 |
西三段目7枚目 優勝 7–0 |
西幕下11枚目 3–4 |
西幕下17枚目 5–2 |
西幕下8枚目 3–4 |
2014年 (平成26年) |
西幕下13枚目 5–2 |
西幕下7枚目 5–2 |
東幕下2枚目 6–1 |
西十両12枚目 8–7 |
東十両9枚目 6–9 |
西十両11枚目 6–9 |
2015年 (平成27年) |
東十両13枚目 10–5 |
東十両6枚目 7–8 |
東十両7枚目 10–5 |
西十両筆頭 9–6 |
東前頭13枚目 7–8 |
東前頭14枚目 6–9 |
2016年 (平成28年) |
東十両3枚目 8–7 |
西前頭14枚目 10–5 |
西前頭9枚目 6–9 |
西前頭11枚目 5–10 |
東前頭16枚目 5–10 |
西十両4枚目 8–7 |
2017年 (平成29年) |
西十両2枚目 優勝 12–3 |
東前頭11枚目 11–4 |
東前頭3枚目 4–11 |
西前頭7枚目 5–10 |
東前頭11枚目 8–7 |
西前頭9枚目 5–10 |
2018年 (平成30年) |
西前頭13枚目 9–6 |
西前頭8枚目 9–6 |
東前頭3枚目 5–10 |
西前頭7枚目 6–9 |
西前頭10枚目 8–7 |
x |
各欄の数字は、「勝ち-負け-休場」を示す。 優勝 引退 休場 十両 幕下 三賞:敢=敢闘賞、殊=殊勲賞、技=技能賞 その他:★=金星 番付階級:幕内 - 十両 - 幕下 - 三段目 - 序二段 - 序ノ口 幕内序列:横綱 - 大関 - 関脇 - 小結 - 前頭(「#数字」は各位内の序列) |
改名歴
- 高西 勇人(たかにし はやと)2012年1月場所
- 大翔栄 勇人(だいしょうえい はやと)2012年3月場所-2012年7月場所
- 大栄翔 勇人(だいえいしょう はやと)2012年9月場所-
脚注
- ↑ 追手風部屋公式ホームページ
- ↑ 2.0 2.1 2.2 夏の絵日記2017 8月19日 大栄翔「自分にダブらせ」 日刊スポーツ(日刊スポーツ新聞社)(2017年8月23日閲覧)
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 日刊スポーツ 2017年9月17日
- ↑ 大栄翔が新十両昇進 3歳年上弟弟子・遠藤“刺激”に躍進 Sponichi Annex 2014年5月29日 05:30
- ↑ ベースボール・マガジン社 『相撲』 2014年7月号(名古屋場所展望号) 27頁
- ↑ 6.0 6.1 埼玉)十両昇進の大栄翔、遠藤の存在を刺激に 朝日新聞DIGITAL 2014年7月9日03時00分
- ↑ 大栄翔 新十両昇進し「遠藤関刺激に」 デイリースポーツ 2014年5月28日
- ↑ 『相撲』2015年6月号72ページ
- ↑ 大栄翔、急きょ露払いの大役に「動画を見て勉強」 日刊スポーツ 2016年3月26日20時13分
- ↑ 『大相撲ジャーナル』2017年4月号71ページ
- ↑ 『大相撲中継』2017年5月27日号47頁
- ↑ 鶴竜、若手への苦言続く、大栄翔に全勝「稽古をしていないよね」 DAILY SPORTS ONLINE 2017.4.21
- ↑ 『大相撲中継』2017年10月13日号 p.14.
- ↑ 『大相撲中継』2017年11月18日号 p111
- ↑ 大栄翔 鶴竜の指名で三番稽古 「横綱は離れても組んでも強いです」と脱帽 Sponichi Annex 2017年10月24日 16:36(スポーツニッポン新聞社、2017年10月25日閲覧)
- ↑ 大栄翔、自己最速で勝ち越し「目立って悪いか」埼玉栄後輩の貴景勝のツッコミにも悠然 2018年1月24日6時0分 スポーツ報知(報知新聞社、2018年1月28日閲覧)
- ↑ 『相撲』2018年10月号 p.62
- ↑ 大相撲:「遠藤を追い越せ」 大栄翔 20歳で新十両 毎日新聞 2014年05月31日12時36分
- ↑ 『相撲』2013年11月号50頁
- ↑ 『大相撲ジャーナル』2016年4月号75ページ
- ↑ 『大相撲ジャーナル』2016年10月号73ページから74ページ
- ↑ Sports Graphiv Number PLUS April 2017(文藝春秋、2017年4月10日)p94
- ↑ 『大相撲中継』2017年9月16日号 p5
- ↑ 『大相撲ジャーナル』2018年9月号 p.81
関連項目
外部リンク
- 大栄翔 勇人 - 日本相撲協会
- 大栄翔後援会ホームページ
- 大栄翔 勇人 - 相撲レファレンス
大相撲関取一覧 - 平成30年七月場所 | ||||||
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東 | 番付 | 西 | ||||
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横綱 |
| ||||
三役 | ||||||
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大関 |
| ||||
逸ノ城 | 関脇 | 御嶽海 | ||||
玉鷲 | 小結 | 松鳳山 | ||||
平幕 | ||||||
|
幕内前頭 |
| ||||
十両 | ||||||
|
十枚目 |
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関取経験がある幕下以下の現役力士 | ||||||
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