通貨記号
通貨記号(つうかきごう)とは、通貨の名前を短く表記するために用いられる図形記号である。国際的にはISO 4217コードが用いられ、各国内では通貨記号が用いられるが、固有の記号が存在しない通貨も多数ある。
ユーロの導入により、ヨーロッパの多くの通貨記号は使われなくなった。欧州連合は、新しい独自の通貨記号として「€」を定義して文字コードと字形をUnicodeに登録し、ユーロ記号の世界的な認知がユーロの成功に寄与したとしている。
インドは、2009年に近隣諸国でも使われている"R"と"s"の合字の通貨記号「₨」を変えるために公開コンペを実施し[1]、2010年7月15日にラテン文字の"R"とデーヴァナーガリーの"र"を組み合わせた「₹」をルピーの通貨記号として新たに定めた。
使用法
貨幣の金額表記の記号位置は通貨によって異なる。英語圏とラテンアメリカは £50.00, R$50,00 と額面の前に、フランス、ドイツ、スカンジナビア諸国などのヨーロッパ各国は 50.00 S₣ と額面の後に記し、カーボベルデ・エスクードや、廃止前のポルトガル・エスクードは 50$00 、フランス・フランは 12₣34 、と小数点の位置に記す[2]。
小数点の区切り文字は地域、言語などによってそれぞれ異なり、イギリスの価格表記は £5·52 と小数点を中黒で記し、5,00 € とピリオドをコンマで記す国も多い。表記の国際標準は小数点の項で詳述されている。
デザイン
古くから使われている通貨記号も、それ以前の通貨から少しずつ変化して来たものである。ドルとペソの記号 ($)は、「スペイン・ドル」とも呼ばれる8レアル銀貨(real de a ocho)で使われていた物であり、ポンドとリラの記号 (£)は、古代ローマの通貨リーブラ (libra) の頭文字 L に由来する。
通貨を新しく導入した場合や、既存の通貨の記号を変更した場合も、それ以前に使われていた通貨記号に近い象徴性を持つ。通貨記号によく見られる中央の直線は、安定性の象徴である[3]。インド・ルピーの新しい記号 ₹ は、ラテン文字とデーヴァナーガリー文字を組み合わせたものである。
新規通貨記号の導入時は表示ソフトウェアの普及や入力機器の交換などを要するが、ユーロ記号はフォントへの対応が仕様に規定されておらず配慮不足が非難され[1]、様々なユーロ記号が用いられている。
現行の通貨の通貨記号
言語別のルピー記号
言語 | 記号 |
---|---|
シンハラ語 | テンプレート:Unichar |
グジャラート語 | テンプレート:Unichar |
カンナダ語 | テンプレート:Unichar |
タミル語 | テンプレート:Unichar |
ブラーフミー系文字 | テンプレート:Unichar |
かつて使われていた通貨の通貨記号
- ₳ - アルゼンチン・アウストラル
- ₢, Cr$ - ブラジル・クルゼイロ
- ₰ - 金マルク(1875年 - 1923年)・ライヒスマルク (1923年 - 1948年)に対するペニヒ(1/100マルク)
- DM - 東ドイツ・マルク(1948年 - 1964年)
- DM - ドイツマルク(1948年 - 2001年)。西ドイツと統一ドイツで使用。
- ₯ - ギリシア・ドラクマ
- ₠ - 欧州通貨単位(ECU)。広く使われておらず、現在では歴史的遺物である。ユーロに置き換えられた。
- ƒ - オランダ・ギルダー。オランダ領アンティル、アルバでも使用。
- Fr - フランス・フラン。フランスほかで使用。フランスで1988年に ₣ が提案されたが、正式な採用はされなかった。
- Kčs - チェコスロバキア・コルナ(1919年 - 1993年)
- ₤ - かつてイタリア、サンマリノ、バチカンで使用(ただし、正式な記号ではなかった)。現在マルタで使われることもある。
- Lm - マルタ・リラ
- Ls - ラトビア・ラッツ(1922年 - 2013年)
- Lt - リトアニア・リタス(1922年 - 2014年)
- M - 東ドイツ・マルク(1968年 – 1990年)
- ℳ - ドイツ・金マルク(1875年 – 1923年)
- MDN - 東ドイツ・ドイツマルク(1964年 - 1968年)
- mk - フィンランド・マルッカ(1860年 - 2002年)
- PF - フィリピン・ペソ・フエルテ(1852年 - 1901年)
- ₧ - スペイン・ペセタ(1869年 - 2002年)。スペインとアンドラで使用。ほとんどの人は代わりに "pts" の表記を好む。
- R , RD - スウェーデン・リグスダレル(1777年 - 1873年)
- ℛℳ - ドイツ・ライヒスマルク(1923年 - 1948年)
- 14px(シフラン) - ポルトガル・エスクード
- Sk - スロバキア・コルナ (1993年 - 2008年)
- ₷(12px) - エスペラント運動の国際通貨スペスミーロ(1907年 - 第一次世界大戦)
- ₶ - トゥールポンド。中世のフランスで使用。
- 𐆖 - デナリウス。古代ローマで使用(紀元前211年 - 3世紀)
- / - イギリスと多くのイギリス連邦諸国では、通貨単位が十進法化される以前はポンドの補助単位としてシリングとペニー(ペンス)を使用していたが(1ポンド=20シリング、1シリング=12ペンス)、その表記法には様々なものがあった。「2ポンド10シリング3ペンス」は、「£2 10s. 3d.」、「£2 10'3"」のほか、「£2 10/3」のようにも書いた。
関連項目
出典
- ↑ 1.0 1.1 Westcott, K. (2009) India seeks rupee status symbol, BBC 10 March 2009, accessed 1 September 2009
- ↑ “Moedas”. Banco de Cabo Verde. . 2016閲覧.
- ↑ “The real. rs money. (PDF)”. ECB. p. 3. . 2011閲覧.
- ↑ Banky Foiben'i Madagasikara. Accessed 24 Feb 2011.
- ↑ Bank of Guyana. Accessed 25 Feb 2011.
- ↑ Centrale Bank van Aruba. About Us – A Brief History of the Bank." Accessed 23 Feb 2011.
- ↑ 7.0 7.1 Forexforums.com. "Currency symbol finder." Accessed 24 Feb 2011.
- ↑ National Bank of Rwanda. "Legal tender." Accessed 25 Feb 2011.
- ↑ University of British Columbia: Saunders School of Business. "Currencies of the World." Accessed 25 Feb 2011.
- ↑ Lonely Planet. "Rwanda." Accessed 25 Feb 2011.
- ↑ Banco de Moçambique. Accessed 25 Feb 2011.
- ↑ Banque Centrale de Mauritanie. Accessed 25 Feb 2011.
- ↑ Рに横棒を入れたようなデザイン(10px)。
- ↑ Bank of Mauritius. Accessed 25 Feb 2011.
- ↑ Nepal Rastra Bank. Accessed 24 Feb 2011.
- ↑ Central Bank of Seychelles. Accessed 25 Feb 2011.
- ↑ Central Bank of Somalia. Accessed 24 Feb 2011.
- ↑ The Reserve Bank of Vanuatu. "Current Banknotes and Coins in Circulation." Accessed 25 Feb 2011.