レソト
- レソト王国
- Mmuso wa Lesotho
Kingdom of Lesotho - 国の標語:Khotso, Pula, Nala(平和、雨、繁栄)
公用語 | ソト語、英語 |
---|---|
首都 | マセル |
最大の都市 | マセル |
独立 - 日付 | イギリスから 1966年10月4日 |
通貨 | ロチ (LSL) |
時間帯 | UTC +2(DST:なし) |
ISO 3166-1 | LS / LSO |
ccTLD | .ls |
国際電話番号 | 266 |
レソト王国(レソトおうこく、ソト語: Mmuso wa Lesotho、英語: Kingdom of Lesotho)、通称レソトは、アフリカ南部に位置する立憲君主制をとる国家。イギリス連邦加盟国のひとつで、周囲を南アフリカ共和国に囲まれた世界最南の内陸国でもある。首都はマセルで、1966年にイギリスから独立した。非同盟中立を宣言している。
Contents
国名
「レソト」とは「ソト語を話す人々」という意味である。
歴史
- ボツワナから南アフリカ共和国北部にかけては、サン族(ブッシュマン)の居住地だった。
- 16世紀 - サン族と競合が始まった。(バントゥー系ソト族が北方より移動してきてサン族を駆逐した。)
- 1818年 - 初代国王モショエショエ1世がサン族を排除し、ソト族の長となった。
- 1840年代 - 南アフリカのオレンジ自由国からボーア人の進入に対抗するため、イギリスの保護を受けた。
- 1868年 - イギリスの保護領となった。イギリス領バストランドと呼ばれた。
- 1871年 - イギリスの植民地にされた。
- 1884年 - イギリスの保護領に戻った。
- 1902年 - 地方政治に限り、自治が認められた。
- 1959年 - 自治が認められた。
- 1966年
- 1970年 - 総選挙で敗北した与党バストランド国民党とレアブア・ジョナサンが、下野を拒み野党指導者らを投獄。一党独裁体制へと権威主義化した。
- 1970年代 - 周囲の南アフリカ共和国との関係が悪化し、経済制裁を受けた。
- 1986年
- 1月 - クーデターが発生し、バストランド国民党のジョナサン政権が倒された。王政を残したまま、ジャスティン・レハンヤ軍司令官が軍事評議会議長に就任。政党の活動が禁止された。
- 1990年
- 1991年
- 4月 - 無血クーデターが発生、評議会議長レハンヤが追放された。これに伴い政党が復活した。
- 1994年
- 1995年
- 1月 - モショエショエ2世が復位した。
- 1996年
- 1月 - モショエショエ2世が交通事故により死去。レツィエ3世が復位した。
- 1997年
- 首相のヌツ・モヘレが与党・バストランド会議党(BCP)を離党、新党・レソト民主会議を結成し全閣僚が参加した。
- 1998年
- 1999年
- 5月 - 治安回復を受け、南アフリカ軍とボツワナ軍が撤退した。
- 2001年 - 定数120、小選挙区比例代表併用制を柱とする下院関連法が改正された。
- 2002年
- 5月25日 - 下院再選挙が実施され、与党LCDが勝利する。第2次モシシリ内閣が発足した。
- 2007年
- 2月17日 - 下院総選挙が実施され、与党LCDが勝利する。第3次モシシリ内閣が発足した。
- 2012年5月 - 下院総選挙で全バソト会議、バソト国民党などによる連立政権が成立。トーマス・タバネが首相に就任した。
- 2014年8月 - 軍部によるクーデターが発生。トーマス・タバネ首相が南アフリカへ出国[2]。
地理
レソトは、周囲を南アフリカ共和国に囲まれた内陸国である。いったん周囲の南アフリカ共和国を経由しないと行き来できない地域すらあるため、「アフリカのスイス」「南部アフリカの屋根」とも言われている。
全土がドラケンスバーグ山脈の山中に位置するため、平地が一切なく、全土の標高が1400mを超える。最高峰は、タバナントレニャナ山であり、標高3482mはアフリカ大陸南部の最高峰でもある。主要河川は、南アフリカ共和国との国境付近に源流があり、国土を縦断した後、南アフリカ共和国とナミビアを経由して大西洋に注ぐオレンジ川。レソトの最低地点はオレンジ川が南アフリカ共和国に流れ出す南西部にある。
地形とは異なり、気候には恵まれている。全土がケッペンの気候区分による温暖湿潤気候 (Cfa) と西岸海洋性気候 (Cfb) であり、イタリア北部に似ている。雨季は存在しないものの、10月から4月にかけての夏季に降雨が多く、冬季は乾燥している。年間降水量は700mm程度である。
地方区分
レソトの最上級の地方行政単位は、10ある県である。
- ベレア県 (Berea)
- ブータ・ブーテ県 (Butha-Buthe)
- レリベ県 (Leribe)
- マフェテング県 (Mafeteng)
- マセル県 (Maseru) - 南アフリカ共和国との国境に近い西端に首都マセルが位置する。
- モハレス・フーク県 (Mohales Hoek)
- モコトロング県 (Mokhotlong)
- クァクハスネック県 (Qacha's Nek)
- クティング県 (Quthing)
- ターバ・ツェーカ県 (Thaba-Tseka)
主要都市
主要な都市としてはマセル(首都)がある。
政治
国家元首は、国王のレツィエ3世(本名:デーヴィッド・モハト・レツィエ・ベレン・セーイソ)で、立憲君主制をとる。国民統合の象徴的地位で、政治的権力を有さない。国王の位はセーイソ家による世襲制である。
レソト王国議会は二院制である。上院は、全33議席。22人の主要部族長と下院の支配政党が指名する11人が上院議員となる。下院の議席数は、2001年の法改正により80議席から120議席に増やされた。そのうち80を小選挙選挙で、40を比例代表制選挙で選出する。任期5年。
- レソト民主会議 (LCD) - 1998年5月と2002年5月の選挙で大勝し、政府与党となる。
- バソト国民党 (BNP) - 独立後20年間与党の地位を占める。初代首相レアブア・ジョナサンの政党。
- レソト人民会議 (LPC)
- バソト会議党 (BCP) - 独立後の野党第一党。
- 統一民主党 (UDP)
- マレマトロウ自由党 (MFP) およびセトゥラモ連合
- 進歩国民党 (PNP)
- セファテ民主党 (SDP)
軍事
経済
レソトの経済は、農業と南アフリカ共和国向けの繊維製品を中心とした輸出、南アフリカ共和国への出稼ぎで支えられている。放牧は盛んで1994年時点には国土の65.9%が放牧に振り向けられていた。家畜の頭数は人口よりも多い。気候には恵まれているものの、地形の制約のため、耕地面積は国土の10.5%にとどまる。そのため、農業従事者人口は国民の18%と少ない。これは南アフリカ共和国への出稼ぎ人口の2倍弱に過ぎない。
政府は、慢性的な貿易赤字を解決し、発展が望めない農業以外に産業を振興するため、繊維加工業に着目した。貿易優遇措置を講じた結果、アメリカ市場向けの繊維産業誘致に成功し、2000年以降、年率3%を超える国内総生産の成長を果たした。
近年は、観光業にも力を入れており、主に欧州からの保養客を受け入れている。アフリスキーではスキーも楽しめる。
主な輸出品は、全体の53%を占める衣類、ついで履物、飲料水。主な輸出先は南アフリカ共和国 (53.0%)、アメリカ合衆国 (33.4%)、ベルギー、カナダである。水は豊富。20世紀末には大規模な水力発電所も完成している。
主な輸入品は、穀物、自動車、木製品、肉類。主な輸入先は96.5%を占める南アフリカ共和国、ついで中華人民共和国、アメリカ合衆国である。
日本との貿易関係は、衣類のみを輸出し、工業用ミシンと乗用車、繊維加工機械を輸入するというものである。
失業率は40%以上である。
国民
民族
国民の99.7%が、バントゥー系のソト族である。レソトの国民は、単数形では、モソト (Mosotho)、複数形では、バソト (Basotho) と呼ばれる。
言語
ソト語(セソト、南部ソト語)と英語が公用語とされている。
宗教
国民の約8割はキリスト教徒である。この他に伝統宗教も存在する。
教育
保健
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者が1990年代以降激増、国民の約1/4がHIV感染者である。そのため、1990年には220万人あった人口が、2006年には180万人と激減。平均寿命は60歳から35歳と、成人死亡率が世界でもっとも高い国となっており( WHO2013年統計)、農業生産も減り続けている。
交通
- 鉄道 - マセル - ブルームフォンテーン 間。ただし、路線のレソト国内に占める距離は1kmほど[3]。
- 空港 - モショエショエ1世国際空港、マテカネ空港。
文化
1966年の独立直後から教育、特に初等教育に力を入れている。男女格差が最も少ない国家の一つであり、女性の識字率は2001年時点で90.3%に達する。しかし、男性の識字率は71.3%にとどまっている。これは男子児童が放牧の労働力として組み込まれていることによる。
祝祭日
日付 | 日本語表記 | 現地語表記 | 備考 |
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10月4日 | 独立記念日 |
標準時
この地域では南アフリカ標準時を採用しており、協定世界時より2時間進んだ時間を採用している。
脚注
関連項目
外部リンク
- レソト政府
- 日本政府
- 日本外務省 - レソト (日本語)
- 在南アフリカ共和国日本国大使館 - 在レソト大使館を兼轄 (日本語)