蓮田市
蓮田市(はすだし)は、埼玉県中東部にある人口約6万2千人の市である。旧南埼玉郡。
かつては二点之繞を用い「蓮田市」と表記していたが、2011年に一般的な“一点之繞”の表記に改めた(後述)[1][2]。
Contents
地理
埼玉県の東央部に位置し、東南部をさいたま市と接する。大宮台地(北足立台地)の一部である市内中央の蓮田台地と東部の白岡(黒浜)台地、その間を流れる元荒川及び西の境を流れる綾瀬川周辺の低地からなる。JR東北本線(宇都宮線)及び東北自動車道が市内を縦断する。高度経済成長期以降にかつて水田・森林等であった元荒川周辺の低地を中心に宅地造成が行われ首都圏のベッドタウンとなっているが、市内北西部や東部には田園や自然が多く残されている。主な工場は蓮田サービスエリア付近に集中している。
市内を国道122号と埼玉県道3号さいたま栗橋線が縦断、市内の関山・閏戸にて交差する。埼玉県道3号さいたま栗橋線と交差する国道122号蓮田岩槻バイパスは、計画決定から38年を経て2006年(平成18年)6月11日に開通した。
歴史
約3万年前から人が住んでいたといわれており、市内には多くの貝塚・住居跡等の遺跡が残されている。また、市内の高台を中心に中世の武士城館跡が残るなど人々の暮らしの跡がみられる。江戸時代においては、市内域はほぼ岩槻藩領であり(時期や場所により一部天領・旗本領等あり)、荒川の付け替えにより元荒川の水量が減少したことや見沼代用水の開通に伴い新田の開発が盛んに行われた。明治時代に入り、鉄道が開通し蓮田駅が開業したことにより、同駅を中心に市街地が形成されていった。
- 1869年(明治2年)1月28日 (旧暦) - 武蔵知県事・宮原忠治の管轄区域をもって大宮県が発足(県庁は日本橋馬喰町)。ほか旧市域では岩槻県・忍県・六浦県・小菅県に属した村もあり。
- 1869年(明治2年)9月29日 (旧暦) - 県庁が浦和に移転し、大宮県から浦和県に改称。
- 1871年(明治4年)11月14日 (旧暦) - 浦和県・忍県・岩槻県の3県が合併して埼玉県が誕生。
- 1872年(明治5年) - 大区小区制施行により、第18区-20区に所属する[4]。
- 1872年(明治7年) - 江戸初期からの上蓮田村と下蓮田村が合併し蓮田村が成立する[4][5][6][7]。
- 1885年(明治18年)7月16日 - 日本鉄道蓮田駅が開業。
- 1879年(明治12年) - 郡区町村編制法施行に伴い、南埼玉郡に所属する。
- 1889年(明治22年)4月1日 - 蓮田村・貝塚村・閏戸村が合併し、南埼玉郡綾瀬村となる。蓮田村は大字蓮田となる。村役場を大字閏戸に設置[8]。村名は綾瀬川に因む。
- 1920年(大正9年) - 綾瀬村大字蓮田と河合村大字川島の間の境界変更を実施する[8]。
- 1924年(大正13年)10月19日 - 武州鉄道蓮田駅 - 岩槻駅間が開業する。
- 1934年(昭和9年)10月1日 - 綾瀬村が町制施行と同時に名称変更、蓮田町となる[9]。町役場は大字閏戸。
- 1938年(昭和13年)9月3日 - 武州鉄道が経営難を理由に廃止される。
- 1947年(昭和24年) - 平野村との境界変更を実施する[7]。
- 1954年(昭和29年)5月3日 - 南埼玉郡蓮田町・黒浜村・平野村が合併し、蓮田町となる[9]。町役場を大字蓮田に設置[7]。
- 1954年(昭和29年)9月 - 伊奈村大字小室の一部を編入する。
- 1955年(昭和30年) - 蓮田町大字根金の一部を白岡町へ編入し、白岡町大字荒井新田の一部を蓮田町に編入、翌年に大字根金に併合する[7]。
- 1956年(昭和31年)1月1日 - 岩槻市の一部(川島及び馬込の一部)を編入する[9]。
- 1966年(昭和41年) - 岩槻市との境界変更を実施する[7]。
- 1972年(昭和47年)10月1日 - 市制施行により、蓮田市となる[4][9]。
- 1988年(昭和63年)3月31日 - 防災行政無線運用開始。
- 2011年(平成23年)1月4日 - 仕事始めに合わせ条例改正により、市名が蓮田市(しんにょうの点が二つ)から蓮田市(しんにょうの点が一つ)へと変更された[1][10][2]。コスト低減の観点から、市の公共施設の看板等の漢字変更は、老朽化もしくは破損した際に順次実施される
- 2011年(平成23年)4月1日 - 防災行政無線放送等変更。
人口
総人口は1999年の6万5千人をピークに減少傾向にある。
蓮田市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
隣接している自治体・行政区
行政
- 市長:中野和信(2006年5月31日就任、3期目)
歴代市長
代 | 氏名 | 就任日 | 退任日 |
---|---|---|---|
1-2 | 中野金作 | 1954年5月31日 | 1962年5月30日 |
3-4 | 斎藤倉之進 | 1962年5月31日 | 1970年5月30日 |
5-7 | 吉田周治 | 1970年5月31日 | 1982年5月30日 |
8-9 | 小山道夫 | 1982年5月31日 | 1990年5月30日 |
10-11 | 石川勝夫 | 1990年5月31日 | 1998年5月30日 |
12-13 | 樋口曉子 | 1998年5月31日 | 2006年5月30日 |
14-16 | 中野和信 | 2006年5月31日 | 現職 |
広域行政
- 一部事務組合
- 協議会
- 埼玉県東部中央都市連絡協議会 - 3市2町(春日部市・蓮田市・白岡市・南埼玉郡宮代町・北葛飾郡杉戸町)で構成し、図書館などの公共施設の相互利用や災害時の相互援助や避難場所の相互利用について防災協定を締結している。
- 田園都市づくり協議会 - 4市2町(久喜市・蓮田市・幸手市・白岡市・南埼玉郡宮代町・北葛飾郡杉戸町)で構成している。
- 埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会(とねっと) - (利根保健医療圏(行田市・加須市・羽生市・久喜市・蓮田市・幸手市・白岡市・宮代町・杉戸町)内の医師会・自治体、「地域医療再生計画」への提案を行った実施事業者、埼玉県加須保健所・埼玉県幸手保健所で構成し、複数医療施設にまたがる医療情報を共有化して、住民(患者)を中心とした一貫性のある医療サービスを提供している。
- 公共施設などの相互利用
市町村合併
蓮田市は南埼玉郡白岡町・南埼玉郡菖蒲町との合併を目指し、新市名を「彩野市(あやのし)」とする予定であったが、2005年(平成17年)2月2日の住民投票において蓮田市と南埼玉郡菖蒲町で反対が過半数を占めたことにより合併は白紙撤回された。
その後、南埼玉郡白岡町は久喜市・北葛飾郡栗橋町・北葛飾郡鷲宮町・南埼玉郡菖蒲町との合併協議に参加するが、2007年(平成19年)12月6日に離脱した。蓮田市は新合併特例法の期限である2010年(平成22年)3月31日までに、南埼玉郡白岡町との合併を目指すことを決め合併協議会を設置し、2008年(平成20年)9月25日に新市名を「白岡蓮田市」とすることを決め、新市の事務所は当面は蓮田市役所とすることとした。また、同年10月22日に合併期日は2010年(平成22年)3月22日と決定した。しかし、2009年(平成21年)5月に、南埼玉郡白岡町の町民意向調査結果で、合併に反対・慎重の意見が約7割を占めた。そのため、南埼玉郡白岡町が合併協議会から離脱し、事実上の白紙撤回となった。
立法
市議会
- 定数 : 20名
- 任期 : 2015年(平成27年)5月3日~2019年(平成31年)5月2日[11]
- 議長 : 山口京子(無会派)
- 副議長 : 木佐木照男(無会派)
会派名 | 議席数 | 議員名(◎は代表) |
---|---|---|
新成会 | 4 | ◎中里幸一、本橋稔、石川誠司、伊勢谷憲一 |
日本共産党 | 3 | ◎岸尾悦子、船橋由貴子、栗原勇 |
公明党 | 3 | ◎島津信温、高橋健一郎、鈴木貴美子 |
新樹会 | 3 | ◎中野政廣、齋藤昌司、齋藤隆宗 |
蓮田志士の会 | 2 | ◎勝浦敦、田中秀行 |
新栄会 | 2 | ◎山口浩治、菊池義人 |
無会派 | 3 | 山口京子、木佐木照男、湯谷百合子 |
計 | 20 |
※2015年3月、市議の山口博史が市の職員や蓮田白岡衛生組合の職員に土下座を強要していたことが発覚。3月30日付で山口は市議を辞職した[12]。
県議会
- 選挙区 : 東第5区(蓮田市)
- 定数 : 1名
- 任期 : 2015年(平成27年)4月30日~2019年(平成29年)4月29日
氏名 | 会派名 | 備考 |
---|---|---|
石井平夫 | 埼玉県議会自由民主党議員団 | 2016年(平成28年)3月25日に埼玉県議会副議長に就任 |
※2015年4月12日に行われた県議選から、選挙区の名前が「東第6区」から「東第5区」に変更された。
衆議院
- 選挙区 : 埼玉県第13区
- 任期:2017年(平成29年)10月22日~2021年(平成33年)10月21日
議員名 | 党派名 | 当選回数 |
---|---|---|
土屋品子 | 自由民主党 | 7 |
経済
産品
蓮田市の主な工場
蓮田市の主な商業施設
金融機関
地域
健康
2016年1月時点での平均年齢は47.4歳(男性:46.3歳、女性:48.5歳)で、埼玉県63市町村の中では若い順で44位である[13]。高齢化率では29.7%となり、埼玉県の市の中で秩父市に次ぎ2番目に高い[14]。
教育
- 幼稚園
-
- 大山幼稚園
- 黒浜幼稚園
- 白百合幼稚園
- 新宿幼稚園
- 蓮田幼稚園
- 保育所
-
- 中村家庭保育室
- 蓮田市立貝塚保育園
- 蓮田市立黒浜保育園
- 蓮田市立中央保育園
- 蓮田市立蓮田南保育園
- 蓮田市立東保育園
- 蓮田市立閏戸保育園
- 小学校
-
- 蓮田市立黒浜北小学校
- 蓮田市立黒浜小学校
- 蓮田市立黒浜西小学校
- 蓮田市立黒浜南小学校
- 蓮田市立蓮田北小学校
- 蓮田市立蓮田中央小学校
- 蓮田市立蓮田南小学校
- 蓮田市立平野小学校
- 中学校
-
- 蓮田市立黒浜中学校
- 蓮田市立黒浜西中学校
- 蓮田市立蓮田中学校
- 蓮田市立蓮田南中学校
- 蓮田市立平野中学校
- 高等学校
- 専修学校
-
- 国立病院機構東埼玉病院附属看護学校
- 養護学校
-
- 埼玉県立蓮田特別支援学校
- かつて存在した学校
警察・消防
- 警察
- 消防
公共施設
- 駅西口連絡所
- 平野連絡所(農業者トレーニングセンター内)
- 中央公民館
- コミュニティセンター
- 農業者トレーニングセンター
- 勤労青少年ホーム(フレンドリーホーム)
- 蓮田市図書館
- 環境学習館
- 西新宿会館
- 総合市民体育館(パルシー)
- 黒浜公園
- 中道公園
- 農業者運動広場
- 文化財展示館
- 保健センター
- 西口再開発事務所
- 老人福祉センター
- はなみずき作業所
- はすの実作業所
- シルバー人材センター
- ふれあい福祉センター(社会福祉協議会)
電話番号
市外局番は市内全域「048」。市内局番が「6XX」「7XX」「8XX」の地域との通話は、市内通話料金で利用可能(浦和MA)。収容局は蓮田局、埼玉平野局。「7xx」から始まる市内局番は蓮田市と同じNTT東日本岩槻営業所(旧電報電話局)管内に属するさいたま市岩槻区のほか、上尾市、桶川市、北足立郡伊奈町、春日部市で使用されている。
郵政
郵便番号は、市内全域が「349-01xx」である。
- 蓮田郵便局 - 蓮田市全域の集配を担当
- 蓮田駅東口郵便局
- 蓮田西新宿郵便局
- 蓮田閏戸郵便局
- 蓮田黒浜郵便局
- 蓮田椿山郵便局
交通
鉄道路線
バス
タクシー
タクシーの営業区域は県南東部交通圏で、春日部市・草加市・越谷市・久喜市・八潮市などと同じエリアとなっている。
道路
- 東北自動車道
- 東北道は通るものの、市内にインターチェンジは無いため、利用時は久喜インターチェンジや、岩槻インターチェンジから利用することとなる。2012年2月4日蓮田SA内にスマートインターチェンジが設置された。
- 一般国道
- 主要地方道
- 一般県道
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 芥川龍之介自撰自筆の碑
- 西城沼公園
- はすだ市民まつり(8月下旬)
- さくらまつり(4月上旬)
- コスモスまつり
- 江ヶ崎城址 - 元・県指定史跡、現在は石碑のみ
- 閏戸の式三番(埼玉県指定無形民俗文化財)
- 関山貝塚・黒浜貝塚 - それぞれ縄文時代前期の土器型式である関山式及び黒浜式の標式遺跡として知られており、黒浜貝塚は国の史跡に指定されている。
- 蓮田市文化財展示館 - 黒浜式土器・関山式土器等を展示
- 武州鉄道 - 北足立郡神根村石神(現在の川口市石神)の神根駅から蓮田駅まで通っていた鉄道。
- 2007年まで開催されていた行政主体の蓮田シティマラソンが中止され久しかったが、自治体からの補助金を受けない市民団体主催の蓮田マラソンが2012年より開催(例年11月に開催されている)されるようになった。
関係する人物
- 出身人物
- ゆかりのある人物
脚注
注釈
出典
- ↑ 1.0 1.1 平成23年総務省告示第1号。同日付官報にて。
- ↑ 2.0 2.1 “「蓮田」の「蓮」を1点しんにゅうに変更することなどに伴う手続きについて”. 蓮田市役所 (2017年1月1日). . 2017閲覧.
- ↑ “蓮田のいわれ”. 蓮田市役所 (2016年12月1日). . 2017閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』1099-1103頁。
- ↑ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』268頁。
- ↑ 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』458頁。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』679頁。
- ↑ 8.0 8.1 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』81頁。
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』1429頁。
- ↑ “意見1件もなし…蓮田市名の「しんにゅう」問題” (日本語). 読売新聞. (2010年9月1日). オリジナルの2010年9月4日時点によるアーカイブ。 . 2015閲覧.
- ↑ 蓮田市/蓮田市議会議員名簿
- ↑ “職員に土下座強要、蓮田市議が辞職 別の職員にも”. 埼玉新聞. (2015年3月30日) . 2015-4-16閲覧.
- ↑ “表 市区町村別平均年齢”. 埼玉県 (2015年3月27日). 2015年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2015閲覧. (XLS)
- ↑ “出前健康相談・健康教育 (PDF)”. 埼玉県 (2015年3月27日). 2015年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2015閲覧.
参考文献
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』 角川書店、1965年。ISBN 4040011104。
外部リンク