新日鐵住金

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新日鐵住金株式会社(しんにってつすみきん、英文社名:NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL CORPORATION)は東京都千代田区に本社を置く、日本最大手の鉄鋼メーカー高炉メーカー)であり、エンジニアリング事業化学事業など5つの事業を有する新日鐵住金グループの中枢を担う事業持株会社である。略称はNSSMC。TOPIX Large70の構成銘柄の一つである。

粗鋼生産量において日本国内最大手、世界ではアルセロール・ミッタルルクセンブルク)、中国宝武鋼鉄集団(中国)に次ぐ世界第3位の規模を持つ。

官営八幡製鐵所の流れを汲む新日本製鐵と、住友グループの鉄鋼メーカーである住友金属工業が合併し、2012年に成立した。

概要

新日鐵住金は新日本製鐵と住友金属工業の合併によって発足した。新日本製鐵(新日鐵)は、日本製鐵株式會社(日鐵)を前身に持つ鉄鋼メーカーであった。日鐵は1934年に官営八幡製鐵所を中心として複数の製鉄業者が合同して発足し、「日本製鐵株式會社法」で経営が規定される高い公共性を持つ半官半民の国策会社であった。後に日鐵は太平洋戦争後の過度経済力集中排除法により4社に分割される(財閥解体)が、このうち八幡製鐵株式會社富士製鐵株式會社という鉄鋼メーカー2社が1970年に合併することにより、新日鐵は発足した。発足時は日立製作所を抜いて売上日本最大のメーカーであり、1980年代にトヨタ自動車に抜かれるまで、長年その位置を占め続けた。また、2010年粗鋼生産量において日本国内では首位、世界では第5位の規模を持っていた。一方の住友金属工業(住金)は、1935年に住友伸銅鋼管と住友製鋼所(旧・住友鋳鋼場)が合併して発足した鉄鋼メーカーであった。住金は関西経済界の重鎮(関西財界御三家)であり、住友グループの要として三井住友銀行住友化学と共に「住友グループ御三家」と称された。主たる事業は鉄鋼業であり、鋼管薄板厚板建材鉄道車両品、チタン、条鋼などを生産していた。事業の中でも「パイプの住金」と言われるように、継目無鋼管と呼ばれる原油発掘用の鋼管は世界的にトップシェアを誇っていた。また、2010年の粗鋼生産量において日本国内では第3位、世界では第19位の規模を持つ。

2012年10月1日、上述の新日本製鐵が住友金属工業を吸収合併して新日鐵住金は発足した。国内の鉄鋼業界では、2002年川崎製鉄日本鋼管(NKK)の経営統合によるJFEホールディングスが発足して以来、約10年ぶりの大型再編となった。それまでの再編では生産調整等が目的であったが、新日鉄住金では韓国中国をはじめ新興国の製鋼メーカー台頭を意識した戦略的合併が主な目的となっている。グローバル競争での存続を巡る大型取引であり、合併発表当時はこれを許容した公正取引委員会の態度の変化が話題となった。合併の背景には、日本国内での重複部門の統廃合によるコスト削減や、経営資源を集中させて莫大な費用を要する高炉建設を迅速に進める体制整備、また、鉄鋼需要が急拡大する新興国などを視野に、海外展開における課題(輸送コストや円高による価格競争力の低下)があり、規模拡大による競争力の強化が不可避と判断されたものと見られる[1]。粗鋼生産量ベースで世界4位の新日本製鉄と同19位の住友金属工業との合算は3,750万トンとなり、世界2位の宝鋼集団(3,130万トン)と3位ポスコ(3,110万トン)を上回り、首位を独走するアルセロール・ミッタル(7,750万トン)を追いかける筆頭となった(生産量の数値は2009年実績、世界鉄鋼協会調べ)[1]。また、企業結合により消滅した住友金属工業は住友グループの主要企業であったが、統合後の新日鐵住金としては住友グループ広報委員会等には加入していない。

2013年には、7年ぶりに鉄鋼メーカーとして時価総額世界一になった[2]

2018年5月、2019年4月1日に「日本製鉄」に社名を変更することを発表。財閥解体により八幡製鐵富士製鐵に分割される前の商号「日本製鐵」(にほんせいてつ)に復するが、「鐵」が新字体の「鉄」となり、読みも「にっぽんせいてつ」となる。英語社名は合併前の「Nippon Steel」に戻り、「& Sumitomo Metal」が外れる。進藤孝生社長は「日本製鐵」を意識したわけではないとした[3]が、6月の株主総会後には旧住友金属出身の代表取締役が一掃され、8人の代表取締役の全員を旧新日本製鐵出身者が占めることなった[4]

コーポレートスローガンは「総合力世界No.1の鉄鋼メーカーへ」。

同社は、高交叉角拡管穿孔法を考案・実現し、シームレスパイプを生産している。[注釈 1]

事業拠点

本社・支店

ファイル:SUMITOMO mura 01.jpg
大阪支社(住友ビル本館)

製造拠点

ファイル:Nippon Steel Kimitsu Works.jpg
君津製鐵所(君津地区)
ファイル:Oita nssmc oita.jpg
大分製鐵所(大分地区)

国内の13拠点によって展開されている。銑鋼一貫製鉄所は室蘭・鹿島・君津・名古屋・和歌山・八幡・大分の7か所である。

工場とその所在地、主な生産品目を以下に示す[注釈 2]

工場名 所在地 主な生産品目
室蘭製鐵所 北海道室蘭市仲町12 棒鋼線材
釜石製鐵所 岩手県釜石市鈴子町23-15 線材
鹿島製鐵所 茨城県鹿嶋市光3 薄板・厚板・形鋼鋼管
君津製鐵所 千葉県君津市君津1(君津地区) 薄板・厚板・線材・形鋼・鋼管
東京都板橋区舟渡4丁目3-1(東京地区 鋼管
直江津製造所 新潟県上越市港町2丁目12-1 ステンレス鋼チタン
名古屋製鐵所 愛知県東海市東海町5-3 薄板・厚板・鋼管
製鋼所 大阪府大阪市此花区島屋5丁目1-109 鉄道車両用車輪・車軸・クランクシャフト
尼崎製造所 兵庫県尼崎市東向島西之町1 鋼管
広畑製鐵所 兵庫県姫路市広畑区富士町1 薄板
和歌山製鐵所 和歌山県和歌山市湊1850(和歌山地区) 鋼管・薄板
大阪府堺市堺区築港八幡町1(堺地区 形鋼
和歌山県海南市船尾260-100(海南地区) 鋼管
光製造部 山口県光市島田3434 鋼管・チタン
八幡製鐵所 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1-1(八幡地区) 薄板・形鋼・軌条・鋼管
福岡県北九州市小倉北区許斐町1(小倉地区
(生産能力を増強する八幡地区に一本化し稼働率を向上させるため、2019年3月を目処に高炉を休止する予定[5]
棒鋼・線材
大分製鐵所 大分県大分市西ノ洲1(大分地区) 薄板・厚板
山口県光市島田3434(光地区 鋼管・チタン

研究開発拠点

  • 波崎研究開発センター - 茨城県神栖市砂山
  • REセンター(富津) - 千葉県富津市新富
  • 尼崎研究開発センター - 兵庫県尼崎市扶桑町

国外事業所

主要事業

製鉄事業

製品

製品は、船舶や大形構造物に使用される厚板自動車電気製品変圧器などに使用される高張力鋼を含む薄板表面処理鋼板、建築土木分野で使用されるH形鋼鋼矢板軌条などの建材、自動車部品建築物に使用される棒鋼線材、エネルギー分野や機械部品などに使用される鋼管が主なものである。交通産機品の製造では、鉄道車両用部品と自動車用鍛造クランクシャフトを主力とし、鉄道車両用車輪・車軸において日本国内シェアほぼ100%を誇る。その他、チタンステンレスの製造も行う。

エンジニアリング事業

化学事業

新素材事業

システムソリューション事業

沿革

2012年10月1日付けの経営統合以前の沿革は、新日本製鐵住友金属工業を参照。
  • 2011年平成23年)
    • 2月:合併基本計画を発表
    • 5月:公正取引委員会1次審査
    • 6月:公正取引委員会2次審査
    • 9月:新会社名、合併比率(住金株式1株に対して新日鐵株式0.735株を割当)を発表
    • 12月:公正取引委員会が合併を承認
  • 2012年(平成24年)
    • 4月:合併契約を締結
    • 6月:両社の株主総会で合併が承認
    • 10月1日:新日本製鐵が株式交換により住友金属工業を完全子会社としたのちに、住友金属工業を吸収合併。商号を「新日鐵住金株式会社」へと変更。
  • 2017年(平成29年)
  • 2019年(平成31年):
    • 3月:スウェーデンの特殊鋼メーカーであるOvakoを子会社化(予定)
    • 3月:特殊鋼メーカーの山陽特殊製鋼を子会社化(予定)
    • 4月:社名を「日本製鉄」に変更[3]。(予定)
  • 2020年(平成32年):
    • 3月:八幡製鉄所の高炉2基のうち小倉地区の1基を休止し八幡地区へ一本化、八幡地区から小倉地区への新たな鉄道輸送トンネルを供用予定[5]。(予定)

歴代会長・社長

鉄鋼業界の業界団体である日本鉄鋼連盟の会長職は1948年(昭和23年)の発足以来、慣行として新日本製鐵社長が務めていたが、2006年(平成18年)5月に三村からJFEスチール馬田一社長へ会長職を交代。今後は両社が2年おきの輪番で会長を務めることになる。

社長一覧

  1. 友野宏 - 2012年10月就任、2014年4月退任(副会長へ異動)
  2. 進藤孝生 - 2014年4月就任、日本経団連副会長

会長一覧

  1. 宗岡正二 - 2012年10月就任

グループ企業

2012年(平成24年)3月31日現在、新日鐵住金グループは傘下の連結子会社286社、持分法適用関連会社125社で構成されている。

社名に「しんにってつ」を含むグループ企業において、「『てつ』の漢字表記を『鐵』とするか『鉄』とするか」には、特段の統一性はない。

指定問屋

指定問屋のうち、有力企業により「十日会」と呼ばれる団体が組織されている。同団体は前身の日本製鐵時代より組織されており、新日鐵住金発足後も継続している。構成企業は下記のとおりである。

2012年(平成24年)9月18日現在

三井物産住友商事三菱商事伊藤忠商事丸紅双日豊田通商阪和興業岡谷鋼機日鉄住金物産兼松塚本總業

文化・スポーツ事業

スポーツ

人材育成

脚注

注釈

  1. 特許権取得時の特許権者は住友金属工業、特願2005-506775、特許4196991
  2. 鹿島・和歌山・小倉の3製鐵所、直江津・尼崎の両製造所、および製鋼所(大阪)は、旧・住友金属工業の工場。それ以外は、旧・新日本製鐵の工場である。
  3. 鹿島と広畑のみ会社直営の硬式野球部。ほかはクラブチーム(広域複合企業チーム登録も含む)の冠スポンサー

出典

  1. 1.0 1.1 “新日鉄と住金、来年合併へ”. 読売新聞 (読売新聞社). (2011年2月4日) 
  2. 【今日のチャート】新日鉄住金、円安で時価総額「世界一」に”. ブルームバーグ (2013年5月24日). . 2013閲覧.
  3. 3.0 3.1 帰ってきた「日本製鉄」複雑な社名の歴史日本経済新聞 2018年5月16日
  4. 新日鐵住金」が「日本製鉄」になる意味、進藤孝生社長が語るダイヤモンドオンライン
  5. 5.0 5.1 “小倉高炉、休止2年延期 戸畑には新鋳造設備 20度末”. 毎日新聞 (読売新聞社). (2016年3月31日). 2016-03-31. https://mainichi.jp/articles/20160331/ddp/008/020/003000c . 2016閲覧. 

参考文献

ほか

関連項目

外部リンク