鹿嶋市
Contents
概要
常陸国一宮である鹿島神宮の鳥居前町として古くから知られている他、昭和40年代以降は隣の神栖市との間に跨る重要港湾・鹿島港を中心とした鹿島臨海工業地帯が形成され、鉄鋼業・化学工業などのメーカーが集まる工業都市となっている。「新日鐵住金の企業城下町」と形容されることもある。
またJリーグ鹿島アントラーズのホームスタジアム(カシマサッカースタジアム)やクラブハウスが所在し、関東有数の「サッカーの街」としても知られている。
現在の鹿嶋市は、1995年(平成7年)に旧鹿島郡鹿島町が同郡大野村を編入して市制を施行した自治体であり、合併以前は鹿島神宮や鹿島アントラーズ同様「島」の字が使われ「嶋」の字を一般に使用する習慣はなかった。合併に際し旧鹿島町は、鹿島神宮や鹿島アントラーズの知名度などを理由に合併後の市名をそのまま「鹿島市」とすることを希望していたが、既に佐賀県に鹿島市が存在しており、重複を避けるために「鹿嶋神宮」(『延喜式神名帳』における表記)にちなみ異体字の「嶋」を用いて「鹿嶋」に自治体名を改めた[1]。
この名残で、現在でも市内では鹿島アントラーズのほかにも鹿嶋市立鹿島中学校、新日鐵住金鹿島製鐵所など「鹿島」の表記が団体・施設・企業などとしてごく一般的に使われている[1]。
地理
茨城県の南東部、東京から110キロメートル (km) 東北東に位置する。東側を太平洋(鹿島灘)、西側を北浦および鰐川に挟まれ、東西の幅が10㎞に満たない細長い市域を持つ。そのほとんどが鹿島台地の一部にあたり、東の海面・西の湖面標高と台地部分の標高差は大きいところで40メートルほどになる[2]。また海岸部は鹿島砂丘の一部にあたり、台地ともども耕作に適した土地が少なかったことから長らく開発・発展が遅れた地域であった。こうした背景から後に「鹿島開発」と称した大規模工業開発が行われることとなったが、その経緯については鹿島臨海工業地帯の項に詳しい。
生活圏としてはJR東日本鹿島線や東関東自動車道経由の高速バスなどで千葉県東部(香取、成田、銚子など)方面および東京方面との交通が密であり、これらの地域との関係が深い一方で、県の中心である水戸や土浦といった諸都市との繋がりは県内のほかの地域と比べて弱い。
隣接している自治体
歴史
年表
- 神武天皇元年(とされる) - 鹿島神宮の創建。
- 1489年(延徳元年) - 鹿島新當流の創始者・塚原卜伝が鹿島の地で誕生。
- 1871年12月25日(明治4年11月14日) - 廃藩置県により新治県に編入。
- 1875年(明治8年)5月7日 - 新治県が分割され、茨城県に編入。
鹿島郡鹿島町
大野村の歴史については「大野村_(茨城県鹿島郡)」の項を参照。
- 1889年(明治22年)4月1日 - 鹿島郡宮中村、根三田村が合併、鹿島町発足。
- 1953年(昭和28年)5月18日 - 国道123号(現在の国道51号)と国道124号が制定。
- 1954年(昭和29年)9月15日 - 鹿島町が鹿島郡高松村・豊津村・豊郷村・波野村を編入。
- 1961年(昭和36年) - 鹿島臨海工業地帯造成計画(マスタープラン)策定[3]
- 1969年(昭和44年) - 鹿島港開港、工場の操業が一部で始まる[3]。
- 1970年(昭和45年)8月20日 - 鹿島線(鹿島神宮駅〜香取駅間)が開業。
- 1985年(昭和60年)
- 3月14日 - 鹿島臨海鉄道大洗鹿島線が開業。
- 6月1日 - 新字名に神野1丁目〜4丁目(旧・宮中の一部)を設定[4]。
- 1991年(平成3年)2月14日 - 住友金属サッカー団(現・鹿島アントラーズ)のJリーグ加盟が決定。
- 1993年(平成5年)3月26日 - 茨城県立カシマサッカースタジアムが竣工。
市制施行以後
- 1995年(平成7年)9月1日 - 鹿島郡鹿島町が同郡大野村を編入。鹿嶋町と改称した[5]上で同日市制施行し[6]、鹿嶋市となる。
- 2002年(平成14年) - 2002 FIFAワールドカップをカシマサッカースタジアムにて開催。
- 2016年(平成28年)4月24日 - 市議1名が小学生への強姦容疑で逮捕[7]。
行政区域変遷
- 変遷の年表
鹿嶋市市域の変遷(年表) | ||
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年 | 月日 | 現鹿嶋市市域に関連する行政区域変遷 |
1889年(明治22年) | 4月1日 | 町村制施行に伴い、以下の町村がそれぞれ発足。[8][9][10][11][12] |
1954年(昭和29年) | 9月15日 | 鹿島町が高松村・豊津村・豊郷村・波野村と合併して鹿島町となる。 |
1955年(昭和30年) | 3月3日 | 大同村と中野村が合併し大野村が発足。 |
1995年(平成7年) | 9月1日 | 鹿島町が大野村を編入。
|
- 変遷表
鹿嶋市市域の変遷表 | ||||||
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1868年 以前 |
明治22年 4月1日 |
明治22年 - 昭和19年 | 昭和20年 - 昭和64年 | 平成元年 - 現在 | 現在 | |
宮中村 | 鹿島町 | 鹿島町 | 昭和29年9月15日 鹿島町 |
平成7年9月1日 鹿嶋市に市制改称 |
鹿嶋市 | |
根三田村 | ||||||
佐田村 | 高松村 | 高松村 | ||||
下塙村 | ||||||
谷原村 | ||||||
長栖村 | ||||||
国末村 | ||||||
粟生村 | ||||||
木滝村 | ||||||
鉢形村 | ||||||
平井村 | ||||||
泉川村 | ||||||
大船津村 | 豊津村 | 豊津村 | ||||
爪木村 | ||||||
田谷村 | 豊郷村 | 豊郷村 | ||||
猿田村 | ||||||
田谷沼新田 | ||||||
田野辺村 | ||||||
沼尾村 | ||||||
須賀村 | ||||||
山野上村 | ||||||
田谷村 | 波野村 | 波野村 | ||||
猿田村 | ||||||
田谷沼新田 | ||||||
田野辺村 | ||||||
沼尾村 | ||||||
志崎村 | 大同村 | 大同村 | 昭和30年3月3日 大野村 |
平成7年9月1日 鹿島町に編入 | ||
大小志崎村 | ||||||
武井村 | ||||||
武井釜村 | ||||||
津賀村 | ||||||
浜津賀村 | ||||||
和村 | ||||||
棚田村 | ||||||
荒井村 | ||||||
青塚村 | ||||||
角折村 | ||||||
中村 | 中野村 | 中野村 | ||||
奈良毛村 | ||||||
林村 | ||||||
小山村 | ||||||
荒野村 |
行政
歴代市長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
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初代 | 五十里武 | 1995年9月1日 | 1998年4月23日 | 旧鹿島町長 |
2-5代 | 内田俊郎 | 1998年4月24日 | 2014年4月23日 | |
6-7代 | 錦織孝一 | 2014年4月24日 | 現職 |
役所
- 鹿嶋市役所 - 鹿嶋市大字平井1187-1
- 大野出張所 - 鹿嶋市大字津賀1919-1
警察
- 鹿嶋警察署
- 宮中交番、荒井駐在所、小山駐在所、津賀駐在所
消防
- 鹿島地方事務組合消防本部
- 鹿嶋消防署
- 大野消防署
国の行政機関
衆議院
参議院
経済
第一次産業
漁業
市に面した鹿島灘ではさまざまな海産物が獲れるが、タコやヒラメなどが有名であり、特にハマグリは全国的にも有名である。
農業
第二次産業
高度経済成長期に、神栖市とともに鹿島港を中心とした鹿島臨海工業地帯が造成されて以降、工業都市として進展した。新日鐵住金の企業城下町となっており、市内には新日鐵住金系列の企業が数多く立地している。また、工業地帯には風力発電所や火力発電所などが置かれている。
市内に工場を置く主要企業
- 新日鐵住金
- 日鉄住金鋼管
- 中央電気工業
- 新日鐵住金ステンレス
- 日鉄住金鉱化
- エア・ウォーター
- シーケム
- 住友林業クレスト
- 鹿島共同火力
- 鹿島石油
- 日立セメント
- AGCセイミケミカル
- 東亜道路工業
- サミットウインドパワー
- 鹿島アントラーズ・エフ・シー
第三次産業
市の商業地域は、国道124号沿いや鹿嶋市役所前通りがある宮中地区・鉢形地区を中心に広がっている。ショッピングセンターチェリオを中心とし、家電量販店・ホームセンター・ディスカウントストア・書店・飲食店などロードサイド店舗が数多く並ぶ。
- 市内にある主な商業施設
- ショッピングセンターチェリオ(イオン)
- サンポートかしま
- ヤマダ電機テックランド鹿島店
- DCMホーマック鹿嶋店
- ホームプラザナフコ 北鹿嶋店
金融
姉妹・友好都市
海外
- 西帰浦市(大韓民国・済州特別自治道)
- 2003年11月26日に締結。2002年の2002 FIFAワールドカップ開催をきっかけに交流もつようになった。
- 塩城市(中華人民共和国江蘇省)
- 2002年11月8日に締結。
地域
人口
鹿嶋市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
町名一覧
スポーツ
サッカー
鹿島アントラーズの本拠地であり、アントラーズを核に地域ぐるみでサッカーを町おこしに活用している。Jリーグ発足以降、近年は高校サッカーにおいて、鹿島高等学校や鹿島学園高等学校などが全国高等学校サッカー選手権大会に出場(鹿島は6回出場、鹿島学園は4回出場)するなど、鹿嶋は茨城県内サッカーの中心地になりつつあり、アントラーズには鹿島ユースチームからの生え抜きの選手も増えてきている。2002年FIFAワールドカップの開催地にも選ばれた。
- 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
野球
- 社会人野球
- 新日鐵住金鹿島硬式野球部(旧:住友金属鹿島硬式野球部)
- 鹿島レインボーズ
サーフィン
太平洋に面した鹿島灘には広範囲にわたり良質な波が絶え間なく打ち寄せ、高速道路による東京都心からのアクセスも良く、週末には東京や埼玉から大勢のサーファーが訪れる。平井海岸や下津海岸をはじめ、数々の良質なビーチブレイクが楽しめる事により水温が低くなる冬でも大勢のサーファーで賑う。近年ではJPSA(日本プロサーフィン連盟)主催の鉾田プロ(ロングボード)がトップサンテポイントにて開催されている。
スポーツ施設
- 茨城県立カシマサッカースタジアム
- カシマスポーツセンター
- 卜伝の郷運動公園
- 高松緑地公園
- 鹿島ハイツスポーツプラザ
- 北海浜多目的球技場
- 新浜緑地公園
教育
高等学校
中学校
小学校
- 市立
- 三笠小学校
- 鹿島小学校
- 平井小学校
- 高松小学校
- 鉢形小学校
- 波野小学校
- 豊郷小学校
- 豊津小学校
- 大同東小学校
- 大同西小学校
- 中野東小学校
- 中野西小学校
文化施設
図書館
博物館
- カシマサッカーミュージアム
- 鹿嶋市どきどきセンター(国の史跡「郡家跡」などの出土品を展示)
ホール・コミュニティセンター
- 鹿嶋勤労文化会館
- 大野ふれあいセンター
- 平井コミュニティセンター
交通
鉄道路線
中心駅:鹿島神宮駅
道路
市内に高速道路はない。東関東自動車道の終点となるはずだったが、基本計画段階には行方市を経て北上するルートに変更され、潮来ICから鹿嶋市方面への計画は放棄された。
高速バス
鹿嶋市と東京方面を結ぶ高速バスは鹿島神宮駅を始発(一部はカシマサッカースタジアム始発)とし、鹿嶋市内を経由する(神栖市、潮来市も経由)。 鹿島神宮駅と東京駅を結ぶかしま号は、東京方面への利用客や鹿島臨海工業地帯への出張客、カシマサッカースタジアムで開催される鹿島アントラーズの試合観戦客を中心に利用されている。 現在、東京駅発着の高速バス路線の中では便数・利用者数が最も多いドル箱路線となっている。
- 運行路線
- かしま号:カシマサッカースタジアム・鹿島神宮駅 - 東京駅
- ミッドナイトかしま号(深夜便):東京駅 → 鹿島神宮駅
- 鹿島-羽田空港ルート:鹿島神宮駅 - 羽田空港
- 鹿島-お台場ルート:鹿島神宮駅 - 海浜幕張駅・東京ディズニーリゾート・東京テレポート駅
路線バス
- 関東鉄道
- 鹿嶋コミュニティバス
- 広域連携路線バス(関鉄グリーンバスが運行)
- 潮来駅 - 水郷潮来バスターミナル - 道の駅いたこ - 延方駅 - なめがたファーマーズヴィレッジ - 鹿島大野駅
港湾
メディア
常陸鹿島テレビ中継局送信設備
常陸鹿島テレビ中継局も参照。
デジタル中継局 | ||||||||
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放送局名 | リモコンキーID | 物理チャンネル | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 | 開局年月日 | |
NHK水戸総合テレビ | 1 | 20 | 3W | 15.5W | 茨城県 | 3万6467世帯 | 2004年12月1日 | |
NHK東京教育テレビ | 2 | 26 | 全国放送 | |||||
NTV日本テレビ | 4 | 25 | 12W | 関東広域圏 | 3万8763世帯 | 2008年12月16日 | ||
EXテレビ朝日 | 5 | 24 | ||||||
TBSテレビ | 6 | 22 | ||||||
TXテレビ東京 | 7 | 23 | ||||||
CXフジテレビ | 8 | 22 |
放送局
- NHK水戸放送局かしま報道室
ラジオ
新聞
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
寺院・神社
公園
- 鹿島城山公園
- 長者ヶ浜潮騒はまなす公園
レジャー
- サテライトしおさい鹿島
- 鹿島港魚釣園
- 下津海水浴場
- 平井海水浴場
祭り・イベント
出身有名人
- 歴史上の人物
- スポーツ選手
- 加藤慎也 - 元サッカー選手
- 川島大地 - サッカー選手(ギラヴァンツ北九州所属)
- 佐々木竜太 - サッカー選手(HBO東京所属)
- 曽ヶ端準 - サッカー選手(鹿島アントラーズ所属)
- 滝川敬祐 - サッカー選手
- 根本裕一 - 元サッカー選手
- 野本泰崇 - サッカー選手(奈良クラブ所属)
- 市川友也 - 元サッカー選手
- 矢畑智裕 - 元サッカー選手
- 加藤暁彦 - 元プロ野球選手
- 文化人・芸能人
- キタキマユ - 歌手
- 9代目三笑亭可楽 - 落語家
- 谷桃子 - グラビアアイドル
- 千ヶ崎公子 - アナウンサー
- 花柳はるみ - 女優(日本映画の女優第一号)
- 平山陽 - テレビディレクター
- 風雅なおと - 歌手
- 松金ようこ - グラビアアイドル
- 三須亜希子 - フリーアナウンサー
鹿嶋市を舞台にした作品
テレビドラマ
- 塚原卜伝(2011年、NHK BSプレミアム)
その他
鹿嶋市に因んだ詞
- 「鹿島立ち」:遠い旅路への出発。律令時代、鹿島周辺の民衆が、鹿島神宮で必勝祈願をしてから、大宰府のある北九州に赴いたことに由来する。
- 「鹿島の事触れ」:大きな出来事の発生を暗示する事。幸運にも凶運にも用いられる。鹿島神宮の神官が、農村に暦を配って歩いたことに由来する。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 小野寺敦 監修 『茨城「地理・地名・地図」の謎』 (2014, pp. 31-32)
- ↑ 地理院地図(電子国土Web)2016年12月31日閲覧。
- ↑ 3.0 3.1 鹿嶋市/ホームタウン(鹿島開発) - 2016年12月31日閲覧。
- ↑ “字区域の変更(昭和60年5月30日 茨城県告示864号) (PDF)”, 茨城県報 (茨城県) 第7351号: pp.2-4, (1985年5月30日)
- ↑ 町の名称変更 (平成7年8月8日 自治省告示第144号) 2014年7月5日閲覧。
- ↑ 町を市とする処分 (平成7年8月8日 自治省告示第145号) 2014年7月5日閲覧。
- ↑ 鹿嶋市議を逮捕 - 朝日新聞2016年4月24日
- ↑ 『鹿島町史 第3巻』、鹿島町、1981年より
- ↑ 『鹿島町史 第4巻』、鹿島町、1984年より
- ↑ 鹿島町史編さん委員会編『鹿島町史 第5巻』、鹿嶋市、1997年より
- ↑ 大野村史編さん委員会編 『大野村史』、大野村教育委員会 、1979年より
- ↑ 角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 8 茨城県』、角川書店、1983年 ISBN 4040010809より
- ↑ 鹿島郡神向寺村
参考文献
- 小野寺敦 監修 「地名と方言にまつわる不思議にせまる」『茨城「地理・地名・地図」の謎』 実業之日本社〈じっぴコンパクト新書〉、2014年、初版、pp.31-32。ISBN 978-4-408-45517-4。