隈研吾
隈 研吾 (くま けんご) | |
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生誕 |
1954年8月8日(70歳) 日本 神奈川県横浜市 |
国籍 | 日本 |
出身校 | 東京大学大学院建築意匠専攻 |
職業 | 建築家 |
配偶者 | 篠原聡子 |
受賞 |
日本建築学会賞作品賞(1997年) 村野藤吾賞(2001年) リーフ賞(2008年) 毎日芸術賞(2010年) 芸術選奨(2011年) |
公式サイト | kkaa.co.jp |
所属 |
慶應義塾大学 東京大学工学部 隈研吾建築都市設計事務所 |
建築物 |
M2 水/ガラス 登米町伝統芸能伝承館 那珂川町馬頭広重美術館 石の美術館 GREAT (BAMBOO) WALL サントリー美術館 根津美術館 |
隈 研吾(くま けんご、1954年(昭和29年)8月8日 - )は、日本の建築家(一級建築士)。株式会社隈研吾建築都市設計事務所主宰。東京大学教授。木材を使うなど「和」をイメージしたデザインが特徴的で、「和の大家」とも称される[1]。
来歴
神奈川県横浜市大倉山出身。三菱金属鉱業(現三菱マテリアル)のサラリーマンだった父親(長崎県大村市出身で東京・日本橋育ち[2])が45歳の時の息子で[3][4]、医院を営んでいた母方の祖父が建てた大倉山駅近くの古い家で育つ[3][5]。
家の修繕をするデザイン好きの父親に付き合ううち、建築に興味を持つ[4]。田園調布小学校に通っているときに、1964年東京オリンピックのオリンピック建築を見て、建築家を志す[3][6]。栄光学園高校では、長身 (189cm) を生かしてバスケットボール部でセンターを守っていた[7]。
東京大学工学部建築学科卒業。東京大学大学院建築意匠専攻修士課程修了(1979年[8])。在学中は、芦原義信、槇文彦、内田祥哉、原広司らに師事。同級生には小林克弘(首都大学東京教授)や大江匡(建築家)、村田誉之(大成建設)がいた[9]。
大学院で修士論文を書いていた時期に、同級生の多くが当時話題の新鋭・安藤忠雄に憧れていた。その逆を行くことを自身は選択してアトリエ系事務所ではなく、社会に揉まれるためにと大手設計事務所の日本設計に就職[10]。
その後、戸田建設、米国コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員(1985年 - 1986年)を経て、1990年に隈研吾建築都市設計事務所を設立する。法政大学工学部建設工学科非常勤講師、慶應義塾大学環境情報学部特別招聘教授(1998年4月から1999年3月)、早稲田バウハウス・スクール講師(1999年から2002年、春・夏)、慶應義塾大学理工学部客員教授(2002年4月から2007年3月)慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授(2007年 - 2009年3月)、米国イリノイ大学建築学科客員教授(2007年 - 2008年)を経て、2009年4月より東京大学工学部建築学科教授。2007年3月に博士論文「建築設計・生産の実践に基づく20世紀建築デザインと大衆社会の関係性についての考察」を慶應義塾大学に提出し博士(学術)の学位を取得。2008年、フランスの首都パリにKuma & Associates Europe設立。2018年開校予定の高知県立林業大学校の初代校長に決まる[11]。
初期はM2(自動車のショールーム)などポストモダニズムに一部脱構築主義要素を加えた建物を発表していたが、高知県高岡郡檮原町の「ゆすはら座」存続への関わりをきっかけとして[12]、木材などの自然素材を生かした建築や、縦格子を多用したデザインが特徴的な作品を多く手がけるようになる。近年は活躍の場を海外にも広げ、国際コンペでの受賞も着実に増やしており、世界的に注目される日本人建築家の一人として認識されつつある。また設計の他、室内演出や家具[13]・食器などのデザイン、ホテルやマンションの監修も手がける。
2010年代には、自らのデザインポイントの1つとして、ストラクチャーを際立たせ過ぎないための「粒感」を挙げている[14]。
愛知万博では会場・パビリオンの設計に携わっていた(会場計画プロジェクトチーム)が、自然保護団体の反対で度々計画が縮小したため、辞任した。
中国、北京郊外のGreat (Bamboo) Wallは北京オリンピックのCMにも使われた[15]。韓国では、知韓派の建築家として活動している[16]。
2018年には、約30年間の活動を紹介する個展「くまのもの」が東京ステーションギャラリーで開催[17]。これまで使ってきた10種類の素材(竹、木、紙、土、石、金属、ガラス、瓦、樹脂、膜・繊維)ごとに合計75件のプロジェクトの模型・資料などを展示した[18]。
栄典
受賞
- 1997年(平成9年) - 日本建築学会賞作品賞(登米町伝統芸能館)
- 2001年(平成13年) - 村野藤吾賞(那珂川町馬頭広重美術館)
- 2010年(平成22年) - 毎日芸術賞(根津美術館)
- 2011年(平成23年) - 芸術選奨文部科学大臣賞(梼原・木橋ミュージアム)
著書
- 10宅論
- 新・建築入門
- グッドバイ・ポストモダン
- 建築的欲望の終焉
- 建築の危機を超えて
- 反オブジェクト(ちくま学芸文庫)
- 負ける建築
- 隈研吾:レクチャー / ダイアローグ
- 新・都市論TOKYO(清野由美との共著)集英社新書
- 自然な建築
- 素材の系譜(監修)
- 三低主義(三浦展との共著)
- 境界(監修)
- 新・ムラ論TOKYO(清野由美との共著)集英社新書
- 日本人はどう住まうべきか?(養老孟司との共著)
- 対談集 つなぐ建築
- 場所原論 - 建築はいかにして場所と接続するか - (市ヶ谷出版社)
作品集・関連書籍
- 隈研吾読本I・II / A.D.A. EDITA Tokyo
- 隈研吾 マテリアル・ストラクチャーのディテール / 彰国社
- JA The Japan Architect 38 : 隈研吾 / 新建築社
- Kengo Kuma Selected Works / Botond Bognar著 / Princeton Architectural Press, USA
- GA Architect 19 隈研吾 / A.D.A. EDITA Tokyo
- Kengo Kuma : Works and Projects / Luigi Alini著 / Mondadori Electa, イタリア
- Kengo Kuma / C3 / 韓国
- Kengo Kuma Recent Project 隈研吾最新プロジェクト / A.D.A. EDITA Tokyo
- Material Immaterial : The New Work of Kengo Kuma / Botond Bognar著 / Princeton Architectural Press, USA
- Studies in Organic / Kengo Kuma & Associates 編 / TOTO出版
- NA建築家シリーズ02 隈研吾 / 日経アーキテクチュア編 / 日経BP社
- 隈研吾 極小・小・中・大のディテール / 隈研吾建築都市設計事務所 編著 / 彰国社
- I Maestri dell’Architettura Kengo Kuma / Hachette Fascicoli, イタリア
建築作品
- Doric.jpg
ドーリック
- M2 Building.jpg
M2(現東京メモリードホール)
- Stone Plaza.jpg
石の美術館
- West Park 1000.jpg
高崎駐車場
- Asakusa Culture Tourism Center.JPG
浅草文化観光センター
- 完成年、タイトル(用途・ウェブなど)
- 1985年(昭和60年) - バルブ・ショップ
- 1986年(昭和61年) - 経堂グレーチング(共同住宅)
- 1988年(昭和63年) - 伊豆の風呂小屋(別荘)
- 1989年(平成元年)
- GT-M(ショールーム)
- 建築史再考
- 1990年(平成2年) - De町屋
- 1991年(平成3年)
- ドーリック(商業施設)
- RUSTIC(コーポラティブハウス)
- マイトン・リゾート(プーケット・タイ)
- M2(現・東京メモリードホール)
- 1992年(平成4年) - 鬼ノ城ゴルフ倶楽部 [2]
- 1994年(平成6年)
- 1995年(平成7年)
- 水 / ガラス(ATAMI 海峯楼) [5]
- ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館展示
- 1996年(平成8年)
- 1998年(平成10年) - 神戸淡路鳴門自動車道淡路サービスエリア 下り線休憩施設 [9]
- 1999年(平成11年)
- 2000年(平成12年)
- 2001年(平成13年)
- 2002年(平成14年)
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年)
- 2005年(平成17年)
- 2006年(平成18年)
- 2007年(平成19年)
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)
- 2010年(平成22年)
- 川棚の杜 山口県下関市川棚温泉交流センター [53]
- 安藤百福記念自然体験活動指導者養成センター [54]
- プロソミュージアム・リサーチセンター [55]
- 三里屯SOHO(複合商業施設、中国・北京) [56]
- Glass/Wood house(別荘)
- Bamboo/Fiber(住宅)
- 赤城神社/パークコート神楽坂(神社・集合住宅) [57]
- 上下(店舗、中国・上海) [58]
- まちの駅「ゆすはら」(ホテル・市場)、梼原 木橋ミュージアム(展示場) [59]
- ザ・キャピトルホテル 東急(ホテル) [60]
- 玉川髙島屋S • C本館ファサード改修 [61]
- 華都飯店(レストラン) [62]
- STONE ROOF(別荘)
- 2011年(平成23年)
- 2012年(平成24年)
- 長岡市シティホールプラザアオーレ長岡(市庁舎) [70]
- 帝京大学小学校 [71]
- 浅草文化観光センター [72]
- マルセイユ現代美術センター(フランス)
- 2013年(平成25年)
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)
- 十和田市民交流プラザ
- 豊島区役所庁舎(としまエコミューゼタウン)
- 京王電鉄高尾山口駅駅舎
- TOYAMAキラリ(富山市ガラス美術館・富山市立図書館本館・富山第一銀行本店)
- 中国美術学院民芸博物館
- 虹口SOHO(中国)
- 首都圏中央連絡自動車道菖蒲パーキングエリア(内装デザインを監修)[77]
- 2016年(平成28年)
- 西武鉄道観光電車 西武 旅するレストラン「52席の至福」(鉄道車両、外装・内装デザインを監修) [78]
- スイス連邦工科大学ローザンヌ校
- 桐朋学園音楽部門 仙川新キャンパス
- KITTE博多(1階通路・セットバック、2階デッキの天井デザイン)
- 2017年(平成29年)
- 東洋大学赤羽台キャンパス
- 成田リハビリテーション病院
- 南三陸さんさん商店街 [79]
- 栄光学園中学校・高等学校新校舎(隈の出身校、設計監修) [80]
- 観音崎京急ホテルモバイルハウス「住箱-JYUBAKO-」(スノーピークとのコラボレーション) [81]
- 一行院 千日谷淨苑(はせがわの屋内墓苑) [82]
- 2018年(平成30年)
- 日本ハウスホールディングス(旧東日本ハウス)50周年記念モデルハウス [83]
- 進行中の主な建築プロジェクト
- HIKARI, ILOT-P, Lyon Confluence(フランス)
- Victoria & Albert Museum at Dundee(スコットランド・UK) [84][85]
- Aix en Provence Conservatory of Music(フランス)
- Granada Performing Arts Center(スペイン)
- Fond Regional d’Art Contemporain(フランス)
- Besancon City of Arts and Culture(フランス)
- サン=ドニ=プレイエル駅(フランス)
- (仮称)栄一丁目御園座共同ビル計画(グランドメゾン御園座タワー、愛知県名古屋市中区)[86]
- 碧海信用金庫御園支店(愛知県名古屋市中区)[87]
- 広報文化施設ジャパン・ハウス(仮称、ブラジル) - 設計デザイン監修[19][20]
- 新国立競技場[21]
- ところざわサクラタウン(角川ロックミュージアム)
- 湯の駅おおゆ
- パークコート赤坂檜町ザ・タワー
- 渋谷駅地区駅街区開発計画
- JR東日本 品川新駅[22]
- 富岡市役所新庁舎
- 石垣市役所新庁舎
- 千葉市役所新庁舎
- 米原駅東口周辺まちづくりプロジェクト「宿場町構想」[23]
パビリオン作品
- 2005年(平成17年) - 織部の茶室 [88]
- 2005年(平成17年) - KXK [89]
- 2005年(平成17年) - ペーパースネーク [90]
- 2005年(平成17年) - t-room [91]
- 2007年(平成19年) - CIDORI(チドリ)
- 2007年(平成19年) - 水ブロック
- 2007年(平成19年) - Tee Haus
- 2007年(平成19年) - ストーン カード キャッスル [92]
- 2007年(平成19年) - Two Carps [93]
- 2007年(平成19年) - 浮庵(フアン)
- 2008年(平成20年) - カサ・アンブレラ
- 2008年(平成20年) - Water Branch House [94]
- 2008年(平成20年) - ポリゴニウム [95]
- 2009年(平成21年) - Con / Fiber(コンファイバー)[96]
- 2010年(平成22年) - CERAMIC YIN YANG [97]
- 2010年(平成22年) - Air Brick [98]
- 2010年(平成22年) - セラミッククラウド [99]
- 2011年(平成23年) - 泡でつつむ [100]
出演
- YouTube 「デザイン特講」『1/2隈研吾』 2009年3月27日
- YouTube 「デザイン特講」『2/2隈研吾』 2009年3月27日
- プロフェッショナル 仕事の流儀(日本テレビ、2007年4月10日)[24]
- オデッサの階段(フジテレビ、2013年2月7日)
- アナザー・スカイ(日本テレビ、2017年1月20日)
隈事務所出身の建築家
その他
- 新建築住宅設計競技、長谷工住まいのデザインコンペティション、せんだいデザインリーグ2010など審査員を歴任。
脚注
- ↑ 迷走ようやくピリオド「和の大家」デザイン - 毎日新聞 2015年12月22日
- ↑ 長崎倶楽部 No.31 巻頭インタビュー22 私と長崎 2006.8.1
- ↑ 3.0 3.1 3.2 外苑の森に「杜のオリンピックスタジアム」をつくる(上) - NIKKEI STYLE、2016年8月4日
- ↑ 4.0 4.1 ほぼ日刊イトイ
- ↑ 現在身長183cm 『三低主義』
- ↑ Com-et TOTO
- ↑ Com-et TOTO
- ↑ キーマンが語るトウキョウ地図 第1回 建築家 隈研吾氏「都市を前に進める新たなエンジンが必要」 - 社団法人東京建設業協会
- ↑ 自分の道が分からずもがき苦しむ、隈研吾氏に聞く(1) - ケンプラッツ
- ↑ 「負ける建築」を体で覚える、隈研吾氏に聞く(3)(新しい建築の鼓動2010) - 日経アーキテクチュア、2009年12月1日
- ↑ [1]
- ↑ テレビ東京「カンブリア宮殿」2011年8月4日放送
- ↑ プレステージジャパン、隈研吾氏デザインの家具『日本経済新聞』朝刊2018年2月14日
- ↑ 【隈研吾】生物に重要なのは「粒状感」 日本建築文化保存協会で創作の原点語る - 建設通信新聞の公式記事ブログ、2016年12月7日
- ↑ 再発見、日本建築の底力─『自然な建築』(隈研吾著)(JBpress隈研吾インタビュー)
- ↑ http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/06/08/2014060800461.html
- ↑ くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質東京ステーションギャラリー(2018年3月26日閲覧)
- ↑ 隈研吾さんの30年「くまのもの」展/環境との調和 新境地開けた『読売新聞』朝刊2018年3月22日(文化面)
- ↑ ジャパンハウス=パ大通り52番に開設決定!=18年度までに予算25億円?=事務局長に平田アンジェラ=コロニア連携は未知数… - ニッケイ新聞、2016年1月19日
- ↑ ジャパンハウス=和風で奇抜な玄関が特徴=原、隈氏が外観を説明=伊勢神宮付近のヒノキ使用 - ニッケイ新聞、2016年2月27日
- ↑ 毎日新聞. “新国立競技場 選ばれたA案 - 首相「誇れるレガシーに」”. . 2015閲覧.
- ↑ 毎日新聞. “JR東 山手線新駅「和」のイメージに…20年暫定開業”. . 2016閲覧.
- ↑ “米原駅東口周辺まちづくり構想を語る (PDF)”. 米原市役所 (2016年2月1日). . 2017閲覧.
- ↑ 第47回 隈研吾 “負ける”ことから独創が生まれる(2007年4月10日放送) NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
外部リンク
- Kengo Kuma and Associates
- 隈研吾
- 第56回「私の哲学」隈 研吾氏 | 株式会社インターリテラシー
- リトアニア・日本建築フォーラム「East-East」
- 東京大学工学部 隈研吾研究室
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