ホテル

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東京駅に隣接するホテル外観。シャングリ・ラ ホテル 東京は写真向かって左側の建物
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ラスベガスMGMグランド
世界一の面積を誇るカジノホテルで、総客室数は6850。これは日本で一番部屋数が多いホテルの3倍ほどにあたる。

ホテル: hôtel)とは、出張中のビジネスパーソンや観光目的の旅行者などのための宿泊施設。語源はラテン語の「ホスピタリア」であり、無償の接待部屋という意味。

会議場やパーティー宴会場、結婚式場プールなどを備え、政府レベルの国際会議が開かれることもある大型ホテル(プラザ合意の舞台となった米国のプラザホテルなど)から、トレーラーハウスキャンピングカー駐車場に並べた仮設ホテル[1]まで様々ある。

日本では、外観・内装や接客が和風の旅館だけでなく、洋式ホテルも旅館業法の規制を受ける[2]

なお、ホテルと類似した施設として、ユースホステルペンションコテージ短期賃貸マンション(いわゆるウィークリーマンションやマンスリーマンション)、民宿などがある。

ホテルの形態

ホテルの分類に関して明確な区分があるわけではなく、国や運営事業者の自称によって異なる。

  • シティホテル
    都市中心部や駅周辺に立地するホテル[3]
    シティホテルの語は、1794年ニューヨークに出来たシティ・ホテル(74室)で最初に使われ、以降、各地に普及した。都心部に立地するため投資コストが高い一方、集客力も高く、大規模で多機能なものが多い。
    日本では、宴会場や料飲施設(レストラン、ラウンジ、バー)などを併設する規模の大きいホテルの呼称となっている[3]。また、プールスポーツジム・スパ等のリラクゼーション施設を設置している例もある。全国規模の業界団体として、1903年創立の一般社団法人日本ホテル協会と1971年設立の一般社団法人全日本シティホテル連盟があり、前者は(構造上の)シティホテルおよび同等の設備を持った都市型リゾートホテルのみが正会員であるため、ビジネスホテルとの判別の目安となる。
    アメリカでは、メトロポリタン・ホテル(大都市立地)、ダウンタウン・ホテル(市街地立地)、コンベンション・ホテル(会議用)、コマーシャル・ホテル(商用)といった分類もみられる[3]
  • ビジネスホテル
    日本でいうビジネスホテルとは、宿泊機能に重点を置く都市市街地など交通の要所に立地するホテルで、シティホテルよりも客室が狭くサービスも簡素化された低料金のホテル[4]。日本におけるビジネスホテルという業態を考案し、最初に始めたのは法華倶楽部(ホテル法華クラブチェーン・1920年大正9年)9月12日に京都にて1名1室形態の個室旅館を創業)である。
    日本国外におけるビジネスホテルは、エグゼクティブの使用を前提としたホテルを指すケースが一般的で(ビジネスクラスと同義)、広々とした部屋に会議室等のビジネス設備や、フィットネスクラブなどが併設されているケースが多く、日本における一般的なシティホテルを指している。日本におけるビジネスホテルは、北米などのモーテル欧州ベッド・アンド・ブレックファストに相当するケースが多い。
  • 観光ホテル・リゾートホテル
    観光ホテルは、景勝地、温泉地、史跡、ビーチ、高原・山岳地帯などの観光地・リゾート地に立地する遊覧や保養を目的とする観光客のためのホテル[5][6]。観光客向けにプールやプライベートビーチ、テニスコート、カジノなど多くの付帯施設を持つものもある[3]。一方では、ゆっくりとくつろぐことに主眼を置いた、ハウスホテルやヴィラ様式の施設も多い。
    日本では旅館業法のホテル営業ではなく旅館営業であることも多く、政府登録国際観光旅館に登録されていたり、あるいは国際観光旅館連盟(通称「国観連」)、日本観光旅館連盟(通称「日観連」)に加盟していたりすることも多い。
    リゾート会員権」の売り出しで資金調達し、その保有者の宿泊(滞在)用途に特化した会員制の施設も多く、便宜的に「会員制リゾートホテル」「会員制ホテル」などと言われている。これらは区分占有型のリゾートマンションとは区別されている。
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カプセルホテルの客室の例
  • カプセルホテル
    カプセルホテルはカプセル状の簡易ベッドが提供される宿泊施設。日本独自の形態のホテルである[7]。旅館業法ではホテル営業ではなく簡易宿所営業になる。ほとんどは、ビジネスホテル同様、都市の繁華街に立地する。施設としては単独のものの他、サウナ店に併設されるケースも多く、大部屋の中にカプセルが積み重ねられた形態が多い。ビジネスホテルと比べて比較的安価で宿泊できるのも特徴である。
  • モーテル
    モーターホテル、モーターインともいう。元々の意味は、アメリカ合衆国のような自動車道路網が発達した広大な国で、自動車で旅行をする人を想定して設置された、セルフサービスを基本とするホテルである(英語版のMotel参照)。米国でのモーテルは、日本における、国道沿いや高速道路インターチェンジ付近にあるビジネスホテルホテルルートインチェーンなど)に近いものである。アメリカの場合、ほとんどは高速道路(フリーウェイ)の出入り口周辺の町の郊外に立地しており、かなり小さな町にまで存在することも多く、地域の社会インフラの一つとなっている。
    形態としては、「ビジネスホテル」同様、大規模なチェーン店のものから、小規模のものまで存在する。日本で唯一モーテル型式の郊外宿を展開しているファミリーロッジ旅籠屋が典型であるが、セルフサービスで荷物の運搬を楽にするため、車を止めて、短い距離で客室にアクセスできる構造になっているのが特徴である。アメリカでは、平均的な料金が一部屋で一泊40ドルから50ドル前後と比較的手ごろで、一部観光地などのハイシーズンを除き予約なしで利用できることから、非常にポピュラーな宿泊施設として定着しており、客層もビジネス客、男女のカップル家族連れとさまざまである。
    イメージ的には、大手チェーン店のものは日本の「ビジネスホテル」、個人経営に近い小規模なものは「旅館」「民宿」に近いが、客室は家族連れも想定したセミダブルベッドのツインルームが基本で、面積も日本の一流シティホテル並みの広さがある。
    日本では、車で入ることができる「ラブホテル」の意味で用いられることが多かったが、本来、米国ではこのような意味はない。近年、日本においても、米国における意味でのモーテルという語が知られるようになるとともに、車で入ることができるラブホテルが一般化したため、ラブホテルに対してモーテルという呼称はあまり使われなくなっている。
  • ラブホテル
    ファッションホテル、ブティックホテル、カップルズホテルなどと呼ばれることもある。高速道路のインターチェンジ周辺、幹線道路沿い、あるいは、駅近隣の特定地に立地しており、カップルでの利用を想定しているホテル。略称「ラブホ」。日本独自の形態のホテルである。俗に「連れ込み宿」「同伴旅館」などとも呼ばれ、自動車で向かうラブホテルのことを、初期には「モーテル」とも呼んだ。性交目的に利用することを想定しており、構造は一般的なホテルとはかなり異なる。
    入り口に垂れ幕があったり、外部から見えにくくしていたり、内部も他の客や従業員にできるだけ会わずに入室できる工夫がしてある。客室も同じ部屋はほとんどなく、ベッドにも工夫が凝らしてあり、浴室なども豪華に作られていることが多い。客室は写真などで選べるシステムになっている。外部の看板も、派手なネオンサインが光っているのも特徴の一つ。
    利用目的が、他のホテルと大きく異なるため、料金も宿泊の他、「休憩」名目で3時間で○○円というような体系があり(近年では一般のシティホテルなども日中の短時間利用(デイユース)が可能な施設も増えている)、法的には風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(略称・風営法)の適用を受ける。1990年代以降、風営法上の「ラブホテル」の新設がほぼ全ての地域において禁止されているため、それに該当しないよう、形式的に食堂を設けたり、ロビーを広くとったりするなど風営法上の適用を受けない「類似ラブホテル(偽装ラブホテル)」も多数存在する。
    このような形態のホテルは、香港台湾韓国など他の一部のアジア諸国にも存在し、日本のラブホテルをモデルにしている。なお、ブティックホテルの呼称は、作家・元長野県知事田中康夫が発案した。ただし、アメリカでのブティックホテルとは日本でいうデザイナーズホテルに相当する。
    近年では、日本でもデザイナーズホテルのことを「ブティックホテル」と呼ぶこともあり、使用が曖昧となっている。
  • デザイナーズホテル
    デザイン・コンセプトを明らかにして工夫を凝らし設計させた個性的でモダンな設計・内装・外観を有するホテル[8]
  • シャトー・ホテル / マナーハウス
    ヨーロッパなどに多い、中世の古城や貴族の邸宅などを改造したホテル[8]。特に大きい規模のものをシャトー・ホテルという[8]
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スウェーデンのアイスホテル
  • アイスホテル
    アイスホテルとは湖などから切り出した氷や雪によって作られたホテルである。スウェーデンノルウェーなどの北欧諸国やカナダなどで、冬季の寒さを利用して建設される。春になると溶けてしまうので基本的に冬季限定であり、毎年再建される。どのような施設が作られるかはそのホテルによるが、観光客向けのホテルであり、様々な趣向が凝らされる。
  • 洞窟ホテル
    洞窟ホテルとは、自然の洞窟を利用して作られたホテルであり、部屋が地下に存在するものである。スペイントルコオーストラリアに建設されている。
  • ホテルシップ
    繁忙期に、地域の供給客室数を補う目的で、客船を係留してホテルとして用いることもある。
  • コンドミニアム / レジデンシャルルーム
    ハワイなどに多い、生活用のキッチンなどの諸設備のあるアパートメント形式の宿泊施設[8]。主にリゾートホテルやコテージ・オーベルジュに設置されるもので、スイートルームと同レベルの広さと設備の室内に、大型冷蔵庫やキッチンなどの自炊設備があり、家族やグループの長期滞在に適しているもの。

ホテルの評価

ホテルの機能や価格帯によって、5段階や6段階に星数などで分類することも一般的であり、アメリカ自動車協会による評価や、フランスギド・ミシュランなどが知られている。

ホテルの客室

客室の形態

  • シングル(シングルルーム) / デラックス・シングル(セミダブルルーム)
    シングルサイズベッドを設けた1名用客室。北米ではセミ・ダブルベッドを設けた客室の場合もあり、アジアやヨーロッパではこれをデラックス・シングルと称する[9]
  • ダブル(ダブルルーム)
    ダブルサイズベッド1台を設けた2名用客室[9]
    ベッドはダブルサイズ(幅160cm程度)の他、高級ホテルではクイーン(幅180cm程度)やキング(幅200cm程度)が設置されている場合が多い。特に高級ホテルではシングルルームを設けず、1人客にはダブルルームの1名使用(シングルユース)で対応する所も多いが、1人客が中心のビジネスホテルでは設定していない所が多い。
    欧米のホテルでは概して最も多く設定されている客室形式であり、海外旅行の際にツインルームを希望しても、ホテルによってはツインの設定数が少ないために手配に苦労することもある。欧米では夫婦やカップルは一つのベッドで寝るのが一般的であるため、日本人でも夫婦・カップルの宿泊客にはダブルルームの部屋が割り当てられることがよくある。
  • ツイン(ツインルーム)
    シングルサイズベッド2台を設けた2名用客室[9]。ダブルサイズベッド2台を設けた2名用客室は厳密にはダブルダブルというが、北米ではこれをツインとしていることがある[9]
  • トリプル(ツイン・ダブル)
    エキストラベッドという可搬式ベッドをツインルームに設置したり、予めツインルームに備え付けられているソファベッドを用いてベッドを3つ揃えたもの。予約時に特に指定した場合を除き、チェックインの際には用意されておらず、夕刻になると係がエキストラベッドを運んできたり、ソファベッドのベッドメイキングにきて初めてトリプルになることも多い。
  • トリプルルーム
    3名用個室で、予め3台のベッドが備え付けられている客室であるが、決して一般的ではない。旅行会社などのパンフレットにトリプルルームと書いてあっても上記のツインルームのトリプルユースである場合がほとんどなので、十分確認する必要がある。
  • フォース・ファミリールーム
    トリプルルームにエキストラベッドまたはソファベッドを追加設置したり、予めベッドが4台以上設置されているもので4名以上が滞在できる客室。リゾートホテルやテーマパーク周辺のホテルに多い。和洋室の場合もあり、2人がベッドで、2人が布団を使用することになることもある。
  • エグゼクティブ / デラックス / コンフォート / スーペリア ルーム
    一般客室(スタンダードルーム)よりも部屋面積が広く、大きめのベッドやソファなどが設置されていたり、バスルームとトイレ・洗面所が仕切られているホテルもある。日本や海外の高級ホテルではスーペリアルームとスイートルームのみ設置しているホテルが多い。
    一般的にはシングル・ツイン・ダブルルームに設定されており、サービスはスタンダードルーム宿泊に準じるのが通常ながら、エグゼクティブフロア(→#付加サービス)を設置しているホテルでは優遇される。
  • SOHOタイプ / ビジネスルーム
    部屋内で書類仕事や受験勉強などを行う客のために、明るい直接照明や広い机、パソコンやファクシミリなどのOA設備の設置、OAチェアの採用など、快適な仕事環境を重視したもの。その具体的なサービスの内容はホテルによって様々であり、たとえ仕事に適した配慮をしていても、それを一般の客室と区別していない場合もある。主にビジネス客を主要な顧客とするホテルに見られ、2004年ごろから増加した。
    なお、客室内にはそれらの施設を設けず、上記のような設備を備えたスペースをビジネスコートなどとして有償または無償で提供するホテルもある。
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2ベッドルームスイートの客室
  • スイート
    英語でSUITE(「続き部屋」の意味)。日本語ではsweet(「甘い」「甘味」)と発音が区別出来ないので勘違いされやすいがこちらは誤り。マンションの一戸分に相当する。通常の部屋がベッドルーム(寝室)のみであるのに対して、独立したリビングルーム(居間)が付属している部屋のことをいう。高級な部屋になると寝室が複数あるものもあり、寝室の数により2ベッドルームスイート、3ベッドルームスイートなどという。また居間が完全に独立していないものをジュニアスイートという。
    広く高級な客室で、クイーンサイズのベッドが1つか2つまたはキングサイズのベッドが1つ以上設置され、大型テレビや広々とした浴槽などが配置されていることが多い。
    ジュニアスイート以外のハイグレードなスイート(ロイヤルスイート等名称はさまざま)は、ベッドルームとリビング・ダイニングルーム、バスルームが分離しており、40平方メートル以上の部屋面積があり、添い寝やエキストラベッドを配置すれば4人以上が宿泊出来る。特にハイグレードなホテルでは、高級マンションの室内と見分けが付かないようなものもある。
    ホテルによってはデイユースで、ルームサービスのランチをスイートルームで食事したり、昼寝するなどのプランを設けている所もある。
  • コネクティングルーム
    ドアで隣室と接続しており、2つ以上の客室を一つの客室として使えるようにした部屋[9]。ドアを閉めれば個々の客室として利用できる[9]。通常は扉は施錠されていて(若しくはドアノブが内側だけに付いた2重扉になっていて)隣からは開けられない。スイートと違って、それぞれの部屋は通常のツインやダブルの部屋である。
  • アジョイニングルーム
    コネクティングルームの対義語で、小グループ向けに利用される、ドアで直接接続されていない隣り合った客室または廊下を隔てた客室[9]
  • コテージ(ヴィラ)
    リゾートなどでみられる客室ごとに一戸建てにした施設[9]。フロントやレストランなども別棟となっていることが多い[9]

客室と眺望

客室からの景色も付加価値となり、海に面している部屋はオーシャンビュー、山に面している部屋はマウンテンビュー、庭に面している部屋はガーデンビュー、市街地(夜景など)を一望できる部屋はシティビューという[9]

客室の設備

  • オートロック
    客室ドアの施錠システムの一種。部屋(内側)からは自由に開けられるが、外側は解錠しなければドアノブが固定されて開けられないという仕組みが大半であり、外出時に施錠する必要がない。これは逆に言えば外出・退出時には鍵を必ず持って出る必要があるということで、客室に置き忘れたまま施錠されてしまった場合はフロント等に依頼してマスターキーを用いて解錠してもらうことになる。なお、(オートロックの有無にかかわらず)鍵を紛失した場合は鍵再製料などを請求される場合がある。
  • カードキー
    客室の鍵として通常の金属製の鍵ではなくプラスチック製のカードキーを使用する場合が増えている[10]。形はキャッシュカードなどと同じで、磁気ストライプ、もしくはICチップに開錠コマンドが書き込まれており、ドアのカードスロットに差し込む(磁気式)か、カード読み取り部にタッチする(IC式)ことで錠が開く。外出時でもフロントに鍵を預ける必要はなく、常に携帯することが出来る。
  • ドアサイン
    ドアノブの外側に掛けるプレート。「部屋を掃除してください」「起こさないでください」などの表記が表裏にあり、欧米でも同様であるが、「起こさないでください」の場合はチェックアウト時間を過ぎてもフロントから連絡せずに、時間外利用や延泊扱いで料金を請求する場合がある。
    日本では掲示されていなくても滞在期間中の外出時に掃除・ベッドメイキングされる場合も多い。また、近年新築したホテルでは、客室側のドア付近にスイッチがあり、それを押す事でドアサインと同等の事を廊下側ドア上部付近にあるライトで通知する事が出来るようになっている場合もある。
  • キチネット
    長期滞在用のホテルやスイートルームなどに設置される簡易な調理設備[10]
  • ライティング・デスク
    チェストや鏡などと一体化して書き物用の机[10]。OAチェアやオフィスを意識した設計の机を採用するホテルが増加しており、このような設備を設けた客室をSOHOタイプやビジネスルームとして用意するホテルもある。標準の客室でもそのようなサービスを提供しているホテルも存在する。
  • テレビ
    シティホテル・リゾートホテルは20 - 40インチ、ビジネスホテルは19 - 26インチ型程度の液晶テレビが設置されており、地上波衛星放送のほか、CNNBBCなどの海外の放送や、ケーブルテレビ、一般映画アダルトビデオが視聴できるテレビを持つ施設が多い。
    通常のテレビ放送は無料であるが、映画の視聴は有料である(一般的に「PAY TV」と呼ばれる)。有料放送の古くは100円硬貨を投入し、専用のVHSレーザーディスクで放映される一般映画・アダルト作品を視聴する形式であったが、現在はプリペイドカードを購入して視聴するか、リモコンのPAY(課金)ボタンを押してチェックアウト時に精算する方式が主流である。
    カプセルホテルや一部のビジネスホテルでは、100円硬貨を投入して視聴するテレビを設置している店舗が多い(この場合、一般放送は無料だが、まれに有料としているホテルもある)。
  • テレビパソコン
    ホテルチェーンを中心に、テレビの代わりに、略して「テレパソ」と呼ばれる様なテレビ一体型のパソコンを設置する所も増えている。基本的にはLANブロードバンド)と接続され、無料の通常テレビ放送の視聴の他にウェブサイト閲覧が一般的に出来る(使用料・オプション料が必要なホテルもある)。
    このほか自分のメールアカウントに接続してメールの送受信、インストールされているオフィスソフトを用いての文書作成などが出来るホテルもある。ペイテレビはパソコン画面上で積算確認の上、VODによるストリーミング配信か、パソコンに内蔵または外部接続されているチューナーを通して視聴される。
    20V型程度の液晶テレビを設置する費用の数割増程度のコストである事が多い。
  • VOD
    ビジネスホテルを中心にPAY TVに打って変わって、近年ではVODが市場を獲得し始めている。VODはPAY TVの垂れ流し放送から、時間を気にせず好きな作品を好きなだけ見ることができる通信型への視聴方法へ大きく変化をもたらせた。通常、VODサーバと呼ばれるサーバ群をホテル館内に設置し、客室へLAN配線を行い、テレビに接続されたSTBが映画を再生する。しかし、サーバ費用が導入コストとして非常に高価なことから現在ではインターネット網を利用したNW配信モデルが登場。サーバを設置することなく、高画質な映像を客室にて楽しめるようになった。
    また、「アクトビラ」機能をホテル向けに独自カスタマイズを行いVODのブラウザとして利用するシステムも開発された。
    最近では、客室で利用できるノートパソコンを利用したエンポタ[11]というサービスが開発され、レンタルパソコンを借りることで、ホテル専用ポータルサイトを利用することができ、映画やドラマ、成人向けコンテンツなどを客室で楽しめるサービスも普及している。
  • 電話
    多くのホテルでは、客室に電話機が設置されている。しかし、この電話機は、一般家庭の固定電話と同様の使い方ができない場合が多い。
    多くのホテルの場合、客室の電話機は内線電話であり、フロントとの連絡を主とした使い方がなされることを想定している。また、この電話機から一般の電話に対して発信をすることは可能であるが、逆に一般の電話から直接着信することは不可能である。ただし、ホテルの客室で外からの電話を受けたいときは、一旦ホテルの代表番号(フロント)に掛けてもらい、それから客室に転送してもらうことは可能である。こういう手続きが必要なのは、多くの場合その電話機ごとに電話番号が割り振られておらず、構内交換機を利用して電話端末を接続しているためである。
    なお、一部のホテルでは、客室内の電話機に外部から直接掛けてもらうことが可能である。こういったフロントを通さない電話を直通電話と呼ぶ。一般的にはNTTのダイヤルイン契約によって1台ずつ電話番号を割り当てている場合が多いようだ。このサービスは、海外のホテルで割と多くみられるが、日本では高級ホテルでもあまり存在しない。
    また、0120番といったフリーダイヤルの利用について、本来請求されるはずのない電話料金をフロントにて請求されることがある。これはホテル内に設置されている構内交換機が、フリーダイヤルを無料電話として認識していないのがその理由である。したがってフリーダイヤルが利用可能であるかどうかを、あらかじめホテルに確認しておく必要がある。
    通話料は別途請求(多くは一般の通話料にホテル側のマージンが上乗せされている)される場合が多い。電話回線を二つ以上設置している場合もある。一部では、通話料の安いIP電話を引き、国内の固定電話への通話料を無料としている施設もある。
    ホテル客室の電話機では、電話機の操作によって、特定の時刻に着信ベルを鳴らすモーニングコール機能が付いているものが普通である。
    一部のホテルでは、滞在中室外にも自由に持ち出せるスマートフォンを設置している。
  • インターネット回線
    インターネット普及前までは、客室にモジュラージャックがあるホテルは数少なかったが、普及に伴いダイヤルアップ接続用モジュラージャックを設置しているホテルが増加した。こういったホテルでは、モジュラージャックにパソコンモデムを接続して、ダイヤルアップ接続が可能である。
    近年では、ブロードバンド対応ホテルとして、有線無線LANを利用したインターネットへのアクセスが可能なホテルも増加しており、有線の場合はノートパソコンを持ち込んで客室のイーサネット端子に接続すれば、インターネットへのアクセスが可能となる。このような施設では、LANケーブルや無線LANカードの貸し出しもある。LANによるインターネットアクセスは無料で使用できる施設が多い。
    ロビーなどに共用インターネット用パソコンや、サイバープチ[12]アットステーション[13]などのコイン式インターネット端末(通常はワープロなどは不可能)を設置しているホテルも存在する。
    客室で利用できるノートパソコンを提供しているホテルもあり、エンポタというホテル専用ポータルサイトを通じて映画やドラマ、成人向けコンテンツなどを配信しているホテルもある。
  • 冷蔵庫
    ミニバーの場合、小型の冷蔵庫の中に複数の飲料(ミネラルウォーターソフトドリンクアルコール)やおつまみが配備されているもので、商品を消費した場合は備え付けの伝票に記帳するなどしてチェックアウトまでに精算する。冷蔵庫から飲料瓶を取った時点で「購入」として機械的に課金される旧式の冷蔵庫が設置されてあるホテルも存在する。この場合、ミニバーから飲料を抜き取った直後に販売がカウントされる(そのまま戻してもカウント前に戻らない)タイプもあるが、誤った場合はフロントに申し出れば通常は課金されない。ミニバー商品の価格はホテルのサービス料を含んだ金額とされ、市価の倍以上の価格である場合が多い。冷蔵庫の外にあるもの(紙コップ一体型のドリップ式コーヒーなど)もミニバー商品としているホテルもある。冷蔵庫に空きスペースがあれば、下記空の冷蔵庫同様、自分で買い出した飲食物などを入れられることが多い(この場合追加料金は発生しない)。また、ミニバーと空の冷蔵庫の両方が用意されていることもある。しかし、ミニバー専用しか用意されておらず、自分で物品の保存はできない冷蔵庫もある。
    高級志向のホテル客室では、ミニバー利用者向けに複数のグラスが用意されたり、独立した食器棚(グラスが配備)の中に冷蔵庫(ミニバー)が設置されていたり、棚の中や下部にミニバーがある場合、その上部の引き出し部分が洒落たテーブルになるものなどがある。引き出しの中に、ウィスキーブランデーのポケット瓶が多く入っていることもある(こちらも価格は割高)。さらにスイートルームやコンドミニアムでは製氷器や冷水器機能を搭載した大型冷蔵庫をミニバーとしている所もある。
    ビジネスホテルを中心に、何も入っていない小型冷蔵庫を設置している所もあり、ホテル内や近隣のコンビニスーパーマーケットで買い出した飲食物などを滞在中自由に入れられる。ホテル用の冷蔵庫は、就寝中の騒音を減らすために電源を止める機能が付いている場合がある。また、コンプレッサーを使わない、ペルティエ効果を使った冷蔵庫を使っている場合もある。
  • レンタルパソコン
    多くのホテルでは、客室で利用可能なノートパソコンの貸し出しをフロントにて行っている。有料の場合が多く、利用料は一般的に1泊1000円である。多くの場合、文章作成ソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトがインストールされており、個人情報を守るため、電源を入り切りすることでパソコンを初期状態に戻すリカバリ機能を搭載している。
    近年では、ノートパソコンやスマートフォンの普及にともない従来のレンタルパソコンの需要は減少している。また、普段無料で利用しているパソコンに対して1000円という価格は高いと感じている人も多い。このような問題を解決すべく、最近では上記の機能に加えてVODなどの機能を兼ね備えたエンポタというサービスを導入しているホテルが増加している。
  • ファクシミリ
    ほとんどのホテルでは、客室にファクシミリ (FAX) は設置されていない。ただし、大多数のホテルではフロントでFAXの送受信サービスを行っており、フロントに依頼すれば送受信が可能である。なお、送信が可能でも受信が不可能なホテルもある。一部のホテルでは、客室にFAXが備え付けられていたり、客室にFAXを貸し出すサービスがあり、この場合は客室での送受信が可能である。
    パソコン通信やインターネットダイヤルアップ接続用にモジュラージャックを設置しているホテルの場合、そこに客が持参したFAXを接続すれば送信のみ可能な場合も多い。
    聴覚障害者に対するバリアフリーの観点からも、客室でのFAXの利用が可能であることは利点となる。
  • ドライヤー
  • ズボンプレッサー
  • 電気スタンド
  • 電気ポット
  • (複数の枕を選べるホテルもある)
  • 加湿器
  • 宗教書
  • アメニティグッズ
    ホテルには客室内の洗面台(ユニットバス内など)付近に、個別包装されたコットンや耳綿棒化粧水・T字剃刀歯ブラシなどのアメニティグッズが、また客室の宿泊約款ファイル内にはホテルの封筒便箋絵葉書が備わっていることが多く、これらは特に注記がない限り持ち帰りが可能である。
    また、高級ホテルの中には(特に女性客用の)アメニティグッズに一流ブランドのものを使用しているところもある。
    しかしながら、上記以外の調度品、つまり浴衣バスローブタオルグラス灰皿などは基本的に持ち出し禁止であり、万一持ち帰ると、後日実費を請求される事が多い(言うまでもなくこれらの持ち出し行為は窃盗であることを認識すべきである)。ただし、ホテルの中には、浴衣やバスローブのプレゼント(宿泊時に使用したものを持ち帰り可)付宿泊プラン等を設定している場合もあり、このようなプラン利用の場合は当然持ち帰ることができる。
    客室で使われるタオルやアメニティグッズを、別途販売しているホテルも存在する。

トイレ・浴室

ホテルの多くの客室には、トイレ浴室が備え付けで設置されている。温泉場のリゾートホテルでは、大浴場がメインの浴室となっていることが多い。 浴室は洋式トイレと浴室が一体になった形式(日本ではTOTOINAXが開発したユニットバス)が多い。シャワーブースが別にしつらえていたり、ビデが用意されている場合もある。 最近では、高級ホテルのみならず、ビジネスホテルにおいても温水洗浄便座が導入されているところが多い。

客室とサービス

  • ルームチャージ
    室料。一人当たりの料金ではなく一部屋当たり料金。
  • ポイントサービス
    各ホテル独自のもので、宿泊料・レストランの飲食料に対し5%程度、または1泊毎にポイントを付加し、ポイントを宿泊・飲食料に充当したり、一定のポイント数に達すると現金のキャッシュバックや景品(主に無料宿泊券・食事券・ホテル専用の商品券など)がプレゼントされる。クイックチェックインサービスが利用できるホテルもある。
  • 会員組織
    ホテル利用者を対象に募集されるもので、上記のポイントサービスの他に会報誌等の送付や、アーリーチェックイン・レイトチェックアウトが無料サービスされたり、下記クラブラウンジの利用が可能である場合もある。提携カード型が多い。
  • デイユース・デイタイムスティ
    日中昼間の空き客室を利用して休憩が出来るサービスプラン。
  • ルームサービス
    客室までの食事の出前。ホテルレストランと同じメニューが客室で食事できるものもあり、朝食のルームサービスも行うホテルもある。
  • マッサージ
    ホテルによっては、客室にあん摩マッサージ指圧師を呼び、按摩やマッサージを受けられる。支払はその場で行い、チェックアウト時の合算支払は出来ない場合が多い。
  • ケータリングデリバリーピザなど)
    主にルームサービスが無い都市圏のビジネスホテルで、客室電話から直接業者へ注文を出すと客室のドアまで配達に上がるもの。支払はその場で行い、チェックアウト時の合算支払は基本的に出来ない。
  • ルームクリーニング・R / C(アールシー)
    客がチェックアウトした後の部屋の清掃の意味である業界用語。
    連泊する場合チェックインの際にフロントで「お部屋のお掃除はいかがなさいますか?」と聞かれる場合がまれにあるが、それはそのホテルが基本的にはチェックアウト後にしか清掃を実施しないシステムになっているためで、客が望むなら無料もしくは有料で実施してくれる場合が多い。
    基本的には客のいない時間に清掃を実施するので、日中にホテルから外出する用事が無い場合は清掃が実施できない(この場合、新しいタオル等のアメニティーをセットにしてドアノブにかけておく場合が多い)。大規模もしくは高級なホテルであればどの時間帯でも客の望む時間に清掃を行うことがある。その場合ホテルによっては客室のドアノブに「掃除をお願いします」といった旨のプラカードを客自身の手によってかけるシステムがある。意味はそのものズバリであり、外出している間に館内巡回担当が見つけて掃除を手配してくれる。イタズラによって他の客によって外されたり付けられたりするといった事例から、ランプ点灯式(客室内からの操作)に変更したり、あるいはこのシステムを廃止しているホテルもある。
    清掃内容は部屋や浴室の清掃はもちろん、タオルや浴衣(ガウン)・ベッドシーツ等の交換、アメニティやミニバーの補充などである。
    近年では、「エコプラン」と称して連泊する場合のベッドメイク、清掃、備品の補充、交換を省略する代わりに、客室料金を割引するサービスを提供しているホテルがある。この場合でも、ごみ箱の回収、灰皿の交換等は行われる。
  • 衣服のクリーニング
    コインランドリーが施設内にある場合や近隣にある場合は下着などは洗濯できるが、背広ワイシャツなど専門家の技術によるクリーニングが必要なものは施設で受け付けている。指定時刻までに出せば深夜にクリーニングし、朝受け取ることができる。

ホテルの設備

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ヴィラフォンテーヌ東京汐留のロビー
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リゾートホテルのロビーの例
  • ロビー
    玄関またはフロントに連続する廊下を兼ねた広間で、宿泊客や施設利用客が応接間や休憩所として利用できる開放的な場所である。
  • ビジネスコート
    漫画喫茶やネットカフェのパーティションのような施設をビジネスコートと称して客室とは別に用意しているホテルもある。ビジネスコートにはパソコンや広い机、プリンタ、LAN、場合によってはドリンクバーや自販機、毛布の貸し出し等がある。また最近では、ごくまれに漫画の貸し出しや、軽食の提供なども行っている場合がある。
  • 空調
    ホテルの空調は、大半がセントラルヒーティング方式であり、主としてHigh、Medium、Lowと切り替えが出来るが電気のエアコンのように温度、湿度の微調整は難しい。セントラルヒーティング方式では熱源機で発生した空調用のエネルギーを冷温水または蒸気で各室に搬送するため、ホテルによっては冷温水や蒸気が配管内を流れる音が継続的に聞こえることもあり、神経過敏な人にとってはこれが睡眠や作業を妨げる原因になることがある。さらに館内全体で空気を循環させる方式においては、各客室の空気を一括して循環させるために場合によってはインフルエンザ等の集団感染の恐れがある。
    部屋ごとに独立したエアコンを用意している場合でも、室外機が独立していない場合には、季節の変わり目に「寒いが暖房が入れられない」あるいは「暑いが冷房が入れられない」というトラブルがしばしば発生する。
    このような空調に関連する不便、不快さは、新しいホテルでは改善される傾向にあるが、値段や新旧に関係せず発生するトラブルであり、また、事前に調べることが極めて難しい(フロントが正確に把握していないことがある)項目の一つである。
    まれに、一部民宿のように客室のエアコンが有料サービスのホテル(エアアジア系列のチューン・ホテルズ等)がある。
  • 大浴場
    温泉地などの観光地では必ずある。現在のシティホテルやビジネスホテルの大部分は各部屋で入浴できるが、部屋での入浴はしにくいとして広い入浴施設を好む人もおり、また、みんなで一緒に入浴したいなど大浴場を好む宿泊客もいるため、一部ホテルでは設置されている。また、温泉地では当然だが、大都市でもボーリングして温泉が引かれている例もある。カプセルホテルはサウナと大浴場がセットになっている場合がほとんどである。
  • 駐車場
    別料金で、1泊あたりの計算の場合が多い。大都市・繁華街に立地するホテルでは提携しているタワーパーキング等周辺駐車場の利用も多い。地方やその観光地周辺の宿泊施設では廉価または無料であるのが普通である。
  • 自動販売機
    市場価格(ホテル外のコンビニ・自動販売機での価格)より割高な場合が多いが、ビジネスホテルでは市価と同水準、もしくは市価より安価の所(東横イン等)も多い。アイスディスペンサー(自動製氷器)が併設される場合もある。
  • ビジネスセンター
    パソコンやコピー機・電話などが設置されている。会議室が併設される場合が多く、宿泊者は廉価で借用できる。
  • クラブフロア・専用ラウンジ
    高級ホテルの会員組織の会員または提携などで利用が認められた者のみ利用可能な施設。飲料サービスや軽食、チェックイン・チェックアウトがその場で行えるものもある。基本的に正規料金での宿泊者に利用が限定され、会員であっても旅行代理店(予約サイト)からの予約や、宿泊プランを用いての宿泊時は利用不可とする施設も多い。
  • エグゼクティブラウンジ
    通常客室とは別の特定階(エグゼクティブフロア等)や、スイートルームの宿泊者のみ利用可能なラウンジで、クラブラウンジと同様のサービスが提供されるものが多い。近年はシングルルームから設定されているものの多い。高級ビジネスマンの利用が多いホテルでは会議室が併設されているケースが多い。
  • プールフィットネスクラブスポーツジム
    特段リゾートホテルでなくともこのような施設を付帯していることがある。スポーツクラブ運営企業が施設を賃借して運営するケースが多い。
  • コンビニエンスストア売店
    正確には付加サービスと呼ぶべきではないが、施設内、もしくは近隣にコンビニエンスストアが立地するか否かを重要視する客も多い。深夜・早朝に買い物をしたい場合や、ホテル内レストランや冷蔵庫の商品の価格に抵抗ある客がいるためである。売店は手っ取り早く特産品を買う場所として重要視する例があり、また地場産業にしても宣伝になる。
  • 病院(または診療所
    利用しない部屋室に併設する。患者には利用客に対応。各施設一部地域による。

宿泊方法

予約

当日満室で宿泊できない事態を回避するため、宿泊予定が決まっていれば、事前に予約するのが望ましく、また一般的である。特に都市部で国際会議学会見本市等が開催されている期間中は、近隣のホテルのみならず、その都市内のほぼ全ての宿泊施設が、軒並み満室となっていることも多く、宿泊できない可能性もある。

また、客室準備の都合や、業界内の慣例として、一流・高級ホテルだけでなく、ビジネスホテルでも予約なしでホテルに赴く、いわゆる「飛び込み客」は歓迎されない傾向があるため、事前予約はホテルに対するエチケットでもある。自身が当日に宿泊を希望するホテルがすぐ目前にあっても、極端な話フロントにある公衆電話を利用してでも、事前予約をしてから赴くのが望ましく、またスムーズなチェックインが可能となる(ただし、廉価なビジネスホテル等では「当日空室宿泊プラン」等と称して、飛び込み客を積極的に受け入れる施設もある)。

なおホテルの客室を、予約前に実際に確認したい場合には、フロントにて「ルームチェック」を申し出れば、ホテルの客室が確認でき、1泊当たりの値段が提示される。ルームチェックは、無料で出来る。

以前は、ホテルの予約係へ直接電話したり、旅行会社の窓口やJRみどりの窓口で予約し宿泊クーポン券を購入する方法が殆どであったが、近年はインターネットでの予約も一般化しており、ホテルの公式ウェブサイトの他、「じゃらんnet」「楽天トラベル」「エクスペディア」「アゴダ」などのような宿泊予約サイトが取り扱うシェアも大きい。これらのサイト経由の予約の場合、ホテルへ直接予約の場合と比べて格安となる場合も多く、人気の要因となっている。割引率はウェブサイトや空室状況、季節等によって異なるが、場合によっては、通常料金の半額程度にまでなる場合もある。独自の宿泊プランを用意しているサイトもある。

予約サイトによって空室数が異なる場合もあり、また満室表示となっていても、実際にはホテル側で空室を抱えている場合もあるので、このような場合は、ホテルに直接電話で問い合わせてみると良い(これは各旅行会社が契約により客室を一定数仕入れているためで、興業チケットの販売に関わるプレイガイドと興行主間との契約と同様である)。

直接ホテルへ問い合わせれば、正確な空室状況が分かるが、直接予約の場合は宿泊サイトや旅行会社提供の料金(プラン)は適用されず、ホテル側提示の料金となることが殆どである。ただし必ずしも高価となるわけではなく、むしろホテルによっては、どのウェブサイト・旅行会社よりも安価を提示する(ベストレート・ギャランティー)ところもある。

時間に余裕がある場合には、各種サイトや旅行会社、それに直接予約の場合の料金を入念に比較検討してみると良い。

チェックイン

13時から16時あたりに受付が開始される。アーリーチェックインは宿泊施設規定のチェックイン開始時間よりも早くチェックインを行うもので、原則追加料金の支払いが必要。

宿泊当日は、フロントで氏名・住所・電話番号などを記入し、前金式のホテルでは代金を支払う。後払い式のホテルではチェックアウト時に精算する。一部の高級ホテルでは、一定額の現金(デポジット)またはクレジットカードのプリント(金額空欄の売上票を作成する)を要求されるケースがある。

高級ホテルに宿泊し慣れていない者の中には、このようなシステムに不快感を抱く者がいる(各種旅行サイトの感想投稿欄に、不快感を示すコメントがしばしば見受けられる)が、各ホテルの宿泊約款に到着時に行う事として定められており、高級ホテルや世界のホテルでは極めて一般的なことである。

フロントで氏名を記入する際、本名でなく偽名を用いると、旅館業法違反や私文書偽造罪に該当し、逮捕されるケースもある(公安警察別件逮捕微罪逮捕の手段として用いる)。

日本では、ビジネスホテル等の廉価なホテルは前払い方式、それ以外の高級ホテルや観光地の旅館タイプのホテルでは、チェックアウト時に支払う後払い式が比較的多く、後者の方式を採用しているホテルは、多少なりとも客による「無銭飲食」「無銭宿泊」(詐欺罪が成立する)の負債を負うことになる。

次に部屋の鍵を受け取り、その部屋に行くことになる。なお、部屋から外に出るときは、通常はフロントに鍵を預けるが、磁気カード式のホテルにおいては持ち出し自由の場合もある。またカード式の場合、宿泊の記念としてチェックアウトの際に、カードを持ち帰ることが出来るホテルも存在する(コードはチェックアウト後に変更され新しいカードも準備される)。

クイックチェックイン
リピーター客やホテルの会員を対象に、フロントで会員カードの提示や口頭で氏名・電話番号などを告げる事で、顧客システムに登録されている情報を用いることによって、宿泊カードの記入が省略できるもの。
「自動チェックイン機」が設置されているホテルでは、係員と応対することなくチェックインと前金の支払が完了するものもある。

チェックアウト

ビジネスホテルは10時から11時、シティホテルは11時から13時あたりまでにチェックアウトしないとレイト(遅い)チェックアウトとなり、超過時間によって追加料金の支払が必要。

最終日には、電話代やミニバー代、後払い式の場合は宿泊料を精算し、キーを返却する。ミニバー代などの未収金が発覚した場合は後日請求されたり、クレジットカード決済の場合は宿泊客の承諾無く追加請求する場合がある(宿泊約款によって宿泊客は追加請求を承諾したとされるため)。

なお、会員組織や提携カードに入会すると、アーリーチェックイン・レイトチェックアウトの料金が無料となるホテルも多い。

クイックチェックアウト
いくつか方式があり、一つは前金式のビジネスホテルで追加料金が無い場合はフロントに出向かずに、ロビー(フロント周辺)に置かれている受け箱にキーを投函する事でチェックアウトが完了するもの。カードキー方式のホテルでは「自動チェックアウト機」(精算機能なし)も設置されている。
もう一つはシティホテル・ラブホテル・ビジネスホテルチェーンに設置されている「自動チェックイン / アウト機」にカードキーを投入すると自動で料金が計算されるもので、現金・クレジットカードデビットカードを投入して支払うとチェックアウトも完了する。また一部のシティホテルでは、チェックイン時にクレジットカードのインプリント(金額空欄の売上票)が作成されている場合、必要書類にサインをしてキーと共にフロントに提出するだけでチェックアウトすることもできる。料金は後日そのクレジットカードに請求される。明細書は、出発日の朝までに用意される場合と、後日郵送される場合がある。
これとは別にラブホテルや一部のシティホテルの客室内にクレジットカード専用の精算機が設置され、出発時に客室内でチェックアウトが完了するものもある。

各国の法制度

日本

ホテル営業

日本の法令上は旅館業法(昭和23年7月12日法律第138号)に規定する「旅館業」に規定される営業の一種であり(旅館業法2条1項)、「洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの」を行う施設を指す(旅館業法2条2項)。旅館業法のホテル営業は客室の形式は、洋式の宿泊施設でありベッドを備えた洋室の個室が基本となる。

ホテル営業を含め旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では市長又は区長)の許可を受ける必要がある(旅館業法3条1項)。許可を受ける際には申請書に営業の種別(旅館業法上のホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業の種別)を記載しなければならないが、これとは別に営業施設の名称も記載することとなっている(旅館業法施行規則1条)。この営業施設の名称については原則として経営者が申請の際に自由に設定できるため、旅館業法上の営業の種別と営業施設の名称とは一致しない場合もある(営業の種別についてホテル営業として申請しているが営業施設の名称に「旅館」を名乗っている場合、それとは反対に営業の種別につき旅館営業や簡易宿所営業として申請しているが営業施設の名称としては「ホテル」を名乗っている場合など)。なお、都道府県知事の許可の際の構造設備の基準など法令の適用については、営業施設の名称にかかわらず経営者の申請した営業の種別にしたがってなされることになる。

ホテルの営業時間や料金の支払い、暴力団関係者の宿泊拒否に関する事項等、ホテルと宿泊者との間の取り決めについては、宿泊施設側が宿泊約款を策定[14]し、対応している場合がほとんどである。

構造設備の基準

ホテル営業の施設の構造設備の基準については、旅館業法施行令で次のように定められている(旅館業法施行令1条1項)。

  1. 客室の数は、10室以上であること。
  2. 洋式の構造設備による客室は、次の要件を満たすものであること。
    1. 一客室の床面積は、9平方メートル以上であること。
    2. 寝具は、洋式のものであること。
    3. 出入口及び窓は、かぎをかけることができるものであること。
    4. 出入口及び窓を除き、客室と他の客室、廊下等との境は、壁造りであること。
  3. 和式の構造設備による客室は、旅館業法施行令第1条第2項第2号に該当するものであること(和式の構造設備による客室の床面積は、それぞれ7平方メートル以上であること)。
  4. 宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備を有すること。
  5. 適当な換気採光照明防湿及び排水の設備を有すること。
  6. 宿泊者の需要を満たすことができる適当な数の洋式浴室又はシャワー室を有すること。
  7. 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること。
  8. 当該施設の規模に応じた適当な暖房の設備があること。
  9. 便所は、水洗式であり、かつ、座便式のものがあり、共同用のものにあっては、男子用及び女子用の区分があること。
  10. 当該施設の設置場所が学校等の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む)の周囲おおむね100メートルの区域内にある場合には、当該学校等から客室又は客にダンス若しくは射幸心をそそるおそれがある遊技をさせるホールその他の設備の内部を見とおすことをさえぎることができる設備を有すること。
  11. その他都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること。

用途規制

建築基準法による用途規制により、ホテルは第一種住居地域(用途に供する部分が3000平方メートル以下に限る)、第二種住居地域準住居地域近隣商業地域商業地域準工業地域でのみ設置できる。

イギリス

ロンドンでは建物用途に応じた防火、耐火、給排水、省エネ等に関する建築基準があり、宿泊施設の新築・増改築、宿泊施設への建物の使用目的の変更には自治体の事前許可が必要である[15]

フランス

パリでは都市計画の観点から建築や事業用途変更等には許認可が必要であるほか、ホテルは公衆受入施設にあたるため構造・避難設備・消火設備など建物内の安全性に係る基準を満たす必要がある[15]

ホテルの経営

ホテルの経営形態

ホテルの経営形態は、そのホテルの土地建物(不動産)の所有と経営システムの組み合わせによっていくつかに区別される。

所有形態

直営
自社でホテルの土地建物を所有し、自ら経営・運営にあたる方式。実際には一社単体の体制では無く、子会社をはじめとする関係会社へ施設毎にコミットメントを委譲させ、独立採算グループ経営を図る形態もある。ホテルのブランドや経営ノウハウは自ら構築しなければならない。帝国ホテルリーガロイヤルホテル藤田観光プリンスホテルといったホテル専業企業や、鉄道会社のホテル事業によく見られる。
リース
土地建物のオーナーから、ホテル運営企業がホテルを長期間一括借り上げて経営する形、契約期間中は契約で定めた賃借料(リース料)をオーナーに支払う。オーナーが建物を骨組みだけの状態で貸す場合と、内装や設備まで込みで貸す場合がある。東横イン(東横イン開発)・ホテルルートイン(ルートイン開発)によるチェーンの多くで該当する。
運営委託
土地建物を所有しホテルを経営するオーナーが、運営についてはホテル運営企業と管理運営委託契約を締結して運営を委託する方式。ホテル運営企業は、総支配人などのホテル幹部の派遣、ブランド使用権や運営ノウハウの提供、チェーンブランドを利用した販売促進などを行う。それに対してオーナーは運営委託料を支払う。
フランチャイズ
オーナーが所有し、自ら経営に当たるが、ホテルチェーンとフランチャイズ契約を結んでブランド使用権や運営ノウハウの提供を受ける方式。フランチャイズ加盟ホテルは、チェーン本部に対して加盟料を支払う。

収益構造

ホテルの収益構造は、そのホテルの立地や形態によって大きく変わるものであるが、概ね以下のように言うことができる。 主要な収益源として、宿泊部門・レストラン部門・宴会部門が挙げられる。

宿泊部門
宿泊部門は、ホテルの基幹となる部門であり、ホテルである以上全てに存在するものである。宿泊施設の設置には相応の土地・建物を必要とするものの、客室清掃やベル・パーソンの仕事はパート・アルバイトなどを利用することが出来、また繁閑に合わせて人員数の調整やアメニティグッズの調達をすることができるので、運営に際して経費は低く抑えることが出来る。そのため部門の利益率(部門の売上からその部門に直接関係する運営経費のみを引いたもの。ホテル全体の費用、例えばホテルの広告費や管理部門の人件費などを配分しないで計算される。)は60パーセントを上回ることも可能である。近年では清掃業務などのアウトソーシングもよく行われている。
ファイル:Hotel Pearl City Kobe04s5s4272.jpg
ホテルのレストランの例
レストラン部門
レストラン部門の利益率は、その業態によっても異なるが一般に低くなる傾向にあり、20パーセント程度と見られる。レストランの設置には宿泊部門ほどの面積は必要とされないが、運営に関しては、調理・サービスにある程度の熟練者が必要とされ固定人件費がかかり、また食材などは売れ残れば廃棄となるため、経費は高いものとなる。ホテル直営のほか、外部の有力レストランをテナントとしていれることも行われている。宿泊客だけでなく地元客による利用も大きな割合を占める。
宴会部門
宴会部門は、予約が事前に確定するため、食材等を効率的に用いることができ、また宴会でのサービスに関してもアルバイトや派遣社員を利用して、受注に応じて対応できるため、レストラン部門より高い利益率が可能である。ただし、宴会の中でも大きな割合を占める結婚式においては、特別な用意が必要となり、外部企業に対する業務委託などが大きくなるため、一般の宴会より利益率は低くなる傾向にある。ホテル外部に出張して宴会にあたる、ケータリングも行われている。レストラン部門とあわせて料飲部門と呼ばれ、総料理長(シェフ)が置かれる。

売上構成

地価の高い日本においては、土地面積を宿泊施設ほど必要としない、料飲部門が重視される傾向にあり、各ホテルはレストランや宴会部門の強化に力を入れてきた。そのため、宿泊以外の部門の売上が全売上の6割から7割に達することも珍しいものではない。その点からすると、日本のホテルは外食産業的な側面が強いものであるといえる。

不況や、それに伴う企業の宴会需要の低下、あるいは外資の参入による競争の激化などで、多機能なシティホテルやリゾートホテルは厳しい状況にもあり、そのような中、収益率の高い宿泊部門のみに特化したビジネスホテルや、あるいはブライダル特化ホテルなど、特徴を打ち出したホテルが多く見られるようになった。

主要ホテルグループ

国際チェーン

ホテル加盟組織

日本

その他

ホテルの客好感度調査

2014年10月26日付の中国旅游新聞網によると、旅行会社エクスペディアヨーロッパ12か国に対する調査で、最も歓迎する観光客は日本人で2位は米国人スイス人と続き、逆に歓迎されないのはフランス人インド人中国人中華人民共和国)だった。特に日本人はチェックアウト時の部屋の状態の良さや礼儀正しさ、好奇心、現地の習慣を理解しているなどの点で観光客の模範であるとされた。調査によると、かつては無遠慮、がさつ、やかましいなどの点で評価の低かった米国人マナーが改善され、優秀な観光客と評価され、フランス人、中国人、ドイツ人はケチな観光客と評された。またファッションセンスの良さで評価されたのは、フランス人、イタリア人スペイン人で、身だしなみに気を使わない印象を与えたのは、旅での動きやすさや快適さを重視するドイツ人、英国人、米国人だった[16][17]

ホテルを扱った作品

小説

漫画

TV

映画

舞台作品

脚注

注釈

出典

  1. 「広がる仮設ホテル/安価なトレーラー▼キャンピングカー/訪日客急増、柔軟に対応」『日経MJ』2018年7月2日(観光・インバウンド面)
  2. 旅館業法概要厚生労働省(2018年7月11日閲覧)
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 シティホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  4. ビジネスホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  5. 観光ホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  6. リゾ-トホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  7. カプセルホテル トラベル用語集 x-memory 2017年4月3日閲覧
  8. 8.0 8.1 8.2 8.3 ホテルのタイプ 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  9. 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 9.5 9.6 9.7 9.8 9.9 部屋のタイプ 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  10. 10.0 10.1 10.2 客室の設備 地球の歩き方 2017年4月3日閲覧
  11. http://enpota.com
  12. http://www.sofnetjapan.com/
  13. アーカイブされたコピー”. 2006年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2006年2月3日閲覧.
  14. モデル宿泊約款”. 国土交通省 (2011年9月1日). . 2018閲覧.
  15. 15.0 15.1 諸外国における規制等の事例について 国土交通省 2017年4月3日閲覧
  16. Yahoo!ニュース 「欧州のホテルが最も歓迎する観光客は?ワースト3はフランス、インド、中国本土―中国メディア」XINHUA.JP 10月27日(月)12時5分配信
  17. Focus-Asia 「欧州のホテルが最も歓迎する観光客は?ワースト3はフランス、インド、中国本土―中国メディア」

参考文献

  • 仲谷秀一・杉原淳子・森重喜三雄『ホテル・ビジネス・ブック』中央経済社 2006年 ISBN 4-502-38700-2
  • 下田淳『居酒屋の世界史』講談社現代新書 2011年

関連項目