工学部
工学部(こうがくぶ)は、工学の教育研究がなされる大学の学部のひとつである。
また、工学部などの工学系・工科系の学部を中心にした単科大学として、技術科学大学、工業大学、工科大学がある。
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概要
工学部における教育については、技術者の養成を目標として行われることが多い。そのため、工学部では、技術に対する研究とともに技術者のあり方などに関しても研究されることが多い。ヨーロッパでは技術が低く見られており、技術者が大学に入ることについて抵抗があったので、工学部の設置は遅れた。
これに対して日本では工部省の工部大学校や帝国大学の理学部工芸学科などが存在した。世界で初めて大学に工学部をおいたのは、日本の大学であった。
一方で、当初、政府は、帝国大学以外に大学レベルの工学教育を認めなかった。そのため、工学部を設置できた私大はごくわずかで多くが専門学校または専門部だった。しかも工学教育の課程は早稲田大学理工学部、藤原工業大学(慶應義塾大学理工学部)、興亜工業大学(現・千葉工業大学)を除き、5年制までしか認められなかった。
工学部の課程を修了して授与される学位は、「学士(工学)」が代表的であるが、近年は、学位に付記される専攻分野の種類も多様化している。
教員免許状取得の課程認定(高校・工業)を受けている工学部の卒業生は、特例により教育実習等の「教職に関する科目」を修得しなくても高等学校教諭一種免許状(「工業」教科に限る)が取得可能となっている(教育職員免許法・附則11による特例。教科科目により代替可能)。ただし、大学によっては特例を利用する場合であっても、教職科目の修得が推奨されている場合もある。
工学部の教育
工学部の特徴として、1年次(場合によっては2年次も十分に含まれる)基礎科目の内容が学科に依らず、ほぼ同様である点が挙げられる。おもな内容としては、「微積分」「線形代数学」「基礎物理学」「基礎化学」などである。いずれも、高校から大学への橋渡し的な科目で、理工系分野の科目を学ぶのに避けて通れない科目である。
中下位の大学へ推薦入試で入学し、勉強にブランクのある学生は、この時点でリタイアしてしまう場合も珍しくない。
打って変わって2年次~3年次の専門科目は、学科による差異が激しい。しかし、この専門科目の分化が、工学部の強みでもある。比較的、共通することの多い科目は、やや高度な数学の一分野(位相幾何学や代数学の基礎分野)である。
学科統合が進み、1学科制も琉球大学、長崎大学、徳島大学(理工学部)、香川大学(創造工学部)、和歌山大学(システム工学部)、新潟大学、富山大学、千葉大学、豊田工業大学、関東学院大学(理工学部)、新潟工科大学、足利大学にみられる。
工学部設置の沿革
- 1919年:東京帝国大学(現:東京大学)京都帝国大学(現:京都大学)東北帝国大学(現:東北大学)九州帝国大学(現:九州大学)工学部
- 1920年:早稲田大学理工学部(現:早稲田大学理工学術院の前身)
- 1922年:旅順工科大学工学部(1945年廃止)
- 1924年:北海道帝国大学(現:北海道大学)工学部
- 1928年:日本大学工学部(現:日本大学理工学部の前身)※5年制
- 1929年:東京工業大学、大阪工業大学(1933年に大阪帝国大学に包括、現:大阪大学)工学部
- 1939年:藤原工業大学工学部(1944年に慶應義塾大学工学部として統合、現:慶應義塾大学理工学部の前身)
- 1941年:京城帝国大学理工学部(1946年閉鎖)
- 1942年:東京帝国大学第二工学部(1951年廃止、現:東大生産技術研究所の前身)、名古屋帝国大学(現:名古屋大学)、興亜工業大学(現:千葉工業大学)工学部
- 1943年:台北帝国大学(1945年接収)、大阪理工科大学(現:近畿大学)工学部
- 1946年:東海大学理工学部(現:工学部)
- 1949年:室蘭工業大学、岩手大学、山形大学、茨城大学、群馬大学、東京農工大学、横浜国立大学、山梨大学、新潟大学、静岡大学、名古屋工業大学、金沢大学、富山大学、信州大学、福井大学、神戸大学、広島大学、山口大学、徳島大学、愛媛大学、九州工業大学、宮崎大学、熊本大学、東京都立大学(現:首都大学東京)、岐阜医工科大学(岐阜県立大学を経て1952年に岐阜大学工学部へ移管、1954年廃止)、浪速大学(現大阪府立大学)、姫路工業大学(2004年に兵庫県立大学へ統合、2006年に廃止)鹿児島県立大学(1955年に鹿児島大学工学部へ移管、1958年廃止)、芝浦工業大学、工学院大学、玉川大学、久我山大学(1950年廃校)、東京電機大学、武蔵工業大学(現東京都市大学)、神奈川大学、摂南工業大学(現:大阪工業大学)、同志社大学、立命館大学(現:理工学部)工学部、千葉大学工芸学部(1951年工学部に改組)、日本大学第二工学部(現:工学部)
- 1950年:法政大学(2008年理工学部・生命科学部に改組)、関東学院大学工学部
- 1958年:関西大学工学部
- 1959年:名古屋電気大学(現:愛知工業大学)工学部
- 1960年:岡山大学工学部
- 1961年:大阪電気通信大学工学部
- 1962年:福岡大学、東北学院大学、東京理科大学工学部
- 1963年:埼玉大学(1965年理工学部になり、1976年工学部に復帰)、広島工業大学、九州産業大学、福岡電波学園電子工業大学(現:福岡工業大学)、相模工業大学(現湘南工科大学)、国士舘大学、東洋大学工学部
- 1964年:宇都宮大学、東北工業大学、大同工業大学(現:大同大学)工学部
- 1965年:鳥取大学、福井工業大学、大阪交通大学(現:大阪産業大学) 金沢工業大学、長崎造船大学(現:長崎総合科学大学)工学部、日本大学第一工学部(現:生産工学部)
- 1966年:長崎大学、北見工業大学、東京工芸大学、中部大学工学部
- 1967年:琉球大学、北海道工業大学、足利工業大学(現:足利大学)、日本工業大学、広島電機大学(現:広島国際学院大学) 東和大学(2011年廃止)、西日本工業大学、九州共立大学(2011年廃部)、大分工業大学(現:日本文理大学)、熊本工業大学(現:崇城大学)工学部
- 1968年:九州学院大学(現:第一工業大学)工学部
- 1969年:三重大学工学部
- 1972年:大分大学、八戸工業大学工学部
- 1973年:九州東海大学(2008年に東海大学へ統合、現:基盤工学部)工学部
- 1975年:幾徳工業大学(現:神奈川工科大学)、摂南大学、福山大学工学部
- 1976年:長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学、埼玉工業大学、久留米工業大学工学部
- 1981年:豊田工業大学工学部
- 1986年:岡山理科大学工学部、東京工科大学工学部(~2003年まで[注釈 1]。 )
- 1987年:拓殖大学工学部
- 1988年:桐蔭学園横浜大学(現:桐蔭横浜大学、1999年募集停止)工学部
- 1989年:龍谷大学、京都産業大学、徳島文理大学工学部
- 1991年:創価大学工学部
- 1992年:青森大学工学部
- 1994年:新潟工科大学工学部
- 1997年:香川大学、高知工科大学工学部
- 2000年:愛知工科大学工学部
- 2015年:東京工科大学工学部(再設置[注釈 2])、武蔵野大学工学部
工学部をおく日本の大学
国立
公立
私立
- 北海道・東北
- 関東
- 中国・四国
- 九州
工学系学部をおく日本の大学
- 国立
- 公立
- 私立
関連項目
脚注
注釈
- ↑ バイオニクス学部(後に応用生物学部)とコンピュータサイエンス学部に発展改組。
- ↑ 2003年に入学募集停止した旧工学部の募集再開ではなく新規に設置。
出典
cs:Polytechnika cy:Sefydliad technoleg de:Polytechnikum en:Institute of technology fr:Institut de technologie hu:Műszaki egyetem id:Politeknik jv:Politèknik nl:Technische universiteit no:Institute of Technology pl:Politechnika pt:Escola politécnica sk:Polytechnika sv:Teknisk högskola ta:பலதொழில்நுட்பப் பயிலகம் tr:Teknik üniversite vi:Trường Đại học kỹ thuật