昭和シェル石油
昭和シェル石油株式会社(しょうわシェルせきゆ)は、日本の石油元売企業。現在の主要株主は、出光興産と、サウジアラムコ傘下のアラムコ・オーバーシーズ・カンパニー・ピー・ヴィ。2016年12月18日まではオランダに本拠を置くロイヤル・ダッチ・シェル傘下のシェル・ペトロリウム(The Shell Petroleum Company Limited)が筆頭株主であった。現在は、同社のライセンシーである[1]。
グループで合計4か所の製油所を保有し、系列のサービスステーション(ガソリンスタンド)は国内におよそ4,900か所ある。サービスステーションの名称は「Shell」(シェル)、「Fantasista」(ファンタジスタ、商業施設等に併設されているセルフ式スタンド)。
Contents
概要
昭和シェル石油は、石油元売の一つであった昭和石油と、石油製品の輸入・販売業務を行っていたシェル石油が、1985年(昭和60年)1月1日に合併して発足した。なお合併時のキャッチフレーズは、「1985年・昭和シェル年」であった。これは合併前日の1984年(昭和59年)12月31日付けの全国紙・地方紙に、さらに合併当日の燃料油脂新聞に掲載していた全面広告でその文字が筆文字で大きくアピールされていた。
有価証券報告書によれば、昭和シェル石油グループの事業は「石油事業」、「エネルギーソリューション事業」、「その他事業」に3つに分類される。石油事業が中核事業であり、平成24年度の売上高はグループ全体の売上高の約96.5%を占めている。
石油事業における主な製品は、ガソリン・軽油・灯油・軽油・重油・ジェット燃料のような各種燃料油や各種潤滑油、アスファルト、ナフサ、液化石油ガスなど。これらの石油製品は、子会社の昭和四日市石油および東亜石油に委託し精製するほか、グループの西部石油や日本グリースから購入している。一般消費者や大口需要家への製品販売はグループ企業は系列特約店を通じて行われる。ベンゼン・キシレン・プロピレンなどの石油化学製品も製造しているが、これらはシェルグループのシェル ケミカルズ ジャパンに販売される。
不動産事業の内容は、昭和シェル石油が行うビルなどの不動産の賃貸・管理であり、その他事業の内容は、グループ会社が行う天然ガス火力発電所の運営や太陽電池モジュールの製造販売などである。
子会社ソーラーフロンティアを中心に太陽光事業を積極的に推進しており、2007年から宮崎工場を稼働させ、2009年の民主党政権による余剰価格買取制度、さらに固定価格買取制度成立を追い風に、2011年には年間生産能力は単一工場としては世界最大級(公称生産能力900メガワット)の国富工場も稼動させるなど[2][3]、次々と工場を増設、民主党政権が終わり、FIT法が改正され買取額の低下や電力各社による新規買い取り停止が進む中でも[4]、東北工場を新設しCIS薄膜太陽電池の生産を拡大している[5]。
出光との経営統合計画
2015年に出光興産と経営統合をすることを発表したが[6]、出光創業家の反対により統合自体が頓挫している[7]。2016年12月19日までに公正取引委員会の審査が完了し、同日をもってロイヤル・ダッチ・シェルは議決権所有割合ベースで31.2%の株式を出光興産に譲渡。出光興産が筆頭株主及びその他の関係会社となった[8][9]。
2018年7月10日には出光興産と経営統合に関する合意書を締結[10]、株式交換による経営統合を実現するとした。
事業所
本社
支店
- 北海道支店(北海道札幌市北区)
- 東北支店(宮城県仙台市青葉区)
- 首都圏支店(本社と同じ)
- 関東支店(本社と同じ)
- 中部支店(愛知県名古屋市中村区)
- 近畿支店(大阪府大阪市中央区)
- 中国支店(広島県広島市中区)
- 九州支店(福岡県福岡市中央区)
製油所
その他工場
油槽所
- 新潟石油製品輸入基地(新潟県新潟市東区、旧・新潟製油所)
- 2010年8月31日、旧製油所跡地を活用した1Mw規模の太陽光発電施設「新潟雪国型メガソーラー発電所」の稼働を開始した。日本の石油元売大手が商業用の太陽光発電事業に着手するのは初めて。
- 釧路西港油槽所(北海道釧路市)
- 塩釜油槽所(宮城県塩竈市)
- 佐渡油槽所(新潟県佐渡市)
- 広島油槽所(広島県安芸郡坂町)
- 唐津油槽所(佐賀県唐津市)
- 清水LPG基地(静岡県静岡市清水区)
- 碧南LPG基地(愛知県碧南市)
- 高松アスファルト基地(香川県高松市)
沿革
シェル石油
- 1900年(明治33年)4月11日 - ロイヤル・ダッチ・シェル(当時は前身のサミュエル商會)の日本法人としてライジングサン石油株式會社設立。
- 1948年(昭和23年)10月15日 - シェル石油株式会社に商号変更。
昭和石油
- 1942年(昭和17年)8月1日 - 早山石油株式會社、旭石油株式會社、新津石油株式會社が合併し、昭和石油株式会社設立。川崎製油所・新潟製油所・海南製油所発足。
- 1949年(昭和24年)6月 - ロイヤル・ダッチ・シェルと業務提携。
- 1951年(昭和26年)6月 - ロイヤル・ダッチ・シェルが資本参加。
- 1956年(昭和31年)10月 - 富士興産が海南製油所を買収。
- 1957年(昭和32年)11月 - 昭和四日市石油を設立。
- 1958年(昭和33年)4月 - 海軍燃料廠跡に昭和四日市石油の四日市製油所が操業開始。
- 1964年(昭和39年)6月 - 新潟製油所が新潟地震により炎上し、周辺に延焼する被害が生じた。
- 1967年(昭和42年)12月 - 西部石油と資本提携。
- 1969年(昭和44年)11月 - 西部石油山口製油所が操業開始。
- 1979年(昭和54年)12月 - 東亜石油に資本参加。
昭和シェル石油
- 1985年(昭和60年)1月1日 - 昭和石油を存続会社としてシェル石油株式会社と対等合併し、昭和シェル石油株式会社発足。
- 1987年(昭和62年)1月 - プレミアムガソリン「フォーミュラシェルスーパーX」発売。
- 1996年(平成8年)10月 - 本社を霞が関ビルから台場フロンティアビルに移転。
- 1999年(平成11年)4月 - 新潟製油所廃止。
- 2000年(平成12年)10月 - 川崎製油所の賃貸契約を東亜石油と結ぶ。
- 2004年(平成16年)8月 - ロイヤル・ダッチ・シェルグループが保有する株式の約10%をサウジアラビア国営石油会社(サウジアラムコ)に譲渡(翌年5%を追加売却)。
- 2005年(平成17年)9月27日 - 東亜石油を子会社化。
- 2005年(平成17年)10月7日 - AOCホールディングスとの資本・業務提携。約7%を出資、AOC傘下の富士石油と石油製品取引契約を締結。
- 2007年(平成19年)10月 - 扇島パワーの起工式を開催。2010年(平成22年)に天然ガス火力発電所が完成。
- 2008年(平成20年)4月1日 - 帝人ファイバー・三菱商事と合弁でパラキシレンの販売を目的にしたTSアロマテックス株式会社を設立。
- 2008年(平成20年)7月1日 - 住友商事と共同で液化石油ガス事業統合会社であるエネサンスホールディングスを設立。
- 2010年(平成22年)3月31日 - 扇島パワーの営業運転が開始。
- 2011年(平成23年)9月30日 - 東亜石油京浜製油所扇町工場(旧川崎製油所)を閉鎖し川崎事業所として発足。工場装置の解体業務に当たる。
- 2014年(平成26年)12月20日 - 同業大手の出光興産と経営再編について検討開始を発表[11]。
- 2015年(平成27年)7月30日 - 株式の33.3%を出光興産がロイヤル・ダッチ・シェルから1691億円で取得し、出光興産が筆頭株主となることを発表[6][12]。
- 2016年(平成28年):4月1日より一般家庭向け電力自由化解放に伴い、電気事業が始まる。
- 2016年(平成28年)12月19日 - 株式の31.2%を出光興産がロイヤル・ダッチ・シェルから取得し、出光興産が筆頭株主となる[8][9]。
- 2018年(平成30年)
関係会社
- 昭和四日市石油株式会社
- 東亜石油株式会社
- 西部石油株式会社
- 昭和シェル船舶株式会社
- 平和汽船株式会社
- 中央シェル石油販売株式会社
- 株式会社ペトロスター関西
- 株式会社シェル石油大阪発売所
- 株式会社上燃
- ジャパンオイルネットワーク株式会社
- 株式会社ジェイ・エル・エス
- 新潟石油共同備蓄株式会社
- 北海道石油共同備蓄株式会社
- 大分液化ガス共同備蓄株式会社
- 昭石海外石油開発株式会社
- 昭石エンジニアリング株式会社
- 株式会社レッドアンドイエロー
- 日本グリース株式会社
- 瀝青化学株式会社
- ソーラーフロンティア株式会社(旧 昭和シェルソーラー株式会社)
- 株式会社エス・ブイ・シー東京
- 昭石化工株式会社
- 鹿島液化ガス共同備蓄株式会社
- 株式会社ライジングサン
- 京都スカイパーキング株式会社
- 株式会社クレコ
- 株式会社オンサイトパワー
- 株式会社扇島パワー
- 若松ガス株式会社
- 関東礦油株式会社
- リーフエナジー株式会社
- TSアロマテックス株式会社
- 株式会社エネサンスホールディングス(住友商事)のLPG合弁事業
- 株式会社ダイヤ昭石
CM
テレビCM出演者
- アラン・プロスト(FORMULA Shell Super X 1987~1989年迄)
- アイルトン・セナ(FORMULA Shell Super X 1988~1992年迄)
- ミカ・ハッキネン(1994年)
- 杏里(Xカード)
- 小比類巻かほる(Xカード 1980年代後半)
- 所ジョージ(1994~1995年頃)
- shela(2002年、春のXカードキャンペーン)
現在の提供番組
- スポーツLIFE HERO'S(新潟総合テレビ)
過去の提供番組
- 木曜ゴールデンドラマ(読売テレビ・日本テレビ系・初期に旧シェル石油が提供)
- 月曜ドラマランド(フジテレビ系)
- 火曜ワイドスペシャル(フジテレビ系)
- F1グランプリ(フジテレビ系)
- スーパーナイト(フジテレビ系)
- FNNスーパーニュース(フジテレビ系)
- ニュースJAPAN(フジテレビ系)
- 徳光のTVコロンブス(テレビ東京系)
- 所さんの世田谷ベース(BSフジ)
- 高田純次の男・夕焼けまわり道(NRN系)
関連項目
- ロイヤル・ダッチ・シェル
- ペンゾイル
- シェル美術賞
- シェルミュージアム
- 上野トランステック (国内での石油輸送を委託)
- Shell Sound Ignition
- シェルマイレッジマラソン
- 丸紅エネルギー
- 昭和シェル石油Presents 日曜夕方トコロのココロえ(1995年~2000年、同社CMにも出演経験がある所がパーソナリティを勤める番組)
- 昭和シェル石油イメージパーソナリティ
- フェラーリ(シェルはフェラーリのテクニカルパートナーとして、F1において燃料及び潤滑油の供給を行う[13]。昭和シェル本社と同じビルにあるシェルミュージアムでは、フェラーリのグッズの展示・販売を行う[14] 他、ハイオク「V-Power」のCMにおいて「フェラーリに選ばれた」と言う文言が入るなどの例が見られる。)
- シェルガーデン (高級食品スーパー「ザ・ガーデン自由が丘」を展開。現在はそごう・西武系列)
- Ponta(2010年3月1日に一部SSにて導入された共通ポイントサービス。ローソン・ゲオを中心に提携)
- 新潟雪国型メガソーラー発電所
- 所さんの世田谷ベース(BSフジ)
参照資料
- ↑ ロイヤル・ダッチ・シェルが筆頭株主からの離脱してからは、昭和シェル石油のホームページのニュースリリースの下部やCSR bookに「昭和シェル石油はシェルのライセンシーであり、シェルの商標をライセンスの下で使用しています。本発表で表明されている見解は昭和シェル石油のものであり、シェルグループ会社のいずれかの会社を代理しておこなわれたものではなく、また必ずしもその見解を反映するものではありません。」と記載されている。
- ↑ “世界の太陽電池メーカー勢力図”. 東洋経済 online (2011年2月16日). 2011年8月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2011閲覧.
- ↑ “昭和シェル石油グループが太陽電池新工場の竣工式を開催、7月までに全ライン稼動で世界最大級の工場に”. 東洋経済 online (2011年4月25日). 2011年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2011閲覧.
- ↑ 固定買い取り制度大幅見直しへ電力5社新規受け入れ停止 制度設計の甘さ露呈[再生エネ](万年野党事務局) | 現代ビジネス
- ↑ ソーラーフロンティアの歴史 | 企業情報 | 太陽光発電ならソーラーフロンティア
- ↑ 6.0 6.1 “出光興産との経営統合に向けた協議の本格化、並びに主要株主兼筆頭株主及び関係会社の異動に関するお知らせ”. 昭和シェル石油. (2015年7月30日)
- ↑ 出光創業家が合併阻止を狙って"奇策" | ロイター | 東洋経済オンライン
- ↑ 8.0 8.1 “主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ”. 昭和シェル石油. (2016年12月19日)
- ↑ 9.0 9.1 出光、昭和シェル株式31.3%を取得 統合協議は継続 | ロイター
- ↑ 10.0 10.1 “経営統合に関する合意書の締結のお知らせ”. 昭和シェル石油. (2018年7月10日)
- ↑ “出光興産、昭和シェル石油と買収交渉-2月にも正式合意へ”. 日刊工業新聞 (日刊工業新聞社). (2014年12月20日)
- ↑ 出光、昭和シェルと経営統合へ 33.3%出資、筆頭株主に
- ↑ フェラーリ テクニカル パートナーシップ・シェル オン ザ ロード
- ↑ シェルミュージアム
外部リンク