勘定系システム

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勘定系システム(かんじょうけいシステム)とは、主に企業や行政機関において会計勘定処理を行うシステムのこと。1960年代以降は、コンピュータを使用したコンピュータシステムが普及した。本稿では、主に銀行における勘定系システムについて言及する。

銀行における定義

銀行における勘定系システムとは、狭義には預金勘定元帳を処理し、為替ATM(Automated Teller's Machineの略称)ネットワーク、対外システムとの接続を制御するシステムであり、銀行における基幹系システムの中核である。しかし、しばしば勘定系以外の情報系・国際系や対外系、インターネットバンキングや営業店端末などチャネル系システムを含んだ、銀行におけるオンラインシステム全般(あるいは、単に基幹系システムと称されることもある)を指す言葉としても用いられ、しばしば混同して用いられることが多い。

勘定系システムは、その歴史的経緯と業務の重要性、規模の巨大さから、ほとんどの場合でメインフレームシステムによって構成される。近年では、UNIX系システムやPCサーバの劇的な信頼性向上と、性能の上昇、価格の低下によって、メインフレーム以外で構成される勘定系システムも登場しつつある(オープン勘定系)。しかし、メインフレーム自体の性能の向上や、オープン系システムでは太刀打ちできない高い信頼性のため、多くの金融機関は勘定系システムにメインフレームを採用している。

勘定系システムのような、巨大な処理能力と高い信頼性が要求される分野では、金融機関によるシステム投資額は巨額であり、システムベンダーにとって自社が製造するコンピュータやソフトウェアが勘定系システムに採用されることは、ベンダーの経営を左右するだけでなく、製品ラインの存亡を左右する大型案件となる。また、システムベンダーにとっては、主要な金融機関で自社のシステムが採用されている事実を、導入事例として積極的に一般企業に対して宣伝することが多い。また勘定系システムでは、コンピューターに対して高信頼性が求められるため、そこで培われた基盤技術やソフトウェアが、一般向けシステム用に販売されることも多く、ベンダーの技術開発や、技術レベルの維持に重要な役割を果たしている。

勘定系システム開発においては、現実にはシステムベンダーがコンピューター基盤を開発・提供し、アプリケーションは銀行のシステム子会社が主体となって開発を進める事例が多いにもかかわらず、しばしばシステムベンダーにより「社運をかけたプロジェクト」と宣伝され、一般にはシステムベンダーが主体となって銀行システム全体を開発しているかのような印象を与えることが多い(近年では、共同化システムを含め、ベンダーが開発したパッケージをそのままアプリケーションとして採用する事例もあるため、必ずしも間違いとは言えない)。

歴史

銀行におけるコンピュータの利用は極めて早く、日本では1958年に三和銀行(現:三菱UFJ銀行)が導入したものが最初とされる。当初の利用目的は、手形小切手の自動処理や、会計などの分野でバッチ処理を主体としたもので、オンライン処理は想定されていなかった。その後、銀行におけるコンピュータの導入は急速に進み、銀行はコンピュータによって実現する目標を定め、段階的に現在のシステムへと発展していった。

勘定系システム開発史では、しばしば実現した機能や、構築時期によって「第x次オンラインシステム」と呼ぶことが多い。ただし、銀行によって実装された機能や、構築時期にはばらつきがあるため、同じ時期のシステムでも機能面では、業態や銀行間によって大きく異なることが多い。

また、銀行以外の証券会社や、手形交換所全銀システム日銀ネット郵便貯金システムなどでも「第x次オンラインシステム」と呼称することがあるが、原則的には銀行におけるものとは、内容も構築時期も別である点に注意が必要である。

第一次オンラインシステム( - 1960年代)

黎明期におけるシステム開発で、主に銀行本店における勘定処理の合理化のために導入された。採用されたコンピュータは、端末も含め輸入に頼っており、利用実態も開発も手探りの状態が続いた。また、運用に際しても銀行の本店にコンピュータが設置される場合も多く、システム部門も厳密には銀行本体から分離されていなかった。

第二次オンラインシステム ( - 1970年代)

本店から支店に対してオンラインが展開される時期で、勘定処理の本格的なオンライン化が進行した。1965年5月には、三井銀行(現:三井住友銀行)で日本初(世界初)のオンライン・バンキング・システムが稼働した(1964年の東京オリンピックのオンライン化技術が転用された) [1][2]。採用されるシステムも外国製から国産のものが採用され、国産コンピュータの開発に多大な寄与があった。しかしながら、ジョブ管理や、オンライン処理などソフトウェア面の未熟さが手伝って、実際の構築ではOS開発に銀行側が直接参加するなど苦労が多く、トランザクションモニターを中心とする独自のOS開発を行った銀行も多い。

全銀ネットなどの外部ネットワークとの接続の必要性や、勘定処理とは関係しない業務処理が多数発生したため、勘定系システムとは別に外部ネットワークとの接続制御を行う対外系システムや、情報系システムが勘定系とは別に構築された。また、業態別では都市銀行から地方銀行にオンラインシステムが展開され始めた時期にも当たる。

運用面では、手狭な本店に設置されていたコンピュータが、郊外のデータセンターでの運用に切り替わり、銀行本体からシステム部門が分離され、現在の運用開発体制の基礎となった。災害対策や故障対策を兼ねて、バックアップ系の整備が図られはじめたのもこの時代で、バックアップ機の有効活用を兼ねて、システム子会社が一般企業のデータ処理業務やシステム開発にも進出していった。

第三次オンラインシステム( - 1980年代)

名寄せや、世帯把握のために、顧客情報ファイル (CIF : Customers' Information Files) をベースとした顧客属性管理などが強化され、オンラインシステムの展開が、単なる業務の合理化・省力化の方向から、営業支援システムとしての側面が強くなった。また、現金自動支払機 (CD) の普及が始まり、通帳の磁気テープ貼付、キャッシュカードの発行、店頭自動機の展開など、オンラインシステムが商品サービスの内容や展開に不可欠な存在になった。尚、名寄せに伴う“家族カード”の一部顧客層への普及ならびに、各種提携機関からのオフライン(磁気テープでの受け渡しが主流であった)データによる引き落とし、ATMによる他行からの振込処理の増大(ATM稼働時間の延長)、度重なる銀行合併に伴う勘定元帳の統合・移行の必要性、あるいは給与の口座振込化の増大(現金払いで支給する企業も当時は多かった)などの社会的な背景もあり、“元帳DBに対する排他制御の確実性ないしは例外的な排他運用(オフライン引落しをどのタイミングで与信し、元帳反映させるかなど)”がクローズアップされた。中には一部行にて、システムテスト項目の不足に起因すると思われるバグにより、口座残高に関わる運用不備が社会問題化した。

第三次オンラインシステムでは、それまでシステム化の進行が遅かった相互銀行(現在の第二地方銀行)や、信用金庫などの中小銀行にも波及した。都市銀行地方銀行の多くは、独自にシステム開発を進めたが、中小銀行ではベンダーや他銀行との共同開発で展開したケースが多く、現在のアウトソーシング化への布石となった。

ポスト三オン時代(1990年代 - )

10年ごとにシステムを全面的に刷新してきた銀行業界だが、第三次オンラインシステムの完成によって、オンラインシステムは一応の完成を見せ、バブル崩壊後の景気低迷もあって銀行業界は、大規模なシステム刷新に慎重となった。

第三次オンラインシステムの設計想定寿命が10年前後であったにもかかわらず、銀行は大規模投資を控え、既存システムの保守と改良を続けるのみだった。しかし、第三次オンラインシステム構築時においても、都銀の間でさえ実装された機能には差異があり、顧客サービスに差がつきはじめていた。1980年代のシステム構築で、プラットフォームの転換を行った住友銀行(現 : 三井住友銀行)や、合併対応のために1990年代からシステム刷新を行ったあさひ銀行(現 : りそな銀行埼玉りそな銀行)などが代表的で、運用コストの削減を目的に北海道拓殖銀行(破綻)や大和銀行(現 : りそな銀行)なども積極的なシステム投資を行った。また、実質的に本店機能を大阪から東京に移転していた三和銀行(現:三菱UFJ銀行)は、首都圏での営業基盤強化のために、ATM稼働時間を延長させるために大規模なシステム投資を継続し、富士銀行(現 : みずほ銀行)や三菱銀行(現 : 三菱UFJ銀行)も、他銀行との競争上システム投資を強化していった。

一方で、合併対応のためにシステム更新が間に合わなかったさくら銀行(現 : 三井住友銀行)や、第一勧業銀行などの銀行では、ポスト三オン時代においてはシステムの改良が進まず、サービス面での競争力が低下していった。このように、ポスト三オン時代では、1980年代までほぼ横並びで構築されていたシステムが、銀行間において差が開く時代となり、システムの優劣が着実に銀行の経営に影響を与え始めていた。

金融再編時代(1990年代末 - )

1996年の三菱銀行・東京銀行の合併(東京三菱銀行→現 : 三菱UFJ銀行)、1999年の第一勧銀・富士銀行・日本興業銀行の経営統合(みずほフィナンシャルグループ。現 : みずほ銀行・みずほコーポレート銀行)に続く金融界の大再編では、合併による量的規模拡大とともに、システムを統合・合理化することによるコスト削減と、投資効率の改善によるIT化の強化が、経営方針に謳われるなど、銀行界の再編はシステム部門の重要性を改めて認識させた。

合併期においては、優劣の開いたシステム間で統合が図られることとなったために、原則的に先進的なシステムか、規模の大きいシステムに片寄せされる片寄せ統合が多く行われた。旧三和銀行と旧東海銀行が合併したUFJ銀行(現 : 三菱UFJ銀行)のように、合併と同時にシステムが統合される場合もあったが、東京三菱銀行(現 : 三菱UFJ銀行)・三井住友銀行みずほ銀行のように合併が優先され、システム統合が間に合わない場合には、旧来のシステムを平行稼働させて、単一のシステムのように見せかける「リレー統合」がしばしば行われた。

しかし、どちらの手法を取ったとしても、今までに類をみない巨大で複雑なシステム統合であり、経済システムに銀行システムが与える重要性が高まった現代において、システム統合の過程によって発生したシステム障害が、銀行の経営に与える影響だけでなく、決済制度そのものの存続を危うくするシステミック・リスクに発展する危険性が増大した。それが現実化したのが、2002年1月のUFJ銀行、それに続く4月のみずほ銀行・みずほコーポレート銀行のシステム障害であり、システム開発・運用におけるリスク管理の重要性が再認識された事件であった。

また、合併対応後のシステム開発においては、もはや第三次オンラインシステム時代のような、アーキテクチャを含めシステムを全面的に刷新する動きは見られないものの、勘定系システムに依存したオンラインシステム全体を見直し、サービスごとにシステムを再構築したり、勘定系システムの実質的な解体に繋がるハブ・アンド・スポーク型アーキテクチャへの移行が進められている。

地方銀行とポスト三オン

地方銀行では都市銀行のように強力なシステム部門を持たないため、第三次オンラインシステムの運用コストの負担感、法令順守やウェブ対応を含む新規開発負担、更には国産ベンダーのメインフレームからの撤退基調などから、ベンダーや他銀行と提携し、共同センターなどで共同運用する、開発や運用をアウトソーシングする、共同開発したパッケージに移行する、などの動きが強まっている。

これらの動きは、地方銀行が個別にシステム部門を抱えてエンジニアのレベルを維持するよりも、ベンダーの支援を受け、ベンダーに対しシステムの使用料金を支払う形にすることで固定費の実質的な削減と、外部の専門家集団による新技術導入や品質向上を目指したものである。しかしこれらのパッケージ化やアウトソーシング化は、地方銀行のシステム開発力や企画能力を減退させ経営の自由度を低下させる側面もあり、また提携銀行間の設計・運用の合意に失敗する、ベンダーのパッケージ開発の大幅な遅延や失敗により銀行が大きな損害を受けるケースも発生している。

大手行の勘定系システム

日本のメガバンク都市銀行は、世界的にも類例の無い、巨大な規模、全国オンライン即時処理、信頼性、極めて複雑な運用や経緯もあり、メインフレームを中核とした各行独自開発が大半である。日本の大手行の勘定系システムとプラットフォームは以下のものがある。

  • 注意点
    • プラットフォームは、あくまで勘定系の中核部分である。情報系、対外接続系、証券系、店舗システム、開発環境、あるいは勘定系の各種周辺サーバ群などは含めていない。
    • マスコミ同様に「片寄せ統合」「継続使用」などと便宜上表記するが、実際には各種の機能統合や基盤更改などを経て「統合システム」となっており、単純に片方がそのまま存続しているのではない。

系統図

日本の大手行(主な都市銀行現4大銀行)の勘定系システムの系統図は以下である(カッコ内は主要ベンダー)[3]。ただし記載は主な銀行・機能・ベンダーのみであり、上述のように「片寄せ統合」でも実際には多数の機能統合・分離や基盤更改などが行われており、多数のベンダーが関連している。

三菱銀行(IBM)
 
東京三菱銀行(IBM)
 
三菱UFJ銀行(IBM)
 
 
 
 
東京銀行(富士通)
 
 
 
 
 
三和銀行(日立)
 
UFJ銀行(日立)
 
 
 
 
 
東海銀行(IBM)
 
 
 
住友銀行(NEC)
 
 
 
 
 
三井住友銀行(NEC)
 
 
 
 
 
 
太陽神戸銀行(富士通)
 
さくら銀行(富士通)
 
 
 
 
 
三井銀行(IBM)
 
 
 
第一勧業銀行(富士通)
 
(旧)みずほ銀行(富士通)
 
みずほ銀行(富士通-日立)
 
 
 
 
富士銀行(IBM)
 
 
 
 
 
日本興業銀行(日立)
 
みずほコーポレート銀行(日立)
 
 
 
 
埼玉銀行(IBM)
 
あさひ銀行(IBM)
 
りそな銀行埼玉りそな銀行(IBM)
 
 
 
 
協和銀行(IBM)
 
 
 
 
 
大和銀行(IBM)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
北海道拓殖銀行(IBM)
 
(北洋銀行(IBM))
 

一覧

銀行名 勘定系の中核部分のプラットフォーム 経緯 備考
三菱UFJ銀行 IBMメインフレーム 三菱銀行系のシステム(IBM)がベース。1996年の東京三菱銀行発足時には、旧東京銀行のシステム(富士通)を旧三菱銀行のシステムに片寄せ統合した(ただし国際系は旧東京銀行系に一旦統合後、旧東京系を刷新する新海外システムに移行した)。また2002年のUFJ銀行発足時には、旧東海銀行のシステム(IBM)を、旧三和銀行(日立メインフレーム、VOS3XDM/RD)のシステムに片寄せ統合した。2006年1月の三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)発足時には、合併後の2008年5月12日に旧東京三菱システム(IBM)を「新システム」に更新後、同年7月7日から12月15日までに旧UFJ系(日立)を「新システム」に片寄せ統合した[4][5] 中核部分をパッケージ化して地銀共同化システム(Chanceプロジェクト)に提供中(#パッケージ/共同化 を参照)。
三井住友銀行 NECメインフレーム 住友銀行系のシステム(NEC)がベース。2001年4月の合併後、2002年4月から7月までに旧さくら銀行系(富士通)を、旧住友銀行系(NEC)に片寄せ統合した[6]2002年10月、システム統合完了。2003年7月、旧わかしお銀行勘定をシステムに追加。 2012年10月、次期勘定系システムもNECメインフレームのACOSを採用と発表[7]。2015年5月7日より、ACOSの新モデルをメインフレームとした勘定系システムが稼働開始された。
みずほ銀行(マークなし店、旧みずほ銀行店) 富士通メインフレーム 第一勧業銀行系の「STEPS」と呼ばれるシステム(富士通)を使用。2002年4月の3行合併時に、まず旧日本興業銀行系(日立製作所)のリテール業務を「STEPS」に片寄せ統合し、次に2004年7月〜12月にかけて旧富士銀行系(IBM)を順次「STEPS」に片寄せ統合した。 2002年4月の3行合併時に大規模システム障害[8][9][10]東日本大震災直後の2011年3月に再度の大規模システム障害[11][12][13][14][15][16]
2012年11月、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の3行システムの「全面刷新・統合」を発表(IBM・富士通・日立・NTTデータの4社に分割発注、メインフレームはIBM、Linuxサーバは富士通・日立)[17][18][19]。2度の延期後、2018年以降に統合予定[20]
2018年2月15日、勘定系システムの「全面刷新と完全統合」の最終スケジュールを発表、2018年6月11日から2019年度上期迄、9回に分けて、旧みずほ銀行(BK)の「STEPS」、旧みずほコーポレート銀行(CB)の「C-base」、みずほ信託銀行(TB)のシステムから、新システム「MINORI」(実り)に店群移行方式で移行予定(開発費用 4000億円台、開発工数 推定20万人月[21]
みずほ銀行(店、旧みずほコーポレート銀行店) 日立メインフレーム 2002年4月のみずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)発足後も、(旧)みずほ銀行に移行したリテール業務を除き、旧日本興業銀行系(日立)を継続使用。
りそな銀行 IBMメインフレーム 2003年3月の発足後、2005年9月までに旧大和銀行系のNEWTON/DARWIN(IBM)を、旧あさひ銀行系のCAP(IBM)をベースに構築した「統合システム」に片寄せ統合した(ただし信託系は旧大和銀行系)[22] 大和銀行系のNEWTON/DARWIN (IBM) は、ゆうちょ銀行へ転用。なお情報系システムは、DARWINを継続使用後、2014年11月17日にDARWINから切離してNTTデータ構築のオープン系システムに移行[23]2015年1月 勘定系の「統合システム」を更改[24]。詳細は りそな銀行#オンラインシステムの統合に関する経緯 も参照。
埼玉りそな銀行
新生銀行 FLEXCUBE(i-flexソリューションズ。オラクル製サーバ)、IBMメインフレーム、富士通メインフレーム [25] 日本長期信用銀行。債券系勘定処理は従来通りメインフレーム。新規追加のリテール向けはオープン系パッケージのFLEXCUBEを中核とした「世界初のWindows系勘定系[26]
あおぞら銀行 BeSTAcloud(NTTデータ。日立メインフレーム) 日本債券信用銀行 かつては、IBMメインフレームを採用し、2005年にz/OSに更改し、バックアップセンターを構築していたが、2016年5月2日、BeSTAcloudへ移行した。
ゆうちょ銀行 富士通メインフレーム、日立メインフレーム、IBMメインフレーム 勘定系には中核である「貯金システム」(プライマリはNTTデータ、富士通メインフレームで稼働)の他、「銀行システム」(旧UFJ銀行のシステムベース、日立メインフレームで稼働)、「内国為替システム」(全銀接続用、旧大和銀行のNEWTONベース、IBMメインフレームで稼働)などがある[27] 郵便貯金システムも参照。NEWTONの詳細は りそな銀行#オンラインシステムの統合に関する経緯 を参照。現在、「内国為替システム」の統合または再構築を検討中[28]
じぶん銀行 IBMサーバー オラクル傘下のi-flexソリューションズが提供するオープン勘定系パッケージFLEXCUBEで構築。 FLEXCUBEを選定した中井雅人社長によると「設立時期が異なるので単純な比較はできないが、効率的な開発を目指したのでそれほど大きなコストはかかっていない」。
三菱UFJ信託銀行 IBMメインフレーム 2008年5月7日に、旧UFJ信託系(日立メインフレーム、VOS3XDM)から旧三菱信託系に片寄せ統合を行った。
みずほ信託銀行 IBMメインフレーム 2011年5月23日 「次期システム」構築による、みずほ銀行みずほコーポレート銀行との勘定系システム統合を発表[29]
三井住友信託銀行 IBMメインフレーム[30] 2014年11月 旧住友信託銀行側システム(IBMメインフレーム)を、旧中央三井信託銀行側システム(IBMメインフレーム)に移行した。旧住友信託側のシステムは、1992年に新営業店オンラインシステム「ACE」を本格稼働したもの。旧中央三井信託銀行側のシステムは、2002年1月に旧中央信託銀行のシステムを、更に同年5月に旧北海道拓殖銀行の本州部分の支店システムを、旧三井信託銀行側のシステム(IBMメインフレーム)に片寄せ統合したもの。 2012年4月に旧住友信託銀行と旧中央三井信託銀行が合併して発足[31]
日本銀行 IBMメインフレーム、日立メインフレーム[32] 1988年 日銀ネット稼働。1996年バックアップセンター。2001年1月 RTGS(即時グロス決済)導入。2008年ポストRTGS反映。 2013年度 - 2015年度にかけシステム全面刷新予定[33]

パッケージ/共同化

都市銀行や大中規模の地方銀行などでは、システム子会社が独自に開発した勘定系システムを使用することが多い。これに対して、ポスト三オン時代以降では、システムベンダーが主体となって開発された勘定系パッケージソフトや、共同センターを利用する銀行が増えている。2008年10月時点で地方銀行では108行のうち約8割は勘定系を共同化したとされる[34]

システムベンダが主体となって開発された勘定系パッケージには、富士通PROBANKFSPSNECBankingWeb21NTTデータNTTデータ地銀共同センター日立製作所NEXTSCOPEなどがあり、開発・運用などアウトソーシングを含めて提案されているものも多い。

これに対して日本IBMは、三菱UFJ銀行の地銀共同化システム(通称・Chanceプロジェクト)や、八十二銀行などのじゅうだん会のように、勘定系パッケージの開発主体は銀行であり、日本IBMは保守運用を担当する形態が多い。

また複数の銀行で、システム全体または部分の共同開発、センターや運用を含めた共同化などの動きも進んでいる(例えば、静岡銀行の次期システムのオープン系の勘定系部分に京葉銀行が相乗りする方針を明らかにするなど)。

このほか、自前で運用したシステムの保守管理を圧縮する目的で、システムベンダにアウトソースするケースも見られ、そのシステムの延命が難しくなった時点で、共同化されたシステムや都銀(あるいは、都銀が地銀向けにパッケージ提供するケースを含む)のシステムに加入するというケースもある。

加えて、ソフトウェアパッケージでの提供もあり、NTTデータのBeSTA(2016年時点では、NTTデータ地銀共同センターなどのハードウェア込みのパッケージによる提供のみだが、個別提供も将来的な検討を行っている)や日本ユニシスTRITON(ハードウェアを利用金融機関が別途用意する個別提供のケースやACROSS21・ACCECSS21のようなハードウェア込のパッケージによる提供とがある)などがある。

なお勘定系システムに限らないが、一般的にシステムを変更する場合は「更新」や「更改」、特に別システムへの変更を含む大幅な変更を「移行」(マイグレーション)や「置換」(リプレース)などとも呼ぶが、その用語の使い分けは明確ではない。

背景

勘定系パッケージやシステム共同化を、主に非基幹(中小)銀行等が受入れせざるを得ない理由は、正負ともにいくつか挙げられる。

  • 技術者の不足あるいは将来的な枯渇
    • いわゆる“2007年問題”とも呼ばれるが、こと勘定システムのコアとなるプログラム群は、COBOLPL/I、機種依存アセンブラ言語また機種依存外字フォント(主に特殊な人名・地名用)などで構成されている場合が多い。
    • しかし現在のプログラミング環境での主流とは言い難く、スクラッチから構築する各種人材の確保が困難であり、共同化かつアウトソースする主な理由は、ここにある事が多い。
  • 全体スループットの向上
    • 現在の基幹勘定系の処理は、一般の想像を絶する複雑なロジック、ビジネス(会計科目仕訳、コンプライアンス処理)判断上の分岐点、データの保全・蓄積処理などを経て出力されている。
    • “基本的な会計処理”という観点では各行共通とも言えるが、“自行独自金融商品”という特異点を除外しても、本稼動当初の各行の担当設計者の“個性”が存在している(やや誤解を招く表現だが、例えば各行のATMに行って入出金や振込処理に要する時間を計測すると意外な“処理時間の差”がある。
    • 無論、曜日・時間帯・他行間取引など諸条件の違いを加味すると、イコール各行の“システム処理の性能”という短絡的な評価は出来ないが)。
    • これを、向上させる、若しくは平準化させる狙いがある。
  • 責任の所在の一元化による障害対処のスピードアップ
  • 運用・管理の一元化によるコストダウン
  • 上記による副次効果として、余剰リソースによる自行独自商品開発への集中
  • 銀行再編(合併、異業種を含む提携)、法令順守日本版SOX法個人情報保護法)などの進展による、開発・保守の範囲とスピードの向上(各金融機関で自前のシステムを構築し、何十年も保守を続ける事の負荷が向上)

一覧

銀行を中心とした金融機関の主な勘定系パッケージやシステム共同化には以下のものがある。

名称 主要ベンダー(主要プラットフォーム) 概要 参加金融機関
STARシリーズ NTTデータ(各社メインフレーム 2013年5月まで存在したNTTデータの共同システム。各行の自社運用していたシステムのアウトソースを受け、それを統合して共同化したSTAR-21、NTTデータ主体で構築したSTAR-ACE、STAR-ACEの後継として後述のBeSTAのアーキテクチャを導入したSTELLA CUBEがある。何れもSTARの各国語がシステム名に含まれている。2013年5月7日時点で、当シリーズの勘定系システムはSTELLA CUBEに統一されたため、「STARシリーズ」としてはブランド利用が終了となった。 STARシリーズも参照。
STAR-21 NTTデータ日立メインフレーム NTTデータの共同システム。STARシリーズの一つ。2009年5月にハードウェアを更新。2013年5月に運用終了。 STARシリーズも参照。
STAR-ACE NTTデータ(富士通メインフレーム NTTデータが構築・維持・運営をトータルにサポートする、中下位行向けオンラインシステムの共同利用型アウトソーシングセンター。STARシリーズの一つ。1997年5月に1行目である長野銀行のサービスを開始した[35]。なお稼働6行は、全て下記のSTELLA CUBEへ移行することになり、2011年10月の東京都民銀行を皮切りに順次移行し、2012年7月までにすべての参加行がSTELLA CUBEへ移行し、2013年5月に正式に運用終了となった。 STARシリーズも参照。
BeSTA NTTデータ(各社メインフレーム NTTデータが開発した勘定系ソフトウェア・パッケージ。あくまでも、ソフトウェア形態であるため、別途メインフレーム上で稼動するが、ベンダーを選ばないため、NTTデータ地銀共同センター、3行共同利用システム (MEJAR)、次期共同センター(STELLA CUBE)、BeSTAcloudや、日立製作所によるNEXTBASE、単独提供など、多数の提供形態が存在する。 BeSTAも参照。
NTTデータ地銀共同センター NTTデータ(日立メインフレームBeSTA NTTデータによる、全国地方銀行協会に加盟する上位・中堅行向けアウトソーシング体系で稼動。ただし、第二地銀の加入を妨げるものではなく、すでに愛知銀行が稼働済である。他の参加行(未稼働行含む)はすべて、地銀協加盟行となっている。 参加15行、稼働14行、離脱1行、未稼働1行。BeSTAも参照。
NTTデータ 共同利用システム (MEJAR) NTTデータ(富士通メインフレーム、BeSTA) 2007年3月23日横浜銀行北海道銀行北陸銀行NTTデータによりシステム共同化の基本契約。上記の地銀共同センターとも共同開発だが参加はしない。元は、横浜銀行とほくほくFG2行による共同化だったことから、「3行共同利用システム」が正式名称となっていたが、2016年1月4日に、七十七銀行がMEJARへリプレースしたことなどから、その方針が明らかになる前後の時期から「3行」の文字がいつしか外れ、略称のMEJARの名称を主に用いるようになった。その後、コンコルディア・フィナンシャルグループの発足に先立ち、同社の傘下に入る東日本銀行が加入を決めた。 参加5行・稼動4行。BeSTAも参照。
STELLA CUBE NTTデータ日立メインフレーム、BeSTA) 仮称「NTTデータ次期共同センター」。上記のSTAR-ACEの後継システムとして、2011年10月の東京都民銀行と同時に稼働開始。これに併せて、富士通メインフレームから日立メインフレームに変更された。STAR-21、STAR-ACEに続くSTARシリーズの流れを汲む勘定系システムとしては、3世代目にあたり(STELLAは、STARのイタリア語表記)、STARシリーズの系統としては、はじめてコアとなるソフトウェアにBeSTAを取り入れた。2013年5月7日に、STAR-21およびSTAR-ACEを統合する形で、STARシリーズの統一勘定系にまとめられる形となったため、「STARシリーズ」ブランドが終了された。 参加9行・稼働8行。BeSTAも参照。
BeSTAcloud NTTデータ日立メインフレーム、BeSTA) 当初は、STELLA CUBEへの移行を検討していた、フィデアHD傘下の2行向けとして、新たにBeSTAベースで構築された勘定系システム。2014年3月17日に荘内銀行NTTデータ地銀共同センターのアーキテクチャを移植する形で稼働開始し、同年5月7日に北都銀行がリプレース。2016年5月2日あおぞら銀行が、BeSTAcloudにリプレース。2019年1月には、システムバンキング九州共同センター(SBK)を、BeSTAcloud上に移植させて稼働予定。 詳細は下欄参照 参加10行(SBK加入行を含む)・稼働3行。BeSTAも参照。
システムバンキング九州共同センター (SBK) NTTデータ富士通メインフレーム)→NTTデータ・BeSTAcloud(日立メインフレーム、BeSTA) 沖縄海邦銀行を除く九州地方第二地方銀行協会加盟各行から構成された、熊本市に本部を置く事業協同組合による共同運用。2019年1月に、BeSTAcloud上でSBKシステムを稼働させ、同年5月海銀がSBKに加入し、BeSTAcloud上のシステムへ既存勘定系を破棄してリプレースの方針。 参加7行・稼働6行。システムバンキング九州共同センターを参照
NEXTBASE 日立(日立メインフレーム) 日立が独自に提供している第二地銀向けアウトソーシングソリューション。勘定系パッケージは上記のBeSTAがベース。 参加・稼働12行。加えて、イオン銀行がサブシステムとして採用している。詳細はNEXTBASEを参照。
NEXTSCOPE(Kプロジェクト) 日立(日立メインフレーム) みちのく銀行山陰合同銀行肥後銀行の三行共同アウトソーシング。肥後銀行の勘定系システムをベースに、三行の要求仕様を盛り込んでパッケージ化した。日立製作所が直接運用を行うアウトソーシング契約を締結している。 参加・稼働3行(離脱予定1行)。肥後銀行(初期ユーザ)、みちのく銀行山陰合同銀行(離脱予定)
NEXTCAP 日立 日立が、オープンアーキテクチャを取り入れ、大手銀行向けシステムとして提案しているパッケージ。みずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)の次期勘定系システムへの採用を目指し受注活動を行っていたが、現時点では採用行なし。 稼働なし。NEXTCAP参照
バンク・コンピュータ・サービス 日立(日立メインフレーム) 2000年12月27日に、旧泉州銀行(現・池田泉州銀行)・鳥取銀行TISが共同出資した(株)バンク・コンピュータ・サービス設立。参加行の要望の調整を含め、企画・開発・運用を全て同社が担当するのが特徴。開発センターと本番系運用センターを、旧・泉州銀行のシステムセンター(大阪府泉佐野市)に、バックアップセンターを三菱UFJ銀行師勝ビル(愛知県北名古屋市)に設置していた。2015年3月31日、会社解散。 バンク・コンピュータ・サービスも参照。
三菱東京UFJ 地銀共同化システム (Chanceプロジェクト) IBM(IBMメインフレーム (IMS/SAIL)) 三菱UFJ銀行の主要な勘定系、チャネル系、情報系システムをベースとするシステムの共同化。メガバンクのシステムをベースとした地方銀行のシステム共同化形態としては国内唯一。2001年末 基本計画策定開始。2003年4月プロジェクト開始(当時は東京三菱銀行)。業務プログラムの提供は三菱UFJ銀行。開発・運用は日本IBMに委託。開発・運用は更に「地銀ITソリューション (RBITS)」に再委託。コンピュータは日本IBMのセンターに集約[36] 参加・稼働7行。常陽銀行 (1行目。2007年1月4日稼働)、百十四銀行(2行目。2007年5月7日稼働)、十六銀行(3行目。2007年7月17日稼動)、南都銀行(4行目。2008年5月7日稼動)、山口銀行(5行目、2010年5月6日稼働)、北九州銀行(6行目、2011年10月3日稼働)、もみじ銀行(7行目、2012年1月4日稼動)。2020年1月 足利銀行稼働予定[37]
じゅうだん会 IBM(IBMメインフレーム (IMS/SAIL)) 八十二銀行のシステム[38]をベースに、日本IBMと共同で推進するシステム共同化。参加行の要望の調整を含め、企画・開発は全て八十二銀行が担当し、日本IBMは運用を担当するのが特徴。 参加・稼働7行。詳細はじゅうだん会参照。
広銀・FFG共同システム IBM(IBMメインフレーム (z/OS、IMS)) 広島銀行福岡銀行の共同システム。地銀初の本格的なシステム共同化。開発センターとバックアップセンターを福岡銀行に、本番系運用センターを広島銀行に設置。運用は日本IBMにアウトソーシング(日本IBMはソリューション会社のCSOLを設立)。2003年1月稼働[39][40]。その後、福岡銀行が、金融持株会社ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)を立ち上げる事になり、福岡銀行以外にFFG傘下に入った2行も加入する形になった。 稼働4行。広島銀行、福岡銀行、熊本銀行親和銀行(2019年以降をめどに、十八銀行のFFGへの傘下入りが関係省庁の認可が下り次第、十八銀行に吸収合併される予定だが、合併行でもシステム統合の上、継続利用の見通し)。
TSUBASA(翼)プロジェクト IBM(未定) 千葉銀行など当初5行によるシステム共同化・提携。2007年7月より「システムに関する共同検討会」。2008年4月からの「システム共同化・提携に関する活動」を「TSUBASA(翼)プロジェクト」とネーミング。共同化検討の対象範囲は「基幹系システム」および「全てのサブシステム」[41]。コールセンター、CRM、営業店システムなどの周辺システムの共同化を先行させた[42] 参加7行(勘定系共同化 稼働3行)。当初5行(千葉銀行、第四銀行北國銀行中国銀行伊予銀行)、2012年4月東邦銀行が参加。その後、北洋銀行も参加。当初5行と北洋銀行は、加入時点ではIBMメインフレームを使用中[43]だった。

勘定系共同化は、2012年10月 千葉銀行・第四銀行・中国銀行はIBMメインフレームを使用する共同化に合意、2016年1月 千葉銀行が移行[44]、2017年1月 第四銀行が移行[45]、2017年5月 中国銀行が移行[46]

NEFSS IBM(オープン系 米IBMが、米プルデンシャル・ファイナンシャルと共同開発した勘定系基盤を、日本IBMが日本向けにローカライズしたパッケージシステム。Javaによりマルチプラットフォームで稼動する。 稼働1行。住信SBIネット銀行(2007/09サービス開始)。スルガ銀行(開発中断、日本IBMを提訴[47]、BankVision採用)、東京スター銀行(開発中断)。
BankVision 日本ユニシスWindows 日本ユニシスが開発。百五銀行世界初のWindowsフルバンキングで、全銀行業務をWindows上で実現した。ES7000、SQL Server 2005、日本ユニシスの金融機関向け基盤ミドルウエア「MIDMOST」を使用[48][49] 参加10行・稼働9行(稼働9行中、離脱予定1行)。百五銀行(2007年5月7日稼働、1行目)、十八銀行(2009年1月4日稼働、2行目)、筑邦銀行(2010年1月4日稼働、3行目[50])、紀陽銀行(2010年5月4日稼働、4行目)佐賀銀行(2010年5月5日稼働、5行目)、山梨中央銀行(2011年1月3日稼働、6行目)、鹿児島銀行(2011年5月6日稼動、7行目)、スルガ銀行(2014年1月6日稼働、8行目)、北國銀行2015年1月4日稼働、9行目[51])、大垣共立銀行(2017年度の稼働を予定[52])。なお、十八銀行は、FFG傘下に入った上で、親和銀行を吸収合併する検討を行っているが、勘定系は親和銀行がすでに稼働済みの広島銀行FFGの共同システムへ統合させる方針のため、2017年時点での審議継続中の関係省庁の認可が認められて、FFG傘下入り、親和銀行との合併後、十八銀行は離脱の方向となっている。
SBI21 日本ユニシス(Windows 日本ユニシスによる地域金融機関向け勘定系パッケージ。 横浜信用金庫(2016年1月稼働)、他20金庫
BANKSTAR 日本ユニシス(Windows 日本ユニシスが開発。 稼働2行。セブン銀行(2006年1月稼働)、他1行
TRITON 日本ユニシス(ユニシスメインフレーム 日本ユニシス、が共同開発した地銀向けパッケージ。Unisys 2200系超大型メインフレームで稼動。1996年稼動開始。ただし、TRITON自体は、BeSTA同様、ソフトウェアでの提供形態となっており、日本ユニシス構築のメインフレームが別途必要となるため、採用行によってはメインフレームを独自構築するケースや、メインフレームを含めたパッケージについては、ACCESS21, ACROSS21といった形態での利用となる。
ACCESS21 (BankForce-NE) 日本ユニシス(ユニシスメインフレーム) TRITONをベースにしたパッケージおよびアウトソーシングサービス。2008年12月 BankForce-NE(国際勘定系システム)などのパッケージを組み合わせた「大分銀行向けオープン国際勘定系システム」が稼働。 大分銀行は、2013年5月にNTTデータ地銀共同センターへ移行した[53]
ACCROSS21 日本ユニシス(ユニシスメインフレーム) 1998年に稼動開始となった、TRITONをベースにしたパッケージおよびアウトソーシングサービス。日本ユニシスときらやか銀行などの出資(現在は、日本ユニシスと福島銀行の出資)による東北バンキングシステムズでの運営[54] 稼動停止済。旧稼働行は、きらやか銀行(2015年5月、NTTデータ次期共同センターへの移行により離脱)、福島銀行(2015年5月、日本ユニシスが第二地銀向けに新規開発予定の新パッケージへ現行内容を移植する形でリプレース[55])、大光銀行
OpenE'ARK 日本ユニシス(Windows Server, SQL Server) 国際系業務用の勘定系パッケージ[56] 2015年現在、12金融機関で稼働中。2008年に 福岡銀行および広島銀行で本番稼働以降、2010年 肥後銀行、2011年に 山陰合同銀行みちのく銀行、2012年阿波銀行などでも相次いで稼働。また、2015年1月には北國銀行にて、BankVisionと同時に本番で稼働開始している。
alphAcross 日本ユニシス(ユニシスメインフレーム 日本ユニシスが、2015年5月稼働開始に向け、第二地銀向けに新規開発した新型パッケージ。2015年5月、福島銀行がACROSS21より、同勘定系の内容の一部を新システムに移植の上でリプレースと同時に稼働開始[57]。ACROSS21同様、運用は日本ユニシスが出資する東北バンキングシステムが受託。 参加・稼働1行。福島銀行
FlexCube i-flexソリューションズ、日本オラクル(オープン系) シティバンクが、海外拠点の勘定系システムを統合するために、インドに設立した子会社を通じて開発したパッケージで、現在はオラクルの傘下に入っている。オープン系システムを中核に、コンテナ化されたアプリケーションが特徴で、汎用勘定系パッケージとしては世界最大のシェアを持っている。 新生銀行じぶん銀行日本振興銀行(経営破綻)、イオン総合金融準備(予定→キャンセル→NEXTBASE)、東京都民銀行楽天支店(廃業)、日興シティ信託銀行(解散)
FUJITSU Standard Platform Service(FSPS) 富士通(富士通メインフレーム・同社オープン系を併用) 富士通が開発した勘定系システムパッケージで、「FUJITSU Financial Services Solution FSPS(フジツウ ファイナンシャル サービシーズ ソリューション エフエスピーエス)」の中核パッケージ。2017年1月稼働開始で、プライマリユーザとして、滋賀銀行が稼働開始予定。 参加2行・稼働2行。滋賀銀行(2017年1月[58])、東邦銀行(2017年10月10日稼働開始[59])
バックアップ系統のみの参加行として、みなと銀行2017年中に導入を予定している。
PROBANK
PROBANK-R2
富士通(富士通メインフレーム) 富士通が開発した金融機関向けの「次世代勘定系システム」。2000年2月時点の「PROBANK研究会」の参加行は地銀18行であったが、開発の遅れから採用撤回が続き、初代を稼働させたのは東邦銀行など4行。2011年9月より第2次システム(PROBANK-R2)が稼動開始し、初代システムから移行した3行が稼動済み(うち、1行は富士通のFSPSへのリプレースを予定)。2014年5月時点で、R2移行予定の4行目は現れていない。 (R2に関しては)採用行・稼働済3行(稼働行のうち、離脱1行)。PROBANKを参照
W-Bank2/ネットバンク 富士通(Solaris/Oracle 富士通が開発したネット銀行向けオープンパッケージ。 ジャパンネット銀行ソニー銀行オリックス銀行大和ネクスト銀行[60]
荘銀・しあわせ共同システム 富士通(富士通メインフレーム) 2行の共同システム。開発は富士通、エス・ワイコンピューターサービス(現・富士通山形インフォテクノ)[61]。現在は、勘定系システムとしては運用休止しているが、情報系システム・国際系システムとして運用されている。 2006年5月1日まで荘内銀行。旧山形しあわせ銀行勘定系としては2007年5月2日まで運用。残る情報系・国際系システム部分のみを切り出して、同年5月7日よりきらやか銀行が継承。2015年5月には、きらやか銀行の勘定系をNTTデータ次期共同センターにリプレースするため、情報系・国際系についても同時に破棄。
JASTEMシステム NTTデータ(富士通メインフレーム) JA bank SysTEMの略。JAバンクの全国統一システム。JAグループ傘下の、信連と農業協同組合の勘定系システムを単一システムとして統一するために、農林中央金庫と47都道府県信連が共同出資した(株)JASTEMが1994年から開発を開始した。1999年より展開が開始されたが、開発・展開計画の大幅な遅れと(株)JASTEMの深刻な経営難から、2002年に(株)JASTEMは清算され、以後は農林中央金庫のシステム子会社が直接、開発と運用を行っている。2006年5月に全国展開が終了。プライマリーベンダーはNTTデータで、富士通製メインフレームで稼動。2010年1月と5月に、一部の県域単位で2代目となる新システムへ移行されている。その他の県域も2011年1月と5月に、新システムへ移行された。コンビニATMとの接続は、JFマリンバンクとともに、農林中央金庫業務企画部の勘定を当勘定系へ経由させる形で接続を実現した。
そして、2018年1月の3ヶ日直後の3連休ならびに2018年10月の3連休の2回に分けて、全国のJASTEMのハードウェア更新を都道府県単位で2つのグループに分けて行う予定。これと前後して、ATM周辺システムである、JASTEM-ATMの導入を各組合の拠点毎に順次実施する(JASTEM-ATMについては、2016年までに実施済みの拠点もある)。
全国47都道府県のJAバンク
信用金庫共同システム NTTデータ(富士通メインフレームなど) 2006年4月、しんきん共同システム運営機構設立。全国290の信用金庫のうち、約250が加盟。全国7箇所のセンターで稼働。開発・運用はNTTデータ。 2011年9月までにセンターを東京・大阪の2箇所に集約予定。このため2010年1月に大阪の4信金のシステムを集約予定[62]。加盟庫間で通帳の記帳(通帳入金を含む)取引にも対応している。
全国労働金庫統一オンライン・システム NTTデータ(日立メインフレーム) 全国13の労働金庫および労働金庫連合会の統一オンラインシステム。2014年1月に旧オンラインシステム(ユニティ・システム)から、NTTデータBeSTAアーキテクチャを取り入れた新たな基幹系システムへ移行した。バッチ系サブシステム(富士通メインフレーム)およびオープン系システムと合わせアールワン・システムと呼ばれている。コンビニATMおよびビューアルッテとの接続は、アールワンと労働金庫連合会を接続し、各労金が労金連本店経由で接続する形を以て実現している。
BankingWeb21 (BW21) NEC (HP-UX) NECが開発した純オープン系勘定系システムのパッケージ。2003年5月稼動の八千代銀行日本初のオープン系勘定系と呼ばれている。 参加・稼動3行(1行が離脱予定)。詳細はBankingWeb21を参照

脚注

注釈

出典

  1. 世界初のオンラインシステムが日本で動いた
  2. 銀行オンラインブームに火を付けた三井銀行「魁」の挑戦 (PDF, IBM)
  3. - ITPro, 銀行再編の裏、勘定系システムめぐるITベンダの死闘 みずほ大障害呼んだ富士通のエゴ - Business Journal勘定系システム - Finsol
  4. 総費用3300億円の巨大プロジェクト、三菱東京UFJ銀のシステム統合が完了 - 日経コンピュータ
  5. 世界最大のシステム完全統合 遅れ、トラブルなく6000人が完遂 三菱東京UFJ銀行 - ITPro
  6. 三井住友銀行,10月のシステム完全一本化に向けてラストスパート - ITPro
  7. NEC、三井住友銀行の次期勘定系システムとしてメインフレームACOSシリーズ「i-PX9800/A100」を受注
  8. 2002年〜 みずほ銀行、みずほコーポレート銀行のスタート - みずほ銀行
  9. みずほのシステム障害が示すもの - @IT
  10. みずほフィナンシャル・グループに対する行政処分について - 金融庁
  11. みずほ銀行が大規模障害を繰り返す本当の理由
  12. みずほ、復活への再挑戦
  13. みずほ銀行が障害報告書を公開、多重ミスが障害長期化を招く
  14. 調査報告書 - みずほ銀行
  15. みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について - 金融庁
  16. システム障害に関する行政処分について - みずほ銀行
  17. みずほの次期システムはマルチベンダー、4社に分割発注 - 預金系を除きオープン化
  18. 史上最大級のシステム統合に挑む
  19. “ニュースの深層 統合と刷新を一挙、みずほ銀が挑む最難プロジェクト みずほ銀行「次期勘定系システム」の全貌(上)”. 日本経済新聞. (2015年12月10日). http://www.nikkei.com/article/DGXMZO94328910U5A121C1000000/ . 2016閲覧. 
  20. みずほ銀行、勘定系システムの統合・刷新で2度目の延期を検討
  21. - 日系コンピュータ
  22. 日経コンピュータ・特集・りそな銀行システム統合 (PDF, NIKKEI COMPUTER 2005.11.14)
  23. りそなグループ「新情報系システム」をオープン基盤で稼動〜情報系システムをメインフレームからオープンシステムへ全面刷新〜 2014年12月29日閲覧
  24. 株式会社りそな銀行 ジャンプアップ移行により基幹系システム基盤を最新化。24時間365日のサービス提供を目指す - 日本IBM
  25. コンピュータユーザー調査年報 2007年版
  26. 【事例】銀行基幹業務に異例のWindows採用 パッケージをフル活用し低コストで開発---新生銀行
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  29. 2011年5月23日 「信頼回復」に向けた取り組みについて (PDF, みずほフィナンシャルグループ 2011 年5 月23 日)
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  31. 住友信託・中央三井、「システム統合で大幅なコスト削減を目指す」
  32. コンピュータユーザー調査年報 2007年版
  33. 新日銀ネットの構築について - 日本銀行
  34. 知られざる先進業界「地銀」に見るシステム共同化の真実 - ITPro
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  36. 山口銀行における『地銀共同化システム』の稼働について - 日本IBM
  37. 足利銀行、10年ぶりのIBM復帰 - ITPro
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  39. 地銀初!広島銀行と福岡銀行の共同システムが無事稼働
  40. 株式会社福岡銀行 株式会社広島銀行 - 日本IBM 事例紹介
  41. 千葉銀行・システム共同化・提携に関する基本合意について(2008/03/31)”. . 2011閲覧.
  42. 千葉銀など地銀3行が勘定系システムを共同化へ、日本IBMが受注
  43. 日本IBM・システム地銀5行の次期基幹系システムの方向性検討を支援(2008/03/31)”. . 2008閲覧.
  44. TSUBASA(翼)プロジェクト、基幹系共同システムが千葉銀行で稼働開始 - IBM
  45. IBM支援の地銀共同システム、第四銀行で稼働開始 - ITmedia
  46. TSUBASA(翼)プロジェクト、基幹系共同システムが中国銀行で稼働開始 - 日本IBM
  47. スルガ銀行・経営システム開発にかかる損害賠償請求訴訟の提起について(2008/03/06)
  48. 世界初のWindowsフルバンキング - ITPro
  49. 日本ユニシスのWindows勘定系が十八銀行で稼働、百五銀に続き2行目 - 日経コンピュータ
  50. ユニシス製Windows勘定系の稼働が3行に、筑邦銀行が利用開始
  51. 北國銀がWindows勘定系を採用へ、ユニシス「悲願の二桁獲得」に王手 - 日経コンピュータ
  52. “[スクープ]日本ユニシスが大垣共立銀からWindows勘定系を受注、悲願の10行達成”. 日経コンピュータ. (2013年10月17日). http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20131017/511669/ . 2013閲覧. 
  53. 大分銀行がNTTデータの共同システムを採用、「本命」製品の導入は見送り
  54. 東北バンキングシステムズ
  55. “福島銀行が、次期基幹系システムに第二地方銀行向け新アウトソーシングサービスの採用を決定”. 日本ユニシス. (2012年11月13日). http://www.unisys.co.jp/news/nr_121113_outsourcing.html . 2015閲覧. 
  56. 次世代オープン国際勘定系システム OpenE'ARK - 日本ユニシス
  57. “日本ユニシス 福島銀行が、次期基幹系システムに第二地方銀行向け新アウトソーシングサービスの採用を決定”. 日本ユニシス. (2012年11月13日). http://www.unisys.co.jp/news/nr_121113_outsourcing.html . 2014閲覧. 
  58. “滋賀銀行様が勘定系システムのアウトソーシングサービス「FSPS」を採用 プラットフォームを共同利用しながら独自の業務アプリを維持”. 富士通株式会社. (2015年1月16日). http://pr.fujitsu.com/jp/news/2015/01/16.html . 2015閲覧. 
  59. “東邦銀行様が、勘定系システムアウトソーシングサービス「FSPS」を採用”. 富士通株式会社. (2015年8月5日). http://journal.jp.fujitsu.com/2015/08/05/01/ . 2016閲覧. 
  60. 大和ネクスト銀行が開業、国内で初めて勘定系にLinuxを採用
  61. 富士通山形インフォテクノ 株式会社富士通
  62. しんきん共同システム運営機構、2010年1月に4信金のメインフレームを集約

関連項目

外部リンク