ジャパンネット銀行
株式会社ジャパンネット銀行(英称:The Japan Net Bank, Limited.、呼称:「Japan Net Bank(ジャパンネットバンク)」、略称:JNB)は、ネット銀行の最先発行。第二次世界大戦後初めて日本の銀行法第四条による普通銀行免許を取得。金融庁から「新たな形態の銀行」の一つとして定義されている。ヤフーの連結子会社。三井住友銀行の持分法適用会社。
Contents
概要
設立及び経営
1998年末までに、日本におけるインターネット利用者が1694万人に達していた状況に鑑み、さくら銀行(現:三井住友銀行)はネットユーザーのデファクトスタンダードとなるような決済手段を提供すべくインターネット銀行設立の検討を開始した[1]。時同じくしてニフティを傘下に置き、自社ネットワーク事業のコンテンツの充実を目指す富士通との思惑が一致したことから、1997年7月、さくら銀と富士通はインターネット銀行設立における基本合意を締結。さらに当時、爆発的に普及していたiモードを擁するNTTドコモや多様な顧客基盤を有する日本生命保険なども参画を表明し[1]、2000年9月19日にさくら銀が50%、住友銀行[注 1]、富士通、日本生命が各10%、東京電力、三井物産、NTT東日本、エヌ・ティ・ティ・ドコモがそれぞれ5%を出資してジャパンネット銀行を設立[2]。同年10月12日に開業した。2004年12月には口座数は100万を突破し、翌05年3月期には黒字化を達成した[1]。
2006年6月29日、ジャパンネット銀・三井住友銀・ヤフー(Yahoo! JAPAN運営会社)の3社で資本・業務提携を締結。同年9月29日には第三者割当増資を行い、普通株式を三井住友銀(払込価額87億円)とヤフー(同45億1500万円)に対して、取得条項付無議決権株式(優先株)をヤフー(同212億8500万円)に対して、それぞれ株式を割り当て、追加出資を受けた。これによって、ヤフーが三井住友銀と同じく40%を出資をする筆頭株主となった。(ただし、議決権ではヤフー10.4%、三井住友銀59.7%)。提携の発表当初は、金融持株会社を三井住友銀とヤフーが共同で設立し、その子会社とすることも検討されていたが、その後進展は見なかった。
2014年4月30日付で、ヤフーの所有する優先株が普通株に転換され、三井住友銀およびヤフーの持分法適用会社となった。2018年2月1日にヤフーが連結子会社化し、それを機にこれまでの三井住友銀出身者に代わってヤフー出身の田鎖智人が社長に就任した[3][4]。
サービス
個人間および、個人と法人間のインターネットを利用したオークションやネットショッピングなどによる小額の決済業務、証券会社・商品先物取引会社・FX業者などの口座への入出金等の決済業務に特化している[1]。例えば、Yahoo! オークションと提携し、落札後の決済を行なえるようにするなどである。他にも、投資信託の販売業務、カードローンなどの個人向け融資業務にも注力している。また、2008年(平成20年)6月19日にはtoto(サッカーくじ)の販売が開始された(イーバンク銀行(現:楽天銀行)に次いで2行目)。VISAデビットサービスも2013年12月より参入。
振込手数料は、一般の銀行に比べ比較的低廉に設定されている(後述)。
預金取引などを扱う窓口のある支店店舗は一切なく、本店営業部のみとなる(手数料が割高である事から、利用者は一部に限られる)。支店そのものはワンタイム口座専用支店や各種サービス専用の支店、また一般口座として2009年9月17日開設(同年12月3日受付開始)の「すずめ支店」などがあるが、店舗所在地は本店営業部と同一である。
現金の入出金は、三井住友銀、セブン銀行、イーネット、ローソンATM[5]、ゆうちょ銀行のATM網を利用して行うが、手数料が必要となる。ただし、取引条件によってはATM利用手数料が無料となる(詳細は後述)。
取引状況はネットバンキング上で照会できるため、預金通帳は無く(月ごとの利用明細送付は有料で可能)、原則ネットバンキングによる取引となる。なお一部取引については本店窓口でも取り扱う。また窓口でしか出来ない処理もある。
当初の口座取扱店は本店営業部のみであったが、2006年10月26日、Yahoo!ネットバンキング開始に伴い、ワンタイム振込専用の支店が開設された。この支店名には星座名が採用された。他にも各種サービスのための専用支店が開設され、樹木や鳥類から支店名が採られている。一般口座も2009年9月17日に新たに「すずめ支店」が開設され(実際の稼働開始は同年12月3日以降受付分から)、それ以外にも鳥類から採った支店がいくつか準備されており、新規支店は今後も口座保有者の増加に伴い逐次開設される予定となっている。
口座数は日本初のネット銀行として当初はトップを保っていたが、2005年に[注 2]イーバンク銀行(現・楽天銀行)に追い越されている。
かつてはiモード対応携帯電話からJNB相互間の振込をする場合の振込手数料10円(1回あたり)を売りにしていたが、EZwebおよびJ-スカイ(旧ボーダフォンライブ!、現Yahoo!ケータイ)対応に伴い、2003年4月からはパソコンからと同額の52円に値上げした。
口座の種類
- 預金口座: 個人(消費者)を対象とした口座。
- BUSINESS ACCOUNT 口座: 個人事業者と法人を対象とした口座。
- SOHO ACCOUNT 口座: 個人事業者と法人を対象とした、日本SOHO協会「事業所ID」の保有者の決済用口座。日本SOHO協会の正会員であり、代表者のみ開設出来る。
支店名
現在置かれている支店名一覧
(括弧内は支店コード)
- 本店営業部 (001)
- すずめ支店 (002)[注 3]
- はやぶさ支店 (003) …2015年7月29日申し込み分から開設を開始した。
- ふくろう支店 (004) …同上
- かもめ支店→ビジネス営業部 (005) …2015年10月1日以降、法人取引利用客のうち、条件に該当する顧客に割当開始。口座店名変更時期は不明。
ワンタイム口座専用支店一覧
(括弧内は支店コード)
- カエデ支店 (701)
- モミジ支店 (702)
- サクラ支店 (703)
- ウメ支店 (704)
- ツバキ支店 (705)
- ケヤキ支店 (706)
- クスノキ支店(707)
- ヒイラギ支店 (708)
- シラカバ支店 (709)
- ツツジ支店 (710)
- おひつじ座支店 (801)
- おうし座支店 (802)
- ふたご座支店 (803)
- かに座支店→ラインブラウン支店に変更(2016.3.4~) (804)
- しし座支店→ラインコニー支店に変更(2016.3.4~) (805)
- おとめ座支店 (806)
- てんびん座支店 (807)
- さそり座支店 (808)
- へびつかい座支店 (809)
- いて座支店 →ソフトバンクカード支店(810)
- やぎ座支店 (811)
- みずがめ座支店 (812)
- うお座支店 (813)
- りゅう座支店 (814)
- はくちょう座支店 (815)
- アンドロメダ座支店 (816)
- ほうおう座支店 (817)
- こぐま座支店 (818)
- こと座支店 (819)
- わし座支店 (820)
Yahoo!決済連携サービス専用支店
(括弧内は支店コード)
- いるか座支店 (821)
- うさぎ座支店 (822)
- うしかい座支店 (823)
- おおかみ座支店 (824)
- オリオン座支店 (825)
- カシオペヤ座支店 (826)
- きりん座支店 (827)
- クジラ座支店 (828)
- ケンタウルス座支店 (829)
- こいぬ座支店 (830)
- さんかく座支店 (831)
- じょうぎ座支店 (832)
- たて座支店 (833)
- つる座支店 (834)
- とけい座支店 (835)
- とびうお座支店 (836)
- はと座支店 (837)
- ペガスス座支店 (838)
- ポンプ座支店 (839)
- やまねこ座支店 (840)
その他支店
(括弧内は支店コード)
- フラミンゴ支店 (601)
- ペンギン支店 (602)
入出金
以下のATMが利用可能である。当月最初の入出金は取引金額に関わらず無料。2回目以降は取引時間帯に関わらず、取引金額に応じて以下の通り手数料が徴収される。
三井住友銀行、セブン銀行ATM、イーネットATM、ローソンATMでの入出金
- 1回の取引金額が3万円以上の場合は無料、3万円未満の場合は1回につき一律162円の手数料がかかる。
ゆうちょ銀行ATMでの入出金
- 1回の取引金額が3万円以上の場合は無料、3万円未満の場合は1回につき一律324円の手数料がかかる。
振込手数料
ネットバンキングにおいては、ジャパンネット銀行の口座間は54円、他行宛ては3万円未満が172円、3万円以上が270円である。
本店窓口の場合、ジャパンネット銀行内の口座宛ては3万円未満が648円、3万円以上が1080円、他の金融機関宛ては3万円未満が1296円、3万円以上が1720円である。ただし、前月中の普通預金と定期預金の合計平均残高が3000万円以上の場合、上記の振込手数料は月5回まで無料となる。
口座維持手数料
2012年7月より「口座維持手数料」は廃止となり、無料となっている[6]。それ以前は下記のいずれかを満たしていないと、月額189円が徴収された[注 4]。
また、ハードウェアトークン方式のワンタイムパスワード導入のため、2006年10月1日から月額105円から189円に改定された(以前からある口座維持手数料免除のための取引条件に変更は無い)。
- 口座維持手数料永久無料プランで無料
- 会員登録・口座開設の申し込みで永久無料。
- 上記に記載の提携企業の会員登録・口座開設の申し込み1つとあわせて、ジャパンネット銀行の口座自動振替サービス契約で契約期間中無料(口座自動振替サービスは契約を解約をすると、無料条件としてのカウントが1つ減る。また、複数社契約しても1つと見なされる。)
いずれのサービスも無料になるのは申込月や契約月の翌月からとなる。更に対象となるのは申し込みであり、会員登録や口座開設は条件ではない。ジャパンネット銀行側では登録や開設の有無は確認できないため、申し込みを行った段階で対象となる。それ以降の登録や開設については任意であり、ジャパンネット銀行側も関与しない。
- 取引で無料
- 新規口座開設
- 新規に口座を開設した場合、口座開設月から翌々月まで
- サービスの契約
- 前月の取引状況
- 振り込みの利用
- 前月中の口座からの振込利用回数が2回以上
- 前月中の口座への振込入金金額の合計が3万円以上
- 前月中の口座への振込入金回数が2回以上
- 預金平均残高
- 前月中の預金平均残高(普通預金+定期預金)が10万円以上
- 振り込みの利用
その他
普通預金口座について、同行では口座開設時の年齢について見直し、2006年4月22日より新規の口座開設の申し込みが義務教育終了の年齢の基準である「満15歳以上」に制限された。なお、それ以前に口座を開設した満15歳未満の口座利用者は引き続き利用できる。
注・出典
注
- ↑ ジャパンネット銀行の設立構想段階当初は住友銀行は関与していなかったが、1999年10月14日にさくら銀行と交わした「将来の統合を前提とした全面提携」を機に、同年12月から住友銀行も設立事業に加わった(この結果、2000年9月の設立時点での出資率として、さくら銀行の出資予定分のうち10%は住友銀行が出資することになった)。
- ↑ ジャパンネット銀行・楽天銀行両行のウェブサイト上で参照できるディスクロージャーによる。
- ↑ 当初は、2009年9月17日以降の口座開設者に割り当てられる予定としていたが、実際には同年12月3日以降の開設者に割り当てが開始された。
- ↑ その口座維持手数料が有料となる顧客のうち、当月にて残高不足により引き落としができなかった場合には、先述のゆうちょ銀行以外のATMでのATM出金手数料無料回数に関して、翌月は0回となる(ゆうちょ銀行ATMの場合は1回目でも「当月の2回目から」扱いの出金手数料)。なお、口座維持手数料の再請求・再引き落としは行われない。
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 『三井住友銀行十年史』p.108
- ↑ 『三井住友銀行十年史』p.107
- ↑ ヤフー株式会社による連結子会社化、役員異動および新経営体制のお知らせ
- ↑ “ジャパンネット銀社長に田鎖氏 ヤフー出身”. 日本経済新聞. (2018年1月25日) . 2018-4-5閲覧.
- ↑ http://www.lawson.co.jp/company/news/095578/
- ↑ 口座維持手数料の廃止および提携ATM利用手数料の改定について
参考文献
- 三井住友銀行総務部行史編纂室編 『三井住友銀行十年史』 三井住友銀行、2013年。