福山通運
福山通運株式会社(ふくやまつううん、英称:FUKUYAMA TRANSPORTING Co.,Ltd.)は、広島県福山市東深津町に本社を置く近鉄グループの運送会社。東京証券取引所1部上場。日立物流と提携しており、宅配便や引越し業務などを手掛ける。
概要
昭和23年(1948年)広島県福山市で、廃業した運送会社の福山支店の設備を譲りうけて、福山貨物運送株式会社として創業。創業者は当時の渋谷組(後の福山地所、現・ベッセル)の創業者であり社長だった渋谷昇。昭和25年(1950年)、福山駅を拠点とする通運事業にも進出した事から、社名を「福山通運株式会社」と改めた。東証一部上場。渋谷昇は、創業22年・1代をして東証一部上場の全国ネットの運送会社に成長させた。1960年に近畿日本鉄道と提携し傘下となった。
社章の二重丸は「昇る太陽とトラック」を、左右の矢印は「伸びゆく路線と事業の発展」の意味が込められている。トラックに描かれている緑と赤のラインの緑は「若さ」を、赤は「燃える情熱」を意味する。
基本的には企業の荷物を扱い、平成13年(2001年)1月より「パーセルワン」という通常の宅配便よりも格安で全国に配送できるサービスも行っている(2015年2月27日現在はパーセルワンの取り扱いは法人限定)。
現在では業界5位である。近年では、中ロットの値上げを試みている。一時は大創産業やファーストリテイリング、日立物流との提携で荷扱量は増加した。また、1970年代に国鉄のコキ50000とそっくりの30FT コンテナ専用の貨車を計画し実現できなかったが、JR時代になってからは専用のコンテナが登場した。
テレビやラジオでのCMは殆ど行われておらず、地元・広島県の放送局・広島テレビ放送がローカルセールス枠で扱っている程度である。また、宅配・引越し便のキャラクターも存在しない。これらの点は近鉄グループの企業では珍しくないが、他の大手運送会社とは異なる点でもある。ただ、以前(1990年代)は広島県内の他放送局(RCCテレビ・広島ホームテレビ・テレビ新広島)・ラジオ(RCCラジオ)でもタケカワユキヒデが作曲したイメージソング『WE DREAMING』を使用した企業CMが流れていた他、他地域の局が制作した全国ネット番組の提供スポンサーに名を連ねた事もあった。新聞広告は日本経済新聞にしばしば掲載されている。
沿革
- 1948年9月13日 - 福山貨物運送株式会社を設立し、創業。
- 1950年8月 - 福山通運株式会社に商号変更。
- 1960年8月 - 近畿日本鉄道株式会社と資本提携。
- 1970年2月 - 東京証券取引所第2部・大阪証券取引所第2部・広島証券取引所に株式上場。
- 1972年8月 - 東京証券取引所第1部・大阪証券取引所第1部へ指定替え。
- 2009年10月1日 - 王子運送株式会社を子会社化。[1][2]
- 2012年1月7日 - 三統株式会社(現・福山グローバルソリューションズ株式会社)を子会社化。[3]
- 2012年7月2日 – 絹川屋運送(東京都中央区)の株式74%を追加取得し同日付で完全子会社化。[4]
- 2015年4月1日 - 近鉄グループホールディングス持分法適用会社となる。
- 2018年4月13日 - 株式会社キタザワの株式51%を取得、同時に同社と資本・業務提携を発表。
支店・営業所
国内主要都市・地区に約480箇所設置。首都圏・東海・関西・山陽地区は直営(その他の地区は関連子会社)。
車両
いすゞ自動車製が主力で、大型から宅配用の小型まで配備されている。小型車には三菱ふそうトラック・バス製のキャンターを使用している[5]。近鉄グループは日野自動車との関係も深い。2012年より大型車に日野車を再導入開始(過去に導入歴あり)、社番は6001〜。車両は日野のエンジンを搭載したトヨタ自動車や日産ディーゼル・UDトラックスのトラックが在籍している。塗装はグリーンを基調に、黄や朱色のラインが入っている。前面には「福山通運」とペイントされるが、かつては「札幌← →沖縄」という表記が為されていた。2トン車、4トン車の箱車ボディタイプには、一部床が動くパワーデッキタイプも採用されている。近年では創業地、福山市の観光政策に協力し後部観音扉に「ばらのまち 福山」のステッカーを貼るほか、2015年からは首都圏に配属されている車両に福山市のゆるキャラ「ローラ」をあしらったステッカーを同じく貼り付けている[6]。
(車)社番
- 10000〜19999:いすゞフォワード4トン車他(集配車両)
- 20000〜29999:日産ディーゼルコンドル4トン車(集配車両)
- 30000〜39999:三菱ふそうファイター4トン車(集配車両)
- 40000〜49999:三菱ふそうキャンター2トン車(集配車両)
- 60000〜69999:トヨタダイナ2トン車(集配車両)
- 80000〜89999:いすゞエルフ2トン車(集配車両)
- S0000:いすゞ10トン車(路線・集配車両)
- N0000:日産ディーゼル10トン車(路線・集配車両)
- H0000:日野10トン車(路線・集配車両)
- M0000:三菱ふそう10トン車他(路線・集配車両)
- 0000M:天然ガス車両他
- E0000:北海道福山通運
- T0000:東北福山通運
- G0000:関東福山通運
- 0000W:福通エクスプレスウエスト(関西地区路線)
- 0000E:福山エクスプレス
- 0000F:福通エクスプレス福島(東北地区路線)
- R0000:山陰福山通運
- Z0000:九州福山通運
- L0000:南九州福山通運
- 0000K:軽貨物車両
- A:営業車両(主にトヨタ自動車製)
- J0000:甲信越福山通運
- 0000J:ジェイロジスティクス(イオンの配送)
- 0000S:福山ロジスティクス
関連会社
関連会社を通じて、全国に路線網を持っている。
- 北海道福山通運株式会社(北海道)
- 北東北福山通運株式会社(岩手県)
- 南東北福山通運株式会社(宮城県)
- 関東福山通運株式会社(東京都)
- 北関東福山通運株式会社(茨城県)
- 埼玉福山通運株式会社(埼玉県)
- 甲信越福山通運株式会社(長野県)
- 近畿福山通運株式会社(奈良県)
- 岡山福山通運株式会社(岡山県)
- 山陰福山通運株式会社(島根県)
- 四国福山通運株式会社(愛媛県)
- 高知福山通運株式会社(高知県)
- 九州福山通運株式会社(長崎県)
- 南九州福山通運株式会社(鹿児島県)
- 沖縄福山通運株式会社(沖縄県)
- フクツー物流株式会社(広島県)
- フクツー物流東京株式会社(東京都)
- 福山エクスプレス株式会社 (広島県)
- 福通パーセルサービス株式会社(東京都)
- ジェイロジスティクス株式会社(千葉県)
- エフアンドエイチエアエクスプレス株式会社(東京都)
- グリーンスタッフサービス株式会社(東京都)
- グリーンオートサービス株式会社(広島県)
- 福通トラベル株式会社(広島県)
- 福山通運包装整理(上海)有限公司
- 大蔵運輸産業株式会社
- 王子運送株式会社
- 東北王子運送株式会社
- 関東王子運送株式会社
- 株式会社オー・エス・エス
- 王子商事株式会社
- 王子エクスプレス株式会社
- 新潟王子運送株式会社
- 福山エコオートサービス株式会社
- 福山運送株式会社(東京都)
- 福山グローバルソリューションズ株式会社(大阪府)
- 三統香港有限公司
- 上海福山国際貨運代理有限公司
- 絹川屋運送株式会社
商品
- 特別積合輸送
- 小荷物輸送(重量30kg以下(フクツー宅配便は25kg以下)・3辺の合計160cm以下の1個口の荷物を指す)
- フクツー宅配便(個人向け)
- クール宅配便(縦43cm以内横70cm以内高さ40cm以内)
- パーセルワン(法人向け)-航空便で全国翌日配達(中継区域除く)
- パーセルパック500(法人向け 一律525円)
- 一般貨物輸送(小荷物に該当しない貨物で混載(積み合わせ)をするものを指す)
- 一般路線便
- スペースチャーター便
- ジェットオーバーナイトサービス
- 小荷物輸送(重量30kg以下(フクツー宅配便は25kg以下)・3辺の合計160cm以下の1個口の荷物を指す)
- メール便
- フクツーメール便
- その他
- 味のふる里便(全国各地の名産品をオンラインストアで販売)
- 電子請求書サービス
- スターパック800
- i-STAR2(出荷ラベル発行ソフト)
不祥事
- 58歳の元執行役員が、子会社であるジェイロジスティクスに出向していた2009年5月から2015年3月にかけ運送業務を委託していた下請業者から金額の水増しをしたり架空の業務を行なったように装うなどした請求書を提出させた上で着服し、同社に約21億円の損害を与えたなどとして、2017年1月18日に特別背任容疑で警視庁に逮捕され[7]、翌2月4日には起訴された[8]。2月23日、同容疑で再逮捕された[9]。
その他
- 同社の小丸成洋社長はかつてNHKの経営委員長を務めていたが、当時、福山通運がNHKとの随意契約に基づき、受信料収納業務を代行していたことが問題になった。これに対して小丸は「契約額が少額で、利害関係に基づいたわけではない」と釈明している[10]。
- 創業者の渋谷昇は、福山市を拠点に不動産業やホテル「キャッスルホテル(現・ベッセルホテルズ)」「ニューキャッスルホテル」の運営を営む「福山地所」(現・ベッセル[11])の社長も務め、福山通運と福山地所は密接な関係にあった。しかし渋谷には実子が無く、福山通運と福山地所の社長の座は別々の人物(養子と親族)が引き継いだため、現在では両社の関係はほとんどなくなった。ただし、ニューキャッスルホテルのルームキーのホルダーに福通マークがあるなど、一部にその名残も見られる。
- 福山通運は「キャッスルボウル」の名称でボウリング場も運営している。ボウリングブームの最盛期には複数店舗を展開していたが、ブームが沈静化した現在では福山市の本社近くにある1店舗のみとなっている(岩手県大船渡市や愛知県名古屋市にもキャッスルボウルの商号で営業するボウリング場が存在するが、いずれも関連性は無い)。県内最大級の48レーンを整えている。なお、「キャッスル」の名称は、過去に上記の福山地所と関係が深かった時期の名残である。
脚注
- ↑ 『日本経済新聞』2009年8月6日付。
- ↑ 福山通運/王子運送を子会社化『LNEWS』2009年8月5日付。
- ↑ 福山通運/複合一貫輸送の三統を完全子会社化『LNEWS』2012年1月10日付。
- ↑ 福山通運/絹川屋運送を子会社化『LNEWS』2012年6月28日付。
- ↑ 三菱自動車のリコール問題があった際、一時的に日産ディーゼル(現・UDトラックス)車を導入していた。
- ↑ ローラの活動日記 - ばらのまち福山(福山市)
- ↑ 特別背任容疑 元福山通運役員が着服 1億円水増し請求 毎日新聞 2017年1月16日
- ↑ 福山通運元役員を起訴 特別背任、子会社に1億円の損害 東京地検 産経ニュース 2017年2月8日付
- ↑ 福山通運元役員を再逮捕 損害3.5億円 毎日新聞 2017年2月23日付
- ↑ NHK経営委員長の会社が受信料業務=東大大学院教授が追及 時事通信 2009年2月7日
- ↑ ベッセル(株)
関連項目
- 近鉄グループ
- 近鉄エクスプレス
- 近物レックス - かつては近畿日本鉄道子会社の近鉄物流であった。近鉄グループを離脱した今でも中継委託割合が高いなど、福山通運との結びつきが強い。
- 日立物流 - 業務提携。
- 松本引越センター - かつては業務提携していたが、松本引越センターが倒産したため提携解消された。
- ジャパンブリッジ(物流工作)(現「エコ配」)-かつては業務提携していたが、既に提携解消されている。
- スターフライヤー - 関東-北九州間の航空貨物で業務提携(それ以外の路線は日本航空もしくは全日本空輸を利用)
- ナツコイ - 中心人物が勤務する会社として設定。
- アイシテル〜海容〜 - テレビドラマで主人公の夫の再就職先として登場する。
- 災害対策基本法 - 指定公共機関