泉ピン子

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泉 ピン子(いずみ ピンこ、1947年9月11日 - )は、日本女優コメディエンヌ漫談家歌手東京都中央区銀座出身。静岡県熱海市在住。所属はpi企画株式会社血液型B型。身長154cm。戸籍名:武本 小夜(たけもと さよ)、旧姓:江口(えぐち)。デビュー直後の芸名三門 マリ子(みかど マリこ)。

親族

  • 夫は消化器内科医の武本憲重。
  • 父は浪曲師の広沢竜造(江口鉱三郎)。
  • 継母は浪曲師の三門お染。
  • 叔母(広沢竜造の実妹)は声帯・形態模写・漫談家の翠みち代。義理のおじ(みち代の夫)は落語家の4代目桂福團治。従弟(福團治とみち代の長男)は落語家の桂福若

来歴

東京の品川区立日野第二小学校[1]品川区立日野中学校卒業[2]日本音楽高等学校中退後の1966年牧伸二に師事し三門 マリ子(みかど まりこ)の芸名で歌謡漫談家としてデビューするがキャバレー回りが続く。その後、1975年日本テレビテレビ3面記事 ウィークエンダー』の番組リポーターを担当したのを機に泉ピン子と改名。『ウィークエンダー』は出演者に欠員が生じたところ、その話しぶりの面白さに目を付けられて起用された[3]。この番組で初めてのレポートはセックスであり(本人は「のオッパイも嫌なほど可憐な女の子だった」と言っていた)[2]、以後もゲイバーストリップなどレポート内容が下ネタ中心になっていた時も一時期あった[4]ことから、新日本婦人の会が選ぶ「ワーストタレント1位」に選ばれたこともあった[5]

同じ1975年にTBSの演出家・鴨下信一に「美人でなく、知的でもなく、金もない“3ナイ女優”を探していた」とのことからドラマに誘われ[5]、鴨下演出のテレビドラマ花吹雪はしご一家』に出演。この頃から女優業に乗り出し、1980年に『手ごろな女』(日本テレビ)でドラマ初主演。歌手としても1977年に「哀恋蝶」が10.9万枚(オリコンチャート最高位37位)のヒットを記録した。

NHKNHK紅白歌合戦』への出場を狙ったが、落選した。以後、紅白に対しては「歌手としての意地がある」と何度も応援出演依頼を断り、紅白出演歴は長らくなかった[6]。ただし、NHK連続テレビ小説マッサン』が放送される2014年に紅白出演を希望する発言を行い[7]、初出演を果たした。

1983年4月 - 1984年3月放送のNHK連続テレビ小説『おしん』の母親役で女優として評価を得る。加えて同作の脚本を書いた橋田壽賀子にも高く評価され、以降は橋田作品に数多く出演。

1990年に『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)が放送開始。以後20年以上にわたりシリーズ化され、泉の代表作の一つとなる。長い台詞にも動じない安定した演技で、以後橋田ファミリーの旗頭的な存在である(後述「橋田ファミリー関連」参照)。

女優業の傍ら『渡る世間』での大人しい嫁役とは相反し、バラエティ番組では元コメディエンヌとしての才を活かし、テンションも高く時に辛口なコメントも交えたトークを展開している。

人物

歌謡漫談家時代
歌謡漫談家のネタの中にコント55号が作成したものもある。ある日、街角でキャバレーの呼び込みに「うちで働かない?」と声をかけられたが、「はばかりながら、こっちはもっといい商売やってんだよ!」と一蹴した。キャバレーの呼び込みは、「いけね。トルコ嬢に声かけちまった」と言ったという[8]
芸名について
「泉ピン子」の芸名は芸能人であることをずっと反対した父親が「芸人にはピンからキリまであるのだから、志しの一番なピンの芸人になれ」と、泉に話したことから。本人によると、他の理由として「顔が丸くて麻雀牌のイーピンみたいだから」「泉の部分は『過去に泉という名前で売れた芸能人がいないので、お前で試す』と言われた」とのことで牧伸二に名付けられたとも語っている[9]。これ以前に駈け出しの前座歌手時代に泉 小百合(いずみ さゆり)の芸名を名乗っていたことがあり、『泉』を芸名にしていたのはこの時が初めてである[10]
元芸人として
元々はコメディエンヌコメディアン)であり、歌謡漫談家時代を基にした本人主演の自伝的ドラマ「おんなは一生懸命」が制作されたこともあったが、一時期『ウィークエンダー』に出演した過去をなかった事にして自身を「女優」と公言する姿にレギュラーとして共演した桂ざこばなどから「生意気だ」と批判された。泉とざこばは不仲で関係が修復せず、彼女のドラマ以外の発言では否定的である[11][12]。一方では、元々漫談家としてデビューした当時の先輩芸人とのエピソードを嬉々として語る[13]など、後に自身がお笑い出身であることを全く隠さなくなった。

エピソード

橋田ファミリー関連
  • 「橋田ファミリー」の一人としても有名であるが、泉自身は「“ファミリー”って嫌いなんですよね。(マスコミや視聴者など)皆がつけちゃったんで、ファミリーじゃないわよ」と発言している[14]
  • 橋田とはプライベートでも一緒に旅行に行くなどの交友があり、橋田の熱海の家に遊びに行くうちに泉も熱海にマンションを購入し移住することとなった。だが橋田は泉に対して「全然友達じゃありません」と『ビートたけしのTVタックル』出演時のインタビューにて語っている。
  • 橋田壽賀子ドラマスペシャル 妻が夫をおくるとき」で演じた和田利子は、橋田邸でお手伝いをしていた人物で、泉自身が橋田邸で本人と会った事がある[15]
対人エピソード
番組エピソード
  • 1970年代に日本テレビウイークエンダー』を辞めたあと、日本テレビから干された時期があった。
  • ぴったんこカン・カン』ではぴったん子さん(ピン子扮する派手な化粧のバスガイド)で登場時に、お店の人から無料で出来合いの商品を貰って食べていた。だがテレビの批評で散々に叩かれると、2010年10月22日放送回から自分の財布を持って払うようになった[19]
  • 値切り交渉や人を持ち上げるのも得意である。『紳助社長のプロデュース大作戦!』(TBS系)で宮古島の民宿「夢来人」に行った際も、値切って買い物をした。民宿のエントランスが殺風景だったので民宿造りに協力した建設会社へ行き、エントランスに使う石と花の手配を依頼し、即エントランスの改造作業に取り掛からせた。一方で、値切った店をPRする等の気遣いも見せている[20]
  • フジテレビペケ×ポン』の2012年4月6日放送回に出演した際、上田晋也くりぃむしちゅー)の代役として熊本から来た兄・上田啓介に対し「お前より何千倍もの収入を稼いできた。お前の年収なんか1日で稼ぐ」「あたし、嫌いな人間を簡単に消せるのよ」「くだらねーことをペラペラペラペラ。似てりゃいいってもんじゃねぇ。熊本に引っ込んでろ!!」「なんだド素人、コラッ!」などと散々暴言を吐いたのに対して、「見ていて不愉快だった」「演出だとしてももっとやさしくすべき」などの批判が起こった[21][22]
夫とのエピソード
  • 入籍日は1989年7月29日[23]。結婚はしても結婚式は挙げなかったという[24]
  • 夫と結婚できた理由について、「(美味しい食べ物を作って)胃袋をつかむのが大事」と述べている。
  • 夫が泉と結婚した理由は、「この人に花嫁衣裳を着せてやりたいと思ったから」だという。
  • 夫は消化器内科医の武本憲重でABC制作・テレビ朝日系列『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』にゲスト医師として出演したり、泉主演のTBS系列ドラマ『女子刑務所東三号棟』の医療監修を行ったりしている。夫と出会ったのは40歳くらいの頃で、結婚を後押ししたのは友人である西田敏行だったと言う[25]
  • 夫との間に子供はいない。
  • すぐカッカし易い自分に対して、夫は理論的で頑固な性格で、自分とは反対な性格だと本人は述べている[26]
  • 1990年代に持ち上がった夫の愛人・隠し子騒動では、「許します」と寛容な態度を見せた。
  • 料理は自信があり、夫に1度もインスタント食品を食べさせたことがないという。
その他
  • 元々は愛煙家で、煙草だけでなくも好きだったが、50歳で禁煙・禁酒した。
  • 元々は巨人ファンだったが、1985年阪神タイガース日本シリーズ制覇した時に阪神ファンになった。
  • 実母とは泉が2歳の時に死別。その後父は継母と再婚[5]。母が実母ではないと知ったのは小学校4年生の時だった[27]
  • 父は命名する時、『小夜』と書いて『いざよ』と読ませる名前にしたかったが、区役所に受け付けてもらえず断念した。泉は後になって自分の名前について「画数が結婚出来なさそうな後家の相が出てる」と父に話したところ、父に「そのために名付けたんだ」と言われたという[28]
  • 20代半ばの頃、結婚は一度諦めていたと言う[29]1988年に出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日)において「幸せは両方の手に乗りませんから、女優は結婚しなくていいんです」とも発言している[30]。「結婚はしないと思う。するとしていたらとっくにしていたと思う。独り身が寂しいのは当たり前だし、私は孤独に耐えて生きる」と言ったことも述べていたことがある[31]
  • 芸能界の大御所の一人であり、“芸能界の女番長”和田アキ子を「アッコちゃん」と“ちゃんづけ”で呼んでいる。

所属事務所経歴

出演

テレビドラマ

NHK

日本テレビ

TBS

フジテレビ

テレビ朝日

テレビ東京

映画

舞台

  • 泉ピン子ショー 〜 テレビ局は花ざかり (1978年11月24日 - 27日、日本劇場
  • 泉ピン子ショー 〜 ふるさとの歌声 (1979年11月8日 - 12日、日本劇場)
  • おんな太閤記 (2007年)
  • 渡る世間は鬼ばかり

劇場アニメ

以下のアニメ人形劇声優としての出演。

  • おしん(1984年) - 谷村ふじ 役

海外アニメ

人形劇

ラジオ

  • ピン子の笑う世間に福来たる!(2012年2月4日 - 、毎日放送
  • ピン子の今日も元気に123(2012年12月2日 - 、毎日放送)

バラエティ

他、多数

CM・広告

著書

  • 『ここだけのおしゃべり 男と女に関する報告書』(立風書房・1976年)
  • 『四年目のラブレター』(スコラ・1992年)
  • 『みんな悩んでる ピン子のツンデレ人生相談』(光文社・2012年)

脚注

  1. 泉ピン子著『四年目のラブレター』(スコラ)200ページ
  2. 2.0 2.1 泉ピン子著『ここだけのおしゃべり』(立風書房)48ページ
  3. 泉ピン子著『みんな悩んでる -ピン子のツンデレ人生相談』(光文社)147-148ページ
  4. 週刊文春 2009年8月13日・20日号 148ページ
  5. 5.0 5.1 5.2 AERA 2003年6月9日号 54-59ページ
  6. 次述する『おしん』が放送された1983年の『第34回NHK紅白歌合戦』では、ヒロイン役の田中裕子と共に紅組司会の候補に挙がっていたという(合田道人『紅白歌合戦の舞台裏』)。
  7. http://www.daily.co.jp/gossip/2014/09/04/0007299197.shtml デイリースポーツ(2014年9月4日)
  8. 『ここだけのおしゃべり』12ページ
  9. 『ここだけのおしゃべり』55ページ、『四年目のラブレター』151ページ
  10. 『ここだけのおしゃべり』68ページ
  11. 2014年7月1日 日本経済新聞 夕刊『こころの玉手箱「落語家 桂ざこば」』より。
  12. 2013年5月26日 (日)「上沼・高田のクギズケ!」”. gooテレビ (2013年5月26日). . 2014閲覧.
  13. 『みんな悩んでる -ピン子のツンデレ人生相談』「Part8・告白ピン子のどん底(4)・不遇の時代」など。
  14. 婦人公論 2000年4月7日号 73-75ページ
  15. 2012年7月20日放送『ぴったんこカン・カン』”. TVでた蔵 (2012年7月20日). . 2014閲覧.。この時は和田利子に扮していた。
  16. 『みんな悩んでる -ピン子のツンデレ人生相談』81ページ
  17. 週刊文春2017年1月5日・12日新年特大号』216ページ
  18. 泉ピン子が聖火リレー 平昌五輪、ソウルでサンケイスポーツ2018年1月15日閲覧。
  19. 2010年10月22日放送『ぴったんこカン・カン』”. TVでた蔵 (2010年10月22日). . 2014閲覧.
  20. 2011年6月28日放送『紳助社長のプロデュース大作戦!』”. TVでた蔵 (2011年6月28日). . 2014閲覧.
  21. 泉ピン子「なんだ素人、コラ!」 上田兄罵倒でブログ「炎上」騒ぎ(J-CASTニュース、2012年4月9日)
  22. 読売新聞 2012年4月13日分朝刊27面 放送塔「言葉遣いの悪さ、がっかり」
  23. 『四年目のラブレター』196ページ
  24. 『四年目のラブレター』50ページ
  25. 『四年目のラブレター』52-53ページ
  26. 『四年目のラブレター』161-162ページ
  27. 『四年目のラブレター』154ページ
  28. 『四年目のラブレター』148ページ
  29. 『みんな悩んでる -ピン子のツンデレ人生相談』52ページ
  30. 『四年目のラブレター』148ページ
  31. 『四年目のラブレター』205ページ
  32. 『西郷どん』新キャスト発表!”. NHKドラマトピックス. NHK (2018年2月14日). . 2018閲覧.
  33. 泉ピン子、昼ドラ初出演 嫁いびりの姑役は「朝ドラのおかげ」”. ORICON (2015年7月24日). . 2015閲覧.
  34. “泉ピン子、『ドクターX』初参戦 ラーメン店じゃない白衣姿に大張り切り”. ORICON STYLE. (2016年9月21日). http://www.oricon.co.jp/news/2078752/full/ . 2016閲覧. 
  35. 2012年1月1日放送分は出演せず、デヴィ・スカルノが好楽とペアを組んだ。
  36. 「よみうり自分史」、泉ピン子さんの映画とコラボ『文化通信』(2018年3月13日)

外部リンク

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