寡婦
寡(やもめ)・寡婦(かふ、やもめ)・寡夫・寡男(かふ、やもお)とは配偶者と死別または離別し、再婚していない独身者のことである。口語的な別名では女寡(おんなやもめ)、男寡(おとこやもめ)、後家(ごけ)、未亡人(みぼうじん)[1]などがある。寡婦を支援するための、税制上の優遇や公的な援助制度などが設けられているが、寡夫を支援する制度は皆無である。
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日本
定義
所得税法第2条においては、寡婦について次のように定義をしている。
- イ 夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で一定のもののうち、扶養親族その他その者と生計を一にする親族で一定のものを有するもの
- ロ イに掲げる者のほか、夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で一定のもののうち、純損失の繰越控除及び雑損失の繰越控除の規定を適用しないで計算した場合における総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下、「合計所得金額」)が500万円以下であるもの
また、母子及び父子並びに寡婦福祉法の定義では、「配偶者のない女子であつて、かつて配偶者のない女子として民法第877条の規定により児童を扶養していたことのあるもの」をいう。
養老律令では寡婦は相続権を有するとされ、源頼朝の妻であった北条政子も寡婦の権限の一つとして頼朝が創設した幕府の運営に関与したが、武家の所領保全を優先とした鎌倉時代後期以後は大きな制約が加えられ、江戸時代には完全に相続権を否定され、子供がいない寡婦が出た場合には必ず親族縁者が養子を迎えさせ、寡婦は一切の財産を養子に与えてこれに従う義務を負うものとされていた。
婚姻が条件になっている点や扶養親族が子でなくても構わない点で、シングルマザーと似ているが同義ではない。また、寡夫と比べて同じ一人親でも税制上の優遇などが大きい。
税制
寡婦控除・寡夫控除
所得税法第81条及び同法第85条で、その年12月31日の現況で寡婦若しくは寡夫[2]である者については、27万円(住民税;26万円)の所得控除が認められる。 離婚しても扶養親族などが無い場合は、たとえ合計所得金額が500万円以下であっても寡婦控除の対象とはならない。
特定寡婦控除
租税特別措置法第41条によって、寡婦控除を受けられる寡婦のうち、扶養親族である子を有し、かつ、合計所得金額が500万以下である者は、特定の寡婦として控除額が35万円(住民税;30万円)まで増加する。なお、寡夫には上乗せ控除はない。
社会福祉
寡婦年金
国民年金における制度。所定の要件を満たす夫が死亡した場合に、夫によって生計を維持され、夫との婚姻期間が10年以上継続した妻に寡婦年金を支給する。支給期間は60歳から65歳までの5年間。詳細は遺族年金#寡婦年金を参照。
寡婦福祉
自治体によって、寡婦福祉資金貸付制度や公営住宅の優遇などの援助を行っているところがある。
岡山市では、所得税法上では寡婦とみなされないシングルマザーを対象に、所得控除を「適用されたとみなし」て課税額を算定し、保育料を減額する母子家庭の支援策を行っている。千葉市も同様に、2010年度より保育料と子どもルーム利用料を減額する方針を固めた[3]。
アフガニスタン
アフガニスタンにおける国連の活動「カンダハール、マザリシャリフ、ジャララバードの非正規居住区の整備」(UN-HABITAT) では2004年から2005年にかけて紛争により疲弊した非公式居住区に居住する避難民や寡婦家庭などを対象にコミュニティ活動計画が実施された[4]。
その他
ゴルフに現を抜かす夫にほったらかされた妻を未亡人に見立てて「ゴルフ・ウィドー」と呼ばれることがある。