八女市
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市勢
- 面積:482.53km2
- 人口:64,896人(2017年9月末八女市統計)
- 世帯数:24,758世帯(2017年9月末八女市統計)
- 人口密度:143.11人/km2
地形
- 山
- 峠
- 河川
地理
概要
八女市は福岡県の南西部に位置する人口6万5千人程度(2015年現在)の地方都市である。
山間部は大分県と境を接する。県境に位置する三国山(筑肥山地)から流れ出る矢部川は日本最大の干潟を有する有明海に注ぎ、有明海の生態系を担う重要な河川の一つとなっている。また地形的にみると、矢部川の支流 星野川と合流する地点より西側に開けた扇状地、北を広川丘陵、東を八女山地、南を筑肥山地に囲まれ盆地的地形を有している土地である。森林セラピー基地認定地域。
筑紫国の一部として古くから人の定住が見られ、縄文時代から弥生時代にかけての遺跡が多数発見され、北側の丘陵部分を中心に300基ともいわれる古墳群がある。さらに邪馬台国論争でも、九州説では福岡県山門郡(八女市の南西で隣接)説を有力視する声もあるが、邪馬台国が有明海~筑後川~矢部川を挟む一帯に存在し、八女も含まれたとする説もある。
八女地方における古代国家の成立を証明する史実は527年、大和朝廷に対抗して筑紫君磐井が起こした反乱(いわゆる「磐井の乱」)は、大化の改新(645年)以前の最大の内戦であった。磐井の墓とされる八女市北部にある岩戸山古墳は北部九州最大の前方後円墳であり、阿蘇山の噴火による凝灰岩を用いた石人石馬の出土で名高い。
八女市は江戸時代に筑後米として名を馳せた米はもちろん、小麦やブランドの八女茶、果物(ミカン、巨峰、ナシ、モモ、キウイなど)電照菊を中心にした農芸都市である。
また第二次世界大戦中1943年(昭和18年)、政府企画院は、岡山県邑久郡行幸村(現在の岡山県瀬戸内市)中心地区、朝鮮京城府(現在の韓国ソウル特別市)周辺地区と並んで八女郡福島町中心地区を遷都の候補地とした[1]。混乱の中での遷都案とはいえ、八女が「天災地変少なき土地」、「冬季寒気厳しからず夏季暑気甚しからざる土地」、「地形平潤にして高燥、風光明媚なる土地」、「諸物資豊富なる土地」といった条件をクリアする土地だと判断された[2]ことからも、八女地域の恵まれた自然条件を示すことをうかがえる。
さらに江戸時代に入り、農産物やそれを加工した商業活動による資本の増大は、手工業(伝統工芸)への投資基盤を形作った。
矢部川の扇状地付近にある手漉き和紙製造所や久留米絣織元、中心部の福島町には昔ながらの町家に現在も手工業者の工房が軒を連ねる。
古代王朝時代に正倉院に収められた筑後紙に起源を持つ手漉き和紙、中世からはじまる石灯籠、近世に始まる提灯・仏壇などいった多様な手工業が江戸時代に産業として整い、現在も綿々と受け継がれている。
したがってこれらの伝統工芸産業に携わる職人も多く、裾野を広げれば約1万人ほど従事している。
現在 八女市は、九州における伝統工芸産業の集積地となっており、伝統工芸品の総生産額でも九州では最大規模である。
地名
- 稲富
- 本町
- 本村
- 緒玉
- 酒井田
- 高塚
- 光
- 宮野
- 柳瀬
- 矢原
- 祈祷院
- 津江
- 納楚
- 馬場
- 平田
- 岩崎
- 大島
- 宅間田
- 豊福
- 吉田
- 川犬
- 国武
- 新庄
- 平
- 山内
- 長野
- 北田形
- 柳島
- 井延
- 黒土
- 大篭
- 忠見
- 本
- 鵜池
- 蒲原
- 亀甲
隣接している自治体
歴史
中心部の平地では戦国時代、蒲池氏の領地で、蒲池親広にはじまる蒲池庶流の上蒲池の支配地であった。安土桃山時代以降、豊臣秀吉の九州平定により筑紫広門が領主として封され、平地に築いた平城として初見され、八女市福島村の中心部に城郭を築いた。関ヶ原の戦い以後、石田三成捕縛の戦功により福島城は筑後32万石領主田中氏により三重掘三層天守の筑後地区最大級の平城として改築された。1615年 江戸幕府の一国一城令の発布により福島城は破却されたが、江戸時代の始めに形成された城下町の町人地部分は残り、後に久留米藩内で最大級の在郷の商家町として発展した。現在も町割等に城下町として計画された町の歴史を良く伝え、街路に沿って塗屋造の町家を中心に江戸時代から近代にかけての伝統的建造物が連たんして残っている。市の北部には1500年前の北部九州最大の豪族筑紫の君磐井の墓岩戸山古墳がある。戦時中の1943年には旧・福島町が首都遷都の候補地に挙がっていた。[3]。
近現代
- 1889年(明治22年)4月1日 - 上妻郡福島町・福島村・稲富村が合併して上妻郡福島町が発足。
- 1896年(明治29年)4月1日 - 上妻郡・下妻郡が統合して八女郡福島町となる。
- 1951年(昭和26年)4月1日 - 八女郡福島町・長峰村・三河村・八幡村・上妻村が対等合併。新町制による福島町が発足。
- 1954年(昭和29年)4月1日 - 福島町が八女郡川崎村・忠見村・岡山村の一部を編入。市制施行。福島市として手続きしたが、福島県福島市と同名になるため、即日改称。当初は「筑後福島市」となる予定であったが、「筑後市」と隣接して紛らわしいこと、字数が長いことなどが考慮され、「八女市」と決定した経緯がある。その際、旧福島町民からは強い反発があったが、合併協議会執行部や有識者らが住民を熱心に説得したという。
- 2006年(平成18年)10月1日 - 八女郡上陽町を編入。
- 2010年(平成22年)2月1日 - 八女郡黒木町・立花町・矢部村・星野村を編入。
- 2012年(平成24年)7月14日 - 九州北部豪雨により、星野村、黒木町を中心に甚大な被害を受ける。
平成の大合併
- 筑後市、広川町との任意合併協議会を設置して協議されたが、2004年に打ち切られる形で協議会は解散。2005年に上陽町と法定合併協議会を設置し、2006年10月1日に上陽町を編入した。
- 2007年11月5日、八女市と周辺4町村(黒木町、立花町、星野村、矢部村)の各議会は臨時議会を開き、八女市への編入合併を前提とした法定協議会の設置議案をそれぞれ可決。5市町村の首長らによる法定協で、合併新法期限前の2010年2月1日に合併することが議決された。この時点に於いて合併後の人口はおよそ7.1万人の見込み。面積はおよそ482.53km²(5市町村の単純合算)となり、北九州市(487.71km2)に匹敵する県内面積第2位の市となる。
- 2008年11月5日 上記編入合併が官報告示。
歴代市長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 |
---|---|---|---|
1 | 中島一之 | 1954年4月1日 | 1955年4月9日 |
2 | 服部寅雄 | 1955年5月1日 | 1959年4月30日 |
3 | 主計貞二 | 1959年5月1日 | 1963年4月30日 |
4 | 末金偆一 | 1963年5月1日 | 1964年12月21日 |
5 | 牛島節二 | 1965年1月30日 | |
6 | 1973年1月29日 | ||
7 | 主計貞二 | 1973年1月30日 | 1977年1月29日 |
8 | 斉藤清美 | 1977年1月30日 | |
9 | |||
10 | |||
11 | 1993年1月29日 | ||
12 | 野田国義 | 1993年1月30日 | |
13 | |||
14 | |||
15 | 2008年9月30日 | ||
16 | 三田村統之 | 2008年11月16日 | |
17 | |||
18 |
行政
市長
- 三田村統之(3期目)
- 任期:2020年11月15日
市議会
- 定数:26人
- 任期:2019年5月9日
支所
黒木、立花、上陽、矢部、星野(旧各町村役場)
消防
- 八女地区消防組合
- 八女消防署
- 立花分署
- 上陽分署
- 八女東消防署
- 星野分署
- 矢部分署
- 八女消防署
警察
県の機関
- 八女総合庁舎
- 八女県土整備事務所
- 南筑後保健福祉環境事務所分庁舎
- 農業総合試験場八女分場
- 県立ふれあいの家南筑後
国の機関
人口
八女市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
教育
県立高等学校
私立高等学校・中学校
県立中等教育学校
市立中学校
- 福島中学校
- 南中学校
- 西中学校
- 見崎中学校
- 八女市立上陽北汭学園中学部
- 黒木中学校
- 立花中学校
- 筑南中学校
- 星野中学校
- 矢部中学校
市立小学校
太字の学校は標準服の着用が義務付けられている。
- 八女市立福島小学校
- 八女市立岡山小学校
- 八女市立八幡小学校
- 八女市立三河小学校
- 八女市立上妻小学校
- 八女市立忠見小学校
- 八女市立川崎小学校
- 八女市立長峰小学校
- 八女市立上陽北汭学園小学部
- 八女市立黒木小学校
- 八女市立黒木西小学校
- 八女市立立花小学校
- 八女市立筑南小学校
- 八女市立星野小学校
- 八女市立矢部小学校
産業
特産
- 九州最大の河川・筑後川、清流・矢部川の二つの河川に挟まれた土地を背景に米、麦を中心に様々な園芸作物が収穫される。
- 河川の氾濫等で発生した肥沃な土壌と豊富な水資源・なだらかな山々が織りなす気候風土により、古代から自然の恩恵を享受できた土地の一つである。
- 江戸時代中期 八女市中心部の福島地区にいた商人達(福島商人)は米の余剰益を当時の文明の最先端であった伝統工芸に注ぎ込み、地域的に醸成させていった。現在、伝統工芸において九州最大の集積産地であり、総生産額としても九州最大規模を誇る。
- 九州における和紙の発祥地 → 八女和紙
- 九州における仏壇の発祥地 → 八女福島仏壇
- 提灯の生産量日本一(2011年現在) → 八女提灯
- 茶(八女茶)の産地。(八女郡を含み玉露生産額が日本一であるため、茶の平均単価が日本一高い。ちなみに日本茶生産量の3%を占める。)
- 河川からの伏流水で江戸時代から続く清酒醸造元が今も良質の酒を作り出している。(2011年現在 市内5蔵元)
- 電照菊の栽培も盛んである。
伝統工芸品
交通
現在、市内に鉄道路線はない(かつては西鉄福島線、国鉄矢部線があった)。最寄駅は羽犬塚駅で、市の中心部の福島から堀川バス(1時間に2本程度)で約20分弱の場所にある。
福岡市方面へは、八女市街からバスで西鉄久留米駅に出て、そこから西鉄天神大牟田線に乗り換える手段もあり、こちらは本数や接続の面で利便性がかなり高いため、よく利用されている。市中心部から西鉄久留米駅までは西鉄バスで30分ほどである。
市内のバス路線は堀川バスが中心である。主要道路を通って市中心部のと旧八女郡部を結ぶものが中心で、堀川バスの路線を中心にコミュニティバス・福祉バスが運行されている。
バス
会社ごとにバス停の位置は異なるが、いずれも土橋交差点の福島バス停を運行の拠点としている。
- 一般路線バス
- 西日本鉄道(西鉄バス久留米への管理委託運行)
- 八女市 - 広川町 - 久留米市(国道3号経由)
- 堀川バス
- 八女市 - 筑後市(羽犬塚駅)
- 八女市 - 広川町 - 久留米市(県道86号経由)
- 八女市内各地
- 福島 - 黒木町 - 矢部村
- 福島 - 上陽町 - 星野村
- 福島 - 立花町(辺春地区) - 山鹿市(平山温泉)
- 福島 - 立花町(白木地区)
乗合タクシー等
- 高速バス
八女インターチェンジにあるバス停から、福岡空港、大牟田市、荒尾市、熊本市、延岡市、宮崎市への高速バスが出ている。
道路
高速道路
- E3 九州自動車道
一般国道
主要地方道(県道)
- 熊本県道・福岡県道4号玉名八女線
- 佐賀県道・福岡県道15号佐賀八女線
- 福岡県道52号八女香春線
- 福岡県道70号田主丸黒木線
- 福岡県道82号久留米立花線
- 福岡県道84号三潴上陽線
- 福岡県道96号八女瀬高線
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
主な史跡・旧跡等
- 岩戸山古墳
- 茶臼塚古墳
- 丸山塚古墳
- 丸山古墳
- 童男山古墳
- 発心城 県史跡
- ほたると石橋の館
- ホタルの里水車公園
- 上陽町ふるさとわらべ館
- 八女福島地区(重要伝統的建造物群保存地区)
- 黒木地区(重要伝統的建造物群保存地区)
- 平和の塔 - 旧星野村。日本各地で点火されている原爆の火の元火は星野村にある。星野村出身の人物が原爆投下後の広島へ入市し、親戚の本屋でくすぶっていた火を懐炉に入れて持ち帰ったことが起源とされる。詳しくは平和の灯 (広島市)#原爆の日を参照。
観光
祭り
- 3月 雛の里・八女ぼんぼんまつり
- 4月 トンネル藤まつり
- 8月 矢部川物語(花火大会)
- 9月 あかりとちゃっぽんぽん(福島八幡宮放生会・福島灯篭人形)
- 11月 八女福島白壁ギャラリー、八女上陽まつり
八女市出身の有名人
- 江田康幸(衆議院議員)
- 杉本章子(直木賞作家) (1953~2015)
- 小島直記(作家) (1919~2008)
- 中薗英助(作家) (1920~2002)
- 小島英記(小島英煕とも、作家)
- 安部龍太郎(小説家)
- 龍源齋大峰(書家)
- 安達弘記(洋画家)
- 吉田民尚(画家)
- 石橋忍月(文芸評論家) (1865~1926)
- 山田芳子(ソプラノ歌手)
- 三浦宣明(合唱指揮者)
- 甲斐田啓二(企業経営者)
- 内野健一(九州大学大学院工学研究院教授、安全功労者内閣総理大臣賞受賞者)
- 川口憲史(元プロ野球選手、東北楽天ゴールデンイーグルス)
- 大塚尚仁(元プロ野球選手、東北楽天ゴールデンイーグルス)
- 谷川昌希(プロ野球選手、阪神タイガース)
- 田中佑昌(サッカー選手、ヴァンフォーレ甲府所属)
- 高橋大輔(元サッカー選手、セレッソ大阪コーチ)
- 高橋祐太郎(サッカー選手、V・ファーレン長崎所属)
- 馬場ゆかり(プロゴルファー)
- ダニー馬場(ゴスペル・ソウルシンガー)
- 黒木瞳(女優・元宝塚歌劇団月組トップ娘役)
- 揚羽空右エ門(力士)
- 中島信也 (CMディレクター)
- 馬場能久(右翼活動家、維新政党・新風福岡県本部代表)
- 馬場元二(経済学者)(1919~2015)
- 堀江貴文(実業家)
- 平田崇昭(競輪選手)
- 古賀辰四郎(実業家)
ゆかりの人物
- 新庄剛志(元プロ野球選手、西日本短期大学附属高等学校卒)
- 田中麗奈(女優、西日本短期大学附属高等学校卒)
- 川崎洋(詩人)疎開で八女へ 旧制八女中卒業
- 五木寛之(直木賞作家)満州より引き揚げ 旧制八女中・福島高等学校卒業
- 山本健吉(文芸評論家)八女市無量寿院の石橋家の墓に眠る 八女市立図書館に山本健吉資料室がある
- 石橋秀野(俳人)八女市無量寿院の石橋家の墓に眠る 八女市の「堺屋」に山本健吉との夫婦句碑が建立されている
- 安達阿記子(ゴールボール選手)八女市民栄誉賞受賞 母親が八女市出身 八女市に在住していた時期がある
- ダニエル・イノウエ(アメリカ合衆国の政治家)両親が八女市出身
電話
市外局番は0943(八女MA)
ギャラリー
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脚注
- ↑ 一般財団法人日本開発構想研究所 「東京遷都の経緯及びその後の首都機能移転論等」 ニューズレター「新時代」 第77号(平成26年4月)、国土交通省
- ↑ 八女寸寸語(6) 八女市
- ↑ 八女に「幻の首都」構想 太平洋戦争中に政府が検討 極秘文書に明記 [福岡県]
外部リンク