奈良県警察
提供: miniwiki
奈良県警察(ならけんけいさつ)は、奈良県が設置した警察組織である。奈良県内を管轄区域とし、奈良県警と略称する。警察法上、奈良県公安委員会の管理を受けるが、給与支払者は奈良県知事である。近畿管区警察局管内。本部所在地は奈良市登大路町80番地。
Contents
沿革
- 1948年(昭和23年) - 旧警察法施行に伴い、奈良県警察部が廃止され、国家地方警察奈良県本部と、奈良市警察などの自治体警察に分割される。
- 1954年(昭和29年)7月1日 - 新警察法施行に伴い、奈良県警察に再編成される。
- 1965年(昭和40年)3月 - 警察本部庁舎新築。
- 1967年(昭和42年)7月 - 警察学校新築。
- 1976年(昭和51年)7月 - 警察本部第2庁舎新築。
- 1981年(昭和56年)3月 - 交通管制センター運用開始。
- 1984年(昭和59年)11月 - 奈良西警察署新設。
- 1985年(昭和60年)11月 - 西和警察署新設。
- 1996年(平成8年)8月 - 新警察本部庁舎開庁。シンボルマーク、マスコット(ナポくん)の制定。
- 2008年(平成20年)3月 - 御所警察署を高田警察署に、十津川警察署を五條警察署に統合。香芝警察署新設。
- 2014年(平成26年)3月 - 田原本警察署を天理警察署に、宇陀警察署を桜井警察署に統合。中吉野警察署が(旧)吉野警察署を統合したうえで(新)吉野警察署に改称。
- 2018年 (平成30年) 3月 - 自動車警ら隊を廃止、警備第三課を新設。
本部組織
- 警察学校
- 奈良県奈良市今市町585
データ
警察署
警察署数は12。警察車両のナンバー地名はすべて「奈良」である。
地域 | 警察署名称 | 郵便番号 | 所在地 | 管轄区域 | 前身 |
---|---|---|---|---|---|
北和 | 奈良警察署 | 630-8131 | 奈良市大森町57番地12 | 旧山辺郡都祁村の区域を除く奈良市東部と中央部 | |
奈良西警察署 | 631-0034 | 奈良市学園南三丁目9番22号 | 奈良市西部 | ||
生駒警察署 | 630-0244 | 生駒市東松ヶ丘6番20号 | 生駒市 | ||
郡山警察署 | 639-1121 | 大和郡山市杉町250番地4 | 大和郡山市 | ||
天理警察署 | 632-0017 | 天理市田部町22番地4 | 天理市、奈良市の旧山辺郡都祁村の区域、山辺郡山添村、磯城郡川西町、三宅町、田原本町 | ||
中和・宇陀 | ∟田原本警察庁舎 | 636-0312 | 磯城郡田原本町新町24番地1 | 田原本警察署 | |
桜井警察署 | 633-0001 | 桜井市三輪49番地1 | 桜井市、宇陀市、宇陀郡曽爾村、御杖村、吉野郡東吉野村 | ||
└宇陀警察庁舎 | 633-0253 | 宇陀市榛原萩原1953番地1 | 榛原警察署 大宇陀警察署 | ||
橿原警察署 | 634-8501 | 橿原市四条町618番地1 | 橿原市、高市郡高取町、明日香村 | ||
高田警察署 | 635-0025 | 大和高田市神楽三丁目1番9号 | 大和高田市、葛城市、御所市 | ||
∟御所警察庁舎 | 639-2305 | 御所市1573番地 | 御所警察署 | ||
香芝警察署 | 639-0245 | 香芝市畑二丁目1474番地1 | 香芝市、北葛城郡広陵町 | ||
西和 | 西和警察署 | 636-0011 | 北葛城郡王寺町葛下一丁目7番9号 | 生駒郡平群町、三郷町、斑鳩町、安堵町、北葛城郡王寺町、上牧町、河合町 | |
五條・吉野 | 五條警察署 | 637-0004 | 五條市今井四丁目4番50号 | 五條市、吉野郡野迫川村、十津川村 | |
∟十津川警察庁舎 | 637-1333 | 吉野郡十津川村小原225番地1 | 十津川警察署 | ||
吉野警察署 | 638-0821 | 吉野郡大淀町下渕389番地1 | 吉野郡大淀町、吉野町、下市町、黒滝村、天川村、下北山村、上北山村、川上村 | 中吉野警察署 | |
└さくら警察庁舎 | 639-3111 | 吉野郡吉野町橋屋185番地1 | (旧)吉野警察署 |
主な事件・不祥事
2006年以前
- 2003年(平成15年)9月10日、奈良県大和郡山市内の国道24号で、車上狙いの容疑者が車で逃走中、追跡していた郡山署のパトカーに対し、体当たりを何度も繰り返すなどしたため、乗っていた警察官数人が拳銃を2発発砲。弾を受けた男性は頭蓋骨骨折の重傷を負い、さらにもう1発が首に命中し、その後10月5日に死亡した。死亡した男性の妻が、関わった警察官4人を殺人と特別公務員暴行陵虐致死の両罪で告訴したが、奈良地検は2006年1月に不起訴としたため、妻は奈良地裁に付審判請求を行った。これについて、同地裁は2010年4月16日付で、発砲当時の巡査部長と巡査長の2人について付審判開始を決定した。うち1人は、付審判としては日本で初めて、裁判員裁判で審理された[1][2]。また地裁は2011年1月、殺人罪での審理も併せて行なう事を決定[3]。
- 2007年(平成19年)10月7日、求人情報誌を持っていた無職の男を「職業に就く意思がないままうろついた」として軽犯罪法違反(浮浪)容疑で現行犯逮捕し、翌日釈放した2分後に覚せい剤取締法違反(使用)容疑した。その後、男は覚せい剤取締法違反(使用)の罪で起訴されたが、2009年3月3日の大阪高裁における控訴審判決で、懲役3年の一審(奈良地裁)判決が破棄(逆転無罪)された。
- 高裁判決は、浮浪容疑での逮捕は「働く能力がありながら職業に就く意思がない」とする軽犯罪法の要件を満たさず奈良県警察の不法逮捕と認定。また覚せい剤使用については「違法な別件逮捕中に収集された証拠で無効」と判断した。判決では男の車内に求人情報誌やハローワークで交付された求人票のコピーがあったことに触れ、「警察官が職業に就く意思をことさら黙殺した可能性が濃厚だ」と指摘し、「現行犯逮捕の際は、国民の権利を不当に侵害しないよう慎重さが求められており、(奈良県警察の)違法性の程度は極めて高い」とした。[4]
- 2007年(平成19年)11月、20代の男性巡査が、暴走族への逮捕状の発行情報やひき逃げ事件の捜査状況などを、mixi上に公表していたことが判明した。県警監察課は、書き込まれた内容は捜査情報ではないとしつつも、書き込みを止めるよう指導しており、懲戒処分も検討している [5]。
2009年
- 2009年(平成21年)2月、捜査第二課の警部(当時51歳)と組織犯罪第三課の警部補(当時53歳)が、前年の2008年12月に発生した天川村の公共工事を巡る汚職事件(当時の天川村長が加重収賄で逮捕・起訴された)で、村長らに捜査情報を漏洩していたとして逮捕された[6]。また、その後の調べで、当該の警部補が実質的に経営するコンサルタント会社が、暴力団対策の名目で産廃処理会社から約290万円を受け取ったとして、警部補が収賄罪で再逮捕され、産廃処理会社の元役員も贈賄罪で逮捕された[7]。これら一連の事件を受け、同県警本部長が、同年4月に警察庁長官注意処分を受けている[8]。
- 2009年(平成21年)10月上旬、橿原署のパトカー内から、微量の覚醒剤が発見されたことが発覚。その後の調べで、翌2010年4月になって、2007年に同署が窃盗容疑で逮捕した橿原市内の男性が、車内に覚醒剤を隠したことを認めた。発見されるまでの間、パトカーに乗務した警察官は、誰一人覚醒剤の存在に気付いておらず、同署は所持品検査を徹底させるとしている[9][10]。
2010年
- 2010年(平成22年)3月8日、暴力団対策を担当していた県警の捜査員2名が、捜査情報を流す見返りに暴力団組員らから金品を受け取っていたとされる疑惑が浮上した。警察官2名は、県警の事情聴取で、金品の授受を認めているが捜査情報を漏らした事は無いと述べている。また、県警は物証が乏しいなどとして、立件を見送る方針である事を明らかにしていた。また、組長から借金の連帯保証人になってもらうなどの事実も判明したため、県警は2010年5月20日に、橿原警察署に転属していた当該の捜査員2名を、懲戒免職の処分とした。また、当時の上司についても、本部長注意などの処分となった[11]。
2011年
- 2011年(平成23年)3月、奈良西署の58歳の男性巡査部長が、管内で起こったわいせつ事件の容疑者についての情報が含まれた文書を、容疑者の知人の男性に対し漏洩していた疑いが浮上。文書を受け取った容疑者の知人が、当該の文書が入った財布を奈良市内で紛失し、その後奈良署に財布が届けられ、中から文書が発見されたことで発覚した[13]。
- 2011年(平成23年)4月4日深夜に奈良市内で発生した傷害事件で、同18日に奈良署が被害者の目撃証言などから19歳の少年を逮捕したが、少年は容疑を否認し、同日午後になって少年の弟が同署に出頭したことで、誤認逮捕だったことが明らかになった。同署は18日中に少年を釈放し、同27日に弟を書類送検した[14]。
- 2011年(平成23年)9月16日、同県警生活環境課所属の27歳の男性巡査長が、奈良市内のレンタルビデオ店で、女性客のスカート内をデジタルカメラで盗撮したとして、県迷惑防止条例違反容疑で逮捕された[15]。
2012年
- 2012年(平成24年)6月27日、同県警生活安全部参事官の57歳の男性警視が、近鉄橿原線の電車内で女性の体を触る痴漢行為をしたとして事情聴取を受けた。この警視は同年7月20日に、奈良県迷惑防止条例違反の容疑で奈良地検に書類送検された[16]。
- 2012年(平成24年)3月に電車内で痴漢をしたとして大阪府迷惑防止条例違反容疑で同県警に逮捕された52歳の男が、被害者の女性に対し、「会いたくなった」等の内容の葉書を送付していたことが明らかになった。この男は、警察での取調べの最中に、捜査書類に書かれていた女性の個人情報を盗み見し、それに基づいて送付していた模様で、同県警の個人情報管理の在り方が問題視されている[17]。
- 2012年(平成24年)8月上旬、奈良県警察学校の教官の38歳の男性警部補が、同校の校内で学生らと飲酒していたが、この時に学生らの言動に激昂し、数人に暴行を加えた。被害者のうち1人は、顔を殴られ顔面骨折の重傷を負った。県警はこの警部補について、傷害・暴行容疑で事情聴取中で、懲戒処分も検討中である[18]。
- 2012年(平成24年)11月20日から21日にかけ、奈良市内で自転車などが焼ける不審火が連続発生。捜査の結果、現場を所轄する奈良西署の30歳代の警察官が火をつけた疑いが強まり、県警はこの警察官を建造物等以外放火容疑で立件することとした[19]。この警察官は休職中で、2013年1月16日自宅で自殺(家族により発見)。
2013年
- 1月31日に窃盗容疑で郡山署に逮捕され、その後香芝署に留置されていた同県内の無職女性について、靴下や下着などに大麻を隠し持っていたにもかかわらず、両署が見落としていたことが明らかになった。両署は所持品検査を十分に実施していなかったことが明らかになっており、県警は担当した署員の処分を検討している[20]。
- 郡山署の男性巡査が同年5月に、自らの下半身を携帯電話で撮影の上、インターネット上に投稿していたとして、県警はこの巡査を同年10月17日付でわいせつ電磁的記録記録媒体陳列容疑で書類送検した上、減給10分の1の処分とした[21]。
2014年
- 大和高田署の複数の警察官が、トラクターの窃盗事件の捜査に於いて、被疑者としてマークした男性の行動確認のため、この男性が予約したレンタカーのトラックに、県警の内規で定められた事前承認を得ないままGPS端末を取り付けての捜査を行っていたことが、2016年12月に明らかになった[22]。
2015年
- 県警高速道路高速警察隊に所属していた男性巡査部長(その後奈良署交通2課に異動)が1月に、大和郡山市内の高速道路において無免許運転者による交通事故が発生した際、運転者を検挙せず、書類上は運転者の知人が運転していたことにして処理していたことが明らかになった。県警はこの巡査部長を翌2015年6月3日に、犯人隠避及び虚偽公文書作成などの容疑で逮捕[23]。またこの巡査部長は、オービスで速度違反が発覚した女性の交通違反をもみ消した上、その見返りに現金を受け取ったとして、同年6月23日に加重収賄と虚偽有印公文書作成・同行使容疑で再逮捕された[24]。
- 桜井署が11月13日に、桜井市在住の50歳の男性を覚せい剤取締法違反容疑で逮捕し勾留していたが、この男性は同月21日に実兄の葬儀に出席するため、同日午前0時から午前11時までの間、勾留の執行停止が認められた。しかし葬儀が終わった後、同署へ戻る途中に、乗っていた車から逃走。同署はこの男性の行方を捜査している[25]。
2016年
- 生駒署長をしていた60歳の男性警視が、3月26日に奈良市内のスーパーマーケットで客の財布を置き引きしていたことが明らかになった[26]。県警はこの警視を減給処分とし、窃盗容疑で書類送検したものの、定年退職しているため減給は適用できず、退職金も支給されている[27]。
- 奈良県警警備1課に所属する男性警察官が4月26日に私用で乗用車を運転中に2人乗りのオートバイに接触し被害者を転倒させたが救護する事なく現場から立ち去った[28]。奈良県警は「公表基準に達していない」と取材に答えたのみで現在も事件自体を公表していない。また「被害者は重傷ではない」[29]と矮小化しているが病院で下された診断は「骨盤骨折」で3ヶ月の重傷だった[30]。警察官の特権により書類送検と停職1カ月の懲戒処分[31]というひき逃げ事件としては軽過ぎる処分で幕引きを図る。
- 奈良署地域第3課の巡査部長が1月-4月頃に警察署内で同僚ら4人の財布から現金計3万円を盗んだ窃盗容疑で書類送検。同巡査部長は昨年の2-3月頃にも部下2名に暴言や暴力を振るう等のパワーハラスメント行為を行っていた事が判明したため停職3カ月の懲戒処分にしたと発表。同巡査長は同日付で依願退職した[32]。ひき逃げよりも重い処分の為、庶民感覚から著しく乖離した奈良県警察の実態が浮き彫りとなった。
- 11月15日、2010年2月に勾留中していた山本病院事件の容疑者である同病院の主治医を暴行死させたとして、被疑者の遺族が奈良県警を刑事告発した[33]。
脚注・出典
- ↑ 警官発砲:男性死亡 警察官2人を付審判と決定 奈良地裁 毎日新聞 2010年4月17日
- ↑ 発砲警官の付審判決定…特別公務員暴行致死罪 読売新聞 2010年4月15日
- ↑ 奈良の警官発砲、殺人罪でも審理 殺意争い裁判員裁判 共同通信2011年1月24日
- ↑ 浮浪で逮捕は違法、43歳男性逆転無罪
- ↑ ミクシィに「逮捕状出た」 奈良県警巡査が捜査情報 47NEWS(共同通信) 2007年11月8日
- ↑ 奈良県警の警察官2人 捜査情報漏洩容疑で逮捕 産経新聞 2009年2月24日
- ↑ 奈良県警、収賄容疑で警部補を再逮捕 産経新聞 2009年3月16日
- ↑ 本部長が注意処分、奈良県警の捜査情報漏洩事件 産経新聞 2009年4月10日
- ↑ パトカーから覚醒剤! 容疑者が検査逃れで隠した可能性 産経新聞 2009年11月6日
- ↑ 覚せい剤:パトカー車内に3年近く放置 被告が隠す 毎日新聞 2010年4月8日
- ↑ 組長を保証人に借金、腕時計授受 奈良の2警官免職 朝日新聞 2010年5月21日
- ↑ 「警察官紹介で組長に金貸し被害」女性経営者提訴 読売新聞 2010年6月4日
- ↑ 巡査部長、容疑者情報を知人に漏らした可能性 読売新聞 2011年6月30日
- ↑ 兄を捕まえたら弟が出頭…誤認逮捕が判明 読売新聞 2011年5月27日
- ↑ スカート内を盗撮容疑、奈良県警が巡査長逮捕 読売新聞 2011年9月17日
- ↑ 電車で女性の体触った疑い 奈良県警の警視を書類送検 朝日新聞 2012年7月21日
- ↑ 痴漢:逮捕の男、被害女性にはがき 「書類盗み見て暗記」 毎日新聞 2012年8月3日
- ↑ 警察学校教官、学生数人殴った疑い 顔面骨折の被害者も 朝日新聞 2012年9月4日
- ↑ 警官が連続放火か、近く取り調べ…署に恨み 読売新聞 2012年12月10日
- ↑ 勾留中の女が大麻所持 奈良県警、2回の検査で見落とす 朝日新聞 2013年3月1日
- ↑ 奈良県警:下半身露出しネットに投稿 容疑の巡査を送検 毎日新聞 2013年10月19日
- ↑ 奈良県警 警察官 事前承認得ずGPS端末使った捜査 NHKニュース 2016年12月9日
- ↑ 犯人隠避などの疑い 警察官を逮捕 奈良 NHKニュース 2015年6月3日
- ↑ 違反もみ消し収賄:容疑で巡査部長を再逮捕 速度監視担当 奈良 毎日新聞 2015年6月24日
- ↑ 葬儀出席で勾留停止中の容疑者が逃走 奈良 NHKニュース 2015年11月21日
- ↑ 置き引き 容疑で生駒署前署長を事情聴取 奈良県警 毎日新聞 2016年3月31日
- ↑ 奈良・生駒前署長置き引き 前署長、奈良県警が処分 退職金は支給 毎日新聞 2016年4月1日
- ↑ 奈良県警警備1課の男性警官に疑い 捜査 毎日新聞 2016年4月29日
- ↑ 男性警官がひき逃げ疑い 奈良県警が捜査 産経新聞 2016年4月29日
- ↑ 奈良県警警官がひき逃げ 被害者は“重傷” (キャッシュ) 読売テレビ ニュース 2016年5月2日
- ↑ ひき逃げ容疑の警官、停職1カ月の懲戒処分に 奈良県警 朝日新聞 2016年7月6日
- ↑ 署内で窃盗、部下に「クズ」…警官を停職3か月 読売新聞 2016年7月11日
- ↑ “取り調べ中の暴行が死因か” 調査した大学教授が告発 NHKニュース 2016年11月15日