巡査部長
巡査部長(じゅんさぶちょう、英称:Sergeant)は警部補の下で巡査の上に位置する日本の警察官の階級[1]。
階級の位置と役割
巡査部長の階級は警察法第62条に規定され、警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補に次ぐ第8位に位し、警部、警部補などの上司の補佐、新任者等の指導など、実働の中核として実践的な職務に従事する。刑事訴訟法に関する都道府県公安委員会規則では巡査部長以上の階級が司法警察員とされ、巡査が司法巡査である点が異なる[2]。
その名称から「巡査部の部長」という役職名と誤解されることもあるが、警察に「巡査部」という組織はなく、あくまでも「階級名」である。警察には各都道府県警察本部に刑事部、交通部などの部長職が存在するが、こちらは主に警視監から警視正が就任する上級幹部職であり、最下級から二番目に位置する巡査部長とは全く異なる。ちなみに、一般的には上級幹部を指す部長という言葉を、警察官同様、比較的下位の階級名に用いている職種としては刑務官、消防団員[3] が存在する。
全警察官の約30%の90000人が巡査部長である。
任官・昇任
都道府県採用警察官は国家III種相当(高卒程度)として、巡査を命じられ、そこから2 - 6年(最終学歴によって異なる)務めると昇任試験受験資格を得る。制帽は巡査と変わりはないが、制服(冬服および合服上衣)の両袖には銀色の斜め一本線の袖章が入る。
警察組織の初級幹部であり、司法警察員に任じられる。警察官の半数以上が巡査であった昭和期は巡査部長二次試験が幹部への登竜門として昇任試験の中でも最も難しいとされた。現在は巡査と巡査部長の割合がほぼ同じであり、難易度は大きく下がった。
なお、語学・簿記・コンピュータなどの専門技能保持により採用される「専門捜査官」も、本級にて採用する都道府県がある。
役職
警察庁及び警視庁・一部道府県警察本部の係員、一部道府県警察本部・警察署の主任、機動隊・高速道路交通警察隊・機動捜査隊の分隊長、中隊伝令長、交番・駐在所の主任。
諸外国
一般的に憲兵隊を持つ国では軍隊(憲兵)の階級体系に対応付けしていることが多い。
巡査部長までの階級体系が多い(5 - 9階級)国(フランスやドイツなど)では、巡査部長は最上級の下士官 - 准尉に格付けされている。
米英では士官(警部補)の下で現場のリーダーとなる存在を象徴的にsergeant(下士官)と呼び、軍曹の階級章と同様のものを用いている。
- フランス
- 軍隊および国家憲兵と横並びの階級体系を持ち、3階級存在する。()内は陸軍および憲兵隊の対応階級。下から巡査部長 Brigadier de police(adjutant 准尉[4] OR8), 主任巡査部長 brigadier chef de police(adjutant chef 上級准尉 OR9), 上級巡査部長 major de police(major 准尉長[5] OR9)
- "「フランス国家警察#階級」"
- イギリス
- 軍曹を意味するSeageantが階級名に充てられ、軍曹と同じような3本の山形章を付けているが、軍隊における軍曹よりも格付けは上であり、勤務年数に応じて憲兵隊の曹長、連隊付曹長(准尉)に格付けされている。巡査のConstableが下士官待遇。
- ドイツ
- 陸軍の階級体系に横並びになっている。Polizeihauptmeister(OR-9 Police chief Master 准尉),Polizeiobermeister(OR-8 Police Senior Master 上級曹長)で、下士官の最上位ランクに位置づけられている。警部補の職を代行することもできる地位となっている。
脚注
外部リンク