起訴

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起訴(きそ)

刑事訴訟法上,検察官のなす公訴提起処分をいう。 (1) 特定の被疑事件につき,捜査の結果,検察官は起訴,不起訴の事件処理を行なうが (国家訴追主義) ,起訴は裁判所に対し審判を求める訴訟行為である。これによって被告事件に対する裁判所の訴訟係属が生じる。起訴は,起訴状という要式の書面によってなされなければならない。起訴という用語は,明治の刑事訴訟法 (明治 23年法律 96号) 上の用語で,現行刑事訴訟法上では,「公訴の提起」という用語に統一されているが,実務上の慣用語として,現在も用いられる。なお,民事訴訟法上では「訴 (うったえ) ノ提起」という。 (2) 起訴猶予 刑事手続において,犯罪の嫌疑が存在するにもかかわらず,犯人の性格,年齢,境遇,犯罪の軽重,情状,犯罪後の情状を考慮して,検察官が公訴を提起しないでおくこと。明治末期頃から慣行上行なわれていたものが,1922年の旧刑事訴訟法で法律上も採用され,現行刑事訴訟法にも受け継がれた制度で,日本独特の性格をもつ。微罪処分的なものから刑事政策的な配慮によるものまでさまざまであるが,現在,かなりの事件がこれで処理されている。しかし,この処分には確定力が存在しないから,のちに再び起訴されることもありうる。検察官の立法裁量を許し,起訴猶予を認める立法主義のことを起訴便宜主義という。