国際水路機関
略称 | IHO |
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前身 | 国際水路局 |
設立年 | 1970年9月22日 |
種類 | 国際機関 |
目的 | 世界の海運国の水路官庁間の協調、水路業務に関する情報および資料の交換、海図等水路図誌の国際的統一を促進すること |
本部 | モナコ |
貢献地域 | 全世界 |
公用語 | フランス語 |
事務総長 | Alexandros Maratos |
関連組織 | 海上保安庁(本機関に加盟) |
ウェブサイト | http://www.iho.int/ |
国際水路機関(こくさいすいろきかん、英: International Hydrographic Organization、IHO)は、1967年に採択された国際水路機関条約に基づき、海図などの改善により航海を容易かつ安全にすることを目的に設立された国際機関。本部所在地はモナコ。IHO は大洋水深総図の作成に参画している。世界の海域の境界と名称を記載した『大洋と海の境界』の編集・出版も手がける。これらの出版は英語、フランス語、スペイン語で行われている。
概要
IHOは、航海の安全に資するため、水路図誌の表記統一や各国の水路機関の協力調整、海図作成技術や水路学の研究を行っている[1][2]。1921年に設立された国際水路局(International Hydrographic Bureau,IHB)を前身とし、1970年に現在の組織に再編された[2]。海洋学者としても知られたモナコ大公・アルベール1世の招聘を受けて、IHBの本部はモナコにおかれた[2]。IHB の原加盟国は18カ国。アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、イギリス=オーストラリア、チリ、中国、デンマーク、フランス、ギリシア、日本、モナコ、オランダ、ノルウェー、ペルー、ポルトガル、シャム、スペイン=スウェーデン、エジプト。原加盟国にロシアはないものの、IHB の必要性を検討する会議は1908年と1912年にサンクトペテルブルクで開かれている[2]。イタリアとアメリカ合衆国は1922年に加盟。
総会として、5年に一度、国際水路会議(International Hydrographic Conference)を開催している[3]。
加盟国一覧
50音順
- アイスランド
- アメリカ合衆国
- アラブ首長国連邦
- アルジェリア
- アルゼンチン
- イギリス
- イタリア
- イラン
- インド
- インドネシア
- ウクライナ
- ウルグアイ
- エクアドル
- エジプト
- エストニア
- オーストラリア
- オマーン
- オランダ
- カナダ
- キプロス
- キューバ
- ギリシャ
- グアテマラ
- クウェート
- クロアチア
- コロンビア
- コンゴ民主共和国
- ジャマイカ
- シリア
- シンガポール
- スウェーデン
- スペイン
- スリランカ
- スリナム
- セルビア・モンテネグロ
- タイ
- 大韓民国
- 中華人民共和国
- チュニジア
- 朝鮮民主主義人民共和国
- チリ
- デンマーク
- ドイツ
- ドミニカ共和国
- トリニダード・トバゴ
- トルコ
- トンガ
- ナイジェリア
- 日本
- ニュージーランド
- ノルウェー
- バーレーン
- パキスタン
- パプア・ニューギニア
- バングラデシュ
- フィジー
- フィリピン
- フィンランド
- ブラジル
- フランス
- ベネズエラ
- ペルー
- ベルギー
- 南アフリカ共和国
- ミャンマー
- メキシコ
- モザンビーク
- モナコ
- モロッコ
- ポーランド
- ポルトガル
- ロシア連邦
IHOにおける日本海呼称問題
IHOが発行する「大洋と海の境界」(Special Publication No.23、通常「S-23」と呼ばれる。)の第3版(現行版・1953年策定)における日本海の表記は「Japan Sea」である(Sea of Japanではないことに注意)[4][5]。また韓国(1957年にIHO加盟)も1986年の時点では公式に「日本海」の名称に同意していた。
しかし、韓国は1997年の第15回IHO総会において「日本海」の名称は日本帝国主義の残滓であるとし、S-23におけるJapan Seaを、韓国が使用する「東海(トンへ)」に変更するように要求し始めた。これに対して、日本政府代表団は直ちに日本海の正当性を伝えるとともに、韓国側の主張する「東海」には理論的、また歴史的にも根拠がない名称である事などを理由に挙げて反対した。
2002年4月の第16回IHO総会において、韓国はまたもやS-23における「東海」の併記を求めた。同年8月のIHO理事会 (IHB) は、日本海の名称について、「高度な政治性を有し、日韓両国の調整がつかない」として、日本海部分を含まない形(日本海部分の白紙化)での改訂版最終稿を加盟国に配布し、同最終稿への賛否の投票を求めた。日本政府はIHO理事会に対して直ちに反論するとともに、IHO参加国に対して日本海が国際的に広く認知されている事実とともに、韓国の主張の矛盾点を詳細に報告、国際名称として既に確立された名称を安易な形で変更する事は、今後の悪しき前例になると主張した。また日本国内でもごく一部の人が知るのみだった日本海呼称問題が、このニュースによって多くの人々に理解される結果となった。2002年9月にIHO理事会の理事国がギリシャ、アメリカ、チリに変わると、理事会は「加盟国から改訂版最終稿の内容に根本的な影響を及ぼすコメントを受領し、また、加盟国が投票することの意味合いについて、説明を要する多くの質問が寄せられた。加えて、理事会は、IHOの技術的目的を越える問題に直面している」との談話を発表し、同改訂版最終稿(日本海の白紙化)を撤回した。
IHO加盟国は「大洋と海の境界(S-23)」の第3版が既に策定後50年以上もたっていることから改訂を求めているが、2007年と2012年の第17回・第18回IHO総会でも日本海呼称問題に対する日韓の対立が埋まらず、第4版への改訂は先送りとなっており、「Japan Sea」が単独表記された第3版のまま維持されている。
世界水路の日
国際水路機関は、船舶交通の安全性強化や海洋環境保全の促進の取り組みにおける水路業務や水路技術の重要性を、加盟国が広く一般に啓発するために、6月21日を世界水路の日としている。世界水路の日は2005年11月の国連総会で採択され、国際水路機関の設立日を記念して6月21日とされた。[6]
参照
- ↑ 日本国外務省 (2016年11月). “国際水路機関(IHO)での取り組み”. . 2017閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 IHO. “About the IHO”. . 2017閲覧.
- ↑ 金澤輝雄. “国際水路機関の現状と将来(組織改革) (PDF)”. 日本測量者連盟. . 2017閲覧.
- ↑ [1] International Hydrographic Organization、 "Limits of Oceans and Seas" (Special Publication No.23)、3rd Edition 1953(英語版)、p.32, 「52. Japan Sea」の項
- ↑ [2] 図面上の番号、52の範囲
- ↑ “6月21日は「世界水路の日」 (PDF)”. 海上保安庁 (2009年6月15日). . 2017閲覧.