瀬戸大橋
瀬戸大橋 | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 香川県坂出市 - 岡山県倉敷市 |
交差物件 | 瀬戸内海(備讃瀬戸) |
用途 | 鉄道道路併用橋 |
路線名 |
道路: 瀬戸中央自動車道 鉄道: 本四備讃線(瀬戸大橋線) |
着工 | 1978年10月10日 |
開通 | 1988年4月10日 |
座標 | 東経133度48分36秒北緯34.39833度 東経133.81度 |
構造諸元 | |
全長 | 12,300 m (海峡部 9,367 m) |
幅 | 35 m |
高さ | 194 m (南備讃瀬戸大橋北側主塔) |
最大支間長 | 1,100 m (南備讃瀬戸大橋) |
地図 | |
瀬戸大橋(せとおおはし)は、瀬戸内海をまたいで本州(岡山県倉敷市)と四国(香川県坂出市)を結ぶ[1]10の橋の総称であり、本州四国連絡橋のひとつ。
なお、「瀬戸内海大橋」という誤記が見られることもあるが、これは本来西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)のことである。かつて2橋の混同を避けるため、瀬戸大橋のことを「備讃瀬戸大橋」と呼称することもあった。岡山県の橋として紹介される場合があるが、香川県が主体となった事業であり、橋の殆どが香川県側に属する。2017年(平成29年)には、日本の20世紀遺産20選に選ばれた。
Contents
概要
1978年(昭和53年)の着工から9年6カ月を経て1988年(昭和63年)4月10日供用開始され、総事業費は1兆1,338億円である。
塩飽諸島の5つの島の間に架かる6つの橋梁と、それらを結ぶ高架橋により構成されており、橋梁部9,368メートル (m) 、高架部を含めると13.1キロメートル (km) の延長を持つ[2]。日本ではそれぞれ単独の橋とみなされる連続する10の橋を合わせた合計の長さは、鉄道道路併用橋としては世界最長で、瀬戸大橋は「世界一長い鉄道道路併用橋」としてギネス世界記録にも認定されている[2]。橋梁は吊り橋・斜張橋・トラス橋の3種類を併設。
工事の際には当時世界初の技術が導入され、「海底無線発破」「設置ケーソン工法」などが実用化された。また、気象条件や荷重による変形が著しいこの規模の吊り橋への鉄道の敷設は世界初の事例であり、橋梁の変形から線路を保護するための技術が新規に開発された[3][4]。
橋梁部構造は上部に4車線の道路(瀬戸中央自動車道)、下部に複線の鉄道(四国旅客鉄道〈JR四国〉本四備讃線〈愛称:瀬戸大橋線〉)[5]が通る2層構造となっており、用途が2通りある「鉄道道路併用橋」である。下部の鉄道については、新幹線・在来線合わせて4線を敷設できるようになっているが、現在は在来線用に中央寄りの2線分のみが暫定的に敷設され、使用されている。計画中の四国横断新幹線が建設される際には2線増設され、東側2線を在来線に、西側2線を同新幹線として使用する予定である[6]。
設計最高速度は上部の道路が100 km/h(第1種第2級)、下部の鉄道が130 km/h(在来線部分)または160 km/h(新幹線部分)。今のところ新幹線用のスペースのほとんどは何も設置されていないが、一部スペースに建設当初想定されていた新幹線用設備分の死重が設置されている。
1994年(平成6年)に、瀬戸大橋を経由して本州と四国を結ぶ特別高圧電線(50万ボルト)「本四連系線」が電源開発株式会社によって敷設された(鉄道部と同レベル)。
供用が開始されると倉敷市下津井田之浦の一部住民や橋下の各島民から、瀬戸大橋線の騒音やライトアップによる公害の訴えが相次いだ。現在、橋梁のライトアップが事前に決められた日にしか行われないのは、ライトアップの光により「明るすぎて眠れない」「漁業に影響が出る」等の光害に対し住民に配慮したものである。なお、このライトは元々、橋梁の保守・点検用である。
沿革
着工まで
- 1889年(明治22年)5月23日 - 香川県議会議員の大久保諶之丞が讃岐鉄道開通式での祝辞で瀬戸大橋の架橋を提唱。
- 1955年(昭和30年)5月11日 - 国鉄連絡船紫雲丸による紫雲丸事故。(修学旅行の小学生など死者168名)
- 紫雲丸事故後、香川県議会が「宇高連絡鉄道建設促進に関する意見書」を国に提出。
- 1958年(昭和33年)
- 1959年(昭和34年)
- 1960年(昭和35年)6月8日 - 第六管区海上保安本部が瀬戸大橋ルートの底質調査と潮流観測を開始。
- 1961年(昭和36年)
- 1962年(昭和37年)
- 3月29日 - 鉄道建設審議会が瀬戸大橋(宇野付近・高松)の調査線格上げを承認。
- 6月10日 - 国際連合アーネルト・ワイズマン調査団一行が瀬戸大橋架橋ルートを視察し、本四連絡橋3ルートのうち瀬戸大橋ルートに優先性を与えるべきだと声明。
- 7月10日 - 建設省土木研究所が沙弥島南方で瀬戸大橋架橋工事のためのボーリング調査を開始。
- 1963年(昭和38年)
- 1964年(昭和39年)
- 1965年(昭和40年)
- 1966年(昭和41年)
- 1967年(昭和42年)
- 1968年(昭和43年)
- 1969年(昭和44年)10月4日 - 香川県議会が「瀬戸大橋並びに中国四国横断自動車道の早期着工に関する決議案」を可決。
- 1970年(昭和45年)
- 1971年(昭和46年)8月9日 - 瀬戸大橋架橋推進に関する説明会が坂出市の各地区で始まる。
- 1972年(昭和47年)
- 1973年(昭和48年)
- 1974年(昭和49年)
- 1975年(昭和50年)
- 1976年(昭和51年)
- 1977年(昭和52年)
- 4月26日 - 政府が本州四国連絡橋の当面早期完成を図るルートとして道路・鉄道併用橋の瀬戸大橋(児島・坂出ルート)を内定し、早急に環境影響評価などを推進する旨を決定。
- 11月1日 - 瀬戸大橋架橋工事に伴う埋蔵文化財発掘調査開始。
- 11月4日 - 第3次全国総合開発計画が閣議決定されたことで、瀬戸大橋(児島・坂出ルート)が当面早期完成を図る1ルートとして正式決定。
- 11月19日 - 本四公団が香川知事に瀬戸大橋(児島・坂出ルート)環境影響評価書案を提出、同月22日香川県内5か所で縦覧を開始。
- 12月13日 - 香川県・坂出市・宇多津町が瀬戸大橋環境問題連絡協議会を設置。
- 12月29日 - 瀬戸大橋環境問題連絡協議会が開催され、櫃石島・岩黒島・与島・宇多津・坂出西部・川津の各地区の代表からの意見を聴聞。
- 1978年(昭和53年)
架橋工事
- 1978年(昭和53年)10月10日 - 坂出市番の州緑町にて起工式。
- 1979年(昭和54年)11月30日 - 本四備讃線高架橋着工。
- 1980年(昭和55年)6月26日 - 坂出市の陸上部測量の為、聖通寺山で最初の幅杭打ち開始。
- 1981年(昭和56年)
- 1988年(昭和63年)
完成後
- 1989年(平成元年) - 高速道路部の平均利用台数は、高額な通行料金の影響で、1日当たり1万3,000台に留まった。
- 1992年(平成4年)4月19日 - 高松自動車道の高松西IC - 善通寺IC、坂出IC - 坂出JCTが開通し、四国の高速道路と接続。
- 1994年(平成6年) - 電源開発により、本州と四国を結ぶ高圧電線(50万V)「本四連系線」が完成。
- 1996年(平成8年)1月10日 - 瀬戸大橋線の児島 - 宇多津駅間に「公平性の担保」として100円の加算運賃を設定。
- 1997年(平成9年) - 債務償還計画を変更。
- 2001年(平成11年) - 鉄道部の債務償還4,900億円の返済が完了。
- 2003年(平成15年)
- 4月 - 債務償還計画を再度変更。
- 7月 - 道路部の通行料金を10%値下げ。
- 2005年(平成17年)10月1日 - 日本道路公団等民営化関係法により、日本高速道路保有・債務返済機構ならびにJB本四高速に承継し、本州四国連絡橋公団は解散。高速道路部の債務6,400億円が、利子により膨れ上がった総額1兆3,000億円は、日本国政府に債務が移行された。
- 2008年(平成20年)
- 3月31日 - 2007年度末までの車両の累計通行台数は9,860万台、JR瀬戸大橋線の利用者は約1億8,800万人におよぶ。
- 4月1日 - 北備讃瀬戸大橋にて、開通後初めて作業員の海面への転落事故が発生。翌日、事故現場から16km離れた地点でこの作業員の遺体が発見された。
- 4月10日 - 開通20周年を迎え、12日に香川県坂出市与島で記念式典を開催。13日には橋上で健康マラソン・ジョギング・ウォーク大会を開催。大会当日は8時 - 13時まで、事故や悪天候以外で初めて橋上部を全面通行止にして実施された。
- 5月24日 - 与島において、デンマークとスウェーデンを結ぶオーレスン・リンクを構成するオーレスン橋との姉妹橋調印式を開催。瀬戸大橋側からは本四高速の伊藤周雄社長、四国旅客鉄道(JR四国)の松田清宏社長、西日本旅客鉄道(JR西日本)の丸山俊岡山支社長が、オーレスン・リンク側からはオーレスン橋公社(Øresundsbro Konsortiet)のヤーコブ・ヴェルテルゴード営業本部長が出席し、調印書への署名と銘板の除幕を行った[7][8]。
- 2009年(平成21年)
- 2013年(平成25年)
- 4月10日 - 瀬戸大橋開業25周年。
- 4月11日から12日 - トワイライトエクスプレス車両 瀬戸大橋開業25周年記念号運行[9][10]。
- 2018年(平成30年)
- 4月10日 - 瀬戸大橋開業30周年。当初の計画では債務償還が終了する筈だったが、高速道路部の利用伸び悩みで、債務償還計画が破綻した。道路の交通量増加による営業補償金の高騰により、マラソン大会は実施されない。
各橋と沿線の島々
各橋と各島の詳細は、それぞれの項目を参照。
島 | 橋名・トンネル名 | 全長 | 形式 | 所在地 |
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本州 | 鷲羽山トンネル | 205 m(道路部) | トンネル | 岡山県倉敷市 |
230 m(鉄道部) | ||||
海 | 下津井瀬戸大橋 | 1,447 m | 吊り橋 | |
香川県坂出市 | ||||
櫃石島 | 櫃石島高架橋 | 1,316 m | 高架橋 | |
海 | 櫃石島橋 | 792 m | 斜張橋 | |
岩黒島 | 岩黒島高架橋 | 93 m | 高架橋 | |
海 | 岩黒島橋 | 792 m | 斜張橋 | |
羽佐島 | 与島橋 | 877 m | トラス橋 | |
海 | ||||
与島 | 与島高架橋 | 717 m | 高架橋 | |
海 | 北備讃瀬戸大橋 | 1,611 m | 吊り橋 | |
三つ子島 | ||||
南備讃瀬戸大橋 | 1,723 m | 吊り橋 | ||
海 | ||||
四国 | 番の州高架橋 | 2,939 m | 高架橋 |
姉妹橋提携
- ゴールデンゲートブリッジ(米国 カリフォルニア州)
- 1988年(昭和63年)4月5日姉妹提携
- ファーティフ・スルタン・メフメト橋(トルコ イスタンブール)
- 1988年(昭和63年)7月3日姉妹提携
- オーレスン橋(スウェーデン マルメ・デンマーク コペンハーゲン )
記念発行物
瀬戸大橋を記念する施設
香川県坂出市番の州緑町(番の州高架橋の西側)にある公園。1988年にこの場所で開催された瀬戸大橋架橋記念博覧会(瀬戸大橋博'88/四国)の跡地を公園としたもので、記念館はその当時のパビリオンのひとつが残されたものである。
- 公園は道の駅にもなっている。
- 記念館には瀬戸大橋関連の展示室のほか、200人収容のブリッジシアターがあり、瀬戸大橋関連の全天周映像作品を上演している。
- 公園の西側には瀬戸大橋タワーがある。瀬戸大橋タワーは回転式展望室をもち、108 mまでのぼる。
- タワーの南側に香川県立東山魁夷せとうち美術館がある。
船舶信号
一番北側にある下津井瀬戸大橋の西側には、潮流信号所の電光掲示板があり、「見張励行・VHF聴守」の文字が1字ずつ表示される(道路・鉄道どちらからも見ることができる)。この電光掲示板は、船舶に対して潮流への注意を促すために設置されているものである。
他に船舶関連として、南北備讃瀬戸大橋などの橋台は、巨大さゆえに船のレーダー電波を反射してしまい、レーダーが電波の反射した位置からの電波も受け取ってしまうため、不要な電波を返さないように電波を上斜めに反射させるための細かい構造がある(橋台の横線はこの構造によるもの)。
瀬戸大橋が登場する作品
映画
- 「ゴジラvsキングギドラ」 - 福岡から北海道方面へ向かうキングギドラによって破壊される
- 「ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜」
テレビドラマ
- 「仮面ライダーBLACK RX」 - 第33話「瀬戸大橋の大決戦」に登場、劇中では「瀬戸大橋京阪フィッシャーマンズ・ワーフ」などの当時の関連施設も登場する。
漫画・アニメ
- 「結城友奈は勇者である」・「鷲尾須美は勇者である」 - 南備讃瀬戸大橋が登場。アニメ第1期ではOPと第八話、第九話に登場する。既に何らかの事情で破壊されており、寸断された橋が大きく反り返った状態になっている。アニメ第2期では「鷲尾須美の章」に当たる前半六話に登場。第六話でのバーテックスとの決戦で破壊され、本州との接続が寸断された。なお、橋の上には歴代勇者並びに関係者の家名入りの石碑が建っている上(「乃木若葉は勇者である」の人物の家名のうち、郡千景のものだけはある事情から存在しない)、大赦の紋章入りの幕が張られているため道路としての機能は失われている。さらにワイヤー部分には大量の鳴子が吊されており、バーテックス襲来時に鳴り出すようになっている。線路側の状況は不明。
- 「うどんの国の金色毛鞠」 - アニメ版のOPに登場。
- 「ゴルゴ13」 - 荷重によるたわみを利用しトラス下部にテロリストが設置した爆発物のコードを狙撃にて切断するため「1,000t列車」を再現した。
- 「天地無用!魎皇鬼」 - 第2話「阿重霞が出た!」に登場。魎呼と阿重霞が繰り広げた宇宙空間でのケンカの末、墜落した魎皇鬼及び龍皇の巻き添えとなる形で全壊。
脚注
- ↑ 基準点成果等閲覧サービス(地図情報)ー国土地理院
- ↑ 2.0 2.1 浅井建爾 2015, p. 194.
- ↑ 主塔間隔が1,100 mの南備讃瀬戸大橋では、1,000トン (t) に及ぶ列車が通過する際は、主塔間の橋梁は、下方に4.9 m、上方に2.4 mの歪みが発生する。これに起因して橋梁の端部で発生する、1.0 m以上に及ぶ線路の伸縮を、専用の緩衝桁軌道伸縮装置で吸収している。
- ↑ 4.0 4.1 鉄道吊橋と緩衝桁軌道伸縮装置 (PDF) 鉄道総合技術研究所
- ↑ 本四備讃線 (31.0 km) のうち、JR四国が管轄するのは瀬戸大橋を含む児島駅 - 宇多津駅間 (18.1 km) であり、茶屋町駅 - 児島駅間 (12.9 km) は西日本旅客鉄道(JR西日本)の管轄となっている。
- ↑ 在来線部分に2本敷設しなかったのは、橋の片側のみに負担がかかることを避けたためである。
- ↑ 7.0 7.1 瀬戸大橋とオーレスン橋の姉妹橋調印式について
- ↑ 交通新聞 2008年5月27日第3面
- ↑ “トワイライトエクスプレス車両瀬戸大橋線開業25周年記念号 (PDF)”. 日本旅行 (2013年3月11日). 2013年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2014-1-26閲覧.
- ↑ “瀬戸大橋線開業25周年記念「トワイライトEXP車両乗車クルーズ」ツアーの発売”. JR四国 (2013年2月25日). 2013年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2014-1-26閲覧.
参考文献
- 浅井建爾 『日本の道路がわかる辞典』 日本実業出版社、2015-10-10、初版。ISBN 978-4-534-05318-3。
- 河口栄二『瀬戸大橋をかけた男』三省堂、1988年。ISBN 4-385-35326-3。
- 藤川寛之『本州四国連絡橋のはなし-長大橋を架ける-』財団法人交通研究協会発行、成山堂書店、2002年。ISBN 4-425-76111-1。
関連項目
- 本州四国連絡橋
- 日本の離島架橋
- 一本列島
- 四国新幹線 - 「四国横断新幹線」計画ルートに含まれる
- 九頭竜ダム - テストモデル橋の存在
- 児坂フェリー - 瀬戸大橋と完全に並行するため、瀬戸大橋開通と同時に廃止された航路
- 橋の一覧 (長さ順)
外部リンク
- JB本四高速(本州四国連絡高速道路株式会社)
- JR四国(四国旅客鉄道株式会社)
- 瀬戸大橋記念公園
- 鷲羽山(岡山県側)から見た定点カメラ(静止画) - 環境省自然環境局 生物多様性センター
- NHKアーカイブス 青函トンネル・瀬戸大橋開業(1988年) - 日本放送協会(NHK)
- 本四連系線増架工事の終了及び運転開始について(電源開発株式会社プレスリリース)
- 瀬戸大橋開通30年① 建設の"記録"と"記憶" - YouTube・瀬戸内海放送