給食
給食(きゅうしょく)とは、特定多数人に対して専門の施設を用いて組織的・継続的に食事を提供するもの[1][2][3][4]。また、喫食者側からは「給食」とはその継続的に提供される食事のことを指すことになる[1]。
Contents
概説
一般には、学校等(小学校、中学校、幼稚園など)、福祉施設(保育所、児童養護施設、老人ホームなど)、工場あるいは病院、寄宿舎、軍隊[5]、刑務所などで一定の特定多数人のために食事を供すること、あるいはその食事そのものである。一般の飲食店のように不特定多数に食事を提供するものは「給食」ではない[3]とされる。
給食は一般に、調理作業の能率化、調理場施設における衛生管理や栄養管理が行われている。その反面、集団給食では献立を自由に選択することが難しくなるといった欠点もあり、嗜好調査などの調査が実施されることがある[6]。また、現在ではカフェテリア方式なども普及している。
「給食」という言葉の語源は、古代日本の律令制における高等教育・官人育成を目的とした大学寮の設置に遡る。大学寮の学生は直曹と呼ばれる学舎兼学生寮に住むこととなっており、大学寮から学生に対して給付した食事を給食と称した[7]。
日本での給食(食事の提供)としては、歴史的には平城京での宮廷人に対するもの[8]、東大寺大仏殿建立の際の人夫への給食[8]、鎌倉時代の僧院におけるもの(道元『典座教訓』『赴粥飯法』)[9][8]、江戸時代の小石川養生所での貧困患者に対して行われたもの[9]などについて記録がある。ただ、組織的に行われた給食は明治時代の紡績工場や軍隊での給食からであるといわれ[9]、1872年(明治5年)に官営富岡製糸場において給食が導入された[4][8]。
学校給食、病院給食、事業所給食それぞれの歴史については各節を参照。
給食の分類
対象者による分類
給食は対象者(学校、病院、老人福祉施設、児童福祉施設、社会福祉施設等)によって分類される[10]。学校給食、病院給食、事業所給食など。事業所給食には寄宿舎給食や研修所給食も含まれる[11]。
給食回数による分類
給食は1日の給食の回数によって1食制、2食制、3食制などに分けられる(このほかに残業食などもある)[6][11][12]。
- 1食制(1回食)
- 通常1回の場合には昼食のみであることが多い[12]。多くの学校給食は1食制である。
- 2食制(2回食)
- 給食が朝・昼あるいは朝・夕のもの[6]。寄宿舎給食などは一般的に朝・夕の2回食である[11]。
- 3食制(3回食)
- 給食が朝・昼・夕とあるもの[6][12]。研修所給食などは一般的に3回食である[11]。
- 4食制(4回食)
- 給食が朝・昼・夕・夜とあるもの[12]。
運営方式による分類
- 直営方式
- 対象集団の組織(会社の事業主等)が企業経営の一環として直接、給食業務を運営・管理する方式[13][14][11][12]。企業が小規模の場合には人件費その他のコストが高くなるという欠点がある[6]。
- 準直営方式
- 給食部門のみを別会社として独立させ、その会社に給食業務を運営・管理させる方式[13][14][15][12]。
- 外部委託方式
- 事業主が委託した給食業者が給食業務の全部または一部(調理・配膳・食器洗浄)を運営・管理する方式[13][14][11][12]。
- 協同組合方式
- 協同組合の形態によるもの。組合センター方式ともいう[13]。
供食形態による分類
- 定食方式
- カフェテリア方式
- 主食・主菜・副菜・汁物・デザートから自由に料理を選択できる方式[15][16]。日本では1970年代に導入され始めた方式である[16][17]。
- フードコート方式
- 中央のスペースに複数のファーストフード店が出店し共有の座席を設ける方式[16]。
- ブランドコンセプト方式
- 外食産業を営む1社が1か所に複数のブランドを出店して運営する方式[16]
- 弁当方式
- 弁当を発送する方式[15]。
配膳配食による分類
なお、配膳配食の形式については、より具体的には学校給食、病院給食、事業所給食ごとにそれぞれ異なった分類法がある。
給食の管理
栄養の管理
給食対象者個人の栄養状態を把握した上で、給与栄養目標量の設定や予定献立の作成が行われる[18]。
給食の実施
食材の購入・調理・保存がなされて給食が実施される[18]。
食器の選定
給食用食器の素材には各種のものがある。
- アルマイト(あるいはシュウ酸アルマイト)
- 軽く収納しやすいなど長所もあるが、熱伝導性が高く熱い物を入れると器が高温になり持つことや口にすることが困難となり、また、内容物が冷めやすいといった欠点もある[19][20]。さらに、作業時の騒音もうるさいという欠点がある[19]。従来は学校給食で多く用いられていた[20]。
- 陶磁器
- 清潔感があるという長所がある一方、破損しやすいという欠点があり給食ではあまり使用されていない[20]。
- 強化磁器
- 陶磁器よりは破損しにくいが、やや高価であるとされる[20]。近年、使用例が増加している[20]。ただ、作業性の点で重いといった欠点がある[19]。
- メラミン樹脂
- 陶磁器に近い質感を持っており、多くの給食施設で採用されている[20]。
- ポリエチレンナフタレート
- 持ちやすく保温力もある[19]。
- ポリプロピレン樹脂
- 持ちやすく保温力もある[19]。また、軽いため作業性が高いという長所があり、学校給食で多く採用されている[20]。
- ポリカーボネート樹脂
- 学校給食などで使用されたが内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)の流出への疑問から減少傾向にある[20]。
- 耐熱ABS樹脂
- 持ちやすく保温力もある[19]。漆器代用食器として汁椀などに利用される[20]。
- FRP樹脂
- トレーに利用される[20]。
栄養教育
給食には喫食の対象者を生活習慣病から予防したりあるいは病気を治療する上で望ましい食習慣を形成するための教材という意味もある[1]。カフェテリア方式の給食において食事における自己管理能力の向上に資するよう栄養表示や栄養に関する情報を提供することなどもこれに含まれる[1]。
廃棄物処理
給食は、残飯、廃油などを出すが、これを産業廃棄物として処理するのではなく、資源として再利用する動きが広がっている。
残飯は、飼料として使われる例もある[21]。
食用油などの廃油は、バイオディーゼル燃料(BDF)へ利用される(例として、栃木県 小山市[22]と神奈川県 大和市[23]を挙げる)。
給食の評価
給食の実施後には喫食者あるいは提供する側による評価がなされる[18](検食も参照)。
学校給食
学校で供される給食を学校給食という。英語ではSchool dinnerあるいはschool lunchなどと言う。また、ドイツ語ではSchulspeisungという。日本では単に「給食」といえば、この学校給食を指すことが多い。
日本における学校給食
日本では1889年(明治22年)に山形県の学校で学校給食が導入されて各地に普及したが、戦争の影響で中断し、1947年(昭和22年)1月に再開された[24]。
それぞれの自治体の方針によってやや事情は異なるが、基本的に下は幼稚園から小学校を経て、中学校までが一般的で、ほかに定時制(主に夜間)高等学校で給食が提供されている。特別支援学校では幼稚部、小学部、中学部のみならず、高等学校にあたる高等部まで給食が提供されており、また、高等部を単独で設置する高等支援学校でも給食が実施されている。近年、一部全日制高等学校においても給食が開始されはじめている(ただし、全日制高等学校などでの給食は学校給食法上の「学校給食」ではない)。
ヨーロッパにおける学校給食
学校給食の発祥は、1796年にミュンヘンで貧困学童にスープを配ったことが始まりとされるように、ドイツでは学校給食が行われている例が多い [25]が、他のヨーロッパの初等中等学校の多くでは、昼食は家に帰ってとるというケースもある。大学では、食堂で食べることが一般的で、ここには給食のような定食メニューがある。そのメニューで、金曜日には通常の場合、肉料理はなく、多くの人は魚料理を食べる。これはキリスト教の風習からくるものである。
アメリカ合衆国における学校給食
アメリカ合衆国の学校給食[26]では、1930年代より余剰作物の有効活用として学校給食の援助がスタート。年々参加校を増やし、1946年には学校給食法が制定され、公立私立問わず高等学校までの全ての学校での給食がスタートした。アメリカの学校給食法の目的には、子供たちの福利厚生を目的としたものとしている一方、農産物の消費拡大の一文が添えられているなど農業国独特の側面も窺わせる。
給食費は有料であるが、給食を全部または一部の納入を拒否して弁当を持参することもできる。保護者が低所得者である場合には、給食費は免除される。
昼食場所は、都市部を中心に下校や外食を認めている学校もあるが、多くは校内のランチルームで行われる。宗教や信条的な理由から生徒が自由に複数のメニューから主食、副食を選ぶことができるよう配慮されている。外食産業の学校給食への進出も盛んで、宅配ピザのチェーン店が学校にピザを供給している例も見られる。
献立は、近年まで必須カロリーをいかに補給させるかが課題とされてきたが、2000年代頃から生徒の肥満傾向が著しくなってきたこともあり、栄養のバランスなども考慮されるようになった。政府は2012年から規定を改定し、カロリーや特定成分の過剰摂取を制限する一方、野菜や果物などの摂取を義務付けた。例えば、スパゲティとミートボールにガーリックブレッドといった組み合わせの給食メニューは、穀物類が多すぎるという理由で禁止された[27]。
中国における学校給食
中国における大学の食堂は、政府から補助金も受け取っており、市場価格よりも安く提供されている[28]。また、中国は総人口の約2%をイスラム教徒が占めるため、豚肉やイスラーム以外の方法で処理された鳥獣肉を一切置かない、清真食堂が大学の食堂にも併設されている。2007年の物価高騰による食材コストの増加が、学校給食へも影響を与えている。
- フリーライドの防止と、提供しても利益が出ないことから、部外者の利用制限[29](食費を浮かすために、安い大学の食堂へ他大学の学生が食べに行ったり[30]、卒業生が食堂を利用していた[28])を行う動きがある。
- コスト削減のために、農家との食材の直接契約[28]をする動きがある。
発展途上国における学校給食
発展途上国においては、子どもが学校に行くことが困難な場合も多い。日々の食事が満足でない状況で、お弁当をもたせて学校に行かせるようなことが難しいからである。また発展途上国において子供は労働力でもあり厳しい生活を児童労働で埋めようとする家庭もあるとされ、給食は家計負担の軽減から結果的に子どもの就学も促される効果が期待されている[31]。 そのため、国際連合世界食糧計画(WFP)では、学校での給食事業を行い、子どもの栄養不良を改善し、さらには親たちにも食事のために子供を学校へ行かせようと意識させ就学率を向上させている。
病院給食
概要
病院で供される給食を病院給食といい、医療給食とも呼ばれる[32]。病院給食は患者に対して食事療法が必要とされる場合や療養が長期にわたる場合に入院生活をより快適にするという役割を持つ[33]。
病院においては、「食事療養」と呼ばれ、療養の給付の一つとして行われる。病気の症状に応じて、個々の患者ごとに食事の内容を変更する必要がある。そのため、細かな管理が必要となる。特に摂食制限やアレルゲンの除外などでは、非常に注意が払われており、栄養バランスと消化の良い、胃腸に負担の掛からないメニューが採用されている。内容は医師の治療に基いた献立計画を主に管理栄養士が作成して調理を行う。
その一方で、配膳に時間が掛かる・病院全体で一律のメニューしか出さない事から、長らくは「冷めてしまっていて美味しくない」や「食欲がそそられない」ともされ、胃腸への負担が掛からないように薄味であることもあって、あまり好意的には受け取られなかったが、近年では食生活の多様化や、医療もサービス業であるという考えもあって、集中調理でもカフェテリア方式を導入する・メニューを幾つかの種類を設けて選ばせる・配膳方法を改善するなどして、きめ細やかなメニューを温かいまま提供している病院もある。
クックチルとセントラルキッチン
現在では人件費の削減を主な理由として、クックチル方式が普及し始めている。調理済みの食品を急速冷凍して保管し、配膳の際に解凍するというものである。調理を食事の時間に合わせる必要がないため、集中的に調理を行うことで、より少ない人数での調理が可能となる。また調理直後に急速に冷凍を行うことで、細菌の繁殖しやすい温度帯を速やかに通過させ、食中毒の発生を抑えるという効果がある。
クックチルには冷凍された食事をスチームコンベクションオーブンなどで加温した上で適温配膳車を用いて配膳するクックチルと、冷凍状態のまま盛り付けを行いヒーター等の熱源を内蔵した再加熱カート(病棟まで食事を運ぶ配膳車)で直接加温を行うニュークックチルがある。クックチルは従来の厨房に冷却と保管を行う設備を追加するだけで実現が可能だが、加温後の配膳となるため、配膳に時間がかかれば細菌の繁殖を許してしまうことになるので、ニュークックチルと比較すれば食中毒発生のリスクが高い。ニュークックチルでは導入コストは高くつくものの、食中毒発生のリスクや人件費をより低く抑えることができる。
特に一箇所で集中調理を行うセントラルキッチン方式はこのクックチルと相性がよく、セントラルキッチンで調理され冷凍された食事を各病院に必要数配送し、各病院で解凍と配膳を行えば、病院側で調理に必要な設備や人員を用意する必要もなくなり、大幅なコストダウンが可能になる。
またセントラルキッチン方式では、HACCPによる衛生管理を行うことで食中毒発生のリスクをより低減させることが可能というメリットもある。
分類
病院給食は配膳方式によって次のように分類される。
- 中央配膳方式
- 調理場で食事を一人分ずつ配膳して各病棟に運搬する方式[9][34]。
- 病棟配膳方式
- 調理場から病棟へ運搬して病棟の配膳室で配膳する方式[9][34]。
- サテライトキッチン
- 患者の前で直接配膳する方式[34]。
- 食堂配膳方式
- 食堂によるもの。
歴史
日本では1889年(明治11年)に内務省によって脚気の患者に対する病院給食が開始された[4]。1902年には聖路加病院[8]、1920年には慶應義塾大学病院[8]で病院給食が導入されている。戦後、1948年の医療法公布により病院給食が制度的に確立された[35]。
福祉施設における給食
老人福祉施設における給食
老人福祉施設における給食においては、利用者の特性から、特に食欲の低下、味覚・嗅覚の感受性の低下、咀嚼力の低下、摂食・嚥下機能の低下、消化・吸収能力の低下、胃腸の運動能力の低下、生体防御機能の低下などに考慮した献立作りが必要となる[36][37]。
嚥下能力の低かったり噛むことの困難な入所者には今まではすりつぶした魚や、ほぐした魚が使われてきたが、見た目に食欲をそそるものではなかった。しかし骨をピンセット等で除去した後やわらかくなるように調理し、パックした製品が作られたことで、入所者が昔食べていたように魚を食べることができ、目にも美しいため楽しく食事ができるようになった。
児童福祉施設における給食
福祉施設である保育所においては、昼食とおやつが給食されている。
幼児に必要なカロリーは朝昼晩3食だけでは賄えないため、おやつは特に重要である。その際、以下のような事柄が注意点として挙げられる。
- 市販のジュースやスナック菓子は、与えることによって糖分塩分の過剰摂取が心配されるためあまり使わないほうがよい。
- 幼児は汗をかきやすいため、水分の摂取に努める。
- 食品添加物や残留農薬など、安全面や衛生面を特に注意する。
- 幼児は消化器官が未発達なため、やわらかいものや、消化によいものを与えるとよい。
事業所給食
概要
事業所給食は労働者を対象にオフィス・工場・寄宿舎等で供される給食である[38]。社内での給食については社員食堂も参照。
分類
対象による分類
- オフィス給食
- 事務系の労働者を対象とする給食で通常は昼食のみの一回食である[11]。
- 工場給食
- 生産製造等を担う労働者を対象とする給食で勤務帯に応じて朝・昼・夕・深夜に給食が設定される[11]。
- 寄宿舎給食
- 寄宿舎における給食で通常は朝と夕の二回食である[11]。
- 研修所給食
- 研修所における給食で通常は朝・昼・夕の三回食である[11]。
供食形態による分類
事業所給食は食堂配膳方式と弁当方式にも分類される[9]
歴史
日本の近代的な給食制度は紡績工場などから始まったとされ、1872年(明治5年)に官営富岡製糸場において給食が導入された[4][8]。第二次世界大戦中は軍需工場で給食が行われた[8]。戦後、工場給食は1955年頃から全国的に普及した[8]。
軍隊(自衛隊)における給食
世界的に軍隊(日本自衛隊を含む)内部においては、勤務内容に応じて様々な形態の食事が隊員にあてがわれるが、主に駐屯地・基地・艦艇ほか関連施設内における給食では、勤務や訓練で消費するカロリーをとにかく補給させるため、比較的ボリュームに富む場合が多い。この場合、調理は大胆を極め、キャベツの千切りは極端に希釈した漂白剤で殺菌されたりもする。これは衛生面を意識したHACCPによるものである。如何なる事態でも隊員の健康状態が重視される事から、衛生面における配慮は厳密に成されている。
しかし自衛隊の給食は近年格段に味が良くなっており、基地(駐屯地)によってはレストラン並みの食事が支給される所もある。これは基地に所属する栄養士の献立による部分が大きく占め、基地ごとの差が大きい。また陸上自衛隊に比べ海上自衛隊、航空自衛隊の給食の方が味が良いと言われている。これは陸自の場合は人員が多く、また調理に当たる隊員の多くが他の職からの差出となっているため、どうしても味が大味になるとのことである。海自、空自の場合は調理に当たる隊員は専門職であり、徹底的な調理の教育を受け実施している。旧日本軍(陸海軍)ではこれらの給食を兵食(へいしょく)と称しており、日本陸軍では『軍隊調理法』といったレシピ集(マニュアル)によって炊事担当の兵が調理を行い提供されていた。一例として日本陸軍における兵食については軍隊調理法#兵食を参照。
また食事を悠長に楽しんでいられないことから、早食いを叩き込ませ、特にアメリカ海兵隊のブートキャンプでは、新兵は教官である練兵軍曹よりも遅く食べ始め、且つ先に食べ終わらねばならないとされる[39]。その一方で、食事は隊員の大切なレクリエーションでもあるため、土曜日・日曜日などの特定の曜日や祝日・記念日には人気の特別メニューが組まれる場合も多い。アメリカ軍では給食が支給されるのは下士官兵のみで、将校に給食は支給されず自弁調達が基本であるが(料金を支払えば食事可能)、戦地では将校にも給食が支給される。自衛隊や旧日本軍においても無料で給食(兵食)が支給されるのは基地(駐屯地)内居住の曹士(下士官兵)の営内者(営内居住者)であり、営外者である幹部(将校准士官)、一部の曹士(下士官兵)、事務官等職員(軍属高等官)は自弁調達および有料支給である。
また屋外(演習地や戦場)ではレーションと呼ばれる缶やレトルト入りの食事が提供されるが、これらは屋外で手やスプーン・フォーク等の簡単な道具で食べられるよう配慮されており、高いカロリーを短時間で摂取できるよう配慮されている他、チョコレートや飴玉などの菓子類が付属している。これら菓子類は、カロリー摂取もさることながら、隊員の士気向上や気力の維持に役立つと考えられている。食事は戦闘で感じるストレスを緩和させる重要な娯楽でもあるため、これらの食事は見た目や味に逐一改良が加えられ、メニューも飽きないように増やされている。ただ、保存性や輸送の便が優先された結果として、見た目や風味などの何かしかが犠牲になっているレーションも見られないではない。たとえばアメリカ軍採用レーションは「兵士を飢えさせず健康を維持する」という機能性の面では合理的だが、風味の面での悪さが揶揄の対象になるほどである(MRE)。
刑事施設における給食
日本の刑務所では、所内の給食を刑務作業の一環として長らく自炊が行われてきた。しかしながら服役囚の高齢化などにより人材確保が困難となり、2015年度以降、加古川刑務所、岩国刑務所、高知刑務所を皮切りに民間委託が始まった。なお、拘置所でも同様に民間委託の給食が始まっている[40]。
アメリカ合衆国の刑務所では、民間企業による給食が行われてきたが、2000年代に入ると次第に状況が悪化。刑務所によっては昼食の量が減るとともに、質もサンドイッチと小袋のチップスなどのように極端に悪化するようになった[41]。
給食と献立の構成
- 主食
- パン
- ご飯
- 麺類
- うどん、ラーメン、そうめん、スープスパゲティ、焼きそば、ナポリタン、インディアンスパゲッティなど。
- 主菜・副菜・汁物
- 果物類・デザート類
- 冷凍みかんのように一定の加工調理がされているものもある。
- 飲み物
- お茶、牛乳、ジュースなど
脚注
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 中村丁次ほか編『食生活と栄養の百科事典』丸善 p.949 2005年
- ↑ 外山健二・幸林友男・曽川美佐子・神田知子編『栄養科学シリーズNEXT 給食経営管理論 第3版』講談社 p.1 2012年
- ↑ 3.0 3.1 坂口久美子・植田哲雄編『エキスパート管理栄養士養成シリーズ 給食経営管理論』化学同人 p.1 2006年
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 香西みどり・小松龍史・香西みどり編『スタンダード栄養・食物シリーズ15給食マネジメント論』東京化学同人 p.1 2014年
- ↑ 日本では自衛隊
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 大河内一男・吾妻光俊編『労働事典』 p.572 1965年
- ↑ 給食の財源は勧学田と呼ばれる田地からの収入で行われたが、後に荒廃したために給食の支給は行われなくなった。これに対して有力な貴族は大学別曹を設置して一族の学生を住まわせて給食を支給して、大学寮に通わせることでこれを補った。これによって大学寮からの給食を受けられなくなった他氏の学生は減少し、大学別曹からの給食を支給された学生が大学寮の学生の地位を占めて官人に任官されるようになり、平安時代中期以後には貴族・官人の特定氏族による独占化を促進することとなった。
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 8.7 8.8 岡田哲著『たべもの起源事典』東京堂出版 p.217 2003年
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 9.5 坂口久美子・植田哲雄編『エキスパート管理栄養士養成シリーズ 給食経営管理論』化学同人 p.5 2006年
- ↑ 坂口久美子・植田哲雄編『エキスパート管理栄養士養成シリーズ 給食経営管理論』化学同人 2006年も参照
- ↑ 11.0 11.1 11.2 11.3 11.4 11.5 11.6 11.7 11.8 11.9 外山健二・幸林友男・曽川美佐子・神田知子編『栄養科学シリーズNEXT 給食経営管理論 第3版』講談社 p.170 2012年
- ↑ 12.0 12.1 12.2 12.3 12.4 12.5 12.6 中村丁次ほか編『栄養学ハンドブック 第3版』技報堂出版 p.841 1996年
- ↑ 13.0 13.1 13.2 13.3 13.4 13.5 13.6 13.7 13.8 坂口久美子・植田哲雄編『エキスパート管理栄養士養成シリーズ 給食経営管理論』化学同人 p.4 2006年
- ↑ 14.0 14.1 14.2 坂口久美子・植田哲雄編『エキスパート管理栄養士養成シリーズ 給食経営管理論』化学同人 p.177 2006年
- ↑ 15.0 15.1 15.2 15.3 15.4 外山健二・幸林友男・曽川美佐子・神田知子編『栄養科学シリーズNEXT 給食経営管理論 第3版』講談社 p.171 2012年
- ↑ 16.0 16.1 16.2 16.3 16.4 坂口久美子・植田哲雄編『エキスパート管理栄養士養成シリーズ 給食経営管理論』化学同人 p.175-176 2006年
- ↑ 17.0 17.1 17.2 中村丁次ほか編『栄養学ハンドブック 第3版』技報堂出版 p.843 1996年
- ↑ 18.0 18.1 18.2 日本調理科学会編『新版 総合調理科学事典』光生館 p.63 2006年
- ↑ 19.0 19.1 19.2 19.3 19.4 19.5 中村丁次ほか編『食生活と栄養の百科事典』丸善 p.971 2005年
- ↑ 20.0 20.1 20.2 20.3 20.4 20.5 20.6 20.7 20.8 20.9 外山健二・幸林友男・曽川美佐子・神田知子編『栄養科学シリーズNEXT 給食経営管理論 第3版』講談社 p.111 2012年
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- ↑ 『北京大の学食「一見さんお断り」、食材高騰で部外者締め出し』2007年9月20日付配信 Record China
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- ↑ エジプト 学校給食で児童労働をなくそう 国連WFP
- ↑ 中村丁次ほか編『栄養学ハンドブック 第3版』技報堂出版 p.825 1996年
- ↑ 外山健二・幸林友男・曽川美佐子・神田知子編『栄養科学シリーズNEXT 給食経営管理論 第3版』講談社 p.124 2012年
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- ↑ 外山健二・幸林友男・曽川美佐子・神田知子編『栄養科学シリーズNEXT 給食経営管理論 第3版』講談社 p.152-153 2012年
- ↑ 坂口久美子・植田哲雄編『エキスパート管理栄養士養成シリーズ 給食経営管理論』化学同人 p.158 2006年
- ↑ 外山健二・幸林友男・曽川美佐子・神田知子編『栄養科学シリーズNEXT 給食経営管理論 第3版』講談社 p.169 2012年
- ↑ 「U.S.マリーンズ ザ・レザーネック」より
- ↑ 受刑者高齢化…自炊できぬ 刑務所の給食、来年から民間委託 産経新聞WEST(2014年5月13日)2017年8月2日閲覧
- ↑ 米刑務所で「即席ラーメン」が大人気、物々交換の主役に CNN(2016年8月26日)2017年8月2日閲覧
関連項目
- 給食組織一般
- 食品衛生関連
- 病院給食関連
- その他
外部リンク
- 国連世界食糧計画(途上国への学校給食の支援)