石見空港
石見空港(いわみくうこう、英称:Iwami Airport)は、島根県益田市にある地方管理空港である。 愛称は萩・石見空港(はぎ・いわみくうこう、英称:Hagi-Iwami Airport)。
Contents
概要
石見空港は島根県西部の益田市中心部から約4km(15分)に位置する、島根県西部(浜田市・津和野町等)および山口県北部(萩市等)を利用圏とする空港である。交通の利便性で著しく劣る島根県西部の高速交通網整備を目的として、島根県が1973年(昭和48年)に石見地方に空港を設置する構想を策定、1987年(昭和62年)の設置許可を経て1993年(平成5年)に出雲空港、隠岐空港に続く島根県下3番目の空港として開港した。
開港と同時に東京国際空港と大阪国際空港の2路線が就航した。しかし、元々人口希薄であり、ビジネス客も少ない山陰西部に位置するため、開港以来利用率の低迷が続き、東京線はいったん1日2往復に増便するも再び減便、大阪線も機材の小型化が行われたのち、2011年1月に廃止された。
利用範囲を萩市など山口県北部にまで見据え、全国的に知名度のある「萩」の名を冠した「萩・石見空港」の愛称を設け、「利用促進策」として税収から捻出した予算を元に22歳未満の往復利用者への5,000円のキャッシュバック、格安の旅行パックの発売などを行っているが、後述するような問題点もあり、利用向上にはつながっていない。このため、島根県や益田市は有効活用策として山梨県の日本航空学園の高校誘致を目指すとしていたが、その後の展開はなく。
利用者数は、1994年(開港2年目)から2002年(平成14年)までの9年間は年間14-16万人程度であったが、その後大きく落ち込み、2006年(平成18年)からは8万人を割り込んでいる[1]。そのため、全日空は特に採算の悪化している大阪線の廃止を打診していた[2]。島根県は「守れ!大阪便緊急キャンペーン」と題して大阪線の利用拡大を狙ったが、全日空は最終的に2011年1月5日の廃止を通告した[3]。その後、地域自治体などで作る「萩・石見空港利用拡大促進協議会」などとの交渉が行われ、夏季繁忙期の期間限定便として運航されることになった[4]。
特に東京国際空港便については、1997年(平成9年)〜2001年(平成14年)度は10万人以上の利用客数があったものの、2002年(平成14年)12月に1日2便から1便に減便された影響もあり、年度途中で減便した2002年(平成14年)度が97,324人、年間を通じて1便となった2003年(平成15年)度は6万1774人と大きく落ち込み、2006年(平成18年)度は史上最低の42,501人となった[5]。
国土交通省の羽田空港発着枠政策コンテストに選ばれたことから[5]、 2014年(平成26年)3月30日から2年間[6]、東京国際空港便が毎日2便に増便されることになった[6]。
しかし、2便への増便後の最初の1か月間の利用客数は前年同期比約500人増の6,307人とほとんど増えず、この間搭乗率が50%を上回ったのは2日だけとなった[7]。 そのため、2014年(平成26年)4月の搭乗率は37.2%と低迷した[8]。 さらに、その後も伸び悩んで前年度の約1.2倍と目標を大きく下回る結果となった[8]。
なお、大阪国際空港線は夏季季節限定で運航をしており、2014年(平成26年)は7月18日から8月31日まで運行され、利用客数は3,479人であった[9]。
利用拡大促進協議会では運賃補助制度を設けて利用促進を図っており[8]、団体や複数の利用で運賃の助成を受けられる「サポーター企業」制度の登録企業数は2014年(平成26年)4月末時点では約170社となっていた[7]。
対象地域は島根県最西部の益田市・浜田市・津和野町・吉賀町、山口県北東部の萩市・阿武町となっている[10]。
一般搭乗者も浜田市方面へ(あるいは浜田から空港へ)移動する場合、空港の観光案内所または浜田駅内の市民サロンで搭乗券もしくはお客様控えを提示することで、空港~益田駅間のタクシー乗車券(1700円相当)と益田~浜田間のJR乗車券(回数券・760円分)の支給が得られる[11]。
年間利用客数は、国内113,679人、国際627人(2014年度)[12]。
沿革
- 1973年(昭和48年)3月 石見地方に空港を設置する構想を島根県が発表
- 1987年(昭和62年)12月 飛行場設置許可
- 1993年(平成5年)7月 開港
- 1997年(平成9年)7月 羽田空港発着枠拡大により東京国際空港便が2便に増便
- 1999年(平成11年)
- 6月 米軍岩国基地所属F/A18Cが機体トラブルのため石見空港に緊急着陸
- 11月 東京国際空港便のうち1便が週3便運航に変更
- 2000年(平成12年)4月 東京国際空港便が毎日2便に増便
- 2002年(平成14年)
- 3月 愛称を「萩・石見空港」とする。
- 8月 米軍岩国基地所属UC-12Fが機体トラブルのため石見空港に緊急着陸
- 12月 東京国際空港便が1便に減便[6]
- 2004年(平成16年)10月 搭乗率低迷のため大阪便使用機材がDHC-8-Q400に小型化
- 2011年(平成23年)1月 大阪国際空港便廃止(7月より夏季季節限定で再開)
- 2014年(平成26年)3月30日 東京国際空港便が毎日2便に増便[6]
ターミナルビル
- 運営は石見空港ターミナルビル株式会社
- 1F 全日本空輸カウンター、レンタカー会社カウンター、到着ロビー、バゲージクレイム、島根県空港事務所
- 2F 空港売店、レストラン、搭乗待合室、出発ロビー
- 3F 展望デッキ
- レストラン「キッチンそらら」はエプロンに面し、眺めがよい。
- 航空機発着時間以外はエスカレーターの電源が切られていることがある。
- 2Fの売店はターミナル直営の「エアポートショップ萩・石見」が営業している。
時刻表
(2018年3月25日~2018年6月30日)
航空会社 | 便名 | 萩・石見≪発≫ | 東京(羽田)≪着≫ |
---|---|---|---|
全日本空輸(ANA) | 576 |
|
|
1104 |
|
|
就航路線
航空会社 | 就航地 |
---|---|
全日本空輸 (ANA) | 東京国際空港(羽田空港)、大阪国際空港(伊丹空港)(夏期運航便) |
アクセス
空港連絡バス
乗合タクシー
- 「萩・石見空港 - 津和野間」(KoiKoiタクシー)
- 萩・石見空港 - 津和野町役場本庁(旧日原町) - 津和野駅 - 津和野温泉「なごみの里」
- 「萩・石見空港 - 萩市内間」(萩近鉄タクシー)
道路
- 島根県道331号石見空港飯田線
- 島根県道328号石見空港線
- 島根県道255号蟠竜湖線を経由して国道191号まで約1.5km
駐車場
- ターミナルに隣接して298台を収容できる無料駐車場が整備されている。
空港近隣のスポット
- 風の丘公園
- 蟠竜湖
- 万葉公園
- 石見臨空ファクトリーパーク
備考
- 神話の地であることから、航空機到着時に石見神楽が出迎えるという企画が催されたことがある。
- 2006年の「萩・石見空港まつり」では空港のトラフィックの少なさを生かし、昼間にエプロンを石見神楽の大蛇で埋め尽くすという企画が行われた。
- 2008年の「萩・石見空港まつり」では、滑走路をコースに組み込んだ第1回萩・石見空港マラソン全国大会が行われた。
- IATA空港コードのIWJは、かつては岩国飛行場が付けていたものである(現在の岩国飛行場のIATA空港コードはIWK)。
脚注
- ↑ 「石見空港の利用状況(年度別)」 (PDF) しまね統計情報データベース
- ↑ 全日空の大阪―石見便、地元に運休打診 読売新聞記事
- ↑ [1]
- ↑ “大阪便の期間限定運航のお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 萩・石見空港利用拡大促進協議会, (2011年1月25日)
- ↑ 5.0 5.1 江田将宏(2014年3月13日). “石見空港:東京便7万人 11年ぶり、団体ツアー好調で”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 江田将宏(2014年3月31日). “萩・石見空港:11年ぶり、東京線2便復活 空港で祝う”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ↑ 7.0 7.1 (2014年5月3日). “萩・石見空港:東京2便化 4月搭乗率36% 滑り出し厳しく”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ↑ 8.0 8.1 8.2 江田将宏(2015年2月26日). “萩・石見空港:東京便、目標を下回る見通し 促進協、2便維持へ躍起”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ↑ 江田将宏(2014年9月1日). “夏期大阪便:大苦戦 前年度比31%減、3479人 ダイヤ変更などで伸び悩み−−萩・石見空港”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ↑ 萩・石見空港公式サイト「飛行機で、いきましょ。キャンペーン」[2](2011年4月29日時点のアーカイブ)
- ↑ 浜田⇔萩・石見空港間 快適アクセス事業 (PDF) 萩・石見空港
- ↑ “石見空港の概要(平成27年4月)” (PDF) (プレスリリース), 島根県益田県土整備事務所石見空港管理所
関連項目
外部リンク
- 萩・石見空港~地方と都市をつなげる空の玄関口~(公式サイト)
- 石見空港管理所 - 島根県