トナミ運輸
トナミ運輸株式会社(トナミうんゆ)は、富山県高岡市に本社を置く日本の運送会社である。合わせて純粋持株会社のトナミホールディングス株式会社についてもここで取り上げる。社長は両社とも綿貫勝介が務めている。
Contents
概要
創業者は綿貫民輔元衆議院議長の父で衆議院議員も務めた綿貫佐民で、佐民が早く亡くなったため妻の父でもある綿貫栄、民輔と経営が引き継がれている。民輔の時代に上場するなど大きな発展を見せた。宅配サービスも取り扱うが、基本的には企業間(BtoB)物流を中心としている。
2013年の第23回参議院議員通常選挙では元社員で氷見市長の堂故茂を後援し当選させた。
パンサー(豹)マークのロゴが同社が保有するトラックの目印になっている。また、宅配便は「パンサー宅配便」の名称で展開し、そのシェアは西濃運輸に次いで業界7位である。
社是・社訓
- トナミ運輸は 輸送を通じ社会に寄与し 事業の発展を図る
- 荷主により早くより確実なサービスを
- 社内に相互信頼の気風と規律を
- 従業員に公正な配分と文化的な生活を
- 株主に適正で安定した配当を
沿革
- 純粋持ち株会社移行前
- 1943年(昭和18年) 6月1日 - 「礪波(トナミ)運輸株式会社」として設立。本社を富山県砺波市(となみ市)に置く[1]。
- 1951年(昭和26年)11月 - 富山-大阪間の定期路線運行開始[1]。
- 1952年(昭和27年) 5月 - 本社を富山県高岡市に移転する[1]。
- 1954年(昭和29年) 8月 - 富山-名古屋間の定期路線運行開始[1]。
- 1954年(昭和29年)10月 - 富山-東京間の定期路線運行開始[1]。
- 1954年(昭和29年)10月 - 東京-大阪間の定期路線運行開始[1]。
- 1961年(昭和36年)11月 - 東京証券取引所、大阪証券取引所の市場第2部に株式公開[1]。
- 1962年(昭和37年) 6月 - 商号を「トナミ運輸株式会社」に変更[1]。
- 1966年(昭和41年)12月 - 損害保険代理業を開始[1]。
- 1972年(昭和47年) 7月 - コンピューター導入によるトナミトータルオンラインシステム開始[1]。
- 1976年(昭和51年)11月 - 倉庫業を開始[1]。
- 1978年(昭和53年) 1月 - 航空貨物取扱開始[1]。
- 1984年(昭和59年) 9月 - 東京証券取引所、大阪証券取引所の市場第2部から第1部に上場[1]。
- 1985年(昭和60年) 6月 - 国際宅配便業務を開始[1]。
- 1986年(昭和61年) 4月 - とやま産品インフォメーションセンターを開設し、物品販売事業を開始[1]。
- 1996年(平成8年) 8月 - 日本運輸株式会社(現・トナミ国際物流株式会社)を買収し、港湾運送事業分野に進出[1]。
- 1996年(平成8年) 10月 - インターネットプロバイダー事業に参入[1]。
- 2003年(平成15年)10月 - 京神倉庫株式会社の全株式取得(完全子会社化)[1]。
- 2005年(平成17年) 8月 - 中華人民共和国の上海市に事務所を開設する[1]。
- 2008年(平成20年)10月 - 事業分割を行い純粋持株会社化へ移行。商号を「トナミホールディングス株式会社」に変更[1]。運送事業は新設会社の(新)トナミ運輸に移管する[2]。
- 事業会社移行後(トナミ運輸)
- 2009年 (平成21年) 3月 - 産学官による「エネルギー研究開発事業」が、環境省の「平成21年度・地球温暖化対策技術開発事業」に採択[2]。
- 2010年(平成22年) 1月 - タイ現地法人[TONAMI (THAILAND) COMPANY LIMITED]設立[2]。
- 2010年(平成22年) 4月 - 久留米運送株式会社と業務提携[2]。
- 2010年(平成22年) 9月 - SGモータース株式会社と車両整備事業において包括的業務提携[2]。
- 2010年(平成22年)10月 - 信越・中国地区事業をトナミ運輸信越株式会社・トナミ運輸中国株式会社に地域分社化[2]。
- 2011年(平成23年) 7月 - 久喜支店・久喜流通センターを新設[2]。
- 2012年(平成24年) 3月 - 富士支店を新設[2]。
- 2012年(平成24年) 6月 - ISMSの認証取得(情報システム事業部IDC運用チーム)[2]。
- 2012年(平成24年)11月 - 富山支店・富山流通センターを新設[2]。
- 2016年(平成28年)6月 - 平塚流通センターを稼働。
- 2016年(平成28年)7月 - 関西センターを稼働。
- 事業会社移行後(トナミホールディングス)
- 2010年(平成22年) 2月 - 帝石不動産株式会社から第一倉庫株式会社の株式の98.5%を取得し子会社化[1]。
- 2011年(平成23年) 1月 - 中国・大連に現地法人「托納美国際貨運代理(大連)有限公司」設立[1]。
- 2011年(平成23年) 8月 - タイ現地法人「トナミ タイランド カンパニー リミテッド」を通じてタイ地場輸送企業「マハポーン トランスポート カンパニー リミテッド」と合弁契約を締結、子会社化[1]。
- 2012年(平成24年) 4月 - 第一貨物株式会社・久留米運送株式会社との3社合弁により関連会社「ジャパン・トランズ・ライン株式会社」設立[1]。
- 2013年(平成25年) 1月 - タイ現地法人「トナミ タイランド カンパニー リミテッド」を通じてタイ地場企業「エイチ アンド アール フォワーディング カンパニー リミテッド」と合弁契約を締結、子会社化[1]。
- 2013年(平成25年) 1月 - 「托納美物流(大連)有限公司」(旧・托納美国際貨運代理(大連)有限公司)が中国当局から陸運事業免許を取得、陸運業務開始[1]。
- 2013年(平成25年) 4月 - 当社の連結子会社3社(大阪トナミ運輸株式会社、阿南自動車株式会社、東洋ゴム北陸販売株式会社)を存続会社として、地域事業子会社3社(関西トナミ運輸株式会社、全国白帽ジェイエスイー株式会社、株式会社トーヨータイヤ富山ショップ)を被合併消滅会社とする吸収合併を実施、大阪トナミ運輸株式会社は「トナミ近畿物流株式会社」に商号変更
- 2013年(平成25年) 4月 - 株式会社シー・フォーカスの全株式取得(完全子会社化)
- 2014年(平成26年) 7月 - 菱星物流株式会社の株式取得(子会社化)
- 2015年(平成27年) 10月 - 当社の連結子会社5社(呉西トナミ運輸株式会社、福井トナミ運輸株式会社、中京トナミ運輸株式会社、関東トナミ運輸株式会社、けいしんシステムリサーチ株式会社)を存続会社として、子会社5社(全ト運輸株式会社、武生通運株式会社、第一倉庫株式会社、茨城トナミ運輸株式会社、株式会社シー・フォーカス)を被合併消滅会社とする吸収合併を実施。 「北陸トナミ運輸株式会社(呉西トナミ運輸㈱から商号変更)」、「福井トナミ運輸株式会社」、「トナミ第一倉庫物流株式会社(中京トナミ運輸㈱から商号変更)」、「関東トナミ運輸株式会社」、「KSR株式会社(けいしんシステムリサーチ㈱から商号変更)」の5社とした。
- 2016年(平成28年) 6月 - 連結子会社である菱星物流株式会社を「北関東トナミ運輸株式会社」に商号変更
- 2016年(平成28年) 7月 - 中央冷蔵株式会社の全株式取得(完全子会社化)
営業拠点
トラック輸送
関東地区
- 東京支店
- 京浜支店
- 葛西支店
- 板橋支店
- 足立支店
- 横浜営業所
- 川崎支店
- 相模支店
- 東横浜支店
- 久喜支店
- 浦和支店
- 熊谷支店
- 千葉支店
- 野田支店
- 鹿島支店
- 高崎支店
- 栃木支店
過去に存在した営業拠点
- 平塚支店
- 厚木支店
- 上記支店は、2003年に相模支店に統合する形で閉鎖。
信越地区
- 新潟支店 (トナミ運輸信越株式会社)
- 長岡支店 (トナミ運輸信越株式会社)
- 上越営業所(トナミ運輸信越株式会社)
- 長野支店 (トナミ運輸信越株式会社)
- 上田営業所(トナミ運輸信越株式会社)
- 松本支店 (阿南自動車株式会社)
- 飯田支店 (阿南自動車株式会社)
- 諏訪営業所(阿南自動車株式会社)
- 伊那営業所(阿南自動車株式会社)
北陸地区
- 中央支店
- 黒部営業所
- 富山支店
- 砺波支店
- 金沢支店
- 小松支店
- 能登支店
- 福井支店
- 敦賀営業所
- 武生営業所
中京地区
- 名岐支店
- 港支店
- 岡崎営業所
- 豊橋営業所
- 岐阜営業所
- 高山連絡所
- 静岡支店
- 浜松支店
- 富士支店
- 藤枝営業所
- 四日市営業所
- 上野営業所
関西地区
- 南大阪支店
- 東大阪支店
- 大阪中央支店
- 泉佐野支店
- 北大阪支店
- 尼崎支店
- 神戸支店
- 加古川支店
- 京都支店
- 滋賀支店
- 奈良営業所
中国地区
- 広島支店 (トナミ運輸中国株式会社)
- 福山営業所(トナミ運輸中国株式会社)
- 尾道営業所(トナミ運輸中国株式会社)
- 岡山支店 (トナミ運輸中国株式会社)
- 徳山営業所(トナミ運輸中国株式会社)
流通センター
- 千葉流通センター
- 南柏流通センター
- 江東流通センター
- 新関東流通センター
- 柏インター流通センター
- 川崎流通センター
- 東横浜流通センター
- 相模流通センター
- 平塚流通センター
- 神奈川流通センター
- 久喜流通センター
- 浦和流通センター
- 小矢部流通センター
- 富山流通センター
- 小杉流通センター
- 新港流通センター
- 金沢流通センター
- 松任流通センター
- 中京流通センター
- 名岐流通センター
- 四日市流通センター
- 大阪中央流通センター
- 東大阪流通センター
- 南大阪流通センター
- 南大阪流通第2センター
- 奈良流通センター
- 泉佐野流通センター
- 京都流通センター
- 京阪流通センター
- 西淀川流通センター
- 関西センター
- 加古川流通センター
- 新潟流通センター(トナミ運輸信越株式会社)
- 長岡流通センター(トナミ運輸信越株式会社)
- 岡山流通センター(トナミ運輸中国株式会社)
引越センター
- 東神引越センター
- 千葉引越センター
- 北関東引越センター
- 富山引越センター
- 北陸引越センター
- 東海引越センター
- 関西引越センター
- 新潟引越センター(トナミ運輸信越株式会社)
航空国際支店
- 東京航空支店
- TSM支店
- 東京北航空支店
- 富山航空支店
- 金沢航空支店
- 福井航空支店
- 名古屋航空支店
- 大阪航空支店
- 関西航空支店
- 札幌航空支店 ( 北海道トナミ運輸・北海道アロー )
- 国際東京支店
- 国際富山支店
- 広島航空支店(トナミ運輸中国株式会社)
通運事業所
- 通運東京支店
- 通運高岡支店
- 通運広島支店 (トナミ運輸中国株式会社)
- 通運大竹営業所(トナミ運輸中国株式会社)
整備工場
- 野田整備工場
- 砺波整備工場
- 金沢整備工場
- 福井整備工場
- 名古屋整備工場
- 滋賀整備工場
- 新潟整備工場(トナミ運輸中国株式会社)
産品インフォメーションセンター
- とやま産品インフォメーションセンター
- いしかわ産品インフォメーションセンター
- ふくい産品インフォメーションセンター
バドミントン部
- 創部1990年
- 高岡市役所から引き継いだ男子バドミントン部はS/Jリーグの強豪。
- 武下利一 - 主将
- 園田啓悟 - 副主将
- 嘉村健士 - 副主将
- 舛田圭太 - トナミ運輸出身のバドミントン指導者
- 大堀彩 - トナミ運輸所属の女子選手
- 佐々木翔 - トナミ運輸元所属の選手 ロンドンオリンピック準々決勝にて世界ランク1位林丹選手に善戦で男子シングルス ベスト8
チーム成績
全日本実業団大会 | 平成8・12・15・16・19・21・22・23・27・28年優勝
(優勝10回・準優勝4回・3位10回) |
S/Jリーグ
(旧日本リーグ1部) |
平成13・14・15・16・23・24・28・29年優勝
(優勝8回・準優勝10回・3位6回) |
国民体育大会 | 成年男子(トナミ運輸チーム)として出場し優勝10回
平成8・10・12・13・14・16・17・18・20・25・28・29年優勝 (優勝12回・準優勝4回) |
全日本社会人大会 | 男子シングルス 平成9・11・22・23年優勝
男子ダブルス 平成13・14・17・19・24・25・27年優勝 混合ダブルス 平成11・12・13・14・16・17・20・27年優勝 |
全日本総合大会 | 男子シングルス 平成13・14・19・26・29年優勝
男子ダブルス 平成14・15・16・21・22・23・27・28年優勝 混合ダブルス 平成7・8・12・13・14・15・16・17・18・19・20・21・22・24・28年優勝 |
その他
- 富山のKNBラジオが『走れ!歌謡曲』をネット受けしているのは、スポンサーである日野自動車と縁が深い同社が現在もなお富山県内に本社を置くという理由からである。
- 年に数回、富山ブラックもあるラーメン祭りなど物品拡販セールというセールイベントがある。
- 高倉健主演の映画《あなたへ》で引越サービス風景が出てくる。
- 富山県出身の藤子不二雄A製作の映画《少年時代》に製作協力。
トラブル・不祥事など
トナミ運輸は綿貫民輔の息子である綿貫勝介が社長を務めていることと、事から、政界の利権があるのではないかと郵政民営化の際指摘されていた。
内部告発と報復
1974年(昭和49年)、元社員の串岡弘昭は運輸業界のヤミカルテルを公正取引委員会に内部告発したが、上層部は報復人事として月に3回も転勤を強要、仕事らしい仕事を与えず、32年間、空き地の草むしりを主な業務として命じた。また社外では暴力団関係者による脅迫を行った。串岡はそうした不当要求に応じず、2006年(平成18年)9月20日、60歳で定年退職した。
また、串岡は2002年(平成14年)1月、内部告発に対する報復として不当な処遇を受けたとして、トナミ運輸に4800万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。
会社側は「本人の適性を考慮した結果」と争ったが、裁判は串岡の主張をほぼ認め「原告の内部告発は正当な行為であって、法的保護に値するというべき」「被告は、内部告発に対する報復として長期間にわたって原告に不利益な取り扱いをしたといえる」と判決。会社の主張を退け、2005年(平成17年)2月、被告「トナミ運輸」側に1356万円の賠償支払いを命じた(富山地判平成17年2月23日)[3]。また、判決の後「判決要旨」を読み上げた(民事訴訟で判決要旨の読み上げは異例なことである)。
串岡へ退職を強要するにあたり、串岡の自宅へ「ヤクザの若頭」を名乗る者が訪れて脅迫したとされ、裁判の判決でも「暴力団員から退職を強要された事実は証拠上明らか」と認定された。
フォークリフトの資格取得で不正
同社大阪中央支店(大阪市鶴見区)において、大型フォークリフトの運転資格取得に当たっての講習期間短縮に必要な「経験証明書」を、実際には取得していない社員に対し、虚偽の証明書を作成させた上、資格を得ていない状態で営業所内で大型フォークリフトの操作を行わせていたことが明らかとなり、大阪中央労働基準監督署は2014年3月7日に、同支店の当時の支店長らと、法人としての同社を労働安全衛生法違反容疑で書類送検した[4]。