六ヶ所村
六ヶ所村(ろっかしょむら)は、青森県の下北半島太平洋岸に位置する村である。
原子燃料サイクル施設などの原子力施設の他、国家石油備蓄基地や、やませを利用した風力発電基地等、エネルギー関連施設が集中している。ITER(国際熱核融合実験炉)の建設候補地として誘致を推進していたが、カダラッシュ(フランス)に建設されることが決定した。
Contents
地理
隣接している自治体
気候
年間を通して冷涼な気候で、夏はやませの影響を受けて肌寒く天候が悪い時期もある。
六ヶ所村(1981-2010)の気候資料 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
平均最高気温 °C (°F) | 1.1(34) | 1.6(34.9) | 5.3(41.5) | 12.0(53.6) | 16.9(62.4) | 19.4(66.9) | 22.6(72.7) | 25.4(77.7) | 22.4(72.3) | 17.0(62.6) | 10.4(50.7) | 4.1(39.4) | 13.2(55.8) |
日平均気温 °C (°F) | -1.7(28.9) | -1.4(29.5) | 1.6(34.9) | 7.2(45) | 11.8(53.2) | 15.1(59.2) | 18.7(65.7) | 21.3(70.3) | 18.2(64.8) | 12.5(54.5) | 6.4(43.5) | 1.0(33.8) | 9.2(48.6) |
平均最低気温 °C (°F) | -4.6(23.7) | -4.5(23.9) | -2.0(28.4) | 3.0(37.4) | 7.7(45.9) | 11.7(53.1) | 15.9(60.6) | 18.3(64.9) | 14.7(58.5) | 8.3(46.9) | 2.7(36.9) | -2.0(28.4) | 5.7(42.3) |
降水量 mm (inches) | 96.7(3.807) | 68.3(2.689) | 58.8(2.315) | 63.2(2.488) | 91.1(3.587) | 107.9(4.248) | 162.8(6.409) | 149.1(5.87) | 170.7(6.72) | 115.6(4.551) | 102.0(4.016) | 96.6(3.803) | 1,301.0(51.22) |
日照時間 | 77.0 | 98.0 | 153.7 | 187.1 | 191.5 | 153.8 | 129.2 | 139.3 | 140.2 | 149.0 | 101.9 | 78.5 | 1,593.8 |
出典: 気象庁 |
歴史
「尾駮の駒」や「尾駮の牧」は歌枕として何度もうたわれている。尾駮とはどこであるか不明だが、六ヶ所村尾駮地区であるとも言われている。1793年菅江真澄は歌枕の地を確認しようと尾駮村を大雪の中訪ね、その感激を歌にしている。土地に200年程前から伝わる古文書(木村文書)によれば、源頼朝が所有した名馬「生食(いけずき)」の産地と伝えられる。「生食」の産地については、中国地方、宮城県等諸説ある。
1889年(明治22年)4月1日、町村制の施行により、倉内村、平沼村、鷹架村(たかほこ)、尾駮村(おぶち)、出戸村、泊村の六ヶ所(六集落)が合併して六ヶ所村が発足。
行政
エネルギー関連施設の存在によって、2006年度(平成18年度)予算においては年間60億円もの村税が納入されるなど税収は豊かである。国、県への依存財源は25%あまり存在するが地方交付税交付金を受けておらず、村の予算規模は周辺同規模の町村の倍以上となっている。このような財政状況を反映して村内に下水道・浄化槽施設、診療所、健康施設が整備されるなどインフラ整備は進んでいる。1995年(平成7年)改定の合併特例法にかかる平成の大合併においても周辺市町村との合併には否定的であった。
村長
- 第24代 寺下力三郎 1969年-1973年(1期) 1971年、むつ小川原開発計画への反対を表明
- 第25-28代 古川伊勢松 1973年-1989年(4期) 原子燃料サイクル施設建設を推進
- 第29-30代 土田浩 1989年-1997年(2期) 原子燃料サイクル施設の工事凍結を公約に無所属で当選、のち推進に転換
- 第31-32代 橋本寿 1997年-2002年(2期) 2002年5月18日、在任中に死去
- 第33-35代 古川健治 2002年-2014年(平成26年)7月6日(3期)古川伊勢松の実弟[1]
- 第36代 戸田衛 2014年7月7日- 古川健治より後継指名、原子燃料サイクル施設建設を推進[2]
経済
伝統的な農業・水産業に加え、数々のエネルギー関連施設が立地している。これらによる税収や雇用だけでなく、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーから原子力関連までの施設が同じ村に集積している珍しさを生かした見学ツアーの誘致も計画している[3]。
エネルギー産業
原子力
- 原子燃料サイクル施設
- 日本原燃本社
- 六ヶ所再処理工場(兼貯蔵施設) - 運転試験中
- 六ヶ所ウラン濃縮工場
- MOX燃料工場- 建設中
- 六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センター
- 六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター - 日本の電力会社は使用済み核燃料の再処理を英仏両国に委託しており、再処理で発生した高レベル放射性廃棄物のうち、フランスからのものは2007年3月までにすべて返還され、イギリスからは2010年3月に初返還されている[4]。
- 量子科学技術研究開発機構六ヶ所核融合研究所 - 幅広いアプローチ六ヶ所サイト(ITER建設元候補地)
- 原燃輸送六ヶ所輸送事業所
- 原子力安全技術センター防災技術センター
- 原子力規制委員会六ヶ所原子力規制事務所
石油・風力
- むつ小川原国家石油備蓄基地
- むつ小川原ウィンドファーム[5]
- 六ヶ所村風力発電所・六ヶ所村風力第2発電所[6]
- 運転開始:2003年(平成15年)12月
- 設備能力:32,850 kW(1,500 kW×20基、1,425kw×2基)
- 設置者:六ヶ所村風力開発株式会社
- 二又風力発電所[6]
農業・水産業
農業(特に畜産業)、漁業が盛んである。 農業はやませによる冷害が起きやすい地域であり、ナガイモなどの冷害に強い根菜類が多く作られている。
漁業
郵便
- 平沼郵便局(集配局) (84056)
- 泊郵便局 (84046)
- 六ヶ所郵便局 (84135)
- 倉内簡易郵便局 (84716)
その他
姉妹都市・提携都市
海外
- ヴァーレン市(ドイツ連邦共和国 メクレンブルク=フォアポンメルン州)
- 1994年友好都市締結 産業・文化・スポーツ等の交流
地域
人口
平成27年国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、5.04%減の10,536人であり、増減率は県下40市町村中12位。
六ヶ所村(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
教育
小学校
中学校
- 六ヶ所村立泊中学校
- 六ヶ所村立第一中学校
- 六ヶ所村立第二中学校
- 六ヶ所村立千歳中学校
高等学校
閉校した学校
- 六ヶ所村立笹原小学校(平成12年千歳平小学校へ統合)
- 六ヶ所村立二又小学校(平成16年4月尾鮫小学校へ統合)
- 六ヶ所村立中志小学校(平成18年4月平沼小学校へ統合)
- 六ヶ所村立戸鎖小学校(平成23年4月尾鮫小学校へ統合)
- 六ヶ所村立平沼小学校(平成25年4月倉内小学校と統合)
- 六ヶ所村立倉内小学校(平成25年4月平沼小学校と統合)
- 六ヶ所村立室ノ久保中学校(平成18年4月閉校第一中学校へ統合)
交通
空港
鉄道路線
村内には鉄道路線は走っていない。
最寄駅
バス路線
- 下北交通バス
- 泊線(むつバスターミナル - 泊)
- 六ヶ所線(野辺地駅 - 泊)
- 十鉄バス
- 三沢 - 平沼線(三沢 - 追舘)
- 野辺地 - 平沼 - 六ヶ所線(野辺地駅 - 追舘 - 大川目)
- 七戸十和田駅 - 六ヶ所村役場・泊地区ふれあいセンター(シャトルバス)※2013年1月13日までの試験運行
かつては急行八戸 - 泊線が運行されていたが、2003年4月30日の運行をもって終了し、翌5月1日に廃止された。
- 三沢市コミュニティバス
- 一部路線が追舘まで乗り入れている
道路
- 下北半島縦貫道路
- 国道338号
- 白糠バイパス(白糠・泊トンネル)
- 国道394号
- 青森県道5号野辺地六ケ所線
- 青森県道24号横浜六ケ所線
- 青森県道25号東北横浜線
- 青森県道179号泊陸奥横浜停車場線
- 青森県道180号尾駮有戸停車場線
港湾
出身有名人
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 物見崎灯台
- タタミ岩
- 馬門川観光公園
- 泊合同例大祭(7月18日 - 7月20日)
- たのしむべ!フェスティバル(5月2週目土日)
- ろっかしょ産業まつり(10月最終土日)
- 異文化交流フェア
- 村立郷土館〔尾駮字野附〕
六ヶ所村が舞台となる作品
- へばの - 六ヶ所村で生きる男女の別れと再会を描いた、恋愛映画。2009年1月31日より東京ポレポレ東中野にてレイトショー公開される。青森県弘前市出身の木村文洋監督による初長編作品。出演に西山真来、吉岡睦雄。
- 六ヶ所村ラプソディー - 村内にある核燃料再処理工場を取り巻く問題を追うドキュメンタリー作品。2006年公開、鎌仲ひとみ監督作品[7]。
- 金田一少年の事件簿 - 六角村殺人事件の舞台となる六角村のモデルとなっている。
脚注
- ↑ 光本伸江 青森県六ヶ所村「エネルギーの村・六ヶ所」(PDF) 福岡県立大学人間社会学部紀要 2011, Vol. 20, No. 1, 89-102
- ↑ 青森県六ヶ所村長選 核燃推進の戸田氏が初当選 河北新報、2014年6月23日、2014年7月14日閲覧
- ↑ 原子力・風力・太陽光 エネツーリズム始動 青森・六ケ所村/施設ツアー企画 農水産業への波及狙う」『日経MJ』2017年7月17日(街づくり面)
- ↑ “高レベル廃棄物が日本到着 英国から初返還、青森に”. 共同通信. (2010年3月9日) . 2011閲覧.
- ↑ “むつ小川原開発・エネルギー - 風力発電”. 六ヶ所村 Official Web Site. . 2011閲覧.
- ↑ 6.0 6.1 日本風力開発事業案内
- ↑ 2012年2月16日に放送「日本映画専門チャンネル」EPGから
参考文献
外部リンク