青森空港
青森空港(あおもりくうこう、英: Aomori Airport)は、青森県青森市(旧 南津軽郡浪岡町)にある地方管理空港である。
Contents
概要
青森市中心部から南方に約10キロメートル(バスで約35分)の標高198メートルの山腹に位置する、本州最北端の空港である。
1964年(昭和39年)11月5日開港[1]。当時のターミナルビルは現在の滑走路東端に位置しており、滑走路は10/28方向であった。 1987年(昭和62年)にターミナルビルを現在の位置に移転。同時に滑走路も移転し、現在の06/24方向のものが設置された[1]。平成に入ってからも何度かターミナルビルの増床や滑走路の延伸が実施されている。 防災航空隊や県警の格納庫等は旧滑走路沿いに設置されており、ターミナルビルとはやや離れている。
年間利用客は、1998年(平成10年)から2002年(平成14年)は150万人以上あり[2]、東北地方では仙台空港に次ぐ利用者数がある空港であったが、2002年12月に東北新幹線が八戸駅まで延伸されたことで、2008年(平成20年)度は年間利用客が1,131,513人[3]に減少し、秋田空港に次ぐ3位となった[4]。
さらに2010年12月、東北新幹線が新青森駅まで延伸された後は、年間利用者80万人台で推移している[2][5]。2013年(平成25年)度は、国内826,196人、国際34,749人[6]。
2005年(平成17年)6月7日には定期国際線の2路線が同時に就航10周年を迎えた。特にソウル・仁川便は韓国人スキーヤーの県内誘客に寄与している[7]。
滑走路は06/24方向に3,000mで、滑走路24に計器着陸装置 (ILS) が設置されている。2007年(平成19年)3月15日にILSカテゴリーIIIaが運用開始され、濃霧による欠航は2006年度が89便あったが、導入後の2007年度は0便となり「濃霧に弱い空港」の汚名を返上した[8][注 1]。また、国内空港の中でも屈指の雪の多さに悩まされているが、管理する青森県は2013年、作業スピードの早さから「日本一」との呼び声もある空港除雪隊を「ホワイトインパルス」と命名し、インターネットなどを活用してPRに力を入れている[10]。
沿革
旧空港
- 1962年(昭和37年) : 設置許可。
- 1964年(昭和39年)11月5日 : 施設の供用を開始する[1](滑走路:1,200m×30m)。YS-11用エプロン2バースが設置される。
- 1965年(昭和40年)6月1日 : 初の定期便として[11]、日本国内航空(現・日本航空)の東京(羽田)線が就航[12]。開設時の機材はYS-11[11]。
- 1971年(昭和46年) : 滑走路を1,350mに延伸する。
- 1972年(昭和47年) : 滑走路を45mに拡幅する。
- 1973年(昭和48年) : 滑走路を1,400mに延伸する。
- 1974年(昭和49年) : 空港ターミナルビルを増築する。
- 1978年(昭和53年) : 空港ターミナルビルを増築する。
- 1987年(昭和62年) : 新空港への移転に伴い廃止する。
新空港
- 1979年(昭和54年) : 新空港の建設地を決定する[注 2]。
- 1982年(昭和57年)10月14日 : 新空港工事着工[14]。
- 1985年(昭和60年)
- 4月1日[15] : 青森空港ビル株式会社を設立する。
- 日付不明 : 旧空港より新空港移転第一期の供用を開始する(滑走路:2,000m×60m)。これにより、中型ジェット機の発着が可能となる。ILSの供用を開始する。
- 1987年(昭和62年)7月 : 青森空港有料道路の供用が開始される。
- 1990年(平成2年) : 全面供用を開始する(滑走路長は2,500m)。平行誘導路およびエプロン5バースが設置される。
- 1992年(平成4年)
- 1995年(平成7年)
- 1998年(平成10年) : エアーニッポンが仙台線を運航開始する(約1年で廃止)。
- 2003年(平成15年)4月 : 全日本空輸が撤退する。なお、同社の航路は同月以降、スカイマークエアラインズが運航したが同年11月末日をもって撤退する。
- 2005年(平成17年)
- 日付不明 : 滑走路長を3,000mに延伸する。立体駐車場が完成する。
- 3月 : 旅客ターミナルビル国際線施設増改築工事が完成し、供用を開始する。
- 2006年(平成18年) : 立体駐車場と空港ターミナルを結ぶ連絡通路が完成する。
- 2007年(平成19年)
- 日付不明 : ILSカテゴリーIIIaの運用を開始する。
- 10月 : 福岡線の運航を休止する。
- 2010年(平成22年)10月 : 名古屋(中部)線の運航を休止する。
- 2011年(平成23年) : フジドリームエアラインズが名古屋(小牧)線の運航を開始する。
- 2012年(平成24年)
- 3月25日 : 運用時間が22時までに延長される。
- 7月 : ILSをカテゴリーIIIaからIIIbに向上する[18]。
- 2014年(平成26年)7月1日 : 全日本空輸が大阪(伊丹)線、札幌(新千歳)線の運航を開始[19]。全日空が青森へ11年ぶりに乗り入れ。
- 2015年(平成27年)4月1日 : 有料ラウンジの「エアポートラウンジ」が改装。日本航空との共有ラウンジとしてサービス開始。
施設
空港ターミナルビルは地上3階建てのものが滑走路北側に1棟あり、ボーディングブリッジは4基を備える。運営および物販などを目的とする「青森空港ビル株式会社」が運営しており、株主には自治体や航空会社・金融機関のほか、電力会社・陸運業者および地元メディアが名を連ねている。
- 1階 - 航空会社カウンター、到着ロビー(国内線・国際線)、税関検査場、団体有料待合室、売店、サンクス ミニスカイ青森空港店(コンビニ)、レンタカー
- 2階 - 出発ロビー、搭乗待合室(国内線・国際線)、出国審査場、入国審査場、有料待合室「エアポートラウンジ」、売店、飲食
- 3階 - 送迎デッキ(無料)
有料駐車場は約1,600台あり、うち約1,100台が立体駐車場となっている。
路線
航空会社名が2社以上の場合、最前の航空会社の機材・乗務員で運航する共同運航便である。
国内線
航空会社 | 就航地 |
---|---|
日本航空 (JAL) [注 3] | 新千歳空港、東京国際空港(1965年(昭和40年)6月1日就航[11][12])、大阪国際空港 |
全日本空輸 (ANA) [注 4] | 新千歳空港、大阪国際空港 |
フジドリームエアラインズ (FDA) | 名古屋飛行場 |
東京線にはエアバスA300-600R(旅客定員290名)が就航していたが、2011年2月をもって運用が終了し、翌月から比較的小型の機材に変更された[20]。しかし、同年3月11日に発生した東日本大震災で東北新幹線が全線不通となったことに伴う輸送力増強(機材変更)のため、同年5月31日までの間[21]、MD-90(旅客定員150名)に代わり再び運用に就いた[22]。
行き先 | 旅客数 | 国内線順位 |
---|---|---|
東京国際空港 | 約50万人 | 上位48位 |
国際線
航空会社 | 就航地 |
---|---|
大韓航空 (KE) 日本航空 (JL) |
ソウル/仁川[24][25] |
奥凱航空 (BK) | 天津 |
かつて就航していた定期航路・航空会社
- 国内線
航空会社 | 就航地 |
---|---|
日本航空 (JAL) | 名古屋空港、中部国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港 |
全日本空輸 (ANA) | 仙台空港、東京国際空港、名古屋空港、広島空港 |
スカイマーク (SKY) | 東京国際空港 |
2004年夏期には、JALグループの臨時増便で日本エアコミューターも就航していた。
- 国際線
航空会社 | 就航地 |
---|---|
ダリアビア航空 (H8) | ロシア・ハバロフスク空港 |
かつてはダリアビア航空 (KHV) がロシア・ハバロフスク空港へ就航していた。しかし、運航するダリアビア航空が財務状況悪化のため、2008年9月20日をもって全便の運航を停止。通年運航の新潟空港便はウラジオストク航空が引き継いだが、夏期季節運航の当空港便は2009年度夏期スケジュールに運航予定がない[26]ほか、以降も運航されてない。
利用状況
旅客数
以下に1995年度以降の定期便乗降客数(国内線と国際線の合計)を示す[27]。マウスポインタを棒グラフに合わせると、該当年度の数値がポップアップする。
{{ #invoke:Chart | bar-chart | height = 300 | width = 400 | group 1 = 1176266 : 1305069 : 1391870 : 1580473 : 1660761 : 1580150 : 1535096 : 1574495 : 1407809 : 1267604 : 1240812 : 1252338 : 1241504 : 1131513 : 1042192 : 986569 : 796788 : 827753 : 852693 : 926336 : 1010552 : 1062043 : 0 : 0 : 0 : 0 | group names = 利用客 | units suffix = 人 | x legends = 1995年度:::::2000年度:::::2005年度:::::2010年度:::::2015年度:::::2020年度 }}
交通
当空港は、青森市街(青森市役所)から約13km、約30分、弘前市街(弘前市役所)から約30km、約50分の位置にある[28]。
道路
青森市中心部に近い堤町と浪岡町とを結ぶ青森県道27号青森浪岡線が近隣を通り、空港ビルを挟んだ区間は青森空港有料道路となっている。有料道路を利用した自動車は空港ビルの基本駐車料金が無料となる[29]。
路線バス
本数・所要時間・料金等の詳細は、該当項目や公式サイトを参照。
脚注
注釈
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 上月英興(2014年11月6日). “安定飛行へ伸ばせ集客 青森空港50周年、17年度までに100万人”. 朝日新聞(朝日新聞社)
- ↑ 2.0 2.1 青森空港活性化[2013], p.3
- ↑ 青森空港活性化[2013], p.30
- ↑ 青森空港活性化[2013], p.5
- ↑ 青森空港活性化[2013], p.4
- ↑ “管内空港の利用状況概況集計表(平成25年度速報値)” (PDF) (プレスリリース), 国土交通省東京航空局 . 2016閲覧.
- ↑ 『韓国人スキー客 福島が好調7割増』(2008年5月18日 河北新報)
- ↑ 『「濃霧空港」汚名を返上 青森空港』(2008年5月18日 河北新報)
- ↑ 運航情報2007年3月・運航情報2007年7月 - 日本航空
- ↑ “青森空港「日本一の除雪」PR”. 東奥日報. (2014年1月14日) . 2016閲覧.
- ↑ 11.0 11.1 11.2 “青森―東京線、就航50周年で式典 利用者、07年度から減少傾向”. 朝日新聞(朝日新聞社). (2015年6月4日)
- ↑ 12.0 12.1 宮城裕也(2015年6月2日). “日本航空:青森−羽田定期便、就航50年 放水アーチでお祝い”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ↑ 新青森空港工事誌編集委員会 『新青森空港工事誌』 青森県、1989-03。
- ↑ 『大間町史』(大間町・1997年3月31日発行)952頁「大間町年表 大間町および下北・青森地方の史実」
- ↑ 1985年4月3日付東奥日報朝刊6面青森空港ビル㈱広告記事より。
- ↑ 『青森テレビ30年のあゆみ』309頁「年表 1992年」より
- ↑ “ソウル線が2日に就航20周年 魅力PRへ”. 陸奥新報(陸奥新報社). (2015年4月2日)
- ↑ 2012年7月よりCAT-3b供用開始 - 青森空港ビル
- ↑ “2014年 国内線サマーダイヤについて~羽田発着路線の増便により、国内線ネットワークが更に便利に!~ ~11年ぶりに青森空港の定期便を再開!~” (プレスリリース), 全日本空輸, (2014年1月22日) . 2016閲覧.
- ↑ “エアバスA300がラストフライト/青森空港”. 東奥日報 (47NEWS). (2011年2月28日) . 2016閲覧.
- ↑ 震災輸送で「最後のご奉公」A300-600R型機ラストフライト
- ↑ “3月14日(月)「山形・青森・秋田発着」臨時便設定と定期便機材大型化のお知らせ” (プレスリリース), 日本航空, (2011年3月14日) . 2013閲覧.
- ↑ “平成25年度の航空輸送統計の概況について” (PDF) (プレスリリース), 国土交通省総合政策局, (2014年6月3日)上位50位までを記載
- ↑ JAL、大韓航空の日韓線全便でコードシェアを開始 4月22日より Traicy 2014年4月21日付
- ↑ JAL、大韓航空とコードシェア拡大 日本/韓国全路線が対象に FlyTeam 2014年4月21日付
- ↑ ウラジオストク航空
- ↑ 定期便利用実績総括表(国内線+国際線) (PDF) (青森県)
- ↑ アクセス - 青森空港ビル(2014年3月7日閲覧)
- ↑ 青森空港ビル株式会社公式サイト、「駐車場」。
関連項目
参考資料
- 「青森空港活性化ビジョン〜未来へ世界へ広がる北東北のゲートウェイをめざして〜 (PDF) 」、青森空港活性化検討委員会、2013年3月、. 2016閲覧.