歌舞伎町
歌舞伎町 | |
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— 町丁 — | |
座標: 東経139度42分11.4秒北緯35.694778度 東経139.703167度 | |
国 | 日本 |
都道府県 | 東京都 |
特別区 | 25px 新宿区 |
地域 | 四谷地域(一部) 淀橋地域(一部) |
人口 (2017年(平成29年)12月1日現在)[1] | |
- 計 | 2,437人 |
等時帯 | 日本標準時 (UTC+9) |
郵便番号 | 160-0021[2] |
市外局番 | 03[3] |
ナンバープレート | 練馬 |
歌舞伎町(かぶきちょう)は、東京都新宿区の町名[4]。現行の行政地名は歌舞伎町一丁目および歌舞伎町二丁目。全域で住居表示を実施している[5]。郵便番号は160-0021[2]。
Contents
地理
歌舞伎町は東京都新宿区に位置する。飲食店・遊技施設・映画館が集中する歓楽街である。明治通り(東)、靖国通り(南)、JR中央線(西)、職安通り(北)に囲まれた範囲(ただし花園神社の敷地とその南北の一画は除く)に位置する町である。鉄道の場合、新宿駅(JR他各線)東口、あるいは西武新宿駅が最寄り。都営地下鉄大江戸線なら新宿西口駅か東新宿駅が近い。新宿駅東口から北に向かって行くと、ドン・キホーテ本店前の大きな通り(靖国通り)にぶつかる。これを越えると、歌舞伎町である。歌舞伎町一番街(劇場通り)、中央通り(セントラルロード)、さくら通り、西武新宿通り、東通り、区役所通りなどがある。西武新宿駅で降りれば目の前が歌舞伎町になる。
町の中には漫画喫茶、居酒屋、キャバクラ、ホストクラブ、ラブホテル、パチンコ店などが立ち並んでいる。「眠らない街」と呼ばれ、深夜になってもネオンで明るく人通りも多い。ドン・キホーテ前、セントラルロードに多いスカウトやホストによるキャッチ、怪しげな客引きやポン引きなど、合法、非合法取り混ぜて歌舞伎町独特の雰囲気があり、東洋一の歓楽街とも言われている。
歌舞伎町には一丁目と二丁目があり、概ね花道通りを境にした南と西武新宿駅周辺の一画が歌舞伎町一丁目、北が歌舞伎町二丁目である。
歌舞伎町一丁目
西寄りに近年まで興行街であった一角がある。東の方へ向かうと新宿区役所があり、区役所通りを渡ると新宿ゴールデン街がある。裏通りには飲食店や性風俗店、アダルトショップなどが密集している。西武新宿駅ビルの複合ショッピング店舗のほか、近年、大手ディスカウントチェーンが進出したが、靖国通りを隔てた新宿三丁目に比べ物販店は少ない。
歌舞伎町二丁目
西寄りに東京都保健医療公社大久保病院・ハイジア、東側にはラブホテル街が広がり、区役所通り付近はクラブ、ホストクラブなどが多数あるが、一丁目と違い表立って性風俗店は見当たらず、職安通りと明治通り沿いはオフィスビルやマンションが建ち並び、繁華街・歓楽地の様相は全く感じさせない。同じく職安通り沿いには通りの名前になったハローワーク新宿の歌舞伎町庁舎(主に雇用者側の求人などの受付窓口で、雇用保険の失業等給付や求職相談は西新宿庁舎で行う)があるほか、都内有数のコリア・タウンである大久保に接していることもあり、韓国料理店や食品スーパーなどがある。
歴史
大部分は新宿区発足前には旧淀橋区に属した地域(三光町は旧四谷区)である。元々は「大久保」の名の由来となる窪地の湿地帯と元大村藩主大村氏邸があったところで、明治以降は鴨場となっていた。当初は角筈村、1889年からは淀橋町に属した。当時の地名は字十人町、字矢場。
1893年、淀橋浄水場建設に伴い、残土で鴨場の池が埋め立てられ、造成される。1920年には東京府立第五女学校(現在の東京都立富士高等学校・附属中学校)がこの地に開校。学校を取り巻く周囲は閑静な山の手の住宅街として大臣や軍人の邸宅もあり発展していった。1932年、東京市淀橋区に編入され、市街化が進んだ。
1945年の東京大空襲で一面焼け野原となったが、第二次大戦後、石川栄耀や鈴木喜兵衛らによって「(現在の歌舞伎町一番街付近に)歌舞伎の演舞場を建設し、これを中核として芸能施設を集め、新東京の最も健全な家庭センターを建設する」という復興事業案がまとめられ、この都市計画から、計画担当者の石川栄耀の提案により、新しい町は歌舞伎町と名付けられた。結局、財政の面などからこの構想は実現せず、新宿コマ劇場が建設されるにとどまった。
1952年には西武新宿駅が開業。西武新宿線は新宿駅東口に乗り入れる計画だったため床が板張りの仮駅であった。1960年代も半ばになると各種飲食店、映画館、ボウリング場、サウナ、バッティングセンターに加えラブホテルやトルコ風呂といった施設が目立ち始めるようになっていった。1977年には現在の西武新宿駅ビルが完成し、新宿プリンスホテルと西武新宿ペペが営業を開始した。西武新宿線はバブル期に新宿駅東口乗り入れ計画が再び浮上したものの、歌舞伎町商店街振興組合や新宿サブナード(新宿地下駐車場株式会社)等の反対やバブル崩壊などの影響もあり結局実現しなかった。現在西武新宿駅は一日約18万5,000人の乗降客があるターミナル駅として機能している。
旧新宿コマ劇場付近は中心の広場を複数の映画館が囲む形になっていたが、2008年以降閉鎖する映画館が相次ぎ、2014年12月31日に新宿東急文化会館内の映画館・新宿ミラノ座が閉館したため、町内の映画館が一旦全て無くなったが、2015年4月17日、新宿コマ劇場跡地にシネマコンプレックスのTOHOシネマズ新宿が開業した。
「東洋一の歓楽街」と言われてきたが、現在では様相はさらに変容し、3,000軒を数えるバー、キャバレー、ラブホテルなどが密集し、「欲望の迷宮都市」「外国人労働者の新租界」等とも評されている。歌舞伎町は世界でも有数の夜の盛り場に数えられていて、近年では、中国や韓国からの観光ツアー客も多く、昼間はよくツアーコンダクターが導く姿が見かけられる。
沿革
歌舞伎町は、第二次大戦の戦災復興の時期に誕生した。
- 角筈一丁目の北東部とその周辺、百人町一丁目・東大久保三丁目・三光町の境界付近を区画整備し、当時の歌舞伎町の範囲は、おおむね現在の歌舞伎町一丁目(西側の鉄道敷設部分とその沿線および区役所通りより東をそれぞれ除く)に相当する。
- 1950年2月1日 - 淀橋区役所内郵便局が歌舞伎町へ移転し、新宿区役所内郵便局へ改称する[6]。
- 1951年12月6日 - 戦災復興土地区割整理地区の新宿地区として指定される[7]。
- 1952年3月25日 - 西武新宿駅が開業。
- 1966年10月14日 - 個室付浴場業設置の規制地域外となる[8]。
- 1978年7月1日 - 住居表示実施に伴い町名町域が変更され、歌舞伎町一丁目および歌舞伎町二丁目を新設する[9]。
- 1989年4月17日 - 新宿大久保一郵便局が、歌舞伎町二丁目へ移転する[10]。
- 1990年1月1日 - 新宿大久保一郵便局が、新宿歌舞伎町郵便局へ改称する[11]。
町名の変遷
実施後 | 実施年月日 | 実施前(特記なければ、各町名の一部) |
---|---|---|
歌舞伎町一丁目 | 1978年7月1日 | 歌舞伎町(全域)、三光町、百人町一丁目、東大久保三丁目(全域)、角筈一丁目(全域)、角筈二丁目(全域)、柏木一丁目(全域)、新宿三丁目 |
歌舞伎町二丁目 | 西大久保一丁目 |
世帯数と人口
2017年(平成29年)12月1日現在の世帯数と人口は以下の通りである[1]。
丁目 | 世帯数 | 人口 |
---|---|---|
歌舞伎町一丁目 | 184世帯 | 216人 |
歌舞伎町二丁目 | 1,835世帯 | 2,221人 |
計 | 2,019世帯 | 2,437人 |
小・中学校の学区
区立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りとなる[12]。
丁目 | 番地 | 小学校 | 中学校 |
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歌舞伎町一丁目 | 1番2~19号 | 新宿区立花園小学校 | 新宿区立四谷中学校 |
その他 | 新宿区立大久保小学校 | 新宿区立新宿中学校 | |
歌舞伎町二丁目 | 全域 |
交通
鉄道
バス
靖国通りの「歌舞伎町」「新宿五丁目」停留所を利用できる。靖国通りに並行する新宿通りを経由する路線では「新宿駅東口」停留所が最寄りになる。下記のすべての路線が新宿駅西口を発着する。
- 東京都交通局
- 京王バス東
- 新宿WEバス 歌舞伎町ルート:新宿駅西口・西参道循環
- 2016年1月に歌舞伎町ルートが新設され、靖国通りの歌舞伎町停留所にくわえてホテルグレイスリー新宿に停留所が設置されている。
- 新宿WEバス 歌舞伎町ルート:新宿駅西口・西参道循環
道路
- 東京都道4号東京所沢線 - 靖国通り
- 東京都道305号芝新宿王子線 - 明治通り
- 東京都道302号新宿両国線 - 靖国通り(本線:都道4号東京所沢線と重複)・職安通り(支線)
- 区役所通り
- 歌舞伎町内を南北に走る新宿区の区道。全長約500メートルの片側1車線の通りである。北で職安通り、南で靖国通りと面する。その名の通り、区役所通り沿いには新宿区役所があるほか、風俗店・飲食店が多く並んでいることで知られている。他に道路沿いには新宿バッティングセンター、稲荷鬼王神社がある。この通りは夜になると暗くなり治安が悪くなるイメージをもたれていたが、これを改善すべく2006年より新宿区や地元の商店会などによって冬季の期間限定で街路樹のイルミネーションが実施されるようになった。また1996年までは日中の時間帯は都営バス宿74系統(往路のみ)もこの通りを走っていた。(現在は廃止)当通りには新宿区役所前、同愛病院前(1982年までに廃止)、鬼王神社前のバス停があった。
治安
2000年代に入ってからは生活安全条例の制定や、パトロールの強化など、取締りも厳しくされ、2002年2月には50台の防犯カメラが設置されて話題を呼んだ。実際犯罪がかなり減少し、効果が見られたとされている。
2001年9月1日に起こった歌舞伎町ビル火災は、死者44人を出し、防災や人権などの問題とともに、マスコミや世論を大変にぎわせた。
裏社会では指定暴力団・住吉会住吉一家向後睦会の縄張りとなっており、稲川会や極東会、松葉会等の在京組織の傘下団体も拠点を置いている[13]。約120箇所[14]の暴力団事務所があり、推定で1000人[14]の構成員が居るといわれている。
歌舞伎町における不法滞在外国人の組織犯罪も多かったが、これは2003年に東京入国管理局の出張所を歌舞伎町に置くことにより不法滞在者の摘発が進み、大幅に減少した(それ以前、不法滞在摘発者は主に韓国・中国・タイ・ロシアが75.6%を占め、13か国に上った[15])。さらに、西アフリカ出身のナイジェリア人グループらが大掛かりで、泥酔客からぼったくりを行う問題も見られる[16]。
2004年暮れに東京都知事・石原慎太郎の招聘で就任した警察庁出身の副知事・竹花豊の主導により「歌舞伎町浄化作戦」が実施され、店舗の摘発が積極的に行われた。この際に性風俗店・アダルトショップなどが閉店を余儀なくされ、2005年に竹花が出向解除により警察庁へ復帰して以降も、警視庁の威信をかけた重点摘発が続けられている。
また水面下では以前から討議されていたものの、2004年後半には大規模再開発と暴力団追放等を目的とした「歌舞伎町ルネッサンス」計画の第1回会議が公開の場で開かれた。2005年4月には都条例の改正(通称・客引き禁止条例)が施行され、「歌舞伎町ルネッサンス」計画開始を宣言するイベントも行われた。
それでもなお、歌舞伎町には違法な客引きが横行している。性風俗店の客引き自体が都条例で2005年4月以降禁止されており、それを無視して行うのはボッタクリ・恫喝で金品を要求する悪質な店舗であり、絶対に付いていってはいけないという啓発も、歌舞伎町商店街振興組合によって行われている。
歌舞伎町を舞台にした作品
ノンフィクション
- 李小牧『歌舞伎町案内人』角川書店、2004年、ISBN 978-4043733019
- 李小牧『歌舞伎町の住人たち』河出書房新社、2005年、ISBN 978-4309017280
- 影野臣直『歌舞伎町ネゴシエーター』河出書房新社、2005年、ISBN 978-4309017082
- 久保博司『新宿歌舞伎町交番』講談社、2006年、ISBN 978-4062753425
- 武内晃一『歌舞伎町午前零時/女衒の夜』河出書房新社、2006年、ISBN 978-4309017426
- 久保博司『歌舞伎町と死闘した男 続・新宿歌舞伎町交番』講談社、2007年、ISBN 978-4062758871
- miho『ネバー・ギブ・アップ』日本文芸社、2007年、ISBN 978-4537254877
- 武内晃一『わたしはいくら?』早稲田出版、2008年、ISBN 978-4898273500
- 稲葉佳子、青池憲司『台湾人の歌舞伎町』紀伊国屋書店、2017年9月29日 ISBN 4314011513
小説
- 大沢在昌『新宿鮫』
- 馳星周『不夜城』
- 佐々木譲『真夜中の遠い彼方』集英社、1987年、ISBN 978-4087491982
- 室積光『都立水商!』
- 陳放『海怒』バジリコ、2004年、ISBN 978-4901784399、ISBN 978-4901784405
- 『女王蘭』祥伝社、2008年
- 誉田哲也『歌舞伎町セブン』2010年
- 白川蓮『アメイジング グレイス 〜儚き男たちへの詩〜』、2011年
漫画
- 『シティーハンター』集英社、1985年
- 『Dr.クマひげ』講談社、1986年
- 『HEAT -灼熱-』小学館、1998年
- 『20世紀少年』小学館、1999年
- 倉科遼、岩田和久『女衒〜ぜげん〜』芳文社、1999年
- 『夜王』集英社、2003年
- 『銀魂』集英社、2004年-「かぶき町」という名称で登場。
- 『新 Petshop of Horrors』朝日新聞出版、2004年
- 『新宿スワン』講談社、2005年
- 『殺し屋1』小学館、1998年
その他書籍
- 『実録不夜城』ワニマガジン社、1998年、ISBN 978-4898295960
- 『実録歌舞伎町の黒幕』大洋図書、2007年、ISBN 978-4813050681
- 北大路翼句集『天使の涎』、2015年、ISBN 978-4897097770
映画
- 『女を忘れろ』(1959年、日活)
- 『男の怒りをぶちまけろ』(1960年、日活)
- 『すべてが狂っている』(1960年、日活)
- 『黒線地帯』(1960年、新東宝、監督:石井輝男、主演:天知茂)
- 『恋の片道切符』(1960年、松竹)
- 『若い狼』(1961年、東宝)
- 『広域暴力 流血の縄張』(1970年、日活)
- 『犬、走る DOG RACE』(1998年、監督:崔洋一、主演:岸谷五朗)
- 『不夜城』(監督:リー・チーガイ)
- 『武勇伝』(2003年、主演:澤田謙也、魔裟斗)
- 『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年、主演:ビル・マーレイ)
- 『歌舞伎町案内人』(2004年、監督:張加貝、主演:チューヤン)
- 『組織犯罪対策部捜査四課』(2005年、主演:小沢仁志)
- 『龍が如く 〜序章〜』(2006年、主演:船木誠勝)
- 『龍が如く 劇場版』(2007年、出演:北村一輝、岸谷五朗ほか)
- 『本格科学冒険映画 20世紀少年』(2008年、出演:唐沢寿明、平愛梨、常盤貴子ほか)
- 『新宿インシデント』(2009年、主演:ジャッキー・チェン)
- 『アメイジング グレイス 〜儚き男たちへの詩〜』(2011年、出演:窪塚俊介、宮田大三、神田沙也加ほか)
- 『カイジ2 人生奪回ゲーム』(2011年、出演:藤原竜也、伊勢谷友介ほか)
- 『さよなら歌舞伎町』(2015年、出演:染谷将太、前田敦子ほか)
音楽
ドラマ
ゲーム
- 『探偵 神宮寺三郎シリーズ』 - ほとんどの作品に歌舞伎町が登場する。
- 『龍が如く』 - 「神室町」という名前で登場。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 “住民基本台帳人口 町丁別世帯数及び男女別人口”. 新宿区 (2017年12月1日). . 2017閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 “郵便番号”. 日本郵便. . 2017閲覧.
- ↑ “市外局番の一覧”. 総務省. . 2017閲覧.
- ↑ 『角川日本地名大辞典 13 東京都』、角川書店、1991年再版、P873
- ↑ 新宿区の住居表示実施状況 新宿区
- ↑ 同年2月17日、郵政省告示第38号
- ↑ 同日、首都建設委員会公告第2号
- ↑ 同日、東京都条例第103号「風俗営業等取締法施行条例の一部を改正する条例」
- ↑ 同年10月4日、自治省告示第174号
- ↑ 同年4月18日、郵政省告示第253号
- ↑ 1989年12月5日、郵政省告示第782号
- ↑ “通学区域”. 新宿区 (2017年9月19日). . 2017閲覧.
- ↑ 2010年の歌舞伎町商店街振興組合と歌舞伎町住人との定例懇談会
- ↑ 14.0 14.1 2004年1月19日の竹花東京都副知事発言・歌舞伎町住民との懇談会
- ↑ 2002年の入管特別集中摘発資料
- ↑ “【衝撃事件の核心】「不夜城」に巣くうナイジェリア人グループ 強引な客引きで泥酔客から10億円をぼったくり”. 産経新聞. (2012年1月2日) . 2013閲覧.
関連項目
外部リンク
百人町 | 大久保 | |||
西新宿 | 北 | 新宿 | ||
西 歌舞伎町 東 | ||||
南 | ||||
新宿 | 新宿 |