ステップ気候
ステップ気候(ステップきこう)とはケッペンの気候区分における気候区のひとつで、乾燥帯に属する。記号はBSで、BShとBSkに分かれる。BSのSはドイツ語のSteppe(ステップ)に由来する。
アリソフの気候区分では気候帯4-1.亜熱帯大陸性気候に相当する[1]。
Contents
特徴
BSk気候の地域では,黒や栗色の土壌(チェルノーゼム)に、ステップとよばれる丈の短い草原が広がる。年間を通して降水量は少なく雨季には少量の雨が降る。昼と夜の気温差が激しい。
条件
最暖月の平均気温が10℃以上であり(寒帯では無い)、年平均降水量が乾燥限界 [math]r[/math]には満たないが[math]r[/math]の半分以上である地域であり、
以下の式から求められる。条件に当てはまればステップ気候となる。
年間平均気温を[math]t[/math](℃)とし、年平均降水量(mm)が[math]0.5r=10(t+x)[/math]以上かつ[math]r=20(t+x)[/math]未満を満たす。
[math]x[/math]は以下の降水パターンの条件によって決まる。
[math]x=14[/math] | w(冬季乾燥/夏雨) | 最多雨月が夏にあり、10×最少雨月降水量<最多雨月降水量 |
[math]x=0[/math] | s(夏季乾燥/冬雨) | 最多雨月が冬にあり、3×最少雨月降水量<最多雨月降水量かつ最少雨月降水量が30mm未満 |
[math]x=7[/math] | f(年中湿潤/年平均降雨) | wでもsでもない |
上記の条件を満たすとき年平均気温が18℃以上ならBSh、18℃未満ならBSkとなる。
分布
分布地域
主に砂漠気候からサバナ気候・温帯・湿潤大陸性気候への移行地域に分布(砂漠気候を囲むように分布)
- モンゴル・中華人民共和国北部及び西部の一部
- インドのデカン高原東部
- カーティヤワール半島 - タール砂漠東部 - パンジャーブ州北東部
- イランのゴム州、セムナーン州、ゴレスターン州東部
- イラン南西部からイラクにかけてのザグロス山脈南麓 - シリア北東部
- ヨルダン峡谷からネゲヴ砂漠北部
- リビア北部からチュニジア東部にかけての地中海沿岸の低地
- チェルノーゼム地帯
- プレーリー、グレートプレーンズ
- パンパ地方など
- 南米北部からカリブ海にかけての一部にも見られる。
典型的な都市
この気候区に属する都市には以下のようなものがある。
- ラホール(パキスタン)[2] - 砂漠気候に分類することもある。
- デリー(インド)- 温帯冬季少雨気候に分類することもある。
- マラケシュ(モロッコ)
- アルバカーキ(アメリカ合衆国ニューメキシコ州)
- カルガリー(カナダアルバータ州)- 湿潤大陸性気候に分類することもある。
- ホノルル(アメリカ合衆国ハワイ州)- サバナ気候に分類することもある 。
- カラカス(ベネズエラ)- サバナ気候に分類することもある。
- リオ・ガジェゴス(アルゼンチン)
- ビエドマ(アルゼンチン)
- キングストン(ジャマイカ)
- ダカール(セネガル)
- アリススプリングス(オーストラリア) - 砂漠気候に分類することもある。
- 北京(中華人民共和国)-亜寒帯冬季少雨気候との境に位置する。
- 満州里(中華人民共和国内モンゴル自治区) - 亜寒帯冬季少雨気候に分類することもある。
- ウランバートル(モンゴル)
- チョイバルサン(モンゴル)
- アテネ(ギリシャ)-地中海性気候との境に位置する。
気候の特徴
一年中あるいは乾季のみの間中緯度高圧帯の影響下に入るため、日本で言う秋晴れのような乾燥した晴天が続く。雨季にはある程度の雨が降るが、年間平均降水量は250 - 750mmとやや少なめである。
植物の自生は可能であるが森林ではなく、草原になる。また、特にサヘルやアラル海周辺などでは過放牧や過耕作、水源の枯渇などにより砂漠化(土地の不毛化)が進んでいる。
土壌と植生の特徴
黒色土(チェルノーゼム、プレーリー土)、栗色土などの肥沃な土壌が分布している。そのため、灌漑によって耕地化されている地域もある。
産業の特徴・その他
農業が主産業となっている地域が多い。企業による計画的な大規模農業もあるが、個人や集落単位での農業も盛んである。
脚注
参考文献
- 矢澤大二『気候地域論考―その思潮と展開―』古今書院、1989年11月20日、738pp. ISBN 4-7722-1113-6