駒ヶ根市
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名称
市名は、小・中・高等学校に電話で応募依頼し、公募から僅か3日で決定したものである[1]。木曽駒ケ岳の麓に位置することに由来するが、木曽駒ヶ岳(本岳)は市域ではない。応募市名には駒ヶ根市のほか、「瑞穂」「天竜」「伊南」「信濃」などがあった[1]。駒ヶ根という名称は隣の宮田村にあったキャンプ場の名称であり、木曽郡上松町の旧称も駒ヶ根村であった。
2005年、近隣の飯島町および中川村と合併し、「中央アルプス市」という新名称に改名しようとしたが、その是非を問う住民投票で反対多数となり合併を断念した。カタカナの新名称が住民に受け入れられなかったのが原因とされる。結局、合併自体が白紙撤回されて、その後合併協議会も解散となった。似たような例は愛知県知多半島の「南セントレア市」でも起こり、いずれも大きなニュースとなった。
概要
伊那谷の中央部、天竜川の河岸段丘上に位置する都市である。中央アルプス(木曽山脈)と南アルプス(赤石山脈)を望める所から、「アルプスが二つ映えるまち」をキャッチフレーズとしている。
稲作、電機、精密機械工業が盛ん。ケンウッドの創業の地であり、本社機能移転後も事業所を置いていたが、現在ではすべて移転している。また、養命酒製造が唯一工場を置く生産地(養命酒発祥地は隣村の中川村[2])でもあり、養命酒のテレビCMにはたびたび駒ヶ根工場が登場している。
酒造メーカーも多く日本酒・地ビール・ワインと、焼酎を除く日本で生産されているアルコールのほとんどが造られている。 特に、日本酒を造っている酒造株式会社長生社(主要銘柄「信濃鶴」)は、日本で5番目に純米しか造らない「純米蔵」になった酒造である。
青年海外協力隊の訓練所が置かれており[3]、多くの訓練生と共に多くの外国人が住む、国際色豊富な都市でもある。そのため、市内の保育園・幼稚園や小学校は、地元外国人との国際交流に力を入れている。
2000年代から土地区画整理事業により住宅地や商業地の整備が進んだが、反面財政は悪化し事業費負担の影響で、市債残高は2005年度末に414億1767万円とピークに達し、その後減少したが、2010年度末で396億8661万円となっている。第三セクター分などを含め、市が将来負担すべき実質的な負債額の度合いの「将来負担比率」は2010年度決算で167・7%となっており、これは県内市町村で最悪の財政状況である[4]。
地理
地域
大きく分けて赤穂地区と東伊那・中沢地区に分かれる。赤穂地区を上在(うわざい)、東伊那・中沢地区を竜東(りゅうとう)と呼ぶこともあり、文化や方言も少し異なる(赤穂地区が飯田寄り、東伊那・中沢地区が伊那寄り)。
隣接する自治体
歴史
宮田町は合併には極めて消極的であり、町民大会では95%が合併反対の意向を示したという。しかし翌日までに宮田町が合併の意思表示をしなかった場合、赤穂側は永久に市制施行できない状況であったため(地方自治法の改正のため)合併を議決。その後宮田町による合併反対運動により合併取り消しを議決し一旦白紙になるも、県が合併の法律的正当性を主張したため再び合併が推進される。宮田町では住民投票が行われ、約88%の反対票が出たが、赤穂町、中沢村、伊那村の3町村は法律的正当性を武器に駒ヶ根市成立の既存事実を作る方向へ力を向けて行き、通常の手段では和解は不可能な状況になる。 結局「市制後分離」以外に打つ手はなしの意思が固められ、市制施行後の分市の内容をもつ誓約書が調整され一旦合併。駒ヶ根市発足後10日後に宮田側は分市の申し入れを行う[5][1]。
- 1956年(昭和31年)9月30日 - 大字宮田(旧・宮田町)が国や県を巻き込んだ騒動の末に、1957年3月31日までに再合併するという条件で分立し上伊那郡宮田村となるも、再合併を拒否し続け今日に至る。反対理由は以下のようなものであったという[1]。
- 町村としての適正規模を忘れて徒に流行的感度でこの問題に臨んでおり極めて皮相である。
- 地方自治の主体性と本質の無視、即ち町村民の不便不利益を無視し、単なる商業的取引を重点にしている。
- 風土・慣習の異なる地域の合併は無理を生ずる。
- 合併後は施策が中央のみに集中し末端部落町民が顧みられなくなる。
- 合併を忠実に履行する者は、県庁や地方事務所に対する忠僕であって町村民の忠僕ではない。
人口
駒ヶ根市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
行政
- 市長 - 杉本幸治(2008年1月29日就任)
学校
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交通
鉄道路線
市の中心となる駅:駒ヶ根駅
- 東海旅客鉄道(JR東海)
道路
バス
かつては路線バス(駒ヶ根駅~東伊那方面、駒ヶ根駅~中沢方面)が運行されていたが廃止された。代替手段としてコミュニティバス(伊那バス駒ヶ根営業所担当)が運行されるも、それらも廃止となった[6]。代替手段として乗り合いのタクシー「こまタク」が導入された。
高速バス
- 駒ヶ根・伊那~新宿線
- 飯田・中央道駒ヶ根IC・中央道伊那IC~新宿線[7]
- 箕輪・伊那・駒ヶ根~名古屋線
- 箕輪・伊那・駒ヶ根~大阪線
- 飯田・中央道駒ヶ根IC・中央道伊那IC~横浜線[8][7]
- 飯田・中央道駒ヶ根IC・中央道伊那IC~立川線[9][7]
- 飯田・中央道駒ヶ根インター~長野線[10][7]
こまタク
市内を循環するバス路線が廃止されたため、代替手段として実証導入された。民間のタクシー会社と提携することで病院などに設けられた停留所と自宅をつなげることを目的としている。乗り合い型で、市内を5地区に分け各地区あたり平均して週に2日、一日に2往復する。ただし乗車するには前日までに電話予約する必要がある。
その他
経済
製造業
建設業
姉妹都市・提携都市
日本国内
- 友好都市
海外
姉妹都市
観光
- 観光スポット
- 宝剣岳、木曽駒ヶ岳をはじめとする中央アルプス(木曽山脈)の玄関口。多くの登山客が駒ヶ岳ロープウェイで千畳敷カールに至り、ここを拠点に連山に挑む。千畳敷カールは大規模な氷河地形(圏谷)であり、夏は高山植物が咲き誇り、登山者以外の一般観光客も多く訪れる。年間を通じてロープウェイは運行されており、春にはスキー場も設けられる。
- ロープウェイ終点駅の直上にあるホテル千畳敷は、日本一標高の高いホテル(通年営業)。
- 駒ヶ根高原スキー場
- 早太郎温泉
- 光前寺
- 大御食神社
- 駒ヶ根高原美術館(2018年3月31日まで長期休館中)
- 駒ヶ根市立博物館
- 赤須城址
- 祭り・イベント
- こどもまつり(4月)
- くらふてぃあ杜の市(6月)
- 駒ヶ根の祇園祭・ゆかた祭り(7月に同日開催)
- KOMA夏(7月)
- 天竜ふるさと祭り・花火大会(8月下旬に同日開催)
- ふれあい広場(9月)
- 大御食神社例大祭(9月)
- 大宮五十鈴神社例大祭(9月)
- 駒ヶ根高原マラソン(9月)
- 駒ヶ根もみじクラフト(9月)
- 国際広場(10月)
- 名物
(TBSのニュースの森やテレビ東京系の人気番組「元祖!でぶや」にも紹介された)
出身有名人
- 芦部信喜:憲法学者
- 岡田みはる:気象予報士
- 川島正幸:元プロ野球選手(ロッテオリオンズ当時)
- 小林勇:編集者
- 小町谷照彦:国文学者
- 北沢正啓:商法学者
- 佐野成宏:テノール歌手
- 春風亭愛橋:落語家(落語芸術協会所属)
- 竹田扇之助:国際人形劇連盟日本センター名誉会長
- 田中平八:明治時代の実業家(第百十二国立銀行創設など)
- 千葉勝五郎:江戸時代の実業家(歌舞伎座創設など)
- 中原市五郎:政治家、歯科医師、日本歯科大学創立者
- 野溝勝:政治家
- 肥野竜也:モデル・俳優
- 宮脇千博:陸上競技選手(長距離)
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 駒ヶ根市誌刊行会(1979年)『駒ヶ根市誌 現代編 上巻』
- ↑ 中川村 発行『中川村誌』下巻 近代・現代編/民俗編(2005年),p191-192
- ↑ 訓練所概要 - 国際協力機構
- ↑ 信州・取材前線:駒ケ根市政の課題(その1) 借金で財政厳しく毎日新聞2012年1月14日
- ↑ 長野県総務部地方課(1965年)『長野県町村合併誌』
- ↑ ただし、冬場に1時間に1本中央アルプス観光のみ運行 春~秋4/1-11/30の観光路線30分に1本 中央アルプス観光と伊那バス共同運行のしらび平線<ロープウェイ線:駒ヶ根駅~女体入口~菅の台バスセンター~駒ヶ根橋~しらび平駅>のみ現存している。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 中央高速バス飯田~新宿線 横浜線ベイブリッジ号 みすずハイウェイ 長野線ただし、駒ヶ根バスターミナルではなく、中央道駒ヶ根インターに停車のみ
- ↑ 横浜線は以前 駒ヶ根市 宮田 沢渡伊那市 伊那インター前で昼行便も停車していた。
- ↑ 2013年11月22日開業路線 ①伊那バス便 シティバス立川便と ②京王バス便のみ経路が異なる。①立川駅南口⇒昭島駅が3便<拝島車庫廃止> ②立川駅南口<八王子工業団地⇒南大沢駅廃止>が1便
- ↑ 駒ヶ根発着長野線は以前 駒ヶ根市 宮田 沢渡伊那市 伊那インター前で昼行便も停車していた。のもあった
関連項目
外部リンク