阿川佐和子
阿川 佐和子(あがわ さわこ、1953年11月1日 - )は、日本のエッセイスト、小説家、タレント。
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経歴
幼少期(2歳)の1年間は広島市の伯母宅で育った[1]のち、東京の中野区鷺宮、新宿区四谷へと移る。
東洋英和女学院中学部・高等部を経て、慶應義塾大学文学部西洋史学科卒業。
卒業後は織物職人を目指し、その過程で様々なアルバイトを経験。
1981年、『朝のホットライン』でリポーターを務め、1983年より『情報デスクToday』のアシスタントを務める。
1989年からは『筑紫哲也 NEWS23』のキャスターを務める。
1992年に米国ワシントンへ渡り、帰国後は『報道特集』のキャスターとなる。
硬派な報道番組に出演し続けていたため「報道キャスター」のイメージが強かったが、1998年に『ビートたけしのTVタックル』の進行役に就任したことがきっかけとなり、ビートたけしや大竹まことを筆頭に浜田幸一、三宅久之などの強烈な共演者に臆することなく適度にツッコミを入れつつ進行に徹する姿がウケ、タレント性の才能も引き出される。
2012年、エッセイ『聞く力』(文春新書)を上梓[2](同書はトーハン発表の「2012年年間ベストセラー」総合1位を記録し、[3]「2013年年間ベストセラー」においても総合3位を記録した[4])。
2015年(平成27年)3月15日には、博物館明治村の4代目村長に就任し、初の女性村長となる[5]。
檀ふみ、安藤優子、平野レミとは親交が深く、特に檀とは同じ慶應大学出身で、かつ父親が有名作家同士であるなど共通点が多いために親密であり、共著も多く、CMでも共演している。
2017年5月9日に元・大学教授との婚姻届けを提出、結婚したことが報道された[6][7]。
エピソード
自身の名前の由来
「佐和子」という名前を名づけたのは父・弘之であるが、これは阿川家とは縁もゆかりもない「南佐和子」という女性の墓石から父が勝手に取ったものである。これは、兄・尚之の出生時、父が(なぜか)女の名前しか用意しておらず、男児誕生のしらせを受けて病院へ向かう道すがら、偶然通りかかった立山墓地(青山霊園の飛び地)の墓石の「南尚之」という文字が目に入り、この名前を拝借して尚之と名付けたため、次に生まれた佐和子も、同じ南家の墓石から名付けられた。2009年6月8日のNHK『わたしが子どもだったころ』にて、この「南家」の墓へ参る様子が放映された。なお、縁もゆかりもない墓石から命名されたことに関して、周囲からは「怖くない?」などと言われたが、自身は特にネガティブな感情はなく、むしろ「勝手に名前を貰って申し訳ない」という気持ちだったと語っている。
童謡「サッちゃん」
童謡「サッちゃん」の作詞者・阪田寛夫と佐和子の父である阿川弘之は友人関係にあり、鷺宮で互いの自宅もすぐそばだった。『週刊文春』での対談で、阪田はこの歌のモデルは阿川佐和子であると語っていたが、その後、実は佐和子ではなく「幼馴染の少し影のある少女“さちこ”が転園したときの思い出を書いた曲」であると言われたと、佐和子が発言している[8]。
新幹線のぞみ号の名付け親
新幹線のぞみ号の名付け親である。新型新幹線の名称決定委員に任命された際、鉄道好きの父・弘之から「日本国鉄の列車の名前は歴代すべて大和言葉でつけられてきた」とのアドバイスを受ける。候補に挙がった名前で大和言葉は「つばめ」しかなく、委員会の終盤に父の言葉とともに、最有力候補となっていた「希望(きぼう)」を大和言葉にすると「のぞみ」になることを述べ、最終的にこれが採用されることとなった[9]。
『TVタックル』
過去のお見合い相手の何人かは国会議員となっており、番組で再会することもしばしばであるという。司会のビートたけしや大竹まこと、浜田幸一、三宅久之ら個性の強いパネリストを手玉にとり、適度にツッコミを入れながらも進行に徹する(番組での位置づけは「悪党党副総裁」)。
また、パネラーも驚く発言(過去の恋愛話など)を自ら暴露することもある。
2010年11月1日の放送回では、同年9月に発生した尖閣諸島中国漁船衝突事件の映像公開問題について消極的な政府対応に言及し「表向きには『穏便に』って言っといて、YouTubeに流せばいいのに」と発言したが、その3日後、11月4日には尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件が発生した。
幻の『男女7人夏物語』出演
2013年(平成25年)6月22日にフジテレビで放送(関西テレビでは6月15日に放送)された『さんまのまんま』にゲストとして出演した阿川が語ったところによると、明石家さんまが主演したドラマ『男女7人夏物語』で主要登場人物7人のうちの1人を俳優以外から選ぶ方針があり、その人選の中で阿川もまた出演者の候補として挙げられていた。しかし放送当時、阿川は報道系番組『情報デスクToday』に出演していたこともあり、事務所が阿川本人に無断で出演の話を断ってしまい、後にその事実を知らされた阿川は幻のドラマ出演をとても残念がった。なお、その役は小川みどりがつとめた[10]。
受賞歴
- 1999年(平成11年) - 『ああ言えばこう食う』(檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞を受賞。小説『ウメ子』で坪田譲治文学賞を受賞。
- 2008年(平成20年) - 『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。
- 2014年(平成26年) - 菊池寛賞を受賞[11]。
家族・親族
- 阿川家
母方の祖父が増田清(建築家)
出演
テレビ
- 放送中
- ビートたけしのTVタックル(テレビ朝日、1998年2月 - ) - 進行レギュラー
- 阿川佐和子のゴルフフォーラム(BSフジ、 - 2009年10月)
- 阿川ごはん(BSフジ、2009年11月7日 - )
- サワコの朝(MBS・TBS系列、2011年10月1日 - ) - MC
- ビートたけしの知らないニュース(テレビ朝日、2013年12月9日 - )※不定期特番 - 進行
- 終了
- 朝のホットライン(TBS、1981年9月28日 - 1990年3月30日) - リポーター
- 情報デスクToday(TBS、1983年10月 - 1989年9月) - アシスタント
- 筑紫哲也 NEWS23(TBS、1989年10月 - 1991年3月) - サブキャスター
- JNN報道特集(TBS、1992年10月 - 1994年9月) - キャスター
- 無意味良品(BSフジ、2004年4月 - 2007年2月)
- スタ☆メン(フジテレビ・関西テレビ、2005年10月2日 - 2007年3月25日) - MC
- 阿川佐和子のゴルフ友遊録(テレビ東京、2007年10月6日 - 2008年3月29日)
- 大人の自由時間 火曜日「第(2)ニッポン国・独立宣言」(BS11、2007年12月3日 - 2009年4月2日)
- お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺(テレビ朝日、2016年10月3日 - 2017年2月13日)- レギュラー
- 阿川佐和子&檀ふみの京都1泊2日懐かしレトロ旅(テレビ朝日、2014年7月20日)- 旅人
- 独占!長嶋茂雄の真実~父と娘の40年物語~(TBS、2015年1月3日)- MC
- 1万人の第九 サワコ・又吉のクラシックなんて怖くない♪(TBS、2015年12月23日)- MC
など
ラジオ
- 大竹まこと ゴールデンラジオ!(文化放送、2007年5月7日 - 2015年3月23日 月曜日担当 )
- PEOPLE(JFN系列、2007年10月 - ) - 毎月第一日曜日
- 連続ラジオドラマ 焦土に聞こえたアンサンブル(RSKラジオ、2010年4月) - 脚本担当
- ラジオ深夜便「ミッドナイトトーク」(2011年度、奇数月月曜日コメンテーター)
- 通常は2年ごとにコメンテーターが更新されるが、2012年度は親友の檀ふみに引き継ぐ。
- 阿川佐和子「え?そこまで言うの?」(西日本放送、南海放送ほか)
CM
テレビドラマ
- 新春ワイド時代劇 海にかける虹〜山本五十六と日本海軍(テレビ東京、1983年1月2日)
- とと姉ちゃん(2016年) - 沢静子
- セシルのもくろみ(2017年) ‐ 阿川佐和子(本人役)
- 陸王(2017年) - 正岡あけみ
- チア☆ダン(2018年) - 蒲生駒子
映画
- カラフル(2000年)
- ローレライ(2005年)
- ニシノユキヒコの恋と冒険(2014年)
著書
エッセイ
- 『笑ってケツカッチン』筑摩書房、1988 のち文庫
- 『走って、ころんで、さあ大変』文藝春秋、1990 のち文庫
- 『ときどき起きてうたた寝し』文藝春秋、1991 のち文庫
- 『メダカの花嫁学校』世界文化社、1991 のち文春文庫
- 『あんな作家、こんな作家、どんな作家』講談社 1992 のち文庫、ちくま文庫
- 『その場しのぎの英会話 カタコトでも一年間住んじゃった』光文社 カッパ・ホームス 1993 のち知恵の森文庫
- 『きりきりかんかん』文藝春秋、1993 のち文庫
- 『どうにかこうにかワシントン』文藝春秋、1994 のち文庫
- 『お見合いバンザイ…!?』講談社、1995 「阿川佐和子のお見合い放浪記」+α文庫
- 『おいしいおしゃべり』東京書籍、1996 のち幻冬舎文庫
- 『無意識過剰』文藝春秋、1998 のち文庫
- 『旅の素 さわこのこわさ』旅行読売出版社 1999 「タタタタ旅の素」文春文庫
- 『今さらながらの和食修業』集英社 1999 のちbe文庫
- 『いつもひとりで』大和書房、2000 のち文春文庫
- 『いい歳旅立ち』講談社、2002 のち文庫
- 『もしかして愛だった』大和書房、2002 のち文春文庫
- 『トゲトゲの気持ち』中央公論新社、2003 のち文庫
- 『サワコの和』幻冬舎 2004 のち文庫
- 『オドオドの頃を過ぎても』新潮社、2004 のち文庫
- 『空耳アワワ』中央公論新社 2005 のち文庫
- 『グダグダの種』大和書房 2007 のち文庫
- 『残るは食欲』マガジンハウス 2008 のち新潮文庫
- 『魔女のスープ 残るは食欲 2』マガジンハウス 2010 のち新潮文庫
- 『聞く力―心をひらく35のヒント』文春新書 2012
- 『娘の味 残るは食欲 3』マガジンハウス 2012 のち新潮文庫
- 『叱られる力 聞く力 2』文春新書 2014
- 『サワコの朝』大和書房 2015
- 『アガワ随筆傑作選』文春文庫「聞く力」文庫 2015
- 『強父論』文藝春秋 2016
小説
- 『ウメ子』小学館、1999 のち文庫(第15回坪田譲治文学賞)
- 『恋する音楽小説』講談社、2001 のち文庫
- 『マチルデの肖像 〜恋する音楽小説2〜』講談社、2003 のち文庫
- 『屋上のあるアパート』講談社、2003 のち文庫
- 『スープ・オペラ』新潮社、2005 のち文庫
- 『婚約のあとで』新潮社、2008 のち文庫(第15回島清恋愛文学賞)
- 『ギョットちゃんの冒険』スタジオジブリ編 大和書房 2008
- 『うからはらはら』新潮社、2011 のち文庫
- 『正義のセ』角川書店、2013 のち文庫
- 『正義のセ 2』角川書店、2013 のち文庫
- 『正義のセ 3』角川書店、2013 のち文庫
- 『負けるもんか 正義のセ』KADOKAWA、 2015 のち文庫
対談集
- 『男は語る 私と12人の話題の男たち』PHP研究所 1992 のち文春文庫、ちくま文庫
- 『阿川佐和子のこの人に会いたい』文春文庫、1997
- 『阿川佐和子のアハハのハ この人に会いたい 2』文春文庫 1999
- 『阿川佐和子のガハハのハ』文藝春秋、2001 のち文庫(この人に会いたい3)
- 『阿川佐和子のワハハのハ』文藝春秋、2003 のち文庫(この人に会いたい4)
- 『阿川佐和子の会えば道づれ この人に会いたい5』文春文庫、2007
- 『阿川佐和子の会えばなるほど この人に会いたい6』文春文庫、2007
- 『阿川佐和子の会えばドキドキ この人に会いたい 7』文春文庫、2009
- 『阿川佐和子の世界一受けたい授業―第一人者14人に奥義を学ぶ』文藝春秋 2012
- 『アガワ対談傑作選』文春文庫「聞く力」文庫 2015
- 『アガワ対談傑作選 追悼編』文春文庫「聞く力」文庫 2016
共編著
- 『二人の手紙』神津カンナ 徳間書店 1994 のちちくま文庫
- 『蛙の子は蛙の子―父と娘の往復書簡』(阿川弘之共著)筑摩書房 1997 のち文庫
- 『ああ言えばこう食う 往復エッセイ』(檀ふみ共著)集英社、1998 のち文庫
- 『ああ言えばこう[嫁×]行く 往復エッセイ』(檀ふみ)集英社、2000 のち文庫
- 『吉右衛門のパレット』中村吉右衛門共著 稲越功一写真 新潮社 2000
- 『佐和子流人生の磨き方 ザ・ロングインタビュー 3』(編著) 扶桑社 2001
- 『モテたい脳、モテない脳』澤口俊之共著 ベストセラーズ 2003 のち新潮文庫, PHP文庫
- 『太ったんでないのッ!?』(檀ふみ)世界文化社、2003 のち新潮文庫
- 『けっこん・せんか』(檀ふみ)文藝春秋、2004 のち文庫
- 『「夏彦の写真コラム」傑作選 2(1991-2002)』山本夏彦(編) 新潮文庫 2004
- 『ピーコとサワコ』ピーコ共著 文藝春秋 2005
- 『アガワとダンの幸せになるためのワイン修業』檀ふみ 幻冬舎 2005
- 『男女の怪』養老孟司共著 大和書房 2006 のち文庫
- 『すずめのほっぺはなに色ですか? 教えて!gooの本』マガジンハウス 2006
- 『古寺巡礼京都32 高山寺』小川千恵共著 淡交社 2009
- 『問答有用 徳川夢声対談集』編 ちくま文庫 2010
- 『あなたに、大切な香りの記憶はありますか?』文藝春秋 2011
- 『センス・オブ・ワンダーを探して 〜生命のささやきに耳を澄ます〜』福岡伸一共著 大和書房 2011
- 『ぷくぷく、お肉』河出書房新社 2014
- 『アンソロジー ビール』パルコ 2014
翻訳
- ベツィー・コーエン『嫉妬 女のホンネと心理』三笠書房 知的生きかた文庫 1994 改題「嫉妬の心理学」2006
- ビビアン・フレンチ『あさごはんたべたのだれ?』小学館 1997
- 『ジャックと豆の木』リチャード・ウォーカー話 ブロンズ新社 2000
- ノーラ・エフロン『首のたるみが気になるの』集英社 2013
- A・A・ミルン『ウィニー・ザ・プー』新潮社 2014 のち文庫
- A・A・ミルン『プーの細道にたった家』新潮社 2016
朗読
- 阿川弘之「新潮CD 食味風々録」新潮社 2008.6
関係する主な人物
- ビートたけし(悪党党総裁)
- 大竹まこと(悪党党党員)
- 浜田幸一(悪党党幹事長)
- 三宅久之(政治評論家)
- 江口ともみ(『TVタックル』のナレーター)
- 檀ふみ(檀も以前『TVタックル』に出演していたことがある)
- 斎藤由香(父の友人・北杜夫の長女であり互いに幼少時から知己の間柄)
- 阪田寛夫(父の友人・童謡サッちゃん作詞)
- 大浦みずき(父の友人・阪田寛夫の次女であり互いに幼少時から知己の間柄)
脚注・出典
- ↑ RCC被爆70年プロジェクト 「未来へ」〜局報 阿川佐和子さん、CGアニメ全盛のいま、熊野筆がピンチ!? - ORICON STYLE、自著「ときどき起きてうたた寝し」1991年、文藝春秋、21-22頁
- ↑ 文春新書『心をひらく35のヒント 聞く力』阿川佐和子 | 新書 - 文藝春秋BOOKS
- ↑ トーハン調べ 2012年 年間ベストセラー
- ↑ トーハン調べ 2013年 年間ベストセラー
- ↑ “明治村が50周年 第4代村長に阿川佐和子さん”. 中日新聞 (2015年3月15日). . 2015閲覧.
- ↑ “作家・エッセイストの阿川佐和子さん63歳、年上男性と結婚”. 産経新聞 iza (2017年5月17日). . 2017閲覧.
- ↑ “阿川佐和子さんが結婚”. 日本経済新聞 (2017年5月17日). . 2017閲覧.
- ↑ 2011年3月18日放送、TBS系『ぴったんこカン・カンスペシャル』
- ↑ 「週刊文春」2007年3月15日号、「阿川佐和子のこの人に会いたい」より
- ↑ さんまのまんま バックナンバー[1]
- ↑ “菊池寛賞にタモリさん、阿川佐和子さんら”. 読売新聞 . 2014閲覧.
外部リンク