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項目 | 分量(g) |
---|---|
脂肪 | 15.95 |
飽和脂肪酸 | 4.366 |
14:0(ミリスチン酸) | 0.099 |
16:0(パルミチン酸) | 3.325 |
18:0(ステアリン酸) | 0.844 |
一価不飽和脂肪酸 | 6.619 |
16:1(パルミトレイン酸) | 0.923 |
18:1(オレイン酸) | 5.543 |
20:1 | 0.095 |
多価不飽和脂肪酸 | 3.352 |
18:2(リノール酸) | 2.987 |
18:3(α-リノレン酸) | 0.155 |
20:4(未同定) | 0.103 |
鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Contents
概要
鶏はもっとも代表的な家禽なので、単に鳥肉といえば鶏肉を指すことが多い。牛肉、豚肉と並んで世界で日常的に食用にされる肉のひとつである。鶏肉は(体重を軽くしておく必要がある)鳥類であるので比較的体脂肪を含まず、ヘルシーな食肉として珍重された。ボクサーなどのスポーツ選手が減量時にタンパク質の補給に用いたりするとされる。オペラ歌手のマリア・カラスが鶏肉とサラダで減量したエピソードは有名である。しかしながらブロイラーが主となると体脂肪の含有において鶏肉は必ずしも淡白な肉とは見なされなくなっている。
鶏という漢字は音読みは「けい」、訓読みは「にわとり」としか常用漢字としては認められていない。
中部地方の一部、関西地方、九州地方では「かしわ(黄鶏)」とも呼ばれる。「かしわ」とは本来褐色の羽色の日本在来種のニワトリだが、それが鶏肉一般の名称に用いられるようになった。(かしわめし、かしわうどんなど)。
これに対して、香川県や岡山県、兵庫県播州地方では、老鶏(特に排卵を終えた雌鶏など)の肉を「かしわ肉」と呼び、販売され、食されている。
一般社団法人・日本食鳥協会では、毎年10月29日を「国産とり肉の日」としている[4]。10(とお→とり)、2(に)9(く)→肉の韻から定めた。
鶏肉は牛肉、豚肉と異なり、食のタブーに触れることが少ない食肉であるため(食のタブーが厳しいことで知られるユダヤ教やイスラム教でも鶏肉を食べることは禁止されていない)、世界中で広く利用されている。ただし鳥葬が行われる地域では一般に鳥肉を食すことは避けられている。
歴史
日本列島では弥生時代に稲作農耕の開始とともに家畜が導入され、大陸からブタとともにニワトリが伝来している。古代には主に鳴き声により朝の到来を告げる「時告げ鳥」として利用され、廃鶏の利用として副次的に肉食が行われていたと考えられている。『日本書紀』によると、日本では天武天皇5年(675年)4月17日のいわゆる肉食禁止令で、4月1日から9月30日までの間、稚魚の保護と五畜(ウシ・ウマ・イヌ・ニホンザル・ニワトリ)の肉食を禁止された。江戸時代後期には西日本を中心にニワトリ食の記録が見られ、主に水炊きによって食べられていたと考えられている。
アメリカ合衆国では第二次世界大戦中に牛肉や豚肉が不足したため、鶏肉の消費量が増加した。栄養学や抗生物質の研究の進歩により大量飼育が可能になり、生産コストが下がったのは1950年代で、ケンタッキーフライドチキンもほぼ同時期に全米に展開しはじめた。後に牛肉や豚肉に比べてコレステロールや脂肪分が少なく健康に良いといわれ、鶏肉の人気が上がった。ヨーロッパでは、BSEの影響で1996年に初めて鶏肉の消費量が牛肉や仔牛肉を上回った。
昔からアメリカとカナダでは、チキンスープを飲むと風邪が治るという言い伝えがある。近年、チキンスープの栄養には風邪の症状を和らげる作用があるという研究結果が発表された[5]。
鶏の種類
- 軍鶏(しゃも) 天然記念物
- 烏骨鶏(うこっけい) 天然記念物
- ブロイラー:食肉用の若鶏で、大規模な鶏舎で育成される。
- 銘柄鳥:ブロイラーの飼育方法(飼料内容、出荷日令等)とは異なる工夫を加えたもの。
- 地鶏:一般的に地鶏という表示をするには品種・飼育期間等の条件がある(名古屋コーチン、土佐地鶏、比内鶏、薩摩地鶏)
部位
胸肉
脂肪が少なく、火を通しすぎるとパサパサした食感になる。欧米では最も好まれるヘルシーな部位だが、日本では食感が敬遠されがちであるためもも肉等に比べ価格が安い。蒸し物などに向く。近年は低カロリー、低脂肪であるためダイエットの食材として人気がある。
ささみ
胸肉に近接した部位。脂肪が少なく、淡白な風味がある。形が笹の葉に似ていることから付けられた名称。サラダ、和え物に良い。中央に固い筋があり、筋を取り除いて販売されることもある。タンパク質の含有率が高く、低脂肪。各部位の中でも比較的高値である。
もも肉
脂肪が多く、赤身でこくのある味が楽しめる。鶏は脚を歩行や走行によく使うため、ももに遅筋繊維が発達しているせいである。すね肉と一体で骨を付けたまま調理されることも多い。
すね肉
人間における膝下に相当する部位。ドラムスティックと呼ばれ、骨付きのままから揚げや煮込みなどに用いられる。
手羽
翼の部分。以下の3つの名称がある。
- 手羽先
- 肉はほとんどなく、多くがゼラチン質と脂肪である。このため、主にから揚げ、煮込み、出汁に使用する。人間の肘から指先までの部分に該当する。手羽先から手羽中の部分を除いた先端部分は「手羽端」という。
- 手羽中
- 肉と共にゼラチン質部分が多い。肉を骨から一部離して裏返し、骨を手で持って食べやすくしたものを「チューリップ 」と呼び、から揚げにする。これを開いたものが手羽中開きで、これ若しくは手羽中を串に刺したものをイカダ串と呼ぶ。さらに手羽中を二つ割にしたものをチキンリブまたはチキンスペアリブとも呼ぶ。人間の肘と手首の間の部分に該当する。
- 手羽元
- 別名「ウィングスティック」。骨と肉と皮が程々にあるために正肉に近く、他の料理の具としたりから揚げや煮物にも適する。人間の肘と肩の間の部分に該当する。手羽元を使用したチューリップも存在する。
派生語
- もつ、ホルモン、ジブレッツ…内臓肉の総称
- レバー…肝臓
- ハツ、ハート…心臓
- ハツモト…心臓の根本、血管がつながる部分。
- ハツヒモ…ハツモトにつながる血管の集まり
- トリガツ…素嚢
- センイ…(腺胃)
- スナギモ(砂肝)…筋胃 (砂嚢)
- エンガワ…砂肝の周りにある筋肉(中間筋)
- シビレ…胸腺。オタフクとも呼ばれる。
- アズキ…脾臓。メギモとも呼ばれる。
- セギモ…腎臓
- シロ…空腸
- シラコ(白子)…精巣
- キンカン…未産卵
- 皮、ひな皮…鶏皮
- ぼんじり、三角、ぼんぼち(ぽんぽち)…尾
- ツボ…尾腺(鳥類が羽に塗る脂を分泌する器官)
- ヤゲン(軟骨)…ささみ肉の部位にある剣状突起の軟骨
- ひざ軟骨…膝の関節にある軟骨(一般的にから揚げに使われる部位)
- はらみ…腹筋 肉だが農林水産省の食取引規格でもつ扱いされている。
- ネック…首・頚部筋。セセリ、コニク(小肉)とも呼ばれる。
- サエズリ…食道・気道。ジューシーセセリ、ノドブエとも呼ばれる。
- エボシ(烏帽子)…とさか
- モミジ…足先。呼び名は形状に由来する。
チキンオイスターという部分がももの付け根の近く(腸骨の背側のくぼみ)にあり、フランス語ではソリレス(sot-l'y-laisse、「愚か者だけが残す」)という名称で呼ばれている[6]。
また、肉・内臓を取り去った残り(大部分は骨)を鶏がらと呼ぶ。
鶏がらやモミジは中華料理や西洋料理、ラーメン等の出汁を取るのに使われる。モミジは中華料理では「鳳爪」(テンプレート:繁体字、簡体字: 凤爪、広東語:フォンジャーウ)(en)と称して、揚げて煮込み、皮と軟骨を食べる料理にも加工される。日本では大分県日田市周辺の郷土料理(もみじ (郷土料理))となっている。
細菌による食中毒
腸管などに常在菌として存在しているカンピロバクター(Campylobacter)、サルモネラ(Salmonella)、アルコバクター(Arcobacter) や、屠畜過程で大腸菌、ブドウ球菌により汚染される事があり、新鮮な肉でも高い率で食中毒原因菌に汚染されている[7]為、食中毒を引き起こすことがある。従って、生食には向かない[8][9] が、主にささみが刺身・たたきやユッケなどで供されることもある。
特に、日本でのカンピロバクターによる食中毒患者の報告数は、2003年以降年間2000人を越え重要な食中毒菌となっている[7]。なお、人間以外のライオンやトラといった肉食動物が生肉を食べても食中毒にならないのはカンピロバクターに対する強い耐性を持っているためである。しかし人間にはこの耐性がない。
ただし、鹿児島県、宮崎県、大分県の一部では、鶏刺しが郷土料理として食べられているが、岩屋あまね[10]によると、過去のデータからは鹿児島県民によるカンピロバクターによる食中毒は多くなく、発生しているのは全て他県からの住民であるという報告例がある[11]。 その報告例には鶏刺しが原因と疑われているカンピロバクター食中毒で、同じものを食べた5人のうち3人が発症し、その3人はそれぞれ福岡、長崎、熊本出身、残りの2人は鹿児島、宮崎の出身で、鹿児島の学生は便からもカンピロバクターが検出されたが、一切の症状が出なかったとある[11]。 「免疫が持っていたので発症しなかったのか、腸内フローラの問題かどうかはわかりませんが興味ある事例」であるとしている[11]。
料理
養鶏が盛んな地域では特有の地鶏品種が存在することが多く、鶏料理も盛んである。
鶏料理の種類
豚肉料理や牛肉料理に替わる素材とされる事もある(チキンカツなど)。また挽肉にする事もあり、つくねなどにもされる。
- 揚げ物:から揚げ(フライドチキン)、竜田揚げ、チキン・ナゲット、バッファローウィング、コルドン・ブルー、Chicken 65、チキンキエフ、油淋鶏、辣子鶏
- スープ:チキンスープ、ソトアヤム、サムゲタン
- 丼料理:親子丼
- 鍋物料理:水炊き、タットリタン
- 煮込み料理:チキンティッカマサラ、コッコーヴァン、ワーテルゾーイ
- 蒸し料理:棒々鶏、叫化鶏、サラダチキン
- 茹で料理:鳥はむ、フレキッキ、吉野鶏
- 直火焼き:串焼き、焼き鳥、ローストチキン、タンドリーチキン、チキンティッカ、照り焼き
- 鉄板焼き:焼肉、鉄板焼鳥、鶏ちゃん、タッカルビ
- オーブン焼き、蒸し焼き:ポヨ・バルバコア、パステル・デ・チョクロ
- 炒め料理:宮保鶏丁
- 飯料理:チキンライス、アロス・コン・ポーヨ、海南鶏飯
- 燻製:鶏肉ハム
- 生食:鶏刺し
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鶏の丸焼き
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チキンナゲット
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アロス・コン・ポーヨ
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チキン南蛮
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鶏のサテ
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宮保鶏丁
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鶏のパプリカ煮込み
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首と内臓を除いたブレス種の鶏、フランス
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鳥刺し(ささみ)
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胸肉
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部位別に切り分けた肉
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かしわと看板を掲げている鶏肉店、大阪府高槻市
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脚注
- ↑ http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/
- ↑ [『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 Protein and amino acid requirements in human nutrition, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007]
- ↑ http://ndb.nal.usda.gov/
- ↑ 10月29日(木)は「国産とり肉の日」。「国産チキンまつり」、全国で展開中。『産経新聞』2015年10月28日
- ↑ Rennard BO, Ertl RF, Gossman GL, Robbins RA, Rennard SI (October 2000). “Chicken soup inhibits neutrophil chemotaxis in vitro”. Chest 118 (4): 1150–7. PMID 11035691 .
- ↑ スチュワート・アレン『愛の林檎と燻製の猿と―禁じられた食べものたち』集英社、2003年、ISBN 978-4087733990
- ↑ 7.0 7.1 カンピロバクター食中毒の現状と対策について 国立感染症研究所 感染症情報センター
- ↑ 市販鶏ひき肉中の Arcobacter,Campylobacter,Salmonella 汚染状況日本家政学会誌 Vol.62 (2011) No.11 p.721-725
- ↑ 東京都食品安全情報評価委員会 (2004年7月9日). “カンピロバクター食中毒を低減させるために” (日本語). . 2006年11月29日閲覧. 実験により、調理の際「中心部まで肉の色が変化していることを確認すれば、ほぼカンピロバクターが不活化する温度に達していると推測できる」と結論している。
- ↑ 2007年当時、鹿児島県加世田保健所に所属
- ↑ 11.0 11.1 11.2 西村雅宏 (2007年7月15日). “VOL.147 食生活がカンピロバクター食中毒を防ぐ”. メールマガジン「食中毒2001」. . 2015-5-14閲覧.