海南鶏飯
海南鶏飯(ハイナンジーファン、かいなんけいはん)は、茹で鶏と、その茹で汁で調理した米飯を共に皿へ盛り付けた米料理。台湾・香港・マレーシア・シンガポール・タイなどの東南アジアの庶民料理・屋台料理である。日本語では「ハイナンチキンライス」や「海南風チキンライス」などと訳されている。現地では、専門店や屋台で食べることができる庶民的な定食のひとつで、香港の茶餐廳やマレーシア料理店などでも一般的である。マレーシアでは宗教上の理由で牛肉や豚肉を禁忌とする人が多いのも鶏肉料理が好まれる背景である。
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概要
ニワトリの脂で炒めた白米を、ニワトリを茹でてとったスープで調理した、雞油飯と呼ばれるご飯に、茹でたとり肉のぶつ切りが添えられ、多くの場合上記のスープと共に供される。鶏肉の旨味がご飯につけられ、あっさりとした上品なうま味が特徴である。鶏肉の脂分がゼラチン状に固まった食感を楽しむ料理なので、調理後に冷ました鶏肉を使用する。
現在海南島文昌の名物となっている「文昌鶏」(ウェンチャンジー)とは似ているが別の料理である。香港、台湾、シンガポール、タイなどへ移住した海南島出身者の華僑が、海南島では昔から農家などで家庭料理として食べられていた鶏肉と米飯の料理を故郷の料理として伝えてきた。
マレーシア、シンガポールではショッピングセンターのフードコートなどではよく見られるため、マレーシア名物あるいはシンガポール名物という紹介のされ方をすることも少なくない。それぞれ独自の味や食べ方に波及しており、土着しているといえる。
カオマンガイ
タイではカオマンガイ(テンプレート:Lang-th, Khao Man Kai)として知られている。
「カオ」はご飯、「ガイ」は鶏肉を意味する。
いずれも、使用される鶏肉はタイの旧国名「シャム」に由来する軍鶏(シャモ)肉が主流であり、また米もタイで生産されたタイ米(ジャスミン米)であることから、素材の生産地から見ると、タイ料理として位置づけられているようである。
タイ国内ではこのカオマンガイ専門屋台が多数あり、見た目の素朴さだけでは分からない奥深い料理方法や秘伝のタレを競い合っている。また、日本人の口にも合う料理として、東南アジアを旅行する日本人旅行者の間でも大変人気がある。
類似の料理
- 海南鶏飯から派生した料理として、マレーシア、インドネシアではナシ・アヤム (Nasi ayam)、ベトナムではコム・ガー (Cơm Gà)、カンボジアではバーイモアンがある。ただし、調味料・調理法が大きく異なる場合が多く、ベトナムではメニューに「コム・ガー」とあっても、店によって海南鶏飯そのままのもの(コムガー・ハップ:茹で鶏飯の意)から、チャーハンにフライドチキンを乗せたもの(コムガー・ソイモー)まで幅が広い。
- 日本では、鶏だしで炊き込んだごはんとして、九州の郷土料理かしわめしが知られている。