黒沢良

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黒沢 良(くろさわ りょう、1930年10月21日 - 2011年11月9日)は、日本俳優声優ナレーター歌手黒沢良事務所代表。和歌山県和歌山市出身。本名は池田 弘典(いけだ ひろのり)[1]

来歴・人物

旧制和歌山中学(現:和歌山県立桐蔭高等学校)卒業後、法政大学関西大学和歌山大学に通うも中退。宝塚演出部、新東宝ニューフェイス(高島忠夫と同期)、俳優座養成所(3期生・愛川欽也小山田宗徳らと同期)などを経て、NHK東京放送劇団(4期生・来宮良子山内雅人らと同期)に入る。

NHKのラジオドラマ『笛吹童子』(デビュー作)、『紅孔雀』などに主演した後フリーとなり、声優として活躍。1960年代から70年代にかけて、『サンセット77』『FBIアメリカ連邦警察』のエフレム・ジンバリスト・ジュニアをはじめ当時民放各局のゴールデンタイムでお茶の間の人気を集めていた海外TVドラマシリーズの主役たちを数多く吹き替えた。洋画ではゲイリー・クーパーの声を、ほぼ全作品で吹き替えている。 世界36か国で放送され一世を風靡したカナダの料理バラエティー番組『世界の料理ショー』では、ホスト役の料理研究家グラハム・カーを軽妙なアドリブやジョークを交えて吹き替え、人気を博した。

大江戸捜査網』『長七郎江戸日記』などの連続テレビ時代劇やTVCMのナレーターとしても活躍。

また一時はNHK『お笑いオンステージ』のコメディーコーナー「てんぷく笑劇場」にレギュラー出演したり、TBSなどの生放送番組、東海テレビの競馬関連番組でMCを務めたり、歌手としてサントリー・デリカワインなどのCMソングを歌ったり、レコードを出したりと、マルチタレントとして活動していた。 後輩声優の中田浩二が主宰する劇団「櫂」の演出部に籍を置き、同劇団の公演に出演したこともある。

全日本シーエム放送連盟(ACC)CMフェスティバルコンクール賞(技術賞2回タレント賞1回)、クリオ賞内閣総理大臣賞など受賞歴も多い。

かつてアフレコ教室を主宰していたことがあり、若本規夫村山明幹本雄之一龍斎春水(旧芸名:麻上洋子)らを輩出した。

晩年は体調不良もあってナレーションの仕事に専念。BS日テレの長寿番組「BS日本・こころの歌」や民音公演などでナレーターを務めるとともに、朗読会や朗読教室などで後進の指導・育成にも力を注いでいたが、2011年11月9日、心不全のため東京都港区の病院で死去。81歳没[1][2]

エピソード

  • 太平洋戦争の真っ只中、数え年14歳の黒沢は年齢をさば読みし、自ら志願して水上特攻兵器「震洋」の特別攻撃隊に入隊する。上官にハワイアン歌手の三島敏夫がいた。配属先に向かう途中の沖縄沖で搬送船が襲撃され、燃え上がる海に投げ出されたが、幸運にも救出され九死に一生を得た。その後、配属先に辿り着いた時には部隊はすでに全滅した後で、結局そのまま本土へ帰還し、二度と戦地に赴くことなく終戦を迎えたという。元々自らの意思で捧げるつもりだった命を、不測の事態で失いかけ、結果的には無事生還して新たな人生を歩み出す。
  • 1945年7月9日の和歌山大空襲で被災した経験があり、テレビ和歌山で制作・放送されたドキュメンタリー番組『語り継ぐ 我が心の和歌山大空襲』(放送:2002年7月9日)に出演し、ナレーターを務めると共に、自らの空襲体験を語った。
  • 正式に芸能界入りするまでには、目まぐるしく波乱万丈な青年時代を送っている。旧制和歌山中学卒業後、東京大学受験のため上京したが、SKD(松竹歌劇団)観劇に夢中になっていたため受験時間を逃し、仕方なくその時点でまだ間に合った法政大学を受験して無事合格。(本人は獣医志望だったらしい)しかし、学制改革により名称も変わり男女共学となった母校・桐蔭高校に復学するため法政大を中退。高校卒業後も、関西大学、和歌山大学と転々とするが、学費と生活費不足のためいずれも中退。この間、学生ジャズバンドを組んで進駐軍で演奏したり、旅回りの一座に加わって地方巡業をしたり、生活費確保のため芸能に関連する様々な職に従事している。その後、舞台演出家を志して宝塚の演出部に入るが、女優たちの芸名と本名が憶えられず、これも断念。再度上京して、新東宝ニューフェイス、噺家の弟子を経験後、作曲家・田村茂の書生となる(兄弟弟子は歌手の岡本敦郎)が、彼の娘(後の女優・田村奈巳)の家庭教師、師匠・田村の麻雀の代打ちなど音楽修行とは程遠い毎日に嫌気が差し、今度は俳優座養成所へ。しかし、アルバイトに精を出し過ぎて体調を崩し、またも帰郷。それでも三たび奮起して上京、NHK東京放送劇団に入ったことで役者としてのキャリアをスタートさせる。
  • 世界の料理ショーグラハム・カーの影響もあってか、大の料理好き。また。仕事上長年にわたって関わりの深かった競馬も趣味である。
  • 霊感が強く、一時心霊現象を題材にした番組が各局で流行した頃、ある番組から来たメイン司会の出演依頼を断ったというエピソードがある。

後任

黒沢の持ち役・ナレーションを受け継いだ人物は以下の通り。

出演作品

テレビドラマ

  • 華やかなる濁流(1954年、NHK)
  • テレビ劇場 狼(1958年、NHK)
  • 鶴田浩二アワー 街の入墨者(1958年、日本テレビ)
  • 家庭劇場 怪傑黒頭巾(1958年、日本テレビ)
  • スリラー劇場 夜のプリズム 第11回「脚」(1959年、日本テレビ)
  • おかあさん(2) 第16回 母の祈り(1960年、TBS)
  • NECサンデー劇場 くりすます・ロータリー(1960年、NET
  • 徳川家康(1964年、NET)
  • 非情のライセンス 第2シリーズ第1話「兇悪のアリバイ」(1974年、NET)

テレビアニメ

OVA

劇場アニメ

  • サイボーグ009(1966年、東映配給) - ナレーション
  • サイボーグ009 怪獣戦争(1967年、東映配給) - ナレーション

ラジオ

ラジオドラマ

  • アロンアルファ ミステリBOX(FM-FUJI
  • FMラジオドラマ 音の本棚 第19回「ギリシャ神話」(FM東京
  • キリン夜の図書館 八つ墓村(ニッポン放送
  • 現代劇場「オモチャ箱」(文化放送
  • スリラー劇場「二ノ宮心中」(TBS
  • 東西文学ベストテン「シラノ・ド・ベルジュラック」(TBS)
  • 文芸劇場・新鋭作家シリーズ「親父の年頃」(NHK)
  • ラジオSFコーナー「梅田地下オデッセイ」(NHK)
  • ラジオ劇場「酔う」(ニッポン放送)

ナレーション

テレビ番組

映画・オリジナルビデオ

吹き替え

俳優

洋画

海外ドラマ

海外アニメ

料理バラエティ

人形劇

レコード

カセットブック・ビデオ・DVD

方言指導

司会

バラエティ

CM

脚注

  1. 1.0 1.1 ゲーリー・クーパー吹き替え…声優の黒沢良氏死去 スポーツニッポン 2011年11月12日閲覧
  2. 黒沢良事務所 伝言板
  3. 宝島”. メディア芸術データベース. . 2016閲覧.

外部リンク

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