三井不動産
三井不動産株式会社(みつい ふどうさん、英称:Mitsui Fudosan Co., Ltd.)は東京都に本社を置く日本最大手の不動産会社である。戦後一貫して不動産業界において売上1位に君臨している[1]。三井住友銀行、三井物産と共に三井グループの御三家である。
Contents
企業活動
日本橋三井タワー、霞が関ビルディング、ゲートシティ大崎などのオフィスビル、ショッピングセンター「ららぽーと」「三井アウトレットパーク」といった商業施設、大型物流施設「MFLP」、三井ガーデンホテルなどの宿泊・リゾート施設、マンション等、幅広く不動産開発事業を展開している。2017年11月からは、商業施設の会員向けなどにインターネット通販サイト「&mall」を運営している[2]。
1941年に三井合名会社不動産部門を分離して設立された後、米国占領下の融資規制等のため株主安定化がなかなか実現しなかったが、1959年頃に解決した[1]。このことが業界「ツー・トップ」だった三菱地所と比べてビル事業が比較的小規模なままにとどまっていた一因だった[1]。その後、高度経済成長期には地方都市にいち早く進出。東京都内では超高層ビル事業を積極的に進め、1968年に霞が関ビルを完成させた[1]。日本初の超高層ビルの竣工であり、これにより三井不動産は知名度を上げた[3]。1958年に浚渫埋立事業、1961年に宅地分譲事業、1964年に別荘地分譲事業、1968年に戸建住宅分譲事業・マンション分譲事業など事業を多角化した[1]。
1991年より、三井不動産グループのロゴマークとして、「&」を象ったロゴマークを使用している。&は同じ三井グループである三井物産が英称 (Mitsui & Co., Ltd) として使用しており、英語圏では人名のみで構成される会社名を表記する際に慣習的に使用されるものである(他にはTiffany & Co. 等の例がある)が、三井不動産では、共存・共生の理念を表すものとして、or ではなく、価値観の相克を乗り越えて新たな価値観を創出していくことを表すものであるとしている [4]。
日本橋東急百貨店(旧白木屋)の閉店をきっかけとして同地区周辺の再開発を進め、2004年(平成16年)にはコレド2、3(日本橋一丁目ビルディング)をオープンさせた[5]。さらに2007年(平成19年)春には六本木の防衛庁跡地に総合複合再開発として東京ミッドタウンを開業。同施設にはリッツ・カールトン東京(ホテル)やサントリー美術館が入居した。
分譲住宅事業は2006年にグループ会社の三井不動産レジデンシャルとして分社化された[6]。
三井グループの大手として、二木会[7]、月曜会、三井広報委員会[8]、三井業際研究所[9]、綱町三井倶楽部[10]の会員会社であり、三井文庫の賛助会社でもある[11]。
沿革
- 1914年(大正3年) - 三井合名会社に不動産課が設置される(三井本館を管理する部署として設置された)。
- 1941年(昭和16年)7月15日 - 三井合名会社から不動産部門を分離され、全株を三井家が所有する三井不動産株式会社として設立。
- 1949年(昭和24年)5月 - 東京証券取引所市場第一部に上場。
- 1956年(昭和31年)10月 - 財閥解体に伴って清算中だった、株式会社三井本社を吸収合併。
- 1960年(昭和35年)7月 - 京成電鉄等と共同出資、株式会社オリエンタルランドを設立。
- 1964年(昭和39年)5月 - 三信建物株式会社を吸収合併。
- 1968年(昭和43年)4月 - 日本初の超高層ビルである、霞が関ビルディング竣工。
- 1969年(昭和44年)7月 - 三井不動産販売株式会社(現三井不動産リアルティ)設立。
- 1970年(昭和45年)4月 - 朝日土地興業株式会社を吸収合併。
- 1974年(昭和49年)
- 9月 - 新名古屋ビル株式会社を吸収合併。
- 10月 - 新宿三井ビルディング竣工。三井ホーム株式会社設立。三井不動産建設株式会社設立。
- 1981年(昭和56年)4月 - ショッピングセンターららぽーと(千葉県船橋市)が営業開始。
- 1983年(昭和58年)4月 - オリエンタルランドが東京ディズニーランドを開業。
- 1989年(平成元年) - 新川崎三井ビルディング竣工。
- 1991年(平成3年) - 創立50周年を機に、「&」を象ったマークを導入した。デザインは浜野商品研究所が担当した[12]。
- 1998年(平成10年) - 「横浜ベイサイドマリーナショップス&レストランツ」開業。
- 2005年(平成17年)7月 - 三井本館の隣に日本橋三井タワー竣工。千疋屋本店や東レ本社が入居。
- 2006年(平成18年)
- 日付不明 - コレド日本橋(日本橋一丁目三井ビル)竣工。LALAガーデンつくばを茨城県つくば市に開業(運営主体はららぽーとマネジメント株式会社)。
- 9月28日 - 「ラゾーナ川崎プラザ」竣工。
- 2007年(平成19年)
- 2012年(平成24年)2月 - 横浜三井ビルディング竣工。また、7月には同ビルの2階に「原鉄道模型博物館」開業。
- 2015年(平成27年)2月6日 - 日本橋本町に、当社と武田薬品不動産及び武田薬品工業が地上24階と地下4階のオフィスビル「新東京武田ビル」が着工。
歴代社長
主な保有ビル・商業施設
- 三井本館
- 日本橋三井タワー
- 日比谷三井ビルディング(元三井銀行本店、旧三井住友銀行本店)→ 解体
- 三井住友銀行本店ビルディング…丸の内に所在したJFE本社ビル(旧日本鋼管本社)跡地に新築。三井住友銀行(および持株会社の三井住友フィナンシャルグループ)が本店を置く。
- 新宿三井ビルディング
- 西新宿三井ビルディング
- 銀座三井ビルディング
- 中之島三井ビルディング
- 新川崎三井ビルディング
- 横浜三井ビルディング
- 霞が関ビルディング
- 汐留シティセンター
- 神保町三井ビルディング
- 日本橋一丁目三井ビルディング(COREDO日本橋)
- 室町東三井ビルディング(COREDO室町1)
- 室町古河三井ビルディング(COREDO室町2)
- 室町ちばぎん三井ビルディング(COREDO室町3)
- 飯田橋グラン・ブルーム
- ゲートシティ大崎
- 大崎ブライトタワー
- ワールドビジネスガーデン
- 東京ミッドタウン
- グラントウキョウノースタワー
- 赤坂Bizタワー
- ダイバーシティ東京
- 広島アルパーク
- モード学園スパイラルタワーズ
主要グループ会社
住宅事業
- 三井不動産レジデンシャル - 住宅分譲事業
- 三井不動産リアルティ - 住宅流通事業「三井のリハウス」、駐車場の運営管理事業「三井のリパーク」
- 三井ホーム - 2x4の住宅の建築・販売
- 三井不動産レジデンシャルリース - 賃貸住宅の管理運営などを行う「三井の賃貸」
- 三井不動産レジデンシャルサービス - マンション管理会社
ビル事業
- 三井不動産ビルマネジメント - ビルマネジメント会社
- 三井不動産ファシリティーズ - 首都圏を中心に事業展開している総合建物管理会社
- 三井不動産ファシリティーズ・ウエスト - 関西・中京圏を中心に事業展開している総合建物管理会社
ホテル事業
- 三井不動産ホテルマネジメント - 三井ガーデンホテル及びセレスティンホテルの運営
- ハレクラニ・コーポレーション - ハワイでハレクラニ等のホテル運営
ショッピングセンター事業
- 三井不動産商業マネジメント - 商業施設「ららぽーと」、およびアウトレットの運営管理
リゾート事業
インテリア事業
- 三井デザインテック - インテリアコーディネート、インテリア商品販売
装花・緑花事業
- 第一園芸 - 花の小売、緑化事業
過去のグループ会社
広告活動
テレビ番組
ナショナルスポンサーの場合、全国共通CMのほかに放送エリアに関連した地域限定CMを流すことが多い。
スポンサー番組
- ワールドビジネスサテライト(テレビ東京。平日23時00分 - 23時55分)
- たけしのニッポンのミカタ!(テレビ東京。金曜22時00分 - 22時54分。2009年4月 - )
- 財津和夫の人生ゲーム21〜心の旅〜(東海ラジオ。土曜13時30分 - 14時00分。2010年10月2日 - )
- 三井不動産及び三井不動産グループの提供。また番組CMでも、番組の宣伝とともに、スポンサーのPRも行われており、毎回1社のCMが後半部分に放送される。なおジャズドリーム長島のCMは宣伝CMではなく、イメージタイプのCMが放送されている。
過去のスポンサー番組
- 三井不動産アニメワールド(日本テレビ。土曜 18時30分 - 19時00分。一社提供。1989年10月14日 - 1992年9月5日)
- たけしの誰でもピカソ(テレビ東京。金曜22時00分 - 22時54分。開始時期不明 - 2009年3月)
- はなまるマーケット(TBS。平日8時30分 - 9時55分。2011年)
- 情報プレゼンター とくダネ!(フジテレビ。平日8時00分 - 9時55分〈日替わり提供〉)
など
不祥事
- パークシティLaLa横浜
三井不動産が事業者の一社として建設した神奈川県横浜市のマンション「パークシティLaLa横浜」[14]で、虚偽データに基づいた工事が行われ複数の杭が地中の強固な地盤に届いておらず建物が傾いていることが2015年10月に発覚し、耐震の安全性が疑われた[15]。日本経済新聞はこの問題で三井不動産グループのブランドイメージが低下する恐れがあるとした[16]。同市では前年(2014年)にも住友不動産が分譲したマンションで同様の問題が発覚し、指導が行われていた[17]
- 浦安市の東日本大震災による液状化
浦安市で三井不動産が1981年に分譲した分譲住宅「パークシティ・タウンハウス3」の住民ら32人が、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による液状化で住宅に被害を受けた原因が、適切な地盤改良工事がなかったことにあるとして、三井不動産と関連会社を2012年2月に提訴した[18]。住民ら36人が三井不動産などに約8億4200万円の損害賠償を求めていたが、当時の知見では想定されていなかったとして2014年に三井不動産らが勝訴した[19]。2003年に三井不動産が分譲をはじめた集合住宅「ファインコート新浦安」の住民も液状化被害について三井不動産を訴えたが、2014年に棄却された[20]。
産地を偽装したコンクリートが使用されていた問題
宇部興産の子会社である宇部コンクリートが産地を偽装した石灰石を使用し、JIS認定不適合のコンクリートを出荷していた[21]
東京ディズニーリゾートとの関係
- 東京ディズニーリゾート - 運営会社であるオリエンタルランド設立時からディズニーパークの誘致に携わった経緯もあり(ただしビジネスジャーナル編集部によれば『日本経済新聞』の「私の履歴書」で高橋政知が当時の三井不動産はディズニーの誘致に積極的でなかったと回想した[22])、オフィシャルスポンサーに名を連ね、以下の施設のスポンサーとなっている。
脚注・出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 橘川武郎 高度成長期の三菱地所と三井不動産 日本住宅総合センター 不動産業に関する史的研究(Ⅲ)(日本住宅総合センター、1996.11)所収 調査研究リポート No.94241
- ↑ 商業施設と連携した新しいコンセプトのファッションECモール Mitsui Shopping Park &mall(アンドモール)~2017年11月1日(水)グランドオープン~三井不動産ニュースリリース(2017年11月1日)2018年6月7日閲覧。
- ↑ 今を切り拓き、未来を建設する不動産会社三井不動産株式会社 野村インベスター・リレーションズ 三井不動産株式会社 先駆者たちの大地 IRマガジン 2002年5~6月号 Vol.55
- ↑ http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/csr/2010/environment/policy/index.html
- ↑ 「日本橋再生計画」に見るディベロッパーに求められる役割--三井不動産 2014年10月27日 経済界
- ↑ 横浜支店 支店長 徳川浩一 ニューフェイスコーナー 横浜中法人会
- ↑ 六大企業集団の無機能化 (PDF) - 同志社大学学術情報検索システム内のページ。筆者は経済学者の田中彰。
- ↑ 三井広報委員会
- ↑ 会員会社 - 三井業際研究所
- ↑ 綱町三井倶楽部会員会社一覧
- ↑ 公益財団法人 三井文庫【賛助会社】
- ↑ 『ロゴの秘密』 高橋書店編集部、高橋書店、2013年、170-171。ISBN 978-4-471-19122-1。
- ↑ 株式会社リテールアンドホテルプロパティーズとの合併契約書締結のお知らせ (PDF) - 三井不動産・平成19年3月23日
- ↑ 開発面積約13haの商業・分譲住宅の大規模複合開発「ららぽーと横浜」「パークシティLaLa横浜」起工式挙行 平成17年11月30日 三井不動産株式会社
- ↑ 水戸健一、坂口雄亮 虚偽データ施工:横浜の大型マンション1棟傾いた状態 毎日新聞 10月14日(水)11時34分配信
- ↑ 旭化成建材がデータ改ざん 横浜の傾いたマンション 旭化成、調査委員会を発足 2015/10/15 0:07 (2015/10/15 1:02更新) 日本経済新聞 電子版
- ↑ “傾きマンション、杭施工記録に改ざんの跡 旭化成子会社”. 朝日新聞. (2015年10月15日3時9分)
- ↑ 牧田司 液状化被害で住民が三井不動産を提訴した問題を考える 2012/2/3 提供:RBAタイムズWeb版
- ↑ 千葉・浦安の液状化、住民側の訴え棄却 東京地裁 日本経済新聞 2014/10/8 11:19
- ↑ 【東日本大震災】また住民敗訴 浦安の液状化訴訟 2014.10.31 16:25更新 産経ニュース
- ↑ “宇部興産の子会社、無認定生コンを12年間出荷:朝日新聞デジタル” (ja-JP). 朝日新聞デジタル. (2018年5月29日). 2018-05-29 . 2018閲覧.
- ↑ “ディズニーランド建設秘話 大型利権に群がり、地上げヤクザが暗躍 三井・京成は内紛続き”. livedoorニュース. (2013年4月13日)
外部リンク
- テンプレート:JOCオフィシャルスポンサー(2015-2020)
テンプレート:Commercial establishment of Mitsui Fudosan Group