都道府県道

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都道府県道(とどうふけんどう)とは、日本における道路の種類のひとつ。道路法で指定された道路で、都道府県知事が認定し、その都道府県が管理をしている[1]

概要

ファイル:Tochigi Prefectural road 215 Labeled.JPG
県道路線番号標識の設置例(栃木県)

地域的な幹線道路網を構成し、かつ、以下の各号のいずれかに該当する道路で、都道府県知事がその都道府県の区域内の部分について当該都道府県議会の議決を経て路線を認定したもののことをいう(道路法第7条)。ただし、政令指定都市を通過するもの、他都府県の区域に亘るものについては、それぞれに協議等の手続きを定めた規定がある。そのうち、都(東京都)が認定したものを都道(とどう)、道(北海道)が認定したものを道道(どうどう)、府(大阪府京都府)が認定したものを府道(ふどう)、その他の43県が認定したものを県道(けんどう)という[2]

  1. 又は人口5000人以上の(以下これらを「主要地」という)とこれらと密接な関係にある主要地、港湾法第2条第2項 に規定する重要港湾若しくは地方港湾、漁港漁場整備法(旧称・漁港法)第5条に規定する第二種漁港若しくは第三種漁港若しくは飛行場(以下これらを「主要港」という。)、鉄道若しくは軌道の主要な停車場若しくは停留場(以下これらを「主要停車場」という。)又は主要な観光地とを連絡する道路
  2. 主要港とこれと密接な関係にある主要停車場又は主要な観光地とを連絡する道路
  3. 主要停車場とこれと密接な関係にある主要な観光地とを連絡する道路
  4. 2以上の市町村を経由する幹線で、これらの市町村とその沿線地方に密接な関係がある主要地、主要港又は主要停車場とを連絡する道路
  5. 主要地、主要港、主要停車場又は主要な観光地とこれらと密接な関係にある高速自動車国道一般国道又は前各号の一に規定する都道府県道とを連絡する道路
  6. 前各号に掲げるものを除く外、地方開発のため特に必要な道路

これに従い、たとえば東京都では次のように認定要件を分類している(特例都道を除く)。

  1. 主要地
    1. 主要地と主要地とを連絡する道路
    2. 主要地と湾岸(含漁港)とを連絡する道路
    3. 主要地と飛行場とを連絡する道路
    4. 主要地と主要停車場とを連絡する道路
    5. 主要地と主要な観光地とを連絡する道路
  2. (主要
    1. 主要港と主要停車場とを連絡する道路
    2. 主要港と主要な観光地とを連絡する道路
  3. 主要停車場と主要な観光地とを連絡する道路
  4. 二以上の市町村
    1. 二以上の市町村と主要地とを連絡する道路
    2. 二以上の市町村と主要とを連絡する道路
    3. 二以上の市町村と主要停車場とを連絡する道路
  5. 国道
    1. 主要地と高速自動車国道、国道又は前各路線とを連絡する道路
    2. 主要と高速自動車国道、国道又は前各路線とを連絡する道路
    3. 主要停車場と高速自動車国道、国道又は前各路線とを連絡する道路
    4. 主要な観光地と高速自動車国道、国道又は前各路線とを連絡する道路
  6. 地方開発のため特に必要な道路

主な特徴

国道などの道路との違いは、整理番号とよばれる路線の番号と、路線名の両方を持つ。整理番号は1桁から3桁までの路線がほとんどで、路線数が最も多い北海道のみ4桁の整理番号が存在する[2]。路線名の多くは起点と終点の地名を並べたものとするものが多く、場合により経由地を挟むことがある[3]。ただし沖縄県だけは、かつて戦後のアメリカ占領時代の歴史の名残で、路線名の無い番号だけの県道が多い[4]

路線に指定される道路は、昔からの街道筋が指定された道路や、地域間の生活道路が多く、かつて一般国道だった旧道が国道指定を解除されて都道府県道になるケースもある[2]

路線の規模や道路状況は様々で、東京都道311号環状八号線大阪府道2号大阪中央環状線など一般国道をも凌ぐほど大きな規模の道路や、首都高速阪神高速などの都市高速道路も都府県道扱いである[2]。これとは対照的に、都道府県道に指定された道路の中には通行困難区間も存在しており、狭隘道路や、オフロードの区間も多数存在する[5]。このほか、指定されている区間のなかには登山道相当のもの(京都府道782号・滋賀県道781号醍醐大津線など)や、人の通れる道がないもの、住宅地や商店街にある路地と路地を繋ぐもの、ゴルフ場・牧場などの場内を通り抜けるものなどがあり、その多くは事実上、道路としての機能が大幅に抑制されているか機能していない。主に道路踏破を趣味とする者たちの一部には、整備不十分な国道を「酷道」と揶揄した表現をすることがあるが、県道については「険道」という表現がある[6]

路線の管理

都道府県道の管理はその路線の存する都道府県が行うが、政令指定都市の区域内においては一般国道指定区間外と同様にその路線の存する市が行うほか、岡山県などは政令指定都市以外の市でも管理を移管している場合もある[7]。なお、路線の一部が隣県にまたがって通る路線は片方の都道府県が管理をしている場合もある(例:岩手県道・宮城県道295号藤沢大籠線岩手県が全線を管理している)。

都道府県道(および政令指定都市内の市道)のうち、主要なものであるとして建設大臣(現国土交通大臣)が指定した道路を主要地方道という[8]。主要地方道と特例都道以外の都道府県道は、一般都道府県道と呼ばれる。また、都の特別区内で完結する都道は上記の道路法第7条第1項によらず、都知事が路線指定を行い、このうち主要地方道以外のものを特例都道(とくれいとどう)という(道路法第89条)が、実質的な機能は一般都道と同一である。

主要地方道

幹線道路の役割を担う道路として国土交通大臣が指定した都道府県道で、道路地図の多くや都道府県道番号標識では緑色の線で表示される[9]。原則として1 - 100の整理番号が付与される路線で[10]、例外として、北海道は1号から151号までの番号が[8]、福岡県は1号から100号と151号が付与されている。また、東京都のみ整理番号300番台の路線を、特例主要地方道としており、東京都道317号環状六号線(山手通り)、東京都道318号環状七号線東京都道311号環状八号線などがある。主要地方道では、道路の整備・維持費用の一部が国庫より補助され、一般都道府県道と違い財政面で優遇される[8]。都道府県道ではない主要地方道に指定された政令指定都市が管理する市道などいくつかあり、横浜環状1号線京都環状線などの路線がこれにあたる[8]

路線の整理番号・路線名

都道府県道には3つの名前がある、と言われる。東京都道5号を例に挙げると、

  1. 整理番号: 5
  2. 路線名: 新宿青梅線
  3. 通称: 青梅街道・新青梅街道

である。

整理番号

整理番号の付番については、各都道府県によってまちまちで、規則性などの特別な決まりはない[5]。一部で例外はあるが、原則として主要地方道には1 - 100番までの番号、一般県道には101番以降を採番するように国から各都道府県に通達されている[10]

山梨県などの一部の県では、県内の地域ごとに100番台、200番台という具合に割り当てられる例もあり、この場合は番号が通し番号とならず欠番が多い[5]。また、都道府県道扱いの自転車専用道路に対して大きな番号を割り当てる県もあり、茨城県の例では500番台が付与されているように番号で明確に区別されている[11]

神奈川県福井県では、県内を走る一般国道と同じ県道番号は混乱を避けるため欠番にして、県内に同じ番号を持つ国道と県道が存在しないように工夫をしている[11]。なお、神奈川県では、整理番号(路線認定の手続きの際に付す番号)と県道番号(一般の案内のため、標識等で使用する番号)を分けている。また、東京都道の「新宿副都心十三号線」は、全体が路線名で、整理番号がない。このほか、東京都道である首都高速道路の路線(特例都道のみ)、大阪府道や兵庫県道である阪神高速道路の路線にも整理番号は付番されていない。北海道においては、整理番号のほかに路線管理番号(道路現況調書で用いられる番号。主要道道においては整理番号+1000、一般道道においては整理番号+3000)が存在し、特に一般道道においては、路線管理番号を標識に使用する場合がある。たとえば、北海道道486号豊田当麻線では、全線にわたって路線管理番号である「3486」が標識に使用されている。鹿児島県では主要地方道と一般県道については整理番号が通し番号となっているが、一般県道である自転車道の整理番号については1番から別に付番しており、鹿児島県道1号及び鹿児島県道2号は2路線存在する。

路線名

通常、路線名は起点と終点の名称を組み合わせたものとなる。ただし、起点と終点のほかに重要な経過地の名称を路線名に含めることがあるほか、主要港や主要停車場を起点として他の国道や都道府県道などの主要道路とを連絡する路線の場合は「○○港線」「○○停車場線」といった路線名となることもある。とりわけ、停車場線と名の付く路線は、都道府県道だけに見られる路線名であり、JR(旧国鉄)やその他私鉄に関係なく全国各地の鉄道駅とを結んでおり[注釈 1]、いわゆる駅前通りとよばれる短距離の路線が多い[12]。また、地方開発を目的に自転車専用道路として整備した道路を都道府県道に指定した路線もあり、この場合は「○○自転車道線」といった路線名となり、鉄道廃線跡や川辺の堤防などが転用されているところが多い[13]

なお、路線名の付け方も整理番号と同様、国から各都道府県に通達によって指示されている[10]

  • 起点とするもの:主要な観光地・主要停車場・主要地・主要港
  • 終点とするもの:国道・都道府県道・高速自動車国道(インターチェンジ等)

路線名と通称はその範囲が一致しないことが多い。都市部以外では通称のついていない区間も多い。

都道府県道の標識

都道府県道整理番号標識は第3次主要地方道認定が行われた1971年昭和46年)に制定され、同年6月に整理番号を改正した兵庫県1972年4月から設置開始)を皮切りに各都道府県で設置普及が進んだ。1994年平成6年)の和歌山県福井県を最後に全都道府県で路線番号標識が設置された。

標識の意匠は、青色地に白色の縁取りがされ、角に丸みを帯びた正六角形をしており、各都道府県とも上段に県道の場合「県道」のほか「都道」「道道」「府道」の文字、中央に整理番号、下段に都道府県名を白色文字で記入された標準のもので全国的に統一されている。ただし例外もあり、千葉県などで見られる中央に路線名を配した県独自による古いタイプものが残っていたり、福島県では路線番号と路線名を別々に記載した県独自の2段重ね型の六角形標識もみられる[14]。また、特殊なものでは、1990年の国際花と緑の博覧会を機に上段の府道を「ROUTE」、府名を「Osaka」に置き換えた大阪府道の標識や、やや縦長の六角形をした北海道道の標識があったり[14]静岡県道223号では海上フェリーに建てられた標識の中に、絵を描いたものまである[13]

一部の道路愛好家のあいだでは、一般国道の標識を俗に「おにぎり」と称するのに対し、都道府県道の標識を六角形の形から、英語読みのヘキサゴン(英:hexagon)からとった俗称として「ヘキサ」とよばれることが多い[11]

複数の都府県にわたる路線の整理番号

かつて都道府県道の路線番号案内標識が存在しなかった時代に、複数の都府県にわたる路線では各都府県で整理番号が異なることが多かった[11]。しかし、標識で番号を表示するようになると案内上の不都合が生じてきたため、このような路線ではできるだけ同一の整理番号になるように都府県間で調整するよう建設省(現: 国土交通省)が1995年(平成7年)頃に通達をだし、現在では境界を跨ぐ都府県道のほとんどで同一の番号を使用するように整理番号の変更がなされた[11]東海地方中国地方四国地方九州地方では1970年代前半に路線番号の統一が行われた(鳥取県道は比較的遅く1984年施行)が、東日本近畿地方では1994年まで大半の都府県道の整理番号がまちまちの状態であった。ただし今も、山梨神奈川静岡県を跨ぐ県道山中湖小山線のように、同一路線であっても県によっては整理番号が変更されず、他の都府県間と番号統一されていない県道もいくつか存在する[11]

ウィキペディア日本語版では、記事名を東京都道5号新宿青梅線東京都道・神奈川県道3号世田谷町田線(起点が左)、栃木県道・群馬県道・埼玉県道・茨城県道9号佐野古河線(起点が左)、東京都道20号・神奈川県道525号府中相模原線のようにしている。

特徴のある都道府県道

3か所以上の都府県にわたる都道府県道

4県

3都府県

複数の県に跨がるが一方が認定していない県道

延長が100km以上の都道府県道

延長が10m以下の都道府県道

このほかに、鳥取県道307号覚寺青葉線のように路線の認定はされているが未供用のまま実延長がない県道が存在する。

脚注

注釈

  1. 廃線等の理由で駅が廃止されたところでも、かつての名残として「停車場線」と名のつく県道もいくつか残存する[12]

出典

  1. ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 217.
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 佐藤健太郎 2014, p. 188.
  3. 佐藤健太郎 2014, pp. 188-189.
  4. 佐藤健太郎 2014, p. 189.
  5. 5.0 5.1 5.2 佐藤健太郎 2014, p. 194.
  6. 佐藤健太郎 2014, p. 58.
  7. 市町村に移譲された事務・権限の一覧 - 岡山県、2009年4月1日
  8. 8.0 8.1 8.2 8.3 佐藤健太郎 2014, p. 190.
  9. 佐藤健太郎 2014, pp. 189-190.
  10. 10.0 10.1 10.2 平成6年6月30日 建設省道政発第33号「都道府県の路線認定等について」(各都道府県知事宛、建設省道路局長通達)によって国から各都道府県に通達されている。
  11. 11.0 11.1 11.2 11.3 11.4 11.5 佐藤健太郎 2014, p. 195.
  12. 12.0 12.1 佐藤健太郎 2014, p. 192.
  13. 13.0 13.1 佐藤健太郎 2014, p. 193.
  14. 14.0 14.1 佐藤健太郎 2014, pp. 196-197.

参考文献

関連項目

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