中島卓也
中島 卓也(なかしま たくや、1991年1月11日 - )は、北海道日本ハムファイターズに所属する福岡県糟屋郡宇美町出身のプロ野球選手(内野手)。右投左打。
Contents
経歴
プロ入り前
福岡県立福岡工業高等学校では、「1番・遊撃手」として活躍。2008年春の九州大会では、エースの三嶋一輝などと共にチームを初優勝に導いた。その一方で、野球と両立しながら、国家資格の危険物取扱者などの5つの資格を取得している。
NPBの球団からの評価は高くなく、ドラフト会議の指名に向けた調査書も、わずか1球団から届いただけであった[1]。しかし、2008年のNPBプロ野球ドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズから5巡目で指名。契約金2,500万円、年俸480万円(金額は推定)という条件で入団した。担当スカウトは内野手出身の岩井隆之[1]で、入団当初の背番号は56。福岡工業高校からドラフト会議での指名を経てNPBの球団へ直接入った選手は、中島が初めてであった。
プロ入り後
2009年、一軍公式戦への出場機会はなかったものの、イースタン・リーグの公式戦では、高卒の新人野手ながらチームトップの出場数(97試合)や犠打数(17)をマーク。リーグの最終規定打席へ到達したが、打率は規定打席到達者31人中30位の.211で、遊撃手としてはリーグ2位の15失策を記録した。
2010年、イースタン・リーグ公式戦70試合に出場すると、チームトップの15犠打を記録。打率も.220と前年から若干上昇したが、2年連続の最終規定打席到達はならず、一軍への昇格にも至らなかった。
2011年、4月20日の対オリックス・バファローズ戦(ほっともっとフィールド神戸)で、二塁の守備要員として一軍公式戦にデビュー。一軍公式戦全体では、8試合の出場で1打席に立っただけだが、1盗塁2得点を記録した。
2012年、代走・守備要員として一軍に定着すると、一軍公式戦105試合に出場。しかし、打率は.114で、盗塁も2個にとどまった。
2013年、一軍公式戦の開幕当初は、前年に続いて、代走・守備要員としての起用が多かった。しかし、正二塁手の西川遥輝が故障で戦線を離脱した間に二塁手へ抜擢されると、西川の復帰後もしばらくポジションを譲らなかった。その一方で、正遊撃手の大引啓次が離脱した直後には遊撃を守るなど、内野のユーティリティプレーヤーとしてスタメン出場の機会を増やした。また、走塁面で高い盗塁技術を発揮した結果、一軍公式戦で通算23盗塁をマーク。盗塁の成功率は9割を超えた。打撃面でも、打率を.238にまで上昇させたほか、初の長打・打点を記録。このように成長を背景に、シーズン終了後から背番号を9に変更している。
2014年、2月の春季キャンプの時点では、二塁手として西川に次ぐ2番手と扱われていた[2]。シーズン中の一軍公式戦で遊撃や三塁を守る機会もあったが、併殺時の送球の精度が高かったこと[2]などから、 二塁手として定着[2]。俊足ながら送球に難のあった西川は、内野手登録のまま、事実上外野手へ転向した。打撃面では、シーズン序盤こそ打順が定まっていなかった[2]ものの、8月14日の対ロッテ戦以降は2番打者に定着[2]。一軍公式戦では126試合へ出場すると、パシフィック・リーグ(パ・リーグ)の最終規定打席へ初めて到達するとともに、打率.259、28盗塁を記録した[3]。
2015年、パ・リーグ公式戦全143試合およびオールスターゲームへの出場を初めて果たすとともに、自己最高の打率.264をマーク。さらに、34盗塁で盗塁王のタイトルを獲得したほか、パ・リーグ遊撃手部門のベストナインに初めて選ばれた。シーズン終了後に開催の第1回WBSCプレミア12で日本代表への初選出を果たした[4]ものの、実際には出場機会が少なく、1犠打1得点を記録しただけで大会を終えた。
2016年、一軍公式戦で2年連続の全試合出場を果たすとともに、パ・リーグ公式戦シーズン最多タイ記録(NPB史上3位)の62犠打をマーク。打率を.243、盗塁を23に減らしたものの、4年連続の一軍公式戦20盗塁を達成した。また、シーズン終了後に開催の「侍ジャパン 野球オランダ代表 野球メキシコ代表 強化試合」にも、日本代表の一員として出場[5]。シーズン終了後の契約交渉では、推定年俸1億円で翌2017年の契約を更改した。
2017年、NPBオープン戦期間中の第4回ワールド・ベースボール・クラシック本大会に向けて日本代表に選ばれていたが、前シーズンからの疲労の蓄積を理由に参加せず[6]、NPBレギュラーシーズンの開幕に向けた調整を優先。7月30日に故郷・福岡県の福岡ヤフオク!ドームで催された対福岡ソフトバンクホークス戦では、人生初の柵越え本塁打[7]を、武田翔太からライト側ホームランテラスへのソロ本塁打で記録した[8]。NPB実働9年目・一軍公式戦への出場723試合目での初本塁打で、NPBの一軍公式戦で1本でも本塁打を放った選手としては、一軍公式戦の初打席から最も多くの打席(通算2287打席)を要した末の初本塁打でもあった[9]。しかし、8月6日の対オリックス戦(京セラドーム大阪)9回表の打席で遊撃へゴロを放って一塁へ走り込んだ際に、元チームメイトで一塁手の小谷野栄一と接触した影響で左足の踵を負傷。翌7日に踵骨下の滑液包炎と診断されると、同日付で出場選手登録を抹消されたため、2015年シーズンから始まった一軍公式戦での全試合スタメン出場記録が2シーズンで途切れた[10]。一軍のレギュラーシーズン最終戦であった10月9日の対楽天戦(Koboパーク宮城)で遊撃の守備要員として実戦復帰を果たしたものの、出場試合数は91、打率は.208、盗塁数は11にとどまった。
2018年は、この年から選手会長へ就任[11]。一軍公式戦の開幕を再び正遊撃手として迎えると、5月12日の対ソフトバンク戦(福岡ヤフオク!ドーム)では、1点ビハインドの2回裏1死満塁から一軍公式戦通算2本目の本塁打をリック・バンデンハークから放った[12]。
選手としての特徴
軽快なグラブ捌き[1]と判断力に優れた走塁、コースに逆らわないシュアなバッティングが持ち味で、スローイングも正確性が高い[1]。守備位置については2014年には二塁手として、2015年には遊撃手として規定試合数に到達し[13][14]、2014年には二塁手としてUZR9.2[15]、2015年にも遊撃手としてゴールデングラブ賞の今宮健太を上回る数値を記録した[16]。日本ハムの九州担当スカウトを務めていた岩井も高校時代の中島の試合を観戦して、スローイングの良さから宮本慎也との共通点を感じたと語っている[17]。
また、際どいコースのボールをカットしファウルにする技術を持ち[18]、2015年には両リーグトップのファウル数を記録した[19]。周囲からは努力の人であると高く評価されている[1]。
2016年、TBSのバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』の「人生で1度もホームラン打ったことないプロ野球選手などいない説」の取材の中で、アマチュア時代も含め生涯の公式戦で柵越え本塁打を一度も打ったことがないと語っていた[20]が、前述の通り2017年のNPB公式戦で人生初の公式戦柵越え本塁打を放った。
詳細情報
年度別打撃成績
年 度 |
球 団 |
試 合 |
打 席 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
塁 打 |
打 点 |
盗 塁 |
盗 塁 死 |
犠 打 |
犠 飛 |
四 球 |
敬 遠 |
死 球 |
三 振 |
併 殺 打 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2011 | 日本ハム | 8 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .000 | .000 | .000 | .000 |
2012 | 105 | 82 | 70 | 9 | 8 | 0 | 0 | 0 | 8 | 0 | 2 | 0 | 11 | 0 | 1 | 0 | 0 | 17 | 0 | .114 | .127 | .114 | .241 | |
2013 | 127 | 272 | 223 | 24 | 53 | 5 | 0 | 0 | 58 | 8 | 23 | 2 | 26 | 1 | 21 | 0 | 1 | 47 | 2 | .238 | .305 | .260 | .565 | |
2014 | 126 | 461 | 382 | 55 | 99 | 9 | 3 | 0 | 114 | 32 | 28 | 9 | 35 | 1 | 43 | 0 | 0 | 92 | 4 | .259 | .333 | .298 | .632 | |
2015 | 143 | 617 | 515 | 69 | 136 | 8 | 2 | 0 | 148 | 39 | 34 | 7 | 34 | 0 | 66 | 0 | 2 | 93 | 10 | .264 | .350 | .287 | .637 | |
2016 | 143 | 600 | 473 | 65 | 115 | 10 | 1 | 0 | 127 | 28 | 23 | 9 | 62 | 1 | 63 | 0 | 1 | 117 | 5 | .243 | .333 | .268 | .601 | |
2017 | 91 | 331 | 283 | 26 | 59 | 1 | 2 | 1 | 67 | 13 | 11 | 3 | 25 | 0 | 23 | 0 | 0 | 80 | 2 | .208 | .268 | .237 | .505 | |
NPB:7年 | 743 | 2364 | 1947 | 251 | 470 | 33 | 8 | 1 | 522 | 120 | 122 | 30 | 193 | 3 | 217 | 0 | 4 | 447 | 23 | .241 | .318 | .268 | .586 |
- 2017年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
年度別守備成績
年 度 |
二塁 | 三塁 | 遊撃 | 外野 | ||||||||||||||||||||
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試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 | |
2011 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1.000 | - | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .000 | - | ||||||||||
2012 | 28 | 19 | 22 | 0 | 5 | 1.000 | 3 | 0 | 5 | 0 | 0 | 1.000 | 73 | 41 | 81 | 2 | 14 | .984 | - | |||||
2013 | 91 | 159 | 221 | 4 | 42 | .990 | - | 44 | 42 | 78 | 5 | 17 | .960 | - | ||||||||||
2014 | 99 | 239 | 320 | 9 | 62 | .984 | 13 | 6 | 14 | 1 | 2 | .952 | 21 | 23 | 38 | 2 | 5 | .968 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .--- |
2015 | - | - | 143 | 215 | 450 | 14 | 79 | .979 | - | |||||||||||||||
2016 | - | - | 143 | 219 | 447 | 14 | 100 | .979 | - | |||||||||||||||
2017 | - | - | 91 | 128 | 260 | 9 | 42 | .977 | - | |||||||||||||||
通算 | 220 | 417 | 565 | 13 | 109 | .987 | 16 | 6 | 19 | 1 | 2 | .962 | 516 | 668 | 1354 | 46 | 257 | .977 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .--- |
- 2017年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
タイトル
- 盗塁王:1回 (2015年)
表彰
- ベストナイン:1回 (遊撃手部門:2015年)
記録
- 初記録
- 初出場:2011年4月20日、対オリックス・バファローズ2回戦(ほっともっとフィールド神戸)、8回裏に田中賢介に代わり二塁手で出場
- 初打席:同上、9回表に鴨志田貴司の前に見逃し三振
- 初盗塁:2011年4月24日、対東北楽天ゴールデンイーグルス3回戦(ほっともっとフィールド神戸)、9回表2死に二盗(投手:片山博視、捕手:井野卓)
- 初先発出場:2012年4月7日、対千葉ロッテマリーンズ2回戦(QVCマリンフィールド)、9番・遊撃手で先発出場
- 初安打:2012年4月17日、対埼玉西武ライオンズ5回戦(西武ドーム)、5回表に牧田和久から三塁内野安打
- 初打点:2013年5月3日、対東北楽天ゴールデンイーグルス6回戦(日本製紙クリネックススタジアム宮城)、9回表に福山博之から左翼線適時二塁打
- 初本塁打:2017年7月30日、対福岡ソフトバンクホークス17回戦(福岡 ヤフオク!ドーム)、6回表に武田翔太から右越ソロ
- 初満塁本塁打:2018年5月12日、対福岡ソフトバンクホークス8回戦(福岡 ヤフオク!ドーム)、2回表にリック・バンデンハークから右越満塁
- その他の記録
- 1試合刺殺:9、2014年8月5日、対オリックス戦 ※二塁手でのパ・リーグタイ記録、9人目
- オールスターゲーム出場:1回(2015年)
- プロ入り初打席から最も遅い初本塁打:2287打席目 ※NPB記録
- シーズン犠打:62 (2016年) ※パリーグ記録
背番号
- 56 (2009年 - 2013年)
- 9 (2014年 - )
登場曲
- 西野カナ 『Happy Song』
- 西野カナ 『We Don't Stop』
- 三代目J Soul Brothers『Go my way』
- SOLIDEMO 『Rafflesia』
- 西野カナ 『NO.1』
- TOCCHI 『Never Never』
代表歴
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 週刊ベースボール2014年10月27日号 P48
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 週刊ベースボール2014年10月27日号 P47
- ↑ 週刊ベースボール2014年10月27日号 P46
- ↑ 「WBSC プレミア12」侍ジャパントップチーム最終ロースター28名発表!! 野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト (2015年10月9日) 2015年10月9日閲覧
- ↑ 11月に東京ドームで開催する侍ジャパン強化試合に出場する選手28名が決定 野球日本代表 侍ジャパン オフィシャルサイト (2016年10月18日) 2016年10月18日閲覧
- ↑ “日本ハム中島WBC辞退「体の状態が良くなかった」”. 日刊スポーツ. (2017年1月26日)
- ↑ “【日本ハム】中島、2287打席で初本塁打「感触はよかったですね」人生初の柵越え”. スポーツ報知. (2017年7月31日) . 2017閲覧.
- ↑ “日ハム中島、プロ9年目&2287打席目にして初本塁打 右翼へ驚きの一発”. フルカウント. (2017年7月30日)
- ↑ “日本ハム・中島、9年目、2287打席目で初アーチ「ああいう感覚なんですね」”. フルカウント. (2017年7月30日)
- ↑ “日本ハム中島登録抹消 左足負傷復帰まで2~3週間”. 日刊スポーツ. (2017年8月6日)
- ↑ “日本ハム・中島、チームの新選手会長に就任”. サンケイスポーツ. (2017年11月28日)
- ↑ “日本ハム中島、通算2287打席目1号以来の本塁打”. 日刊スポーツ. (2018年5月12日)
- ↑ 2014年度 パシフィック・リーグ 個人守備成績(規定以上) 日本野球機構オフィシャルサイト 2015年11月20日閲覧
- ↑ 2015年度 パシフィック・リーグ 個人守備成績(規定以上) 日本野球機構オフィシャルサイト 2015年11月20日閲覧
- ↑ 岡田友輔、道作、三宅博人、morithy、蛭川皓平、高多薪吾、Student、水島仁、神事努、市川博久、大南淳 『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクスマガジン4』 水曜社、2015年、143頁。
- ↑ 『数字で斬る! 2015年プロ野球 パ・リーグ編』 ベースボール・マガジン社、2015年、66頁。
- ↑ “日本ハム・中島卓也の「6、7年計画」。“非力”な高校時代のスカウト秘話。”. Number. (2015年6月9日)
- ↑ ファウルを打つ天才・中島卓也 ~「GET!ファイターズ」での特集~ Baseball LAB (2015年9月1日) 2015年11月13日閲覧
- ↑ カットマン雄平マン振りだけじゃない!川端中島手本 日刊スポーツ (2015年11月10日) 2015年11月13日閲覧
- ↑ “『水曜日のダウンタウン2時間SP』”. gooテレビ番組. (2016年2月24日)
関連項目
外部リンク
テンプレート:北海道日本ハムファイターズ
テンプレート:パシフィック・リーグ盗塁王
テンプレート:パシフィック・リーグ ベストナイン (遊撃手)
テンプレート:2015 WBSCプレミア12日本代表
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