千曲市
千曲市(ちくまし)は、長野県の北部、北信地方の千曲川中流域に位置する人口約6万人の市。
Contents
概要
旧・埴科郡戸倉町と更級郡上山田町は全国的に戸倉上山田温泉として知られ、善光寺詣りの精進落としの湯として明治期の開湯から100年余りの歴史を有する名湯の地。
旧・更埴市は、古墳時代には科野国造が置かれた地域と推定され、科野国の豪族の墳墓とされる東日本最大級の前方後円墳である森将軍塚古墳(有明山)を含む埴科古墳群を有する。また、江戸期の善光寺街道最大の宿場町として、また明治期に北信地方随一の商都として栄えた稲荷山宿があり、事実上の北国街道と北国西街道の合流点であり、さらに善光寺街道から谷街道(北国街道の脇道松代道)が分岐する交通の要衝であった。現在も長野自動車道と上信越自動車道の合流点である更埴ジャンクションが置かれている。他に江戸期の松代藩により植えられた杏林がある森地区は「あんずの里」として知られ、南の冠着山(別名「姨捨山」)は、古今和歌集(905年序)の和歌にも登場する平安時代からの名勝地で、深沢七郎が楢山節考(1956年)の基とした姨捨伝説が残る。
2003年合併特例法の在任特例を使い、合併前市町の議員56名がそのまま残った。この状態に対し、住民グループが疑問を抱き「議会解散の直接請求」を行うための住民投票を行うべく活動を行い、5月28日までに有権者の3分の1を上回る19,738人の署名を集め、7月11日に住民投票が行われることが決定したが、6月15日47名の全議員が辞職し住民投票は中止になった。定数24の出直し市議選は7月18日告示、投票25日で実施された。この事象は後の全国の合併事例に大きな影響を与えた。
地理
隣接する自治体
人口
千曲市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
行政
市長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
初代 | 宮坂博敏 | 2003年10月5日 | 2007年10月4日 | |
2-3代 | 近藤清一郎 | 2007年10月5日 | 2012年10月17日 | 病気療養のため任期途中で辞任[1] |
4-5代 | 岡田昭雄 | 2012年11月11日 | 現職 |
議会
- 定数 24人
- 議長:吉田昌弘
歴史
- 森将軍塚古墳など長野県最古に属し、東日本最大級と言われる前方後円墳群が築造された。4世紀後半頃と見られる。
- 市域は古代信濃国の埴科郡と更級郡にまたがり、この両郡分離以前が『シナノのクニ』の原形であったとする説がある。
- 万葉集に市域の千曲川周辺の歌数首が詠われる。
- 仁和大水において屋代条里田などが洪水砂層に埋まる。
- 古今和歌集の歌に更級と姨捨山、月が詠み込まれて都人の憧れの地となる。
- 当時官社とされていた神社名を所載した延喜式神名帳に波閇科(はべしな)、佐良志奈(さらしな)、治田(はるた)、武水別(たけみずわけ)、粟佐(あわさ)、祝(ほおり)の市内各古社が名を連ねる。
- 大和物語、今昔物語集に棄老伝説が紹介され姨捨の地名が全国に広がる。
- 治承・寿永の乱(源平合戦)の横田河原の戦いにおいて越後から大軍を率いて進駐した城氏を撃退した木曾義仲の出撃地となった。
- 中先代の乱において北条氏の残党に与する近隣の国人領主らが守護所を襲撃した青沼合戦の戦場となり、八幡河原や磯部河原など市内や近隣各所を戦場にした。
- 観応の擾乱に続く南北朝の争いが国人領主達を二分し、守護や関東管領方とそれに反抗する勢力とが生仁城など市内や近隣各所を戦場とした。
- 室町幕府から任命された守護が敗れて都へ逃げ帰ることとなった大塔合戦において大文字一揆勢の拠点の一角となった。
- 1543年(天文12年)千曲川大洪水で船山郷が流失するなど市域や近隣に被害が及んだ。
- 12年にわたる川中島の戦いにおいて武田信玄と上杉謙信が市内や近隣各所をたびたび戦場とした。
- 1602年(慶長7年)千曲川大洪水で黒彦郷が流消分散するなど市域や近隣に被害が広く及んだ。
- 1614年(慶長19年)松平忠輝配下の海津城主の花井吉成に宛がい与力分として6千石が与えられた中に桑原村、若宮村、内川村の名が見られる。他に更級郡の四ツ屋村、二柳村、とふくじ(東福寺)村、今井村、水内郡のなかごい(中越)村、高井郡の沼目村が列記されている(花井家文書)
- 1742年戌の満水・寛保の大水とも言われる大洪水で市域や近隣に広く被害が及んだ。
- 1847年善光寺地震で市域を含む北信地域に広く被害が及び冠着山などでも崩落が多数発生。御開帳に連れ立って詣でていた若宮の12名が被災全滅した。この八年後に通過した清川八郎は復旧が進んでいない稲荷山宿等周辺の様子を「未ださみしき有様」と記録している。
- 1878年長野県内初の銀行が稲荷山町で営業を開始。
沿革
- 2003年(平成15年)9月1日 - 更埴市・更級郡上山田町・埴科郡戸倉町が合併して発足。市役所は更埴庁舎、戸倉庁舎、上山田庁舎で機能を分散する。
- 2004年(平成16年)6月15日 - 合併特例法による在任特例の議会が自主解散。
- 2004年(平成16年)7月25日 - 新定数の議員選出。
姉妹都市・提携都市
国内
産業
千曲市に本社機能を置く主な企業
- アピックヤマダ
- エムケー精工
- 小松食品
- サクラ精機
- 信濃陸送
- 信州観光バス
- 信州ケーブルテレビジョン
- シンリク観光
- 滝沢食品
- 千代田電機工業
- 長野工業
- 長野電子工業
- 日本ステンレス精工
- 八光
- フラットヘッド
- フレックスジャパン
- 丸善食品工業
- 森川産業
千曲市に主力工場・事業所を置く主な企業
- 飯島建設 千曲支社
- オリオン機械 更埴工場
- 花王ロジスティクス 更埴ロジスティクスセンター
- 協和ダンボール 長野工場
- デイリーはやしや 千曲事業所
- 日酸TANAKA 長野工場
- 日本梱包運輸倉庫 長野営業所
- 日本通運 長野支店
- 日本デルモンテ 長野工場
- 北陸コカ・コーラボトリング 更埴ロジスティクスセンター
- モリカワ 長野事業所
- 山崎製パン 長野営業所
学校
特殊教育学校
小学校
中学校
高等学校
- 長野県屋代高等学校※中高併設
- 長野県屋代南高等学校
社会教育
ホール・集会場
図書館
- 千曲市立更埴図書館
- 千曲市立戸倉図書館
- 千曲市立上山田公民館図書室
- 屋代駅市民ギャラリー図書コーナー(しなの鉄道屋代駅内)
学習施設
博物館・美術館・アートギャラリー
- 長野県立歴史館
- 森将軍塚古墳館
- アートまちかど
- 千曲市更埴文化会館 小ホール
- 千曲市さらしなの里歴史資料館
- 千曲市稲荷山宿・蔵し館
- 千曲市ふる里漫画館
- 屋代駅市民ギャラリー
- あんずの里板画館
- にしざわ貯金箱館
- 坂井銘醸ギャラリー昭和蔵
- ギャラリー ラ・フォレ
- やじろべえギャラリー
- アートサロン千曲
- ギャラリー千曲
- ギャラリー都ャ
公民館・観光会館
体育施設
|
|
交通
鉄道
市の中央をしなの鉄道線(旧・信越本線)が縦断し、北西部をJR篠ノ井線が通る。
中心となる駅:屋代駅
かつて信越本線の特急「あさま」が戸倉駅にほぼ全列車、屋代駅に約半数停車していたが、1997年の北陸新幹線長野先行開業(長野新幹線)に伴い廃止となり、以後東京から乗り換えなしで市に至る公共交通機関は高速バスのみとなっている。
その他、北陸新幹線が上田駅 - 長野駅間で当市を通過している。旧更埴市当時より同市・戸倉町・上山田町他により新幹線駅「更埴駅」(仮称)を誘致する運動が行われており、2009年から千曲市は同新幹線五里ヶ峰トンネル長野駅方出口より長野自動車道更埴IC付近までの区間内に「新千曲駅」(仮称)を請願駅として建設する計画を構想していた[2][3][4]。2017年10月、JR東日本側から「技術的に設置困難」との回答があり、費用も当初予測より高額となることが明らかとなったことから、同年12月、岡田市長は新駅誘致を断念する考えを示した。長野県も了承し、2018年3月をもって各団体も誘致活動を終了する。
路線バス
道路
- 屋代BS - 更埴JCT
橋
名所・旧跡・観光スポット
- 戸倉上山田温泉
- 笹屋ホテル
- 豊年虫(笹屋ホテル別館、国の登録有形文化財)
- 坂井銘醸酒蔵コレクション(主屋と蔵は国の登録有形文化財)坂井銘醸ギャラリー昭和蔵 · 坂井銘醸大正蔵 · 坂井銘醸明治蔵 · 坂井銘醸慶応蔵 · 坂井銘醸寛政蔵 · 坂井銘醸宝暦蔵
- 智識寺(十一面観音像は国の重要文化財)
- 荒砥城 (城山史跡公園)
- 善光寺大本願別院
- 聖山高原県立自然公園
- 千曲高原・大池自然の家
- 千曲高原・大池キャンプ場
- 姨捨の景観 (全国お月見ポイント第1位、国の名勝)
- 武水別神社
- 佐良志奈神社
- 水上布奈山神社
- 稲荷山宿 (善光寺街道最大の宿場町、「蔵の街」、重要伝統的建造物群保存地区)
- 桑原宿
- 長雲寺 (愛染明王像は国の重要文化財)
- 雨宮の渡し跡
- 生仁城跡
- 鷲尾城跡 (倉科将軍塚古墳)
- 屋代城跡
- 霊諍山(郷土環境保全区域)
- あんずの里 (森地区)
- 埴科古墳群(国の史跡、科野の里歴史公園)
- 更埴文化会館(あんずホール)
祭事・催事
- あんずまつり – 森地区を中心に4月初旬の花見、6月下旬から7月上旬の果実の収穫時期に開催。
- 森将軍塚まつり - 1991年の第1回開催より毎年開催。
- 信州千曲市 千曲川納涼煙火大会
- 戸倉上山田温泉夏祭りと大煙火大会
- 信州さらしな おばすて観月祭
- 千曲どんしゃんまつり - (旧更埴市どんしゃんまつり)1979年の第1回市民祭開催より2010年まで毎年開催、以後休止中。
- 千曲夏祭り - 2011年、千曲どんしゃんまつりの休止を受け第1回開催。屋代駅前通り商店街で開催される夏祭り。
- 千曲市ふれあい広場 - 1984年の第1回更埴市ふれあい広場(教育問題研究会)開催より毎年開催。
- 荒砥城まつり - 1996年の第1回開催より毎年開催。
- 科野のムラお田植えまつり
- 牛に引かれて善光寺参り
- 大池の百八灯 - (市の無形民俗文化財)徳川家天領だった大池地区に伝わる送り盆の行事。初代真田藩主に嫁いだ徳川家康の養女小松姫を偲ぶ。
- 武水別神社の大頭祭(国の選択無形民俗文化財)
- 雨宮の御神事 – 国の重要無形民俗文化財。3年に1度(4月29日)の雨宮坐日吉神社の奇祭。橋から万作川に逆さに人を吊るして怨霊を鎮める。[5]
- 八幡とんとん - 毎年、八幡の武水別神社で行われる歴史ある仕掛け花火の大祭。
- 屋代ヨイヨイ(お花市)
- 稲荷山祇園祭
- 森の御柱祭(大宮神社春季大祭)
- 粟狭神社の御柱祭
- 水上布奈山神社の御柱祭
- 古大穴神社の御柱祭
- 知識寺春季例大祭
- 一重山不動尊縁日
- 須須岐水神社茅の輪くぐり
- 佐良志奈神社かたくりまつり
- ジャーマンアイリスまつり
- 情報館ふれあいフェスタ
- 千曲川地域ブランドフェア(千曲川マルシェ)
スポーツイベント
- おばすてマラソン大会 - 1972年、第1回大会開催(旧更埴市)より毎年開催。
- 千曲川駅伝競争大会 - 2001年、第1回大会開催より毎年開催。
- 千曲川ハーフマラソン - 2015年、第1回大会開催。
- 千曲川ロードレース大会 - 1980年、第1回大会開催(旧戸倉町)より毎年開催。
- ちびっこ選抜ハンドボール大会 - 2009年、第1回大会開催より毎年開催。
- 寿野球全国大会 - 1976年、第1回大会開催(旧上山田町)より毎年開催。
スポーツチーム
著名出身者
(五十音順)
参考画像
- Mori-shogunzuka2006 1110.JPG
- Zenko-ji Daihongan-betsuin.jpg
善光寺大本願別院
- Takemizuwake-jinja.JPG
武水別神社
- Sarashina-jinja 1.jpg
佐良志奈神社
- Chikuma anzu01.JPG
あんずの里
脚注
- ↑ 近藤市長が退任千曲市
- ↑ 千曲市に新幹線新駅設置の実現を目指して千曲市
- ↑ 新幹線対策室千曲市
- ↑ 選挙 千曲市長選 250票差で岡田氏再選 新幹線新駅誘致を推進 /長野『毎日新聞』2016年11月1日 長野版
- ↑ 雨宮の神事芸能八十二文化財団
- ↑ 求龍堂. “書籍情報 柿崎順一作品集 あたらしい生命━揺りかごからの胎動”. 足立欣也. . 2018閲覧.
- ↑ “第21回 うえだ城下町映画祭”. ゲスト紹介. . 2017閲覧.
- ↑ 公民館報ちくま. “もっと知りたいふるさと 30「花栽培の新技術」平成24年12月1日”. 千曲市. . 2018閲覧.
関連項目
外部リンク
- オープンストリートマップには、千曲市に関連する地理データがあります。
- 千曲市ホームページ
- 千曲市議会
- 千曲市 - 「おいでなして」信州千曲市
- 千曲市観光協会