すさみ町
すさみ町(すさみちょう)は、和歌山県西牟婁郡にある町である。
カツオ漁や「ケンケン船」で知られており、近世には熊野地域一帯の中心部となったこともある。
Contents
地理
すさみ町は紀伊半島のほぼ南端に位置し、太平洋に面している。海岸線は漁港を作るのに適したリアス式海岸で、漁が盛んである。気候は沖合を流れる黒潮の影響により温暖で、年間の平均気温はおよそ摂氏17度となっている。町域の90パーセント以上が山林で占められており、平地が少ない。なお、この辺りの海岸は「枯木灘」として釣り人たちには有名で、町も観光事業の一環として釣り大会を盛んに行っている。枯木灘海岸は貴重な地層や暖地性植物群落なども存在し、吉野熊野国立公園の指定も受けている。すさみ町の中心集落は、周参見川の河口に開けた漁港の町・周参見である。
2014年8月1日、政府は当町沿岸にある小島の一つに、「ソビエト」と命名することを発表した[1]。釣り人の間で言い習わされてきた呼称だが、その由来は不明であるという。
隣接する自治体
以下の自治体と隣接している。
人口
すさみ町(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
歴史
6世紀ごろから長らく熊野地域(おおよそ紀南)の中心となっていたが、1657年に口熊野奉行所が置かれてからは名実ともに南紀支配の中心地となった。
沿革
- 1955年(昭和30年)3月31日 - 周参見町(同日三舞村大字太間川を編入)・大都河村・佐本村が合併して発足。
- 1956年(昭和31年)4月1日 - 大字大鎌を江住村に編入。
- 1959年(昭和34年)3月25日 - 江住村を編入。
- 1976年(昭和51年) - 大阪府寝屋川市と姉妹都市提携を締結。
行政
町長は岩田勉(いわたつとむ)である。1983年12月18日に就任以来、しばらく町長の職についていた桂功(かつら いさお)前町長が任期途中で、健康上の不安を理由に統一地方議会選挙の改選日程に合わせる形で辞職した。これに伴い新人3名が町長選に立候補、2011年4月22日に投開票が行なわれ、町長が決定した。
議会
議員定数は10名である。定例会議は3月・6月・9月・12月に行われる。
経済
1995年の統計によると
- 第一次産業就業人数は604名(21%)、
- 第二次産業就業人数は865名(30%)、
- 第三次産業就業人数は1,378名(48%)
である。
産業
漁業・林業・農業及び観光業が、すさみ町の基幹産業である。漁業は特に盛んで、沖合を流れる黒潮の影響によりカツオ、ブリ、イセエビなどの水揚げが多くなっている。特にカツオはすさみケンケン鰹としてブランド化しており、イセエビも全国1位だったことがあるなど、全国有数の水揚げ量を誇る。また、海岸部より内陸部に入った地区では、杉・桧などの林業が伝統的に行われている。昭和40年代までは町内に多数の製材所が存在したが、国内木材が価格低迷する中で多くの製材所は閉鎖され、産業としての林業は停滞している。また、江住地区ではレタスの栽培が盛んとなっており、全国に先駆けてレタス栽培が行われたが、最盛期の1割程度にとどまっている。
金融機関
日本郵政グループ
- すさみ郵便局(周参見)
- 江住郵便局(江住)
無集配郵便局
- 佐本郵便局(佐本中)
各郵便局にはゆうちょ銀行のATMが設置されており、すさみ郵便局ではホリデーサービスを実施(2011年6月現在)。
※周参見町内の郵便番号は、町西部地域(周参見地区など)が「649-26xx」(すさみ郵便局の管轄)、町東部地域(江住・佐本地区など)が「649-31xx」(江住郵便局の管轄)となっている。
姉妹都市・提携都市
教育
人口の減少により小中学校の統合が進められており、下記の学校についても2017年(平成29年)度を目標に、周参見小学校・周参見中学校に統合される予定である[2]。
- 小学校
- すさみ町立周参見小学校(すさみ町周参見4027番地)
- すさみ町立江住小学校(すさみ町江住670番地)
- すさみ町立見老津小学校(すさみ町見老津475番地)
- 中学校
- すさみ町立周参見中学校(すさみ町周参見4027番地)
- すさみ町立江住中学校(すさみ町江住670番地[3])
- 高等学校
- 和歌山県立南紀高等学校周参見分校(すさみ町周参見3685番地)
- 町内には大学はないが、近畿大学の水産試験場が存在する。
交通
鉄道
町内には西日本旅客鉄道紀勢本線が走っている。紀勢本線はこのあたりでは普通列車は2時間に1本くらいの割合で運行されている。代表駅は周参見駅(簡易委託駅)で、この駅には特急列車を含めてすべての列車が停車する。江住駅と見老津駅(ともに無人駅)には、特急は停車せず普通列車のみが停車する。
路線バス
- すさみ交通(周参見駅~佐本線など)
道路
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
観光
- 熊野古道 - 大辺路
- すさみ八景
- 雫ノ滝
- 枯木灘
- 江須崎 - 暖地性植物の群落あり。
- 萬福寺 - 臨済宗の寺院で、周参見氏の菩提寺。周参見駅裏に所在。
- 周参見城跡 - 周参見氏の居城。萬福寺裏の秋葉山にあったとされる。
- 神田城跡 - 周参見氏の一族である宇都宮道直が1569年(永禄12年)に築城。周参見王子神社の東約1kmの神田山にあったとされ、本丸に城跡の石碑がある。
- 周参見王子神社
- すさみ町立歴史民俗資料館 - 周参見王子神社の境内に所在。
- 海底ポスト - 世界初。ギネスブックにも一番深い場所にある郵便ポストで認定。実際にハガキを出すことができる。
- イノブータン王国
- すさみ町立エビとカニの水族館
- 日本童謡の園
温泉
- すさみ温泉
出身有名人
その他
周参見駅には温度計が設置されていて、冬の時期(2月1日~2月28日)に朝7時の気温が摂氏0度以下(氷点下)だった場合、すさみ町内の宿泊施設(ホテルベルヴェデーレ[4]など)での次回の宿泊料が「寒さ料」として50%引きになるという。 この企画は、地理的位置から『常春の町』をアピールしようと、観光協会が1985年から始めた。2006年までで過去1回だけ、2001年に記録したことがある[5]。
脚注・出典
- ↑ 領海の外縁を根拠付ける離島の地図及び海図に記載する名称の決定について
- ↑ 平成25年度報告書 すさみ町における教育施策の評価 (PDF) - すさみ町
- ↑ 2010年度まではすさみ町江住812番地に所在したが、2011年度より江住小学校の校地に移転した(前の注を参照)。旧校舎の跡地は道の駅すさみとなっている。
- ↑ ホテルベルヴェデーレ公式サイト・寒さ料お返しします!2013年1月20日、2013年10月16日観覧
- ↑ 2月、すさみで「寒さ料」 1度以下で宿泊半額券紀伊民報2011年1月13日、2013年10月16日観覧
外部リンク