作詞家
作詞家(さくしか)は、歌詞となる言葉を創り上げる者のこと。その中でも特に、それを生業とする者を指す。また作曲家に対して歌詞を提供する者のこと。
専業の作詞家だけでなく、歌手、小説家、詩人、芸能人、放送作家など他業種を本業とする者が関わる事も多く、競争が激しい。文学的センスだけでなく、楽曲を理解・解釈する音楽的センスも欠かせない。
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西洋音楽における作詞家
西洋音楽では19世紀後半には作詞家、作曲家、演奏家という専門分化がみられる[1][2]。
東洋の伝統音楽など西洋音楽以外の分野では西洋音楽における作詞家、作曲家、演奏家などの概念を訳語として当てる際に注意する必要がある[2]。例えばカルナータカ音楽を五線譜にしてヨーロッパに紹介したチンナスワーミ・ムダリヤール(1813年-1901年?)[1]は、サンスクリット語で言葉と音楽の達人を意味するヴァーッゲーヤカーラ(vaggeyakara)にcomposer(作曲家)という訳語を当てたが、ヴァーッゲーヤカーラは詩を作って旋律にのせて歌を歌う者であり多くは哲学者で聖者でもあった[2]。
日本における作詞家
1990年代終盤から作詞、作曲、編曲までをこなす音楽家が増え、ポップス界における作詞家の活躍舞台は激減している。一方、情報技術の発達により流通媒体が増え、逆に専業の作詞家の重要性が再認識されたとする見解もある。
自ら作詞を担当するアーティストと区別する意味合いで、「職業作詞家」と呼ばれる事もある。専業の作曲家同様、音楽作家事務所や作家エージェントに認められ、その後作品実績を増やしていくのが一般的である。
作詞家の印税は、JASRACの使用料規定によりCDの場合は売上の6%、ライブの場合は売上の5%が著作権使用料としてレコード会社やコンサート主催者から徴収され、これらを契約に応じて作曲家、音楽出版社と分配する。
著作権法20条(同一性保持権)により、著作者の意に反する改変は禁じられており、作詞家の許諾を受けた場合を除いて歌詞は「一字一句変えてはならない」。そのため、森進一の「おふくろさん」のように、作詞を手掛けた川内康範に無断で変更した結果、同曲の演奏禁止という事態に発展した例もある(おふくろさん騒動)。
作詞家になるのに特に資格はいらないが専門学校はある。音楽作家事務所と契約する以外には、音楽制作会社やプロダクションに所属したり、作詞コンテスト受賞や持ち込みなどを通して音楽出版社と契約を結んだり、著名な作詞家に弟子入りしたりして、レコード会社が制作する案件に作品提供する方法もある。あるいは、ミュージシャンから転向して、作詞家としての道を歩み始める者も多い。