菰野町
菰野町(こものちょう)は、三重県の北西部、鈴鹿山脈の東山麓に位置する町である。人口は町としては県内一である。町内西部にある湯の山温泉や御在所岳には毎年多くの観光客・登山客が訪れる。北部にある田光のシデコブシ及び湿地植物群落は2005年(平成17年)3月2日に国の天然記念物に指定された。
Contents
地理
自然
隣接している自治体
歴史
近代以前
- 807年(大同2年)-最澄(伝教大師)により国見岳 (三重県・滋賀県)に天台宗の大寺院三嶽寺が建立。
- 南北朝時代に千種忠顕が南朝方として活躍し、三重郡二十四郷を与えられ禅林寺城を居城とする。忠顕の子千種顕経の時に千種城を築いて拠点を移したと伝えられる。
- 室町時代頃より桑名から京都・近江へ向かう際に横断する鈴鹿山脈の峠は、主なものとして、北から鞍掛峠・治田峠・石榑峠・八風峠・根ノ平峠・安楽峠などがある。中でも菰野町千種から根ノ平峠を越えて、現在の滋賀県東近江市永源寺町甲津畑まで至る「千種越え」と菰野町田光から八風峠を越えて、永源寺町杠葉尾までの八風街道「八風越え」とが多く利用された。「八風越え」は桑名と近江の八日市・近江八幡を結ぶ重要な通商路であったが、近江の保内商人(近江蒲生郡得珍保内の今堀・蛇溝・中野・今在家などの諸郷の商人で、鈴鹿山脈を越える山越商人)が商業を独占していた。永禄2・3年(1559・1560年)の「保内商人申状案」によると、保内商人が八風・千種越えで、千種氏から両峠の流通独占権を認められ、その見返りとして役銭を支払っていた記録がある。保内商人は桑名で東海地方の産物(主に麻の苧・紙・木綿・土の物・塩・曲物・油草・若布・鳥類・海苔類・荒布・魚類・伊勢布など)を仕入れ近江や京都で販売した。また近江からは、京都で生産された物資の他、木地師(きじし)の盆、椀、曲(まげ)物、木炭、麻などの山のものが桑名へ運ばれて、尾張以東の諸国へ送られて販売された
- 1555年(弘治元年)-近江国から佐々木六角氏が侵攻。千種氏は後藤但馬守賢豊の弟を養子に迎え和睦して千種三郎左衛門と称した。以後千種城は六角氏の北伊勢侵攻の拠点となった。
- 1568年(永禄11年)織田信長の命により、尾張から滝川一益の軍勢が押し寄せ、三嶽寺の他、引接寺(天台宗)、慈眼寺(天台宗)、正眼寺(天台宗)、清安寺などが同時に焼き討ちされて消滅し多くの貴重な文化財が失われた。禅林寺 (菰野町)(臨済宗妙心寺派)も焼き討ちされたものの復興し現在に至っている。
- 1600年(慶長5年) - 土方雄氏が菰野城に入り菰野藩(1万2千石)を創設し、城下町として発展。
- 1871年(明治4年) - 廃藩置県により菰野藩が廃藩となり、翌年三重県に編入。
近代以降の沿革
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、菰野村・宿野村・福村・神森村の区域をもって菰野村が発足。
- 1928年(昭和3年)10月1日 - 菰野村が町制施行して菰野町となる。
- 1956年(昭和31年)9月30日 - 鵜川原村・竹永村が合併し、改めて菰野町が発足。初代町長に鵜崎永蔵(2期目に死去)が就任。
- 1957年(昭和32年)1月15日 - 朝明村を編入。
- 1959年(昭和34年) - 御在所ロープウェイが開通。
- 1960年(昭和35年)- 日本カモシカセンターが開園。2006年(平成18年)11月30日に閉園。
- 1963年(昭和38年)- 2代目町長に藤川四郎(4期満了後引退。4期連続無投票当選。名誉町民)が就任。
- 1979年(昭和54年)- 3代目町長に鵜崎博(2期)が就任。
- 1980年(昭和55年) - 第31回全国育樹祭が開催。
- 1987年(昭和62年) - 4代目町長に服部忠行(5期満了後引退)が就任。
- 1989年(平成元年) - 町営の斎場が完成。
- 1992年(平成4年)- 四日市西警察署が完成。
- 1993年(平成5年) - 道の駅菰野がオープンする。第17回全国育樹祭が開催。
- 1999年(平成11年) - 保健福祉センターけやきが完成する。福祉バス(現コミュニティバス)運行が開始。
- 2000年(平成12年) - 葬祭会館が開館する。公共下水道の供用が開始。
- 2002年(平成14年) - 新庁舎が完成。
- 2003年(平成15年) - パラミタミュージアムがオープン。
- 2004年(平成16年) - コミュニティバスの運行が開始。
- 2005年(平成17年) - 田光のシデコブシ及び湿地植物群落が国の天然記念物に指定。
- 2006年(平成18年) - 第1回かもしかハーフマラソンが開催。
- 2007年(平成19年) - 5代目町長に石原正敬が就任。
- 2008年(平成20年) - 菰野町図書館が完成。
町名の由来
この一帯が開拓前、マコモ(真菰・真薦、イネ科の大形多年草)などが生い茂る原野であったことから、「こもの」と命名された。他に薦野、古茂野の表記がある。
人口
県内の町では最多であり鳥羽市、尾鷲市、熊野市よりも人口が多い。
菰野町(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
行政
- 町長:石原正敬
- 副町長:諸岡高幸
議会
- 菰野町議会(定数18)
※なお、衆議院議員選挙の選挙区は「三重県第3区」[1]、三重県議会議員選挙の選挙区は「三重郡選挙区」(定数:2)[2]、となっている。
交通
鉄道
バス
高速バス
一般路線バス
- 三重交通(四日市営業所)
- 菰野町コミュニティバス(かもしか号)
主に菰野町北部、西部を中心に運行。
索道
- 御在所ロープウェイ : 湯の山温泉駅 - 山上公園駅
- 観光リフト : ロープウェイ駅 - カモシカ駅 - 頂上駅
道路
- 高速自動車国道
- 一般国道
- 三重県道
- その他
地域
- 菰野地区 - 町の南部に位置し湯の山街道や近鉄湯の山線が通っていることもあり、菰野町の中心部として発展した。湯の山温泉や御在所岳などの自然もありながら、山を下ると湯の山街道沿いを中心に街が発展し、商業施設などが多数立ち並ぶ。人口が菰野町で一番多い地区である。新庁舎になるまで役場は菰野地区にあった。
- 千種地区 - 菰野地区と朝上地区の間に位置する。県民の森や朝明キャンプ場などがあり自然豊かな田園地帯だったが、新庁舎の移転により、地区内の潤田地区は市街地に指定され整備途中である。地区の真ん中を南北に国道306号が通る。
- 朝上地区 - 千種地区の北に位置し、いなべ市と隣接する。八風キャンプ場などがあり自然豊かな田園地帯である。国道306号とミルクロードが通る。
- 鵜川原地区 - 菰野地区と千種地区の東に位置し、四日市市と隣接する。地区の真中を南北にミルクロードが通る。田園地帯であるが工業団地もある。
- 竹永地区 - 鵜川原地区の北、朝上地区の東に位置する。ミルクロードが完成して以降、商業施設が数多く建設されている。
新興住宅街
- 竹永地区 - 近年新興住宅街も整備されたので、人口の流入が多い。
- 朝上地区 - 自然豊かな田園地帯だが、新興住宅も数多く建設され、人口の伸びが大きい。
学校
高等学校
- 三重県立菰野高等学校が菰野町内唯一の高等学校である。
- 2004年(平成16年)11月、市川卓が日本プロ野球のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズに五巡目で指名された。
- 2005年(平成17年)、第87回全国高校野球選手権大会三重大会初優勝。夏の甲子園初出場。
- 2008年(平成20年)、第90回全国高校野球選手権大会三重大会優勝。夏の甲子園3年ぶり2度目の出場。
- オリックス・バッファローズの投手、西勇輝の出身校でもある。
中学校
(いずれも町立)
小学校
(いずれも町立)
郵便局
(2012年12月現在)
- 菰野郵便局(菰野)
- 湯ノ山郵便局(菰野)
- 千種(ちくさ)郵便局(千種)
- 朝明(あさけ)郵便局(田光=たびか)
- 竹永郵便局(永井)
- 鵜川原(うがはら)郵便局(下村)
- 菰野大羽根園簡易郵便局(大羽根園柴垣町)
- 名古屋支店 イオンタウン菰野内出張所(宿野)(ATMのみ/ホリデーサービス実施)
- その他簡易郵便局を除く各郵便局にATMが設置されており、菰野郵便局ではホリデーサービスも実施。
※菰野町内の郵便番号は「510-12xx」「510-13xx」で、集配業務はいずれも四日市西郵便局(四日市市智積町)が担当している。
メディア
四日市市に本社のあるエフエムよっかいち(PORT WAVE)は2014年に菰野町に中継局を開局。菰野町は防災ラジオを町民に配布し、PORT WAVEを通じて防災放送が行えるようになっている。配布した防災ラジオは他のAM・FM局も聴取できるが、緊急時にはPORT WAVEの放送に自動的に切り替わる仕組みである。
また、いなべ市のいなべエフエム(FMいなべ)は町域の一部地域が放送エリアに含まれている。
四日市市に本社を置くCTYがケーブルテレビを放送している。
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
名所・旧跡
- 三嶽寺 - 天台宗
- 廣幡神社 - 石清水八幡宮を勧請
- 見性寺 - 臨済宗妙心寺派
- 福王神社
- 尾高観音
- 菰野城跡 - 菰野藩土方氏の居城。現在は菰野小学校の隣にある。
- 千種城跡 - 後醍醐天皇の側近であった千種氏の居城
- 竹成五百羅漢
- 楠根ため - ため池百選
観光地
- 湯の山温泉 - 歴史のある温泉街。映画『男はつらいよ』シリーズ第3作「男はつらいよ フーテンの寅」のロケ地になった。大石内蔵助が討ち入りのため江戸へ行くときに休んだ湯治場。蕎麦による町おこしとして、手打ちそば道場をおこなっており、自分で打った蕎麦を食べることができる。
- 大石公園 - 温泉街にある大きな石の周りに整備された公園。
- 蒼滝 - 美しい滝。夏には涼を求める人々が訪れる。
- 御在所岳 - 年間20 - 30万人が訪れる山。鈴鹿山脈一の良峰。紅葉の名所。
- 御在所ロープウェイ - 御在所岳にかかるロープウェイ。春や夏には鮮やかな緑。秋には美しい紅葉、そして冬には白銀の世界。と、四季折々の美しい景観を見せる。
- 御在所スキー場 - 県内唯一のスキー場で、地元の小学生達は毎年シーズンになるとスキー教室に訪れる。
- 朝明渓谷 - 自然の織り成す美しい渓谷美。
- 尾高高原
- パラミタミュージアム - 2003年3月に開館した美術館。
- 熊牧場
- 三重県民の森
祭事・催事
菰野町を舞台とした作品
出身者
- 松岡直右衛門 - 品種改良家で農業功労者。
- 岡田千鶴子 - 四日市岡田家の女性で美術家。
- 浅井康太 - 競輪選手。
- 浅野拓磨 - サッカー選手(VfBシュトゥットガルト)。
- 足立梨花 - ホリプロ所属の芸能人。
- 内田智也 - サッカー選手(横浜FC)。
- 藤牧祥吾 - サッカー選手(ヴィアティン三重)。
- 小林純生 - 作曲家、言語学者。
- 近藤淳也 - 株式会社はてな代表取締役。
- 重盛啓之 - CBCテレビアナウンサー。
- 柴田孝之 - 弁護士、東京リーガルマインド専任講師。
- 西勇輝 - プロ野球選手(オリックス・バファローズ)。
- 永井啓弍 - トヨタカローラ三重社長、馬主。
ゆるキャラ
町が特産化を目指す植物「マコモ」のPR役として2月に完成。「マコモはかせ」という愛称だったが、ゲーム「ポケットモンスターブラック・ホワイト」に登場するキャラクターと同じ呼称だったため、制作した菰野町商工会は愛称の使用を取りやめた。学生帽姿が「マコモはかせ」で、野球帽姿は「マコモン」、コック帽姿は「マコック」である。 2014年3月にはニホンカモシカをモチーフとしたゆるキャラ「こもしか」が完成した。
脚注
- ↑ 衆議院小選挙区図 (PDF) 三重県選挙管理委員会
- ↑ 県議会議員の選挙区と定数 三重県選挙管理委員会
関連文献
外部リンク