追分
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追分(おいわけ)は、道が二つに分かれる場所をさす言葉である。
概要
もとは「牛馬を追い、分ける場所」を意味したが、そこから街道の分岐点も意味するようになり、甲州街道と青梅街道の分岐である新宿追分や、中山道と北国街道の分岐である信濃追分など、各地に地名として残っている。
また、そこから派生して、こうした地名を冠した日本の民謡の一種(追分節)の略称として用いられることもある。(追分節の項を参照)
類義語・対義語としては、追分と同様に分岐点を意味する「ワカレ」(「分かれ(分れ)」「別れ」「岐れ」などと表記される)、道が合流する点という意味の「落合」「出合」があり、こちらも各地の地名としてその名を残す。
日本の「追分」
- 新宿追分 - 甲州街道から青梅街道の分岐。内藤新宿の西端。現在の東京都新宿区。
- 本郷追分 - 中山道と日光御成街道の分岐。現在の東大農学部正門前(東京都文京区)で、近くに本郷追分停留所がある。ここ付近は現在、中山道は国道17号(本郷通り・通称なし)、日光御成街道の単独区間は東京都道455号本郷赤羽線(本郷通り)となっている。
- 平尾追分 - 中山道と川越街道の分岐。現在の板橋郵便局前交差点。現在、ここ付近は中山道は板橋区道(旧中山道)、川越街道の単独区間は国道17号(中山道)となっている。
- 幸手宿 - 日光街道・奥州街道と日光御成街道の分岐(幸手追分)に儲けられた宿場。現在の埼玉県幸手市。
- 桑折追分 - 奥州街道と羽州街道の分岐。福島県伊達郡桑折町谷地字追分と現在でも地名として残っており、2006年に道標などの復元整備が行われた。
- 追分宿 - 中山道と北国街道(北国脇往還)の分岐(信濃追分)に設けられた宿場。現在の長野県北佐久郡軽井沢町。
- 安曇追分 - 千国街道の池田通りと松川通りの分岐。現在の長野県安曇野市。
- 楽田追分 - 犬山街道(稲置街道)と上街道 (木曽街道)との分岐。現在の愛知県犬山市。かつて名鉄小牧線の駅(追分駅→楽田原駅)があった。
- 追分(永平寺追分) - 勝山街道と永平寺道との分岐。現在の福井県福井市。
- 垂井追分 - 中山道と美濃路との分岐。現在の岐阜県不破郡垂井町。
- 日永追分 - 東海道と伊勢街道の分岐。現在の三重県四日市市。
- 草津宿 - 東海道と中山道の分岐(草津追分)に設けられた宿場。現在の滋賀県草津市。
- 髭茶屋追分 - 東海道と大津街道(伏見街道)の分岐。現在の滋賀県大津市。
- 美作追分 - 出雲街道と備中往来の分岐。現在も美作追分駅や美作追分パーキングエリアで名を残す。
- 神岡追分 - 因幡街道と出雲街道の分岐。兵庫県たつの市神岡町追分と現在も地名として残っている。
海外の「追分」
- 台中追分 - 海岸線と成追線の分岐。現在の台湾台中市大肚区。
- 南投追分 - 台14線の分岐。現在の台湾南投県仁愛郷翠峰。
- 台東追分 - 知本越嶺道の分岐。現在の台湾台東県卑南郷。
- 追分(太平山) - 現在の台湾宜蘭県大同郷。
なお、台湾では「追分数」(点を追加する=試験で良い点数を取る)や「追婚」(結婚したい)という言葉を連想させ、特に台中追分の隣駅が成功駅ということもあり、追分成功と書かれた切符を求める人が多い。
追分節
日本の民謡には、「○○追分」(○○は地名)という曲が各地にあり、その多くは朗々と声を響かせてうたう歌である。著名なものに「江差追分」などがある。もともとは信濃追分(現在の長野県北佐久郡軽井沢町)付近で歌われていた馬子唄(小諸馬子唄)が、関東以北の各地を中心に広がったとされている。
追分の音楽的特徴として、
- はっきりした・明確な拍節を持っていない(調子よくパンパンと手拍子を打てない)
- 音域が広い(高い声から低い声まで出さなければいけない歌が多い)
- 母音を伸ばす(一音多声型。歌詞等の一文字を長く伸ばす場合が多い。西洋音楽のメリスマ参照)
などが挙げられる。この為、難しい方に入る。
小泉文夫は日本音楽のこのような形式に注目し「追分形式」と呼んだ。追分形式と対照的なのが拍節感のはっきりした「八木節形式」(一音一声型、シラブル型)である。