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経済産業大臣指定伝統的工芸品(けいざいさんぎょうだいじんしていでんとうてきこうげいひん)は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年5月25日、法律第57号)に基づいて経済産業大臣により指定された日本の伝統工芸品を指す。
Contents
概要
行政用語では伝統的工芸品と呼ばれ、次の要件によって指定される。
- 主として日常生活の用に供されているもの。
- 製造過程の主要部分が手工業的であるもの。
- 伝統的技術または技法によって製造されるもの。
- 伝統的に使用されてきた原材料を使用していること。
- 一定の地域で産地形成されていること。
経済産業大臣が指定する伝統的工芸品の品目数は、2017年(平成29年)1月26日時点で225点を数え[1]、分野ごと(業種別)の内訳は以下のとおりである[2]。
伝統的工芸品産業振興協会編著の『伝統的工芸品ハンドブック』では、法律において「伝統的」と認められる年数について「100年以上の歴史を有し、現在も継続しているもの」との基準が示されている[3]。
2000年(平成12年)の時点では千葉県と熊本県にも指定品目が存在しなかったが、2003年(平成15年)に千葉県の1品目・熊本県の3品目が指定された。
北海道においては先住民族であるアイヌが固有の文字を持たず口承のみが世代間の知識の伝達手段であったため、古来よりその工芸品が生産されてきたことを示す文献が残されておらず長らく伝統的工芸品の指定を受けている品目が存在していなかったが[3]、2013年(平成25年)2月にいずれも日高振興局管内沙流郡平取町二風谷の工芸品2点が指定を受け、全ての都道府県において1品目以上の指定が出揃うことになった[4]。
指定品目が多い都道府県は京都府が最多の17点で、次いで新潟県、東京都が16点、沖縄県が15点となっている。
生産額
伝統的工芸品の生産額は1974年(昭和49年)以降、日本の経済成長の波に乗って年々増加を続け、1980年代には年間5000億円前後の水準を維持していた。とくに1984年(昭和59年)には生産額が5237億円とピークを迎えた。しかしながら、国民の生活様式の変化やバブル崩壊後の長引く景気の低迷、海外からの安価な生活品の輸入などの理由から2003年(平成15年)には2003億円と半減した。2003年度における各産地の関連工芸品総生産額は約6037億円であり、指定伝統的工芸品は工芸品総生産額の約3分の1を占めていることになる。2006年(平成18年)にはさらに1773億円まで落ち込んでいる[5]。
生産額の推移グラフ(経済産業省製造産業局 伝統工芸品産業室の資料を基に作成[5])
年代 | S49 | S54 | S59 | S61 | S63 | H2 | H4 | H5 | H8 | H10 | H12 | H14 | H15 | H16 | H17 | H18 | |
生産額 | 305 | 383 | 383 | 454 | 509 | 539 | 461 | 354 | 321 | 298 | 314 | 225 | 235 | 219 | 214 | 202 |
企業数及び従事者数
企業数は1979年(昭和54年)の34,043社から2006年(平成18年)には16,704社と半減し、従事者数は1979年の28万7956人から2006年には9万3365人と3分の1にまで減少している[5]。
また30歳未満の従業者の比率も1974年(昭和49年)の28.6パーセントから2006年には6.1パーセントまで落ち込み、伝統的工芸品産業は高齢化が進んでいる[6]。
企業数及び従事者の推移グラフ(経済産業省製造産業局 伝統工芸品産業室 の資料を基に作成[7])
- 「S」は昭和年度、「H」は平成年度を表す。
- 下の数字は、企業数(単位100人、青棒)および従事者数(単位1000人、緑棒)を表す。
年代 | S49 | S54 | S59 | S61 | S63 | H2 | H4 | H5 | H8 | H10 | H12 | H14 | H15 | H16 | H17 | H18 | ||||||||||||||||
企業数 | 305 | 383 | 383 | 454 | 509 | 539 | 461 | 354 | 321 | 298 | 314 | 225 | 235 | 219 | 214 | 202 | ||||||||||||||||
従事者数 | 280 | 287 | 236 | 249 | 229 | 205 | 186 | 152 | 137 | 114 | 96 | 106 | 103 | 100 | 98 | 93 |
経済産業大臣指定伝統的工芸品一覧
- 本項での決め事
- 個々の記述内容は、左から順に、品目名、丸括弧内に、属する分野、指定年、丸括弧を閉じる。次いで、必要に応じて記号(後述)を添え、最後に備考があればこれを記す。
- なお、厳密には、2000年(平成12年)7月31日指定の甲州手彫印章までは通商産業大臣によって指定されたもので、2001年(平成13年)7月3日指定の八女提灯以降は経済産業大臣によって指定されたものである。
- 複数の都道府県にまたがって指定されている品目は★印と☆印で表すこととする。★印は筆頭と見なせる生産地(中心的生産地、もしくは、伝統的中心地、あるいは、指定者が筆頭に挙げている生産地)を表す場合にのみ用いるが、☆印は、筆頭と見なせる生産地以外の生産地を表すのに用いるほか、中心的生産地を一つに絞れない場合にも用いる。
北海道地方
北海道
東北地方
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
- 置賜紬(織物、1976年)
- 山形鋳物(金工品、1975年)
- 山形仏壇(仏壇・仏具、1980年)
- 天童将棋駒(その他工芸品、1996年) :cf. 「駒 (将棋)」「天童市」
- 羽越しな布(染色、2005年)★
福島県
関東地方
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
- 村山大島紬(織物、1975年)
- 本場黄八丈(織物、1977年)
- 多摩織(織物、1980年)
- 東京染小紋(染色品、1976年)
- 東京手描友禅(染色品、1980年)
- 江戸指物(木工品、1997年)
- 江戸和竿(竹工品、1991年)
- 東京銀器(金工品、1979年)
- 江戸木目込人形(人形、1978年)★
- 江戸からかみ(その他工芸品、1999年)
- 江戸切子(その他工芸品、2002年)
- 江戸節句人形(人形、2007年)
- 江戸木版画(その他工芸品、2007年)
- 江戸硝子(その他工芸品、2014年)★
- 東京アンチモニー工芸品(金工品、2015年)
- 江戸鼈甲(その他工芸品、2015年)
- 東京無地染(染織物、2017年)
神奈川県
中部地方
新潟県
- 塩沢紬(織物、1975年)
- 本塩沢(織物、1976年)
- 小千谷縮(織物、1975年)
- 小千谷紬(織物、1975年)
- 十日町絣(織物、1982年)
- 十日町明石ちぢみ(織物、1982年)
- 羽越しな布(織物、2005年)☆
- 村上木彫堆朱(漆器、1976年)
- 新潟漆器(漆器、2003年)
- 加茂桐箪笥(木工品、1976年)
- 燕鎚起銅器(金工品、1981年)
- 越後与板打刃物(金工品、1986年)
- 越後三条打刃物(金工品、2009年)
- 新潟・白根仏壇(仏壇・仏具、1980年)
- 長岡仏壇(仏壇・仏具、1980年)
- 三条仏壇(仏壇・仏具、1980年)
富山県
石川県
- 牛首紬(織物、1988年)
- 加賀友禅(染色品、1975年)
- 加賀繍(その他繊維製品、1991年)
- 九谷焼(陶磁器、1975年)
- 輪島塗(漆器、1975年)
- 山中漆器(漆器、1975年)
- 金沢漆器(漆器、1980年)
- 金沢仏壇(仏壇・仏具、1976年)
- 七尾仏壇(仏壇・仏具、1978年)
- 金沢箔(工芸用具・材料、1977年) :cf. 「金箔#産地」
福井県
- 越前焼(陶磁器、1986年)
- 越前漆器(漆器、1975年)
- 若狭塗(漆器、1978年)
- 大阪唐木指物(木工品、1977年)☆
- 越前打刃物(金工品、1979年)
- 越前和紙(和紙、1976年)
- 若狭めのう細工(石工品・貴石細工、1976年)
- 越前箪笥 (木工品、2013年)
山梨県
長野県
- 信州紬(織物、1975年)
- 木曽漆器(漆器、1975年)
- 松本家具(木工品、1976年)
- 南木曽ろくろ細工(木工品、1980年)
- 信州打刃物(金工品、1982年)
- 飯山仏壇(仏壇・仏具、1975年)
- 内山紙(和紙、1976年)
岐阜県
静岡県
愛知県
- 有松・鳴海絞り(染色品、1975年)
- 名古屋友禅(染色品、1983年)
- 名古屋黒紋付染(染色品、1983年)
- 赤津焼(陶磁器、1977年)
- 瀬戸染付焼(陶磁器、1997年)
- 常滑焼(陶磁器、1976年)
- 名古屋桐箪笥(木工品、1981年)
- 名古屋仏壇(仏壇・仏具、1976年)
- 三河仏壇(仏壇・仏具、1976年)
- 尾張仏具(仏壇・仏具、2016年)
- 豊橋筆(文具、1976年)
- 岡崎石工品(石工品・貴石細工、1979年)
- 尾張七宝(その他工芸品、1995年)
- 三州鬼瓦工芸品(その他工芸品、2017年)
近畿地方
三重県
滋賀県
京都府
- 西陣織(織物、1976年)
- 京鹿の子絞(染色品、1976年)
- 京友禅(染色品、1976年)
- 京小紋(染色品、1976年)
- 京黒紋付染(染色品、1979年)
- 京繍(その他繊維製品、1976年)
- 京くみひも(その他繊維製品、1976年)
- 京焼・清水焼(陶磁器、1977年)
- 京漆器(漆器、1976年)
- 京指物(木工品、1976年)
- 京仏壇(仏壇・仏具、1976年)
- 京仏具(仏壇・仏具、1976年) :cf. 「仏具」
- 京石工芸品(石工品・貴石細工、1982年)
- 京人形(人形、1986年)
- 京扇子(その他工芸品、1977年) :cf. 「扇子」
- 京うちわ(その他工芸品、1977年)
- 京表具(その他工芸品、1997年)
大阪府
兵庫県
- 丹波立杭焼(陶磁器、1978年)
- 出石焼(陶磁器、1980年)
- 大阪唐木指物(木工品、1977年)☆
- 豊岡杞柳細工(木工品、1992年)
- 播州三木打刃物(金工品、1996年)
- 播州そろばん(文具、1976年)
- 播州毛鉤(その他工芸品、1987年)
奈良県
和歌山県
中国地方
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
四国地方
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
九州地方
福岡県
- 博多織(織物、1976年)
- 久留米絣(織物、1976年)
- 小石原焼(陶磁器、1975年)
- 上野焼(陶磁器、1983年)
- 八女福島仏壇(仏壇・仏具、1977年)
- 博多人形(人形、1976年)
- 八女提灯(その他工芸品、2001年)
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄地方
沖縄県
- 久米島紬(織物、1975年)
- 宮古上布(織物、1975年)
- 読谷山花織(織物、1976年)
- 読谷山ミンサー(織物、1976年)
- 琉球絣(織物、1983年)
- 首里織(織物、1983年)
- 与那国織(織物、1987年)
- 喜如嘉の芭蕉布(織物、1988年)
- 八重山ミンサー(織物、1989年)
- 八重山上布(織物、1989年)
- 琉球びんがた(染色品、1984年)
- 壺屋焼(陶磁器、1976年)
- 琉球漆器(漆器、1986年)
- 知花花織(織物、2012年)
- 南風原花織(織物、2016年)
脚注・出典
- ↑ 経済産業省 「尾張仏具」「長崎べっ甲」「南風原花織」を伝統的工芸品として指定しました
- ↑ 伝統的工芸品とは
- ↑ 3.0 3.1 北海道には伝統工芸品はない!?(excite コネタ)
- ↑ “「二風谷イタ」など国の伝統的工芸品に 北海道初の指定”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2013年2月7日) . 2013年3月1日閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の振興施策について 平成20年8月 経済産業省製造産業局 伝統的工芸品産業室(PDF)
- ↑ 伝統的工芸品の現状
- ↑ 伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の振興施策について 平成20年8月 経済産業省製造産業局 伝統的工芸品産業室(PDF)